令和7年7月28日(月曜日)15時00分~17時00分
経済産業省別館104各省庁共用会議室(東京都千代田区霞が関1丁目3番1号)及びオンライン ※ハイブリッド開催
・江橋 千晴
(公益財団法人日本スポーツ協会事務局次長兼スポーツ指導者育成部長)
・荻野 雅宏
(足利赤十字病院脳神経外科部長)
・小田原一記
(公益財団法人日本レクリエーション協会専務理事・事務局長)
・笠原 政志
(国際武道大学教授/日本アスレティックトレーニング学会副代表理事)
・金岡 恒治
(早稲田大学スポーツ科学学術院教授)
・川原 貴
(一般社団法人大学スポーツ協会副会長)
・柄澤 宏之
(公益財団法人新潟県スポーツ協会専務理事)
・北村 光司
(国立研究開発法人産業技術総合研究所人工知能研究センター主任研究員)
・栗山陽一郎
(TMI 総合法律事務所パートナー弁護士)
・小菅 司
(公益財団法人日本スポーツ施設協会専務理事)
・斉木 一明
(独立行政法人日本スポーツ振興センター災害共済給付事業部長)
・下光 輝一
(公益財団法人健康・体力づくり事業財団理事長)
・祐末ひとみ
(神戸親和大学教育学部講師)
・田口 禎則
(一般社団法人日本トップリーグ連携機構理事/事務局長)
・長澤 高史
(公益財団法人スポーツ安全協会事務局次長兼事業部長)
・中嶋 耕平
(国立スポーツ科学センター副所長/スポーツ医学研究部門長)
・能瀬さやか
(国立スポーツ科学センタースポーツ医学研究部門婦人科契約研究員)
・本間 基照
(MS&ADインターリスク総研株式会社/関西大学非常勤講師)
・三上 真二
(公益財団法人日本パラスポーツ協会参事)
・村上 佳司
(桃山学院大学人間教育学部教授)
・山田 陽介
(東北大学大学院医工学研究科スポーツ健康科学分野教授)
総合教育政策局 男女共同参画共生社会学習・安全課
こども家庭庁 成育局安全対策課
消費者庁 消費者安全課
経済産業省 商務情報政策局 商務・サービスグループ参事官室、商務・サービスグループ消費・流通政策課、商務・サービスグループ文化創造産業課、商務・サービスグループ政策課
国土交通省 都市局公園緑地・景観課
運動・スポーツ中の安全確保対策に関する検討会(第2回)
令和7年7月28日(月曜日)
【事務局】
定刻になりましたので、只今より、運動・スポーツ中の安全確保対策に関する検討会の第2回を開催します。皆様、お忙しい中、ご出席いただき、誠にありがとうございます。本日、進行を務める株式会社NTTデータ経営研究所の小暮でございます。よろしくお願いします。本検討会の模様はYouTubeにてライブ配信しています。また、議事録作成のため、会議の様子は録音していることをご了承ください。本日は報道関係者にもご同席いただいております。
開催に当たりご連絡となります。本検討会は対面とZoomによるウェブのハイブリッド形式の会議としております。オンラインでご参加される委員の方はご発言される場合以外は、ミュートにしていただきますようよろしくお願いいたします。本日、対面でのご参加は17名、オンラインでのご参加は6名です。オブザーバーとして、文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課、こども家庭庁成育局安全対策課、消費者庁消費者安全課、経済産業省商務情報政策局商務・サービスグループ参事官室、商務・サービスグループ消費・流通政策課、商務・サービスグループ文化創造産業課、商務・サービスグループ政策課、国土交通省都市局公園緑地・景観課の皆様に、ウェブでご出席いただいております。
開会にあたり資料の確認をいたします。お手元の議事次第をご覧ください。本日議題といたしまして2点であります。まず「運動スポーツ事故の特徴・傾向について」3名の委員の方、日本スポーツ振興センター斉木委員、スポーツ安全協会長澤委員、MS&ADインターリスク総研本間委員にご発表いただきます。次に「運動スポーツの安全確保ガイドライン:策定に向けた基本方針と検討課題」の議論をさせていただきます。資料は1から4までです。
それでは、本日の検討会の流れにつきまして、中村健康スポーツ課長よりご説明をお願いいたします。
【中村健康スポーツ課長】
皆様本日も、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。これからの議論の進め方についてご説明させていただきます。前回は、第1回検討会でしたので、各委員から現状の課題や問題意識をご発言いただき、これから、ガイドライン作成に向けた中身の議論に入っていくという段階です。まず、議論をするにあたって共通認識を持っておきたいため、本日は3名の委員から、運動スポーツに関わる事故の発生状況、特徴はどうなっているのか発表していただいた上で、後半にスポーツ庁事務局から、ガイドライン策定の議論をしていくにあたって、どのような範囲を想定して議論していくか、そして、ガイドラインに、どのような内容を盛り込むべきかについて、皆様からご意見をいただき、基本的な考え方を固めていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
議題1 運動スポーツ事故の特徴・傾向について
【事務局】
ありがとうございました。それでは議題に移ります。議題1といたしまして「運動スポーツ事故の特徴傾向」の共有を行います。今後の運動スポーツ中の安全確保対策を具体的に、そして実効性のあるものとして検討していく上で、不可欠なスポーツ事故に関する客観的なデータ分析結果について、3名の委員にご発表いただきます。限られた時間ですが、各発表は10分。3名の発表後に質疑応答のお時間を設けておりますので、積極的にご質問いただき、また全体討議では皆様からの活発なご意見を賜りたく存じます。事務局にて画面共有を行います。それでは早速ですが、日本スポーツ振興センター災害共済給付事業部長斉木委員お願いいたします。
【斉木委員】
