学校の取組例

宮城県仙台第三高等学校

 

GIGAスクール環境と1人1台端末を活用した

生徒の考えを広げる授業づくり

 

 宮城県仙台第三高等学校(以下、仙台三高)は、文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業の指定校として、理数教育の充実を図り未来を担う人材の育成に取り組んでいる。理数科はもちろん、普通科においても、探究活動の先進的な取組を軸に全教職員で授業改善に取り組んできた。さらに、令和3年度から1人1台端末が導入されたことによって授業がどのように変わったのかを紹介したい。
 
- 全教職員で取り組む授業改善
- 全ての生徒を支援する「共同編集機能」
- 探究的な学習
- 生徒に委ねる授業づくり
- おわりに
 

全教職員で取り組む授業改善

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生徒自ら自校の学びの特徴を語れるほど、端末が活用されている。本稿で紹介した授業だけでなく、他教科でも生徒が共有する場面が多数あった。

 「仙台三高では、色々な人と意見を共有する授業が多いです。他の人と話すと、自分だけでは気が付かないことを考えることができるので、自分の考えの幅が広がります。」

 これは、GIGA StuDX推進チームが仙台三高を訪問し、いくつかの授業を参観した後に、個別の教科について生徒へ質問した際の生徒の発言である。どの生徒からも「仙台三高では…」と返ってきたことから、仙台三高の教職員が一丸となり、各授業において意見を共有する場面を設定する等の工夫をしてきたことを理解していただけるのではないだろうか。
 
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資料を基に、気付いたことを共有された表計算ソフトに入力していく。共同編集機能を使うことで、個人の気付きが生徒全員に共有される。
(【関連】共同編集機能で進捗を見える化:文部科学省 (mext.go.jp)

 

全ての生徒を支援する「共同編集機能」

 先ほど発言を紹介した生徒が受けていた授業は、「日本史」。教師から学習支援ソフトで3つの資料が提示され、生徒は資料から読み取ったことを、共有された表計算ソフトに入力していた。このような共同編集機能を使えば、教師は、生徒一人一人の考えや、学習の進捗を把握しやすくなる。また、生徒も他の生徒の入力状況をリアルタイムで確認することができるので、入力する内容に不安があったり、悩んだりする生徒などにとってもメリットがある。
 実際に、「私は資料を読み取ることが苦手です。だから、ファイルが共有されていると他の人がどんなことに気が付いているかを参考にできるので考えるヒントになります。」と話す生徒もいた。授業者の佐藤和道教諭が「共同編集機能が、苦手を感じている生徒への支援になっていたと聞いて嬉しかったです。しかし、私は早く考えがまとまる生徒への支援として行っています。早く考えがまとまると、その考え方だけで完結してしまう生徒もいます。自分とは異なる考え方を参考にして、考えの幅を広げてほしいと思っています。」と話すように、結果的に全ての生徒への支援になっていたことがよくわかる。中には、「文章を読み取ることも苦手なので、他の教科でもあったらいいな。」と話す生徒もいた。確かに共同編集機能は、教科等を問わずに活用できるであろう。
 
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学習支援ソフトで共有された資料だけでなく、教科書から情報を収集する生徒もいた。また、クラウドを活用することで、スマートフォンなどの他の端末で入力することも可能である。生徒主体の授業を行う上で、生徒が学び方を選択できることは大切な要素の一つであろう。

 

探究的な学習

 授業中に廊下を歩くと、ほぼ全てのクラスで座席がグループディスカッション形式のレイアウトになっていたり、1人1台端末を使って共同編集したものを基に話し合っていたりしている姿を目にした。講義形式の授業ではなく、問いに対して、生徒が自ら考え、ホワイトボードソフトや対面での話合いを通して考え方を共有しながら、自らの考えを確立していくような探究的な学習が展開されていた。
 
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どの教室でも、多様な方法でアウトプットしている場面がある。じっくり考えたり、情報を収集したりする活動を基に、その情報を共有し、整理・分析する場面でディスカッション等が行われている。

 

生徒に委ねる授業づくり

 校内研究のリーダーである渡部敦主幹教諭は「これまでのグループ活動では『誰かが発言するときは手を止めて聞く』という方法で、効率が悪かったです。入力された意見を見ながら話ができるのは共同編集機能の利点です。今まではグループでまとめたものは、グループだけのものでしたが、今は全ての生徒に共有されているのでクラス全体のものになっています。また、端末に入力をしながら、紙のワークシートに書く生徒もいます。どちらをどのように使うかは生徒に委ねています。これまで、『学校でしかできない学び』について議論を重ねてきました。そのため、全教職員で共通理解をもつことができ、生徒に委ね、アウトプットを大切にする、今の本校の授業スタイルが確立されました。」と語る。
 また、佐々木克敬校長(取材当時)は「これまでも行ってきた探究的な授業づくりが、1人1台端末の導入によってさらに広がりましたが、端末が導入されたからといって先生方に伝えている内容は変わりません。ただ、クラウドの活用によって、情報交換のスピードは圧倒的に速くなりました。生徒が多様に考えることができるようになったため、先生の発問が変わりました。一問一答の発問はなくなり、深く考えなければならない問いが増えています。」と語る。
 
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紙か端末か、自分にとって最適な方法を選べることは、学びやすさにつながる。その前提として、教師も生徒も端末やクラウドの利点を理解していることが重要である。
 

おわりに

 仙台三高では、年間通して、海外の学生等に対し、理数科での研究成果を英語で発表するなど、教科等横断的に生徒のコミュニケーション能力の向上を目指している。今回の訪問を通して、授業における1人1台端末の日常的な活用に向けて大きなヒントをいただいた。
 
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マレーシアのマラヤ大学の学生や東北大学の留学生と年間を通じて交流をしている。1人1台端末導入以降、オンラインを活用することで、これまでよりも外部の方とつながりやすくなった。国語科で他校と合同授業を行うなど、チャレンジを続けている。
 

 
(文責:GIGA StuDX推進チーム)