(6)事後指導の充実

 職場体験によって、生徒一人一人に自らの生き方をしっかりと見つめさせるためには、事後指導の過程がとても重要となる。
 また、職場体験での様々な成果が、日常的な学習活動への意欲の向上、進路選択に向けての動機付けの高まり、新たな学習課題の発見等に発展していけるよう、通常の進路学習はもとより、各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間において、意識的に関連付けながら活用して行く必要がある。
 職場体験の質的向上、体験の深化・共有化、日常的な学習活動への意欲の向上等を進めていくためにも、保護者や事業所への報告会等各学校で創意ある事後指導のプログラムを設定していくことが必要である。

やってよかった! 職場体験5日間!

生徒の感想
○「4日目、5日目と日を追うごとに自分から進んで働くことができるようになりました。人の役に立つことでうれしさやよろこびを感じ、自分自身が少し大きくなったと思えるようになりました。」
○「最初は楽しいだけの体験でしたが、5日目には仕事をすることのやりがいとともに厳しさを、理解することができました。自分の中に、少し責任感がついてきた感じがします。」
○「仕事は、「掃除に始まり、掃除に終わる」。本当に働く苦労が、少しだけわかったような気がします。」
教員の感想
○「元気なあいさつなど、職場に慣れるのに2日間ほどかかります。3日目くらいから生活のリズムのようなものが出てきて、4日目、5日目で自分なりに考えた工夫ある活動ができるなどの成果が現れてきました。」
○「学校の様子とは違う、生徒の新たな側面を見ることができました。」
○「体験や事前学習での生徒の表情は真剣そのものでした。体験後、意欲的に学校生活を送る生徒が増えました。」
○「私たちがいままで、いかに地域に目を配れていなかったか。地域の方の教育力の重要性に改めて気がつきました。
保護者の感想
○ 「いまの時代、眠れないほど緊張することは滅多にありません。そんな新鮮でドキドキする感動を子どもが感じた5日間でした。」
○ 「私の中学校時代にも職場体験があれば・・・人生が変わったかもしれませんね。子どもが少しうらやましいです。」
○ 「帰ってくるなり、今日1日の仕事の内容を得意気に話し始めました。子どもと話し合う機会が増え、うれしくなりました。」
体験先の感想
○ 「人に何かを教えるためには、自分が仕事について理解していなければなりません。私たち受け入れる側にとっても、勉強の大切さと心地よい緊張感を与えてくれた5日間でした。」
○ 「中学生の純粋な気持ちにふれた5日間でした。生徒さんたちの真剣な様子に、私たちも初心に返ることのできた5日間でした。」
○ 「ともすると、慣れに流される毎日の仕事を、生徒さんたちの真剣な取組から、見直す機会になりました。」

【職場体験の成果を多様な学習へ】

  事後指導の流れ 生徒の活動 指導上の留意点/体験先・保護者との連携
      ○各校の実態にあった事後指導計画の作成
職場体験
職場体験終了直後 ○職場体験記録のまとめ
(ポートフォリオのまとめ)
○職場体験記録をまとめる。
  • 職場体験日誌、記録、ノート、しおり等
  • 職場体験を全体の感想
  • 職場体験の自己評価・相互評価
  • 先生からの評価
  • 保護者からの評価
  • 体験先からの評価
○職場体験終了直後の生徒の記録のまとめ
  • 職場体験記録の整理
  • 実態にあった評価表の作成・集計
  • 生徒に対する教員側からの評価
  • 保護者からの評価表の作成・集計
  • 体験先からの評価
○礼状作成
(学校、生徒、保護者)
○生徒から体験先への礼状の作成 ○学校側からの礼状の作成・送付
○保護者からも簡単な形での礼状の作成
○報告書作成 ○報告書の作成 ○報告書の形式の工夫・作成
事後訪問 ○報告書等を持参しての事後訪問 ○報告書、礼状(学校、生徒、保護者)等を持参しての事後訪問
  • 職場体験の再評価
○事後訪問が職場体験の再評価となる
○のちに発表会等があれば、その招待状も同封
職場体験発表会に向けて ○発表資料の作成  ○発表資料の作成
  • 新聞づくり
  • ポスターづくり
  • コンピュータを活用したプレゼンテーション
○発表会の内容の検討
  • 発表方法
  • 招待者(体験先、保護者、地域の方、
    支援組織関係、後輩、
    小学6年生等)
  • 会場、次第、準備等
○職場体験発表会 ○職場体験の内容の発表
○生徒間での体験の共有化
○発表会の工夫
  • 代表発表、全員発表
  • ポスターセッション、パネルディスカッション、ブース形式等
職場体験を終えて ○職場体験の総括 ○職場体験全体を終えてのまとめ
(事前・体験・事後を終えて)
○次年度に向けての課題設定
○職場体験全体への総括
  • 生徒、保護者、体験先、教員の評価のまとめ
  • 支援組織とのまとめや反省
    (評価会議等の開催)
  • 学校としての評価

【職場体験の成果を多様な学習へ】

  職場体験・事後指導の展開例 体験先・保護者・地域との活動
事後学習の深まり ○学習意欲の向上
○学びへの動機づけの向上
○授業や学習活動への主体的な取組
○職場体験での成果を生かした学びの広がり

【各教科・道徳・特別活動・総合的な学習の時間での活用事例】
●各教科
  • 導入での職場体験感想、エピソード等の活用
  • 学習の意義を探るための体験先の方の感想、評価・話等の紹介
  • 学びへの動機づけを高めるための職場体験エピソード等の活用
●道徳
  • 補助資料としての職場体験エピソード等の紹介
  • 職場体験感想文等の教材化
●特別活動(進路学習)
  • 職業調べでの職場体験報告書の活用
  • 1学年進路学習での資料としての活用
  • 3学年進路学習での進路情報資料としての活用
    (「適性と進路」「卒業後の学ぶ道」「将来のデザイン」「進路選択」等)
  • 上級学校訪問等での職場体験の経験の活用
  • 社会人講師として体験先の方の講演等
●総合的な学習の時間
体験学習、福祉、環境等との連携

○進路選択へのヒント
○生徒の新たの側面の発見
  • 職場体験の感想、データの活用
  • 体験先の方の生徒評価の活用
  • 三者面談の資料として活用等
○子どもの地域行事等への積極的な参加
○子どものボランティア、福祉、奉仕活動等への積極的な参加
○子どもの地域でのコミュニティの広がり
○体験先の方の社会人講師としての活用
○子ども理解のための職場体験資料の活用


○保護者の職場への訪問
○家庭でのお手伝い


○三者面談等における活動の評価
○子どもの新たな側面の評価

-- 登録:平成21年以前 --