ありがとうございます。日本スポーツ振興センター災害共済給付事業部斉木です。よろしくお願いします。私からは【資料1】「学校等の管理下における運動・スポーツ事故の傾向」についてご説明します。まずは、災害共済給付制度の概要です。「目的」にある様に、学校等の管理下で発生した児童生徒等の災害、これは負傷・疾病・障害・死亡のことを言いますが、この災害に対して災害共済給付を行うというものです。ここで冒頭「学校等の管理下」としていますが、どのような範囲かといいますと、授業を受けている時、運動・部活動など課外指導を受けている時、休憩時間中と下校中、その他学校の寄宿舎にある場合などが学校管理用の範囲としているところです。契約に関しては、我々日本スポーツ振興センターと、学校の設置者との間で災害共済給付契約を締結し、制度の運用をするというところです。給付内容ですが、負傷疾病の治療に要した医療費や、後遺症が残った場合に支給する障害見舞金、死亡見舞金は残念ながら亡くなってしまった場合の死亡の案件に対しての見舞金の支給です。加入対象について、学校種別に記しておりますが、国立公立私立問わず義務教育、小学校から保育所等までが加入ができる状況です。資料については災害共済給付制度の性格を表しているものです。絵にある通り、災害共済給付を国と学校の設置者、保護者が支えている絵になっておりますが、こちらは三者が運営を行うために要する費用経費をこの三者で賄うという、補助共済制度という性格です。右隣に「令和5年度の災害共済給付の実績」を載せておりますが、時間の関係もあるので、こちらの方は後ほどご覧ください。それでは3ページお開きください。昭和42年度から令和5年度までの災害発生件数と障害見舞金・死亡見舞金の給付件数の推移を表した折れ線グラフです。青色の折れ線グラフが災害共済給付を行った中の災害発生件数でして、オレンジ色の折れ線グラフが障害見舞金の給付件数の推移、紫色が死亡見舞金の給付推移となっています。表題の方の上段に2つ矢羽根(➣)がありまして、ここに特徴を記載しております。障害見舞金・死亡見舞金の給付件数というのは、昭和50年代のところをピークとしまして令和5年まで減少傾向が続いているという状況です。災害発生給付の発生件数ですが、青色の折れ線グラフの数値が、126万2280件とございますが、これが平成16年の実績です。この平成16年をピークに令和5年度まで見ていただいている通り、減少傾向にあるという状況です。それでは4ページをお開きください。4ページにつきましては、小学校・中学校・高等学校の災害の傾向を、令和5年度実績で紹介するものです。まず小学校の災害の傾向です。小学校での災害が発生した件数ですが、令和5年度は28万3474件でございまして、小学校の傾向は「■小学校」と記載している以下のところでご説明します。また、上部に青い一覧表がありますが、こちらの方も交えながらのご説明となります。まずは場合別になります。青色の部分の表にもあります通り「主な場合(いつ)」というところで、小学校は休憩時間中の災害が46.6%でほぼ半数が小学校では休憩時間中の災害でございます。次に場所別ですが、こちらは自分の学校の運動場校庭が最も多くて次に体育館での事故、次に教室が多いという状況です。次が体育用具遊具別の災害になり、鉄棒利用による災害が、最も多いという状況になり、次にうんてい・ブランコという順でした。その次は、負傷部位ですが、一番多かったのが、手若しくは手指の負傷で、次に足関節、目・頭でした。次の運動種目別ですが、こちらは内訳になります。ご説明に入る前に抽出条件ですが、学校では各教科を行っていまして、その中の体育であるとか、特別活動の体育的クラブ活動、課外指導の体育的部活動、水泳指導などを抽出しており、ここで申し訳ございませんが1つカテゴリーが漏れておりまして、お手数でございますが、学校行事というところを追記していただければと思います。書類不備がございまして大変申し訳ありません。この学校行事には、競技大会や球技大会なども含まれますので、それらを運動種目別として抽出した結果です。小学校では飛び箱の怪我が一番多く、次にバスケットボール・マット運動、サッカー・フットサルでの発生が多いという状況でした。この種目別の詳細なものにつきましては、資料の右側に種目ごとの跳び箱からのバスケット・マット運動というように一覧表で示したので、こちらの方は後ほどご確認ください。そして、災害が発生している時間帯別です。13時から14時で、10時から11時の時間帯が多く発生しておりまして、次に11時から12時、14時から15時の発生が多いという状況です。それでは5ページをお開きください。中学校の災害の傾向です。災害発生件数は25万1897件の発生でした。「■中学校」というところからご説明させていただきます。まず場合別ですが、課外指導が最も多い状況で、上段の一番青い表の一覧にもあります通り、課外指導中の事故が45.3%で、そのうち体育的活動、これは件数で見ていただければ分かりますが、課外指導全体だと11万4225件に対しまして体育的部活は11万2734件というところです。場所別ですが、自分の学校の体育館、屋内運動場、その次は運動場校庭で多く発生しているという状況です。負傷部位ですが、手若しくは手指が最も多く、その次からは足関節、膝部、足または足指の怪我が多いという状況です。運動種目別こちらは内訳ですが、上段の青い表の運動種目別、括弧区分のところにあります通り、球技による災害というのが多くあり74.8%を占めています。球技に関してはその右隣に、球技の詳細を多い順に一覧表でまとめたので、こちらも後ほどご確認いただければと思います。次いで時間帯別になります。一番多かったのが10時から11時、11時から12時の時間帯の災害の発生が多く、次が16時から17時、17時から18時の間の発生が多い状況でした。6ページをお開きください。高等学校等の災害の傾向です。なお、高等学校等の等には、高等学校に加え、高等専修学校も含まれておりますので、このような表現としております。災害発生件数は20万6651件です。また「■高等学校等」の下からのご説明です。場合別ですが、課外指導が11万3395件となっており、最も多く発生しております。上段のまた青い表を見ていただき、課外指導が54.9%のうち、体育的部活動11万1692件ですので、課外指導の中では、体育的部活動がほとんどの災害という状況です。次に場所別ですが、体育館・屋内運動場、運動場校庭が全体の6割以上を占めているところです。この資料では、数値的なところを省かせていただいきましたが、体育館での事故は約7万4000件。運動場での事故が6万件ですので、合計すると13万件の災害でした。母数となる災害発生件数20万6651件からすると6割以上というのがここの解説です。続きまして負傷部位別ですが、一番多いのは足関節、次が手・手指が多く、2行目に大項目で見ると下肢部の下部が全体の4割を超えて最も多いという記載になっていますが、まずこの負傷部位のカテゴリーです。顔と体幹部と上肢・下肢の4種類に分かれておりますが、その中でも高等学校は、下肢部の負傷というところが4割超えをしているというところです。次に運動種目別です。