「地方独立行政法人会計基準」及び「地方独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A 第9章

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9章 行政サービス実施コスト計算書

Q 73―1 行政サービス実施コスト計算書で表示される業務費用には、損益計算書上の臨時損益も含まれるのか。
A
 行政サービス実施コストは、「地方独立行政法人の業務運営に関して住民等の負担に帰せられるコスト」を意味するものであり、損益計算書の臨時損益も最終的に住民等の負担に帰するものである以上、これに含めて計算する。(注解18第1項参照)

Q 73―2 以下に掲げる収入は、行政サービス実施コスト計算書の作成上「運営費交付金に基づく収益及び国又は地方公共団体からの補助金等に基づく収益以外の収益」として損益計算書における費用相当額から控除できるのか。
1  資産見返運営費交付金戻入
2  資産見返補助金等戻入
3  資産見返寄附金戻入
4  資産見返物品受贈額戻入
5  地方公共団体からの物品受贈益
6  地方公共団体からの受託収入
A
1  行政サービス実施コストは、「地方独立行政法人の業務運営に関して住民等の負担に帰せられるコスト」を意味するものであるため、損益計算書における費用相当額から運営費交付金に基づく収益及び国又は地方公共団体からの補助金等に基づく収益以外の収益を控除する。
2  したがって、設問中の1245はその取得原資が税金であることから運営費交付金に基づく収益及び国又は地方公共団体からの補助金等に基づく収益以外の収益として取り扱うことはできないものと考える。3の寄附金戻入財源は税金からの拠出でないこと、6の受託収入は対価性があることから、それぞれ控除できるものと考える。
3  以上を整理すると次のとおりである。
収入の区分 損益計算上の費用から控除することの可否
1 資産見返運営費交付金戻入 控除できない
2 資産見返補助金等戻入 控除できない
3 資産見返寄附金戻入 控除できる
4 資産見返物品受贈額戻入 控除できない
5 地方公共団体からの物品受贈益 控除できない
6 地方公共団体からの受託収入 控除できる

Q 75―1 行政サービス実施コスト計算書における地方公共団体出資の機会費用算定に用いる「一定利率」はどのように決定するのか。
A
1  地方公共団体出資の機会費用は、当該出資額を市場で運用したならば得られたであろう金額として計算すべきものであり、「一定利率」の数値としては、国債の利回り等を参考に決定することとなる。
3  具体的に使用すべき「一定利率」については、決算日における10年もの国債の利回り(具体的には、決算日(当日が土・日曜日の場合は直前の営業日)における10年国債(新発債)の利回り等が考えられる。

Q 75―2 施設費は固定資産を取得したときに資本剰余金に振り替えられるが、決算日において負債として整理される預り施設費又は建設仮勘定見返施設費が存在する場合、当該預り施設費又は建設仮勘定見返施設費も地方公共団体出資等に含めて計算するのか。
A
 預り施設費又は建設仮勘定見返施設費は、資本剰余金に転換する前段階のものであり、住民等から見た場合には既に負担が発生しているので、行政サービス実施コストの計算対象と考えるのが適当である。

Q 75―3 国又は地方公共団体からの無利子又は低利融資を受けている場合の機会費用の算定について、「通常の調達利率」とはどのような金利を用いればよいのか。また、通常の調達利率は、期末時点での金利なのか、あるいは年間の平均金利なのか。
A
 「通常の調達利率」とは、借入金により資金調達を行っている地方独立行政法人にあっては、当該借入金の調達金利の年平均利率によることとし、無利子又は低利融資以外に資金調達を行っていない地方独立行政法人にあっては、決算日(当日が土・日曜日の場合は直前の営業日)における10年もの国債(新発債)の利回り等当該地方独立行政法人の実情に応じて決定するものとする。


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-- 登録:平成21年以前 --