「地方独立行政法人会計基準」及び「地方独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A 第7章

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7章 キャッシュ・フロー計算書

Q 66―1
(1) 運営費交付金で固定資産を購入した場合、キャッシュ・フロー計算書において、財源は業務活動収入に計上され、支出は投資活動の支出として整理されるという理解で良いのか。この場合、支出に対応させるため財源を投資活動の収入に計上することは可能か。
(2) 寄附金で固定資産を購入した場合のキャッシュ・フロー計算書上の処理の仕方はどうなるのか。
A
1  地方独立行政法人にキャッシュの増減があった場合に、これを業務活動、投資活動及び財務活動の3つの区分のうちのいずれに計上するかについては、当該キャッシュの増減をもたらした活動をもとに判断することになる。
2  まず、固定資産の購入によるキャッシュの減少については、固定資産の取得という投資活動によるものであるので、そのキャッシュの調達方法に関係なく、すべて投資活動によるキャッシュ・フローに表示することになる。
3  また、運営費交付金の受入によるキャッシュの増加については、運営費交付金は法人の業務活動のための財源として交付され、基本的には最終的に収益化されるべきものとして受け入れられるものであるので、その全額を業務活動によるキャッシュ・フローに計上することになる。
4  同じく寄附金の受入によるキャッシュの増加についても、寄附金は法人の一定の業務活動に充てることを期待されて交付されるものであり、基本的には最終的に収益化されるべきものとして受け入れられるものであるので、その全額を業務活動によるキャッシュ・フローの区分に表示することになる。
5  なお、これらの3つの区分については、キャッシュの動きを法人の活動の性質ごとに切り取って表示するためのものであり、各区分内で資金収支を均衡させなければならないといった規範性があるわけではない。(一般企業のキャッシュ・フロー計算書においても、投資活動によるキャッシュ・フローがマイナスになり、営業活動によるキャッシュ・フローと財務活動によるキャッシュ・フローがプラスとなることが多い。)

Q 66-2 利息の支払額には、ファイナンス・リース取引により計上される支払利息を含めるのか。
A
 ファイナンス・リースは、長期借入金を財源として資産を購入するのと同様の金融取引であり、当該取引から生じる支払利息相当額は通常の借入金に係る利息と同様のものである。したがって、利息の支払額にはファイナンス・リース取引により計上される支払利息相当額を含むものと考える。なお、リース料の支払額は、借入金の償還による支出と同様の性質の支出であり、財務活動の区分に計上されることになる。

Q 67―1 地方公共団体から物品の譲与を受けた場合の資産の取得に関しては、重要な非資金取引としての注記に該当するのか。
A
 物品の譲与は、資金を介在せずに資産を取得する取引であり、重要性のある物品の譲与は、非資金取引として注記する事項に該当するものと考える。

Q 67―2 注解44において、キャッシュ・フロー計算書に注記すべき重要な非資金取引の例として、現物出資の受入による資産の取得等が掲げられているが、減価償却費等の非資金費用は含まれないのか。
A
1  キャッシュ・フロー計算書の注記における重要な非資金取引とは、キャッシュの出入を伴わないために業務活動、投資活動及び財務活動のいずれの区分においても把握することのできない経済取引であって、地方独立行政法人の財務内容に大きな変更となるものを意味している。減価償却は費用の期間配分のために行う会計上の処理であってここでいう経済取引ではないので、注記事項とはならない。
2  なお、実態としては、減価償却費は業務活動によるキャッシュの流出を伴わない費用であるので、業務活動によって生じたキャッシュ・フローには、これに相当する額が含まれていることになる。(これは、業務活動によるキャッシュ・フローを間接法で計算すれば、より明白となる。)


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-- 登録:平成21年以前 --