球技中の怪我が全体の8割以上を占めているということで、こちらも上段の青い表の方を見ていただきたいが、球技で83.3%、件数で13万6654件の災害ですので、ここで8割以上球技が占めているというところです。内訳としてはバスケットボール、サッカー、フットサル、バレーボール、野球の順で多いというのが、高等学校の球技による災害の傾向です。こちらにつきまして、球技の種目別多い順に整理させていただきましたので、後ほどこの表の方をご確認いただければと思います。そして時間帯別です。11時から12時、10時から11時というところの時間帯の災害が多く、次に17時から18時の災害が多かったというところです。それでは7ページお開きください。ここからは、死亡に関する推移・傾向の方をご説明していきたいと思います。この7ページのグラフですけれども、学校の管理下で発生した災害で、死亡見舞金を給付したグラフの推移です。我々の災害共済給付制度ですが、昭和35年から運営しておりまして、その昭和35年からの死亡見舞金の給付件数をグラフ化したものです。こちらは資料中ほど、昭和57年・58年・59年、このあたりから死亡見舞金のピークを迎えましてその後、令和5年まで減少傾向にあるというところで、このグラフは俯瞰して死亡見舞金が昭和50年後半から減っているというところを、ご確認いただければと思います。では、8ページをお開きください。先ほどは死亡見舞金の昭和35年から令和5年までの推移でございましたが、このグラフは平成17年度から令和5年度までの支給した死亡見舞金の中で、突然死のみを抽出したものです。こちらがまず棒グラフの解説ですが、ピンク色と青色と緑色の構成になっております。ピンク色のグラフにつきましては、心不全などの心臓疾患系の突然死です。青いグラフは脳内出血やくも膜下出血などの中枢神経系の突然死、緑色のグラフは大動脈瘤などの大血管系の突然死でございます。ここで注目していただきたいところは、ピンク色のグラフのところです。心臓疾患系の突然死、平成17年につきましては35件でしたけれども、令和5年につきましては7件という状況でして、このグラフからも見える通りで心臓疾患系の突然死が減っているというところがわかるかと思います。我々がこの現象の要因はこういうことなのだろうなというところを推測しているのは、平成18年から一般の方にAEDの操作も可能となり、そのAEDが可能になったことと、学校がそれを取り入れた心肺蘇生法などの講習会研修会などをしっかりやられ、その結果が、お子さんたちの命が救われているのではないかというふうに我々としては推測しているところです。それでは最後のページです。9ページです。こちらは先ほど見ていただいた8ページの突然死のうち、令和元年度から令和5年度までの五カ年の運動起因による、突然死の集計です。おさらいしますと、心臓系と中枢神経系、大血管係のものを、円グラフで示したものです。また、抽出条件につきましては、運動起因性というところは、各教科の体育であるとか。特別活動の体育的クラブ活動、学校行事の競技大会、球技大会、課外指導の体育的部活動、水泳指導というところで、条件抽出した結果です。まず令和元年から5年までのこの突然死、運動起因ではなく、突然死全体として見たら折れ線グラフの下のところに数値を記載しておりますが心臓・心臓系が36件、中枢神経系が31件、大血管系が18件、計85件という集計でした。そのうち円グラフにある通りで心臓系が15件、中枢神経系が8件、大血管系が7件ということで見て分かる通り、心臓疾患系が運動起因性のものについても約50%を占めているという状況です。駆け足ではございましたが、災害共済給付を行う中で、我々の方で集計できるもの、情報をつかんでいるものを、駆け足ではございましたけれども紹介させていただきました。ありがとうございました。
【事務局】
斉木委員ありがとうございました。それでは、スポーツ安全協会事務局次長、長澤委員お願いいたします。
【長澤委員】
スポーツ安全協会の長澤です。本日はこのようなご説明の機会をいただき、ありがとうございます。短い時間ですが、どうぞよろしくお願い致します。私からは【資料2】「スポーツ安全保険におけるスポーツ事故の特徴・傾向」について、主として重度な事故事例としてどのようなものがあるか、それから事故原因についての全体的な傾向に絞った形でご説明をさせていただきます。まずデータに入る前に、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、改めてスポーツ安全保険の概要について、ご説明をさせていただきます。スポーツ安全保険は、今ご説明いただいた、日本スポーツ振興センター様の災害共済給付制度の対象外となる学校管理下外での活動について、アマチュアの団体でのスポーツ活動等における、怪我、賠償責任、そして突然死を補償する保険制度です。令和6年度においては加入団体が約22万、加入者数で言いますと約774万人。年間の事故件数は令和5年度の統計になりますが、約17万5000件発生をしております。この加入している団体というのは、スポーツ活動以外にも、文化芸術活動やボランティア団体や、あるいは学童保育、いろんな団体がございまして、また活動中以外の往復途上なども補償されるものです。本日はスポーツ活動中の傷害と突然死に絞ってご説明をさせていただきます。前振りが長くなりましたが、資料①をご覧ください。小さな字で恐縮でございますが、資料①は令和5年度のスポーツ安全保険の事故について活動種目ごとの傷害、怪我の事故の発生頻度とその怪我のうち、お亡くなりになった場合、あるいは後遺障害が残った件数とその発生頻度、それから突然死の件数と発生頻度をまとめたものです。この発生頻度とあるのは活動種目ごとの事故件数を、その活動種目を活動内容として登録している団体の加入者数で割った数字でして、例えば表の一番下の注釈まで降りていただきますと、小さな字でありますが、10万人当たりの発生件数としております。また上の方に戻っていただいて、例えば一番上のバレーボールですと、加入者数10万人に対して4086件ということですから、全体の発生頻度としては約4%となります。ただし、この事故件数というのは、私ども保険制度のものですから、実際に保険金をお支払いした件数でして、お亡くなりになった、後遺障害とか、そういった重度なものもある一方で、一日目から補償するものですから、病院に一日行ったといったものも、カウントされることになります。全体的に見ると、実は3日以内の通院のみというのが全体の怪我の約3割、5日以内になると4割で、全体の中では軽微な怪我等が多い状況です。