「地方独立行政法人会計基準」及び「地方独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A 第6章

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6章 損益計算書

Q 60―1 臨時損益と企業会計の特別損益とは同じと考えてよいのか。
A
 企業会計における特別損益は、「特別」という用語が広く解釈されがちであるため、地方独立行政法人会計基準ではできるだけ限定しようという趣旨から「臨時損益」としたところである。したがって、「臨時損益」は「特別損益」と同一内容のものではなく、限定的に使用されるべきものである。

Q 61―1 損益計算書の様式に「(何)業務費」とあるが、どのように費用項目を立てるべきか。例えば、業務費について形態別の科目を示さなくてよいか。人件費はどのように表示すればよいか。(配賦する必要がないか。)また、法第34条第2項で提出する決算報告書での項目の立て方とは一緒になるのか。
 (関連項目:第63損益計算書の様式)
A
1  地方独立行政法人は公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業の実施主体であって、その業務の実施に関して負託された経済資源に関する情報を負託主体である住民等に開示する責任を負っており、説明責任の観点から、その財政状態及び運営状況を明らかにし、適切に情報開示を行うことが要請される。この観点から、主に運営状況を明らかにするため、一会計期間に属する法人のすべての費用とこれに対応するすべての収益とを記載し、当期純利益及び当期総利益を表示するために導入された書類が損益計算書である。
2  損益計算書にどのような費用項目を立てるかの判断に当たっては、このような損益計算書を作成する趣旨を勘案して、各地方独立行政法人がそれぞれにふさわしい項目のあり方を十分に検討すべきである。(地方独立行政法人の業務の多様性を考慮すると、当然にすべての法人に共通に適用されるべき業務費の項目はないものと認識する。)
3  一般的には、中期目標や中期計画の業務運営の効率化に関する項や業務の質の向上に関する項において具体的に記載される業務内容との対応関係をも考慮して定めるのが望ましい。
4  例えば、(ア)業務の質の向上に関する項において、一定の業務ごとに達成すべき成果が規定されている場合には、その項立てと対応させて定める。また、(イ)業務運営の効率化に関する項において、特に、一定の業務に関する人件費、物件費等に関する計画等が定められている場合には、それに対応して、当該業務に係る人件費、物件費等を項立てする。
5  なお、法第34条第2項に規定する決算報告書は、地方独立行政法人の予算に対応するものなので、予算での項目の立て方に連動することになる。

Q 62-1 科学研究費補助金の会計処理は、研究者個人に対して支給されるものとして預り金処理すべきか、それとも当該補助金に基づき実施される研究は地方独立行政法人の業務の一環として行うと考え、収益として処理すべきか。
A
 科学研究費補助金はいわゆる競争的資金として一人又は複数の研究者により行われる研究計画の研究代表者に交付される補助金であり、研究機関に交付されるものではない。したがって、研究機関では当該補助金を機関収入に算入することはできないものとされている(「科学研究費補助金交付・執行等事務の手引」日本学術振興会編)。一方、同手引においては補助金の取扱事務は研究機関の事務局で処理することとされている。
 以上の点を踏まえつつ、科学研究費補助金の事務取扱を公正に実施する観点から、科学研究費補助金については地方独立行政法人において預り金として処理し、補助金に含まれる事務取扱に要する間接費相当額は法人の収益として整理することとする。
 なお、補助金で購入した固定資産を地方独立行政法人が研究者個人から寄贈された場合には、会計基準第26に従い公正な評価額をもって受け入れる。


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-- 登録:平成21年以前 --