(大学入試改革)民間の英語4技能試験の結果の提供について(平成30年8月10日)

民間の英語4技能試験の結果の提供について

 外国語は、「読む」「聞く」だけでなく、「話す」ことや「書く」ことも含めて、総合的に身に付けることが大事です。一方で、高校の英語の授業の状況を見ると、英語によるコミュニケーション能力を育成するには十分ではない状況にあるとの指摘もあります。文部科学省では、高校で学ぶ内容を定めた学習指導要領でも、この「読む」「聞く」「話す」「書く」の「4技能」を総合的に学ぶこととしています。また、自分の英語力を把握し、さらなる学びにつなげるため、民間の英語4技能試験を受験することもおすすめしています。

 大学入試は、各大学がそれぞれの教育理念に基づいて、大学への入口段階で入学者に求める力を評価し、入学してほしい人を選ぶものなので、それぞれの大学が科目や提出書類などをあらかじめ示して、合格者を決めることになっています。その大学入試においても、推薦入試やAO入試を中心に、英語4技能試験の活用が広がりつつあります。
 2020年度から大学入試センター試験に代わって実施される大学入学共通テストにおいて、英語4技能試験は現行の大学入試センター試験のような統一的な試験としては実施不可能なこともあり、一般入試においても活用が進むよう、大学入試センターが民間の英語4技能試験の結果を各大学に電子データで提供することにしています。

 大学入試センターが利用大学に提供する英語4技能試験の試験結果は、現役生については、高校3年生の4月~12月の間に受検した2回に限ることにしました。
 高校3年生に受検時期を限定した理由は、大学入試センターが結果を提供する試験は、実質的に大学入試の一部として活用されるものであり、1年生や2年生の成績を使えることとした場合、特に英語について、大学受験が早期化してしまうことを心配したためです。
 受検回数を2回に限定した理由は、住んでいる地域や、家庭の状況などにより、何回も検定試験を受けられない人が、大学入試で大きく不利にならないようにするためです。

 高校生の中には、地方自治体からの補助などを得て、1・2年生の時に受検をしたのに、その成績は使えないの?と疑問に思う方もいるかもしれません。例えば、日本私立中学高等学校連合会は、学習指導要領に沿って英語4技能の学習を続けてきた高校生のために2年時までにおける参加試験での一定以上の成績は全て利用可能とするのが当然、とのご意見ですし、確かに、既に受けた結果を幅広く活用できるようにすべきという考え方もあると思います。
 高校は、部活動や文化祭なども含めて生徒の人格の完成を目指す場所です。3年間の学びの中の節目の時点での自らの達成度を自覚し、次の学習に繋げるために受けた1・2年生の試験が、これから大学入試の一部として活用されることになるとすれば、誰でも対策はしっかりしたいと思うでしょう。その結果、部活動や文化祭など、それ以外の学校生活に影響が出てしまうことも考えられます。
 外国語は高校3年間を通してバランス良く学んでいくことが必要な教科です。3年生まで他教科で培った様々な学力を背景に、4技能の力も高め、発揮していただけるよう学び続けてほしいと思います。これらのことから、受検期間や回数を制限することにしました。

なお、以下に該当するような人には、高校2年の時の成績を活用できる例外を設けます。
・受検に極めて不便な地域にお住まいであるなど負担の軽減が必要な家庭の受験生で、高校2年の時点で十分な成績(すなわち、文部科学省が公表しているCEFR対照表のB2以上に該当する結果)を得た人
・病気で長期間入院しているなど受検の機会が得られない人
これらの例外は、条件に当てはまる限られた場合を想定しているものであり、大学入試のために英語4技能試験を受検することを高校2年の時点で促すものでは全くありません。
 また、既卒者については、受験準備の早期化の恐れがないため、受検年度とその前年度2年分の成績を提供できることにしています。

 ここまでは、大学入試センターが提供する英語4技能試験の試験結果について説明してきましたが、大学は、英語以外のものも含め、合格者を決めるための材料を自分で決めることができます。例えば、調査書(内申書ともいわれます。)には、高校生の時に得た資格などを書く欄があります。この欄に書かれた成績をもとに、大学入試センターが提供するデータを使わず、1・2年生の時に得た英語の資格・検定試験の成績を、これまで通りAO入試などの合格判定に使うこともできます。
 特に調査書は、高校3年間の学びの成果を大学入試に反映させるために大変重要です。2020年度から、各大学が調査書をどのように活用するかをあらかじめ示すこととなっていますので、受験生には、大学が発表する情報をよく見てほしいと思います。
 また、民間の英語4技能試験の結果を2020年度以降の大学受験で使うための手続きや、どのような場合に使えるかの詳しい方法については、今後、文部科学省と大学入試センターでガイドラインを作成してお知らせしていく予定ですので、こちらもよく見て受験に向けた準備を進めてください。

 グローバル化が進んでいることは、既に感じている方も多いかもしれません。これからの時代において、外国語の4技能を学んでいくことは、ますますその重要性を増していくことになるでしょう。是非学校の授業を大事にしながら、自分の力を把握しつつ、勉強に取り組んでいただきたいと思います。

お問合せ先

文部科学省高等教育局大学振興課大学入試室

電話番号:03-5253-4111(内線:4905)

(文部科学省高等教育局大学振興課大学入試室)