それから傷害保険というのは、いわゆる野球肩やテニス肘等、オーバーユースによる慢性障害は保険の対象外になっているので、こういった場合に病院に行った場合もカウントされないということです。この表①の構成ですが、各種目を競技形態、競技特性に分けて分類をしております。大分類・小分類と分けており、小分類というのは特にこれとか、明確な定義があるわけではありませんけれども、皆様にイメージしていただけるよう、競技の特性における共通的な要素でグルーピングを行っております。大分類における怪我全体の発生頻度が高いのは一番上の球技です。それから2つ目の武道・格闘技、それから3番目は一番下になりますが、ウィンタースポーツというような形になっています。球技は皆様ご承知の通り、フィールドやコートの上を走ったり止まったり、ジャンプしたり、瞬発的な動きとかいろんな動きがありますし、何よりもそのコンタクトがあります。競技においてはコンタクトリスクというのがありますので、特にフルコンタクトといったようなスポーツにおいては、怪我のリスクがあの高くなっております。2つ目の武道・格闘技においては、柔道をはじめとする投げ、技の掛け合い等、そのようなことを前提とした種目の発生頻度が高い傾向にあります。ウィンタースポーツについては、陸上と異なって、足元が不安定な中で行うことと、ウィンタースポーツの多くがスピードを競うものというようなことがありますので、リスクが高くなっていると推察しております。次に怪我の結果、お亡くなりになったり、後遺障害を負ったり、重度の事故につながる傾向についてご説明させていただきます。ここでは、資料①の大分類の3つ目に競争・採点の欄がある操縦の分類にある自転車競技、自動車操縦のような、スピードが非常に出る競技、それからアウトドアレジャースポーツにある登山・スカイスポーツ等、そういったところが高いところから滑落・墜落、そういったことでの大きな事故の発生頻度が高くなっております。後遺障害だけをとってみますと、球技の箇所ですが、卓球がございます。卓球については後遺障害の発生頻度が高くなっており、この点については後ほど、また改めて触れさせていただきます。それから表の右側欄が突然死になります。団体活動中に発生した心疾患、呼吸器疾患、脳疾患などによる、突然死の件数と発生を記載しております。全般的に突然死は高齢者層に多く発生をすることから、表においては下の方になりますが、レクリエーションスポーツの部類にあるゲートボール、グラウンドゴルフ等、こういったところでの発生頻度が高くなっています。一方で、身体的な負荷がかかるフィールドスポーツにおいては、若年層でも突然死が発生しております。令和5年度のスポーツ安全保険においてもサッカーで5件、その平均年齢は37歳となっております。10代以降の死亡事例としてはサッカーで2件、野球で1件、陸上で1件というような形になっております。続きまして、死亡事故や重い後遺障害といった重度の事故について、事例を含めて傾向をご説明します。資料②をご覧ください。資料②は令和5年度のスポーツ安全保険の怪我での死亡保険金での支払い事項になっています。資料③は後遺障害保険金のうち、後遺障害割合が34%以上の比較的重度の事案を抽出した表です。この後遺障害割合34%というのは、交通事故等でよく目にするかと思いますが、後遺障害等級表にて重い1級から14級まであるうち、8級以上に相当する割合でして、例えば1眼(片目)の失明や脊柱に運動障害を残すといった、重いような事例でございます。それ以上の割合の事故事例がこちら(資料③)です。資料②に戻り、死亡保険金支払い事故の半数以上は下の真ん中から下の方にあります、スピードがかなり出る自動車操縦や自転車競技、高所での活動を伴う種目となっています。資料③に移っていただき、比較的重い後遺障害の事例で言いますと、死亡事故同様、ハイリスクの活動種目の事故が多い一方、それ以外においては、転倒によって重い後遺障害が起こったというような事例も目立っております。次に資料③の表を見て、年代というところがございますので、見ていただければと思いますが、年代で言いますと、全体的にやはりお年を取られた方の方が、割合が多く、50代以上が全体の6割を占めています。先ほど卓球で後遺障害が多いということでありましたが、卓球の場合高齢者の活動人口も多い一方で、床が滑りやすい等で転倒するというような事例が発生をしております。あるいはソフトボールや卓球の事例にありますが、柵が不適切に設置をされている等、今申し上げた通り、床が濡れていた等、対策を講じることで、防ぐことができたのではないか、というような事例も存在しています。比較的重度の事故の傾向については以上です。では次に、事故の発生原因についてのご説明をさせていただきます。資料④をご覧いただけますでしょうか。事故の発生原因をその発生原因の観点から集計をしたグラフです。「年齢別の事故原因1」というのは、怪我に至った直接的な原因を年代別に分析したものです。10代以下、あるいは10代、ジュニア期においては、他の世代と比較するといろいろな事故原因が満遍なく分散をしておりまして、怪我をする要因というのは、多岐にわたっているというようなことですので、やはり指導者は常にいろいろなところに注意を払うというところが求められていると思われます。60代以降になりますとコンタクトを行うスポーツが少なくなりますので、接触か非接触かということでいうと、非接触の方が多くなるわけですが、足腰の弱りなどが原因で転倒落下などの事故が多くなっています。「年齢別の事故原因2」は、背景としてどのような要因があるか、ということを切り口した集計です。横軸が75%から始まっているため少し見づらいですが、いずれの年代も競技活動に内在する危険が太宗を占めていますが、ジュニア、特に10歳までの幼児児童、あるいは60歳以上においては、その競技活動に内在する危険以外の事故原因の割合が高い傾向にありますので、例えば活動場所の状態、グラウンドや床の施設面、用具の整備、使用方法などにも一層の注意が求められるのではないかと考えています。このような競技活動に内在する危険以外のものについては、改めて気をつけていただければ防げたものも多くなるかと思います。駆け足になりましたが、ご説明は以上となります。本日は時間の関係もありまして切り口を絞った形でのご説明になりました。今後検討が進むについて、改めてデータの検証が必要な局面が出てくる場合に様々な形でデータ提供をさせていただきたいと思います。引き続きよろしくお願いします。
【事務局】
長澤委員ありがとうございました。それでは、MS&ADインターリスク総研株式会社、本間委員お願いいたします。
