「地方独立行政法人会計基準」及び「地方独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A 第4章

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4章 財務諸表の体系

Q 40―1
(1) 会計基準第40第1項において「事業内容等に応じた適切な区分」に基づき、また、注解34第1項において「業務の内容が多岐にわたる場合」にはセグメント情報の開示が必要とされているが、地方独立行政法人においては、具体的にどのような考え方・目的で区分すればよいのか。
(2) 複数の業務を統合した法人を設置した場合、従来の業務ごとにセグメント情報を作成・開示しなければならないのか。
(3) 財源がもっぱら自己収入に依存する業務と運営費交付金に依存する業務とがある場合に、必ず両者を区分して、セグメント情報を開示しなければならないのか。
(4) 業務の内容に応じてセグメントを区分した場合は、運営費交付金、受託収入及び移替え経費(科学技術振興調整費)など財源が異なる収益であっても、同一のセグメントの事業収益として計上されることになると解して良いか。
A
1  地方独立行政法人が作成する財務報告は、当該法人の透明性の向上、正しいコストの認識、弾力的・効率的・効果的な業務運営に資するものでなければならない(「地方独立行政法人会計基準の設定について」参照)。そこに盛り込まれた財務情報を一つの重要な判断材料として、評価委員会は各事業年度及び中期目標の期間における法人の業務の実績を評価し、中期目標期間の終了時に組織及び業務の全般にわたる検討が行われることになると考えられる(法第22条及び第26条参照)。
2  このような観点にたって、各法人は「当該法人の事業内容等に応じた適切な区分に基づくセグメント情報」(会計基準第40第1項)を開示しなければならない。例えば、業務の内容が多岐にわたる法人においては、業務全般に係る財務情報に加えて個々の業務に係る財務情報を開示する必要があるかを、上記1の観点にたって十分に検討し、適切なセグメント情報を自主的に開示することが望まれる。
3  複数の業務を統合した法人にあっては、統合後の業務について、上記1の観点にたって検討し、適切なセグメント情報を決定することになる。なお、必ずしも統合前の従来の業務ごとにセグメント情報を作成・開示しなければならないものではない。
4  法人の業務内容が財源がもっぱら自己収入に依存する業務と運営費交付金に依存する業務に一定の合理性をもって区分し得る場合には、それぞれに係る情報が適切なセグメント情報であると推定される。
5  業務の内容に応じてセグメントを区分する法人にあって、ある業務の財源が運営費交付金、受託収入等異なる場合には、それらの収入は同一のセグメントの事業収益として計上されることになる。

Q 40―2 第4項に規定する「その他の財務情報」とは何か。
A
 設立団体からの運営費交付金の交付状況などの財源措置の状況等が考えられる。

Q 40-3 「一定のセグメント情報」とは具体的に何を示すのか。その開示は具体的にどうするのか。
A
1  公立大学法人においては、各法人間における比較可能性の確保の観点から、「一定のセグメント情報」については共通に開示することに留意する必要があるものとされている。
 なお、「一定のセグメント情報」を開示した上で、さらに、各法人固有のセグメントを設定して表示することを妨げるものではない。
2  公立大学法人に共通に開示すべきセグメント区分として大学、学部、研究科、附属病院が考えられるところであるが、セグメント情報に係る検討が未だ十分に行われているとはいえないことから、当分の間、公立大学法人におけるセグメント情報は、各法人が適切と考える区分によって開示することとする。
3  セグメント情報を開示する場合は、当該セグメントにおいて行われる一切の活動に係る損益及び帰属資産について表示することとする。ただし、社会通念上、当該セグメントに当然にあるべき施設以外の施設がある場合には、合理的な基準により当該施設に係るものを除外する等、当該セグメントにおける活動の実態を開示するため実情に則した補正を行う必要がある。

Q 43―1 キャッシュ・フロー計算書は、法第34条第1項に規定する「その他設立団体の規則で定める書類」として財務諸表の一部となるのか。
 (関連項目:第39財務諸表の体系)
A
 キャッシュ・フロー計算書は、地方独立行政法人の一会計期間におけるキャッシュ・フローの状況を報告するため、一定の活動区分別に表示するものであり、住民等からみた情報の重要度は極めて高いものと考えられる。したがって、法第34条第1項の「その他設立団体の規則で定める書類」として財務諸表を構成する書類の一つに位置付けるべきものである。なお、会計基準第39では、キャッシュ・フロー計算書を地方独立行政法人の財務諸表の体系のなかに位置付けている。

Q 45―1 行政サービス実施コスト計算書は、法第34条第1項に規定する「その他設立団体の規則で定める書類」として財務諸表の一部となるのか。
 (関連項目:第39財務諸表の体系)
A
 行政サービス実施コスト計算書は、地方独立行政法人の行う業務に関して住民等が負担するコストを集約して表示するものであり、住民等からみた情報の重要度は極めて高いものと考えられる。したがって、法第34条第1項の「その他設立団体の規則で定める書類」として財務諸表を構成する書類の一つに位置付けるべきものである。なお、会計基準第39では、行政サービス実施コスト計算書を地方独立行政法人の財務諸表の体系のなかに位置付けている。


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