【本間委員】
MS&ADインターリスク総研株式会社本間と申します。私の方からは、【資料3】「データから見るスポーツ事故の特徴」ということでご説明させていただきたいと思います。当社は様々なスポーツ団体の事故防止のアドバイスをするという立場からデータに基づいて事故防止ということでのご説明をしているということです。スポーツ関係の統計につきましては、次のページをご覧ください。JSC様、スポーツ安全協会様にご説明いただきましたが、基本的にはこの2つのデータしか存在していないと考えております。民間の保険会社ということでもデータは持っているものはありますが、例えばスポーツの種目ごとにはなく、スポーツ全体、保険会社のシェア分のデータしかないということで、正直に申し上げると、この分析では使用に耐えうるものではないということで、基本的にはこの2つのデータを分析して使っているというのが実態ということであります。あくまで本日はユーザー側の立場で、このように分析している、分析して活用しているということで、お聞きいただければと思います。では、「スポーツ安全保険の事故データ」、今ご発表いただきましたが、それの分析ということでご説明させていただきたいと思います。4ページ、5ページに2ページにわたっておるが、こちらは種目ごと、時系列にどういった事故率で推移しているかという分析ということになります。この事故率につきましては、上のタイトルにございます通り、分母が加入の人数、そして分子が保険金の支払い件数ということで、これは事故の程度が大きい・小さい、かかわらずすべてのデータということでありますが、こういったようなものを事故率ということで時系列、を見たものということです。まずは一番下の総合計ご覧いただきたいが、最初は平成19年、直近が令和5年ということですが、この事故率平成19年では1.34、それから平成20年は1.36となっております。直近では令和4年が2.22、令和5年が2.27ということで、残念ながら数字は増加傾向で、減っていない状況であります。さらにはオレンジ色のデータがありますが、令和3年から死亡のデータが取れるようになりまして、死亡事故があった競技をオレンジにつけさせていただいております。例えば4ページですと令和4年に1件ラグビーになる。8位のサッカーでは令和5年に1件ということで、まあ死亡事故したものにつきましてオレンジで書いております。こういった全体の事故率、それから死亡状況、死亡および後遺障害率についても記載しておりますが、今回は後遺障害率のランキング形式にはなっておりません。ただ、こうした総合データから、危険性が高い種目や指導者の注意が必要な種目を抽出し、特にその競技での安全対策を重点的に行うことができると考えます。この4ページですと、ラグビー・サッカー、公式野球・バドミントンの死亡の多い競技。次の5ページご覧いただきたいのですが、先ほどスカイスポーツの事故例というお話もありましたが、令和3年・4年・5年それぞれ死亡が発生しています。また自転車競技、自動車操縦、ソフトテニスというふうに続いていますということで、特にこういった競技につきましての対策を強化するということが、このデータから読み取れるのではないかなと思います。それから6ページが年齢別の事故率のデータで、0歳から19歳のカテゴリーで、ここは事故発生率ではなく、全体の百分率の割合ということであります。10代までの件数が、ほぼ半分近くを占めるという状況が分かるかと思います。一方で、もう1個山が来ておりまして、40歳から49歳も若干ながら数字が多いということで、こちらにつきましては頭と体がついていかないということで、頭では、まだやれると思っても一方で体はついていかず、怪我につながっているという、こういう状況がまあ見て取れるのかと思いますので、40歳~49歳も高いゾーンということで黄色付けさせていただいております。続きまして7ページ、先ほど発表がございましたが、捻挫・骨折、挫傷で、この3つが全体の多くを占めるという状況がわかると思います。これは時系列、令和3年から示しておりますが、この傾向はずっと変わっていないということです。続きまして8ページの、月別の事故の状況ということですが、こちらは4月から11月までにかけてということが、事故の件数が多いということで、年明け以降1・2・3月は比較的に少ない。当然ながら夏休み期間の8月も少ないということで、当然ながらスポーツ活動が多い時期につきましては、事故の件数も多いという状況は統計から見えるのかと思います。これがスポーツ安全協会様のデータということで、これは幅広い年代のスポーツ事項を示しているものということで、一方で、補足ですが学校等の管理下の事故データも合わせて、それは細かいデータ非常に年齢も細かく、事故の形態も細かくありますので、こちらを補足ということで活用させていただいております。次の10ページということで、これは学校種別の事故の割合ということ、これは事故率ということであります。分母が加入者、分子が負傷者数ということで、やはり中学高校は事故率が高いということで、ケアしないといけない年齢層かと思います。また、注目すべきは一番下の合計ということですが、平成26年から事故率を見ておりますが、先ほどのスポーツ安全協会様の発表では1~2%というデータなのですが、これは若干事故率が高くなっております。高くはなっているのですが、平成26年5.9、平成27年が5.9、平成28年が5.8ということから、令和5年、6年は若干その率も低下をしているのかと、これは事故防止というような文化、動きが定着しているのかと思いつつも、一方で、令和2年ぐらいから数字を見ると、4.2、4.8、5.0、ということで、必ずしも直近の5年間では低下している状況ではないということであります。こういったところにつきましてはもっと対策を強化して下げるべきではないのかなと思います。続きまして11ページになるが、スポーツ安全協会様の方では10歳区切りであるが、JSC様の方では細かく学校管理下ということでもありますので、事故件数、1歳ごとにデータを見ることができます。先ほどのデータと同じように、中1中2高1、高2の割合が多いということと、注目すべきは小学校のデータで、小学校1・2・3年に比べると小学校4・5・6年の事故の割合が多いという状況が分かると思います。小学校の低学年につきましては、比較的従順ということもありますので、当然ながら、事故の割合が少ない一方で、小学校4年5年になりますと、従順というよりはなかなか指導者の意見を聞かないというような状況も見受けられますので、事故率が事故の割合件数の割合が徐々に高まって、中学ではどんどん跳ね上がっているという状況は推測されるのかと思います。続きましての12ページにつきましては、先ほどご発表あった通りということなのでご説明は割愛したいと思います。次の13ページにつきましては、これは小学校だけの比率ということですが、この統計のいいところは、小学校、中学校、高校等ということで、すべての学年に応じてのデータがありますということなので、まあ、全部合計してデータを見ることも可能なのですが、今回は小学校だけということでのデータをお示ししております。先ほど骨折、捻挫、挫傷がトップ3と申し上げましたが、こちらは競技種目ごとにデータを見ることができます。これはあくまで小学校ということなので、表の下の柔道はゼロということにはなっています。これは中学校、高校と分析するとそれぞれの対策を見るということが可能かと思います。これが負傷の種類別ということでありまして、次のページをご覧いただきたいのですが、こちらは部位別ということで、どこが怪我しやすいかということで、頭や目等がこのオレンジの方が10%以上の項目ということではあるのですが、左から特に大きい・高いところを見ると、頭、目、歯が高いところと思いますので、こういったところを特にケアすることで、事故の件数というのは減らすことができるのかと思います。以上でユーザー側からのデータ分析ということでご披露させていただきました。ありがとうございます。
【事務局】
本間委員ありがとうございました。改めまして、斉木委員、長澤委員、本間委員、大変貴重な事故情報及び分析結果をご提供いただきまして、誠にありがとうございました。皆様のご発表は今後の議論をする上で大変貴重な示唆に富んでおりました、それではここから質疑応答に移りたいと思います。ご質問のある方は、会場内の参加者は挙手を、オンラインでの参加者は挙手ボタンをお願いいたします。発表内容に関するご質問はもちろん、それぞれのデータから見えてきた共通点や相違点、あるいは今後の対策を考える上でのご意見などをいただきますと幸いでございます。それではご質問がある方はお願いいたします。
【山田委員】
貴重なデータのご発表ありがとうございます。斉木委員と中澤委員にお伺いしたいのですが、保険の給付の対象にスポーツ安全協会の方から例えば野球肩等が入らないというようなお話が冒頭にあったと思うが、例えば野球肩・テニス肘等、シンスプリント、疲労骨折みたいなオーバーユースの症候群、あるいはスポーツの怪我、特に私は熱中症に関して興味をもち研究をしているので、例えば熱中症で高熱が出た等、直接的な因果が認められないものというのは、どうしてもやはり給付対象外になりやすいと思うが、その辺のデータを見るにあたって、どういうものが除外されやすいのかというのをご説明いただけますか。
【斉木委員】
除外されるものというところは、我々の災害共済給付というのは、まず学校の管理下で災害が発生したことに起因して、疾病、特に精神疾患系等そういうものになりますと、医学的所見により、学校で起きた災害と医師により付けられたその疾病の因果関係、つながりがあれば給付の対象になりますし、医師の方で関係なしというところであれば、給付対象外になるというところです。我々は野球肘、テニス肘等そういった疾病につきましても、医師の所見をとることはありますが、事故発生からその傷病の受診までの関連性を見まして、給付の対象にはなっておりますので、ここで全くもって医学的にも関係なしということであれば、対象外になるというところです。
【長澤委員】
ご質問ありがとうございます。先ほどオーバーユースの話をさせていただきましたが、傷害保険というのは、実は3つの要件がございまして、「急激・偶然・外来」と急激に起きた事故で、たまたま起きた故意ではないもの、そして内在的なものではないということです。長期にわたり野球のピッチングの練習をしていいたら、練習が終わった夜に痛くなったというようなものは、その急激・偶然・外来に合致しないので、保険の支払いの対象外になるというようなことでございます。また熱中症についてですが、熱中症になるというのは明らかでございますのでそこで病院に行かれ、熱中症と診断されれば、保険金の支払いの対象になりますので、そこのところに線引きをするといったところは、基本的にはあまりないのかと思っております。
【笠原委員】
貴重な情報ありがとうございました。まず斉木委員にお尋ねしたいですが、私はアスレチックトレーナーという立場で、怪我の予防等をしています。突然死のことで質問になりますが、受傷起点、これが非常に重要な情報になると考えています。学校等の管理下の突然死という箇所で心臓系が15件ということで、情報を毎年チェックしていていますが、マラソン若しくはマラソン以外で走っている際ということが比較的多くあると思います。そのようなことも情報として出すことが、予防に対する1つの情報になると思っています。また、中枢神経系については、先ほど脳等ということで考えると、いわゆる頭頚部外傷が該当するという時に、これは格闘技系、コンタクト系が多いだろうということであれば、そこへ啓発することになるだろうと、大血管系についてはおそらく内臓損傷と、ゴールポストが倒れた事故等が結構あったりします。どの競技でどういうものなのか分かると、対策しやすくなると思います。情報があれば追加されると、よりよくなると思いますが、この点はどうでしょうか。
【斉木委員】
ありがとうございます。今お話がありました、走っている時の突然死、コンタクトスポーツしている時の突然死等、ご意見を伺ったところですが、我々のデータとしましては、情報を持っているか持ってないかというと、情報は持っています。それは、我々が災害共済給付を行う中で、学校から災害発生状況というものをいただいています。また、死亡の場合につきましては、死体検案書もいただくようにしています。そういった総合的な資料を合わせ持って給付をしているのですが、現場への啓発となれば、我々としてはその事故情報、学校からいただいた情報をもって提供することと、あと我々の活動の1つとしまして事故防止調査委員会というものを内部で持っております。10名ほどの有識者で構成されているのですが、我々からどういう情報を発信していくかということに関しては、その災害共済給付で得られた情報をデータ元として、コンタクトスポーツにはこういう怪我の啓発、突然死を防ぐのであれば、例えばこういうフローでそれぞれ対処していくというところは、実際にも資料の方は作成していて、ホームページの方でも掲載しているので、これからもそういった情報で何か分析するということがあれば、情報をもっているので提供させていただいて、対応できると思います。ありがとうございます。
【笠原委員】
ありがとうございます。まさしく私も個別に調べ、依頼された時にこういうふうに詳細を出すと、各学校現場の先生方に関して、非常に興味関心と対策が取れるという話でしたので、共有できるとよろしいのかと思ったところです。ありがとうございます。もう一点、是非、本間委員から情報をいただいた中でお伺いします。私も調べているもので、千葉県で今、取り組んでいるのですが、年代として中学1年生、2年生で、高校1年生、2年生も多いというのは、3年生についてはほぼ夏で引退になるので、競技をやっている時間がそもそも違うということになって、部活加入状況により変わってくるだろうということが、数字で出てくるのではないかというのが一点。また中学校については、今ちょうど総体シーズンだと思いますが、引退すると1月が私立入試で2月が公立入試となると、7か月間運動なしになります。3月に合格発表で4月に急に運動が始まり、5月6月の事故が多いというのも、我々が調べたデータと全く同じです。学校の先生方に聞いてみると、新入生で、入りたての体力の差があると言われて、何が原因かというのは圧倒的に体力が違うと、中学から高校、高校から大学の差というのは、顕著に出てくるのではないかと思いましたので、その辺りも盛り込むと、詳細な意味づけが出せると思いますのでコメントしました。
【本間委員】
コメントありがとうございます。2点ご指摘のところもごもっともだと思います。正直言うともう少し詳細データも欲しいというのがあります。やはり事故件数の割合というわけではなくて、事故率というところで一番見たいというのが、率直なところで、加入分母の加入者数というのは全体しか分からないので、それを年代別に分かると、より詳細な分析ができると思います。特に1つ目の年齢ごとの加入者数と事故件数というのを見るともう少し詳細な対策につながると思います。さらに、2点目のご指摘事項の時期による問題ということですが、スポーツ事故というのは、スキルの面というのもあるかと思いますので、学年が変わったときに、体力面はもちろんのこと、スキル面も事故の大きな原因だと思いますので、そこも今回の対策には盛り込むべきと思います。コメントありがとうございます。
【荻野委員】
脳神経外科の荻野です。確認させてほしいのですが、最初の死亡見舞金の推移はだんだん減少傾向にあり、非常に好ましく聞いていたのだが、これは件数の問題ですから、おそらく日本で劇的に子どもが減り始めたのは昭和50年ぐらいかと思いますので、対象になる年代の子どもが減ったということが、一番大きな要因と考えてよろしいでしょうか。つまり、受傷率、パーセンテージであまり変わっていないということは、これは強調するとかえって誤解を招くかと聞いていて思いましたが、そういう理解でよろしいでしょうか。もちろんAEDの普及もあるとは思います。
【斉木委員】
ありがとうございます。ご説明が少し言葉足らずで申し訳ございません。確かに災害共済給付の加入状況からみると、子どもは減少傾向ですので、子どもの加入が減れば当然事故件数も減ってきますので、そういったところについてはご指摘の通りと思います。ご説明が不足していたと思います。ありがとうございます。
【荻野委員】
死亡見舞金というのはよくメカニズムがわからないのですが、例えば頭の怪我をしました。意識障害でずっと入院していましたが、肺炎で2年後に亡くなった場合、それも最終的にはこの中の数の中に入るのでしょうか。どこまで対象になっているのか教えていただけますか。
【斉木委員】
数字の対象は、もしかしたら今のご質問からずれる部分があるかと思いますけれども、我々の災害共済給付で給付した死亡の案件の積み上げです。それがここで表しているグラフになります。あとはどこまで死亡見舞金の対象とするかというのは、学校から報告された災害の発生状況と、あとは死体検案書等々確認させていただいて、学校による起因による行為行動による起因性のあるものということであれば、給付をしているという給付基準がございますので、それに則って判断しているということです。
【中嶋委員】
データの精度についてですが、質はどのぐらいを担保されているのかということで、例えば受傷起点などは確認した上で、その申告した内容を修正して登録されるようなシステムになっているのでしょうか。例えば、私がレスリングの頚椎損傷を調べた際、事故の内容を読み込むと、レスリングの部活の後にプールに飛び込んで頸椎損傷したというような例がありました。これはレスリングの部類に入るのは仕方ないかと思うのですが、そのように少し取り違うというか、少し質が違うかというところについては、確認作業、修正作業のようなものがなされるシステムがあるのでしょうか。
【斉木委員】
ありがとうございます。今のお話からしますと、我々の統計の取り方はまず運動部活動の種目、部というところでフラグを立てて集計しているものが1つと、あとは実際にどのような運動をしていたかという側面で集計する軸がございます。その精度となりますと学校から報告されてくるデータをそういう視点で、これは運動部活動によるものだけれども、運動種目はこういうものをやっていたっていうところがございますので、運動部に対して何の運動をしていたかというクロス集計は、今現在は手組みで拾わないとできないので、ただ1本軸では実際に行っていた運動種目で拾える、部活動の種目別でも拾えるという状況です。精度では、今の観点からクロス集計で見た場合、部活は何をやっていたが、実際に行っていた運動種目は何というところについては、クロスができてないですが、軸は持っているという状況です。
【中嶋委員】
あくまでもその医師が学校安全協会の診断書に記録した診断名に基づいた集計に修正されるということでよろしいか。
【斉木委員】
はい。提出された書類がそれですので、医師からの証明のものを集計しています。
【村上委員】
日本スポーツ、振興センターのデータには、重大事故をはじめ様々な事故について示されています.事故については発生した際の事故原因・要因が、重要となってきています。我々は事故予防対策の視点から考察するには、「WHY(なぜ)」事故が発生したのかが重要な視点であり,それらを明確にしなければ、対策を講じることができません.そのことからも事故要因を明確にすることが非常に重要だと考えます。そのためには,事故原因・要因に関するデータの収集が不可欠であり,そのデータを多くの方に対して「見える化」を進めることで事故予防,防止に繋がると考えます。次に中学校と高校の災害の発生件数を見ますと、課外活動が45%と各教科で31.3%と示されています。一方で時間帯では10時~11時、11時~12時が最も多い値が示され、ご説明また、月別で見ましても、5月、6月、9月、10月に事故発生数が多いことが伺えます.このことから各教科の事故が最も多いのではないかと推測され,各教科の事故は「体育」の授業が多くを占めていると思われ,その要因から指導の在り方も考えていかなければなりません。これらのことを踏まえますと、課外活動、いわゆる部活動中の事故よりも、各教科、体育の授業中の事故の方が多いように受け取れました.その点の整合性についてお伺いさて頂きます。
【斉木委員】
ありがとうございます。最初のデータの見える化ですけれども、我々が保有している情報は、まず災害共済給付を行うために必要な情報ですので、そのデータを活用して事故防止情報につなげるというその「WHY(なぜ)」の部分は、やはり学校の報告、発生状況の濃淡にもよってきます。我々も内部で有識者を募って調査委員会を開催してデータも提供しているところですが、その辺りは、もう少し詳しい情報、原因がわかる情報が欲しいというところはあります。我々としましても、課題として認識はしているところです。時間帯別、最後のところで、体育で多く見えるのかなというところがありますけれども、確かに時間帯別の平日の10時から11時、11時から12時というところであれば、授業中なのかなと思いますが、今データとして持っていないのは、それが休日の部活動中の午前中にあった部活動等がもしかしたら入っているかもしれないので、その辺は少し掘り下げて調べていかないと、体育の授業が多いということにはっきりと明言できないです。1週間のうちの土日は2日間ですので、そういう観点からすると委員がおっしゃった通り、平日の体育というところはやはりこの数値から見ても多いのだろうというところは私もそうなのだろうと思っているところでございます。ただ、明確に情報が出せないのは、少し歯がゆいところですが、その辺は考慮していただければと思います。ありがとうございます。
【北村委員】
貴重なご報告ありがとうございました。ご発表2番目のスポーツ安全協会の長澤委員にお伺いしたいのですが、先ほど資料の中で1つ、整理の観点と特徴が変わるというので、年代でスポーツの事故の傾向が変わってくるという話をしていただいたかと思いますが、それ以外に、おそらくこの保険制度に入っていられた団体の方たちのスポーツのレベル感、専門的な指導者がいるところから、そうでないところもあり、スポーツの競技レベルが、かなりレベルの高いことをやっているところからレクリエーションに近いところまで様々あると思いますが、それによって事故の傾向は変わるのではないかと考えています。加入者の団体の種別、どういう団体なのかという情報もあるのでしょうか。それで分析するようなことができるのでしょうか。
【長澤委員】
ありがとうございます。おっしゃる通り、様々な団体があります。基本的にはアマチュアですが、大学の体育会のようなトップレベル、あるいはトップレベルに近いようなところもありますし、地域で同好会的にやっているもの、あるいは子どもについても比較的ガチでやっているサッカースクールもありますし、スポーツ少年団、それから本当に遊びでやっているというようなところもありますので、かなりそこはばらつきがございます。それぞれ団体種別、団体区分というものを私どもは設けておりますので、例えば大学である、あるいは社会人の団体、それから子どもの団体といった分類はできますが、そこの分類自体は、正直粗いかなと思っております。一番分かりやすいのは大学の団体で、大学の団体ですと怪我の比率は他の団体に比べると多いというのは事実でございます。これは怪我がどうかというよりは、やっぱりレベル感というものかなというふうにあの思っております。
【田口委員】
今までのご説明を受けてですね。私が所属しております日本トップリーグ連携機構は球技がすべてでございます。今までのご説明を見るとサッカーやバスケットの怪我が多いということはわかるのですが、実際に例えがいいかわかりませんが、車のメーカーごとに事故が多いかと分かって、日本にもたくさんの車メーカーありますが、車の販売数によって事故の確率が変わります。バスケットやサッカーが多いと書いてありますが、小学校・中学校・高校の部活動と、部活動の人数全く把握しないでこれを出されてしまうと、非常にそういうスポーツだけ怪我が多いというふうに見えてしまうのですが、その辺のご意見とかご判断にこういった数字を出す場合に、そういった背景というのは、どのようにお考えになられているのか聞かせていただきたい。
【斉木委員】
ご指摘ありがとうございました。確かにその部活動に何人参加していて、それで怪我が何件多く発生したっていうところからすると、本当に精緻の人数、人数に左右されてしまうので、あくまでも我々が今回提供させていただいたのは、少し誤解も出てきてしまったかと思いますが、その運動種目別で純粋に拾った数字になっていました。ですので、この数字が高いから、例えばバスケットボールが危険だよっていうところを言うつもりはなく、本当に精緻にもし数字を足すとしたら、本来であればその活動している人数に対して、その運動種目が何件あったかっていうところで見るのが、本来のあり方ではないかなというふうに思っております。おっしゃることはごもっともだと思っておりますので、資料に少々配慮が足りず申し訳ございませんでした。
【田口委員】
責めているわけではないのでお気になさらないでいただきたいです。そこら辺の背景を今後のこの会議の中で皆様が把握した上でやっていかないと、一方的な統計の数字としてなってしまうかなということに懸念があったので、ご確認させてもらっただけです。皆様もそこについてご理解いただいているのであれば、問題ございません。ありがとうございました。
【菅原委員】
先ほど斉木委員から事故防止調査委員会というものを作っていると、特に突然死のように亡くなられるという時は、非常に重大な事故ですから、結構そのオープンにするというのは難しいと思うのですが、これは公表したような、なぜそういうことが起きたのかということが分かるものがあるのかということ、特にそれでAEDが普及していったということは非常にいいということをお話しされたところがあるので、それを聞かせていただきたいと思いました。
【斉木委員】
なかなか難しいご質問ではあるのですけれども、まず後者の方のAEDのところにつきましては実際に普及したところが平成18年だったのでそういったところが要因の1つではないかということで推測の域から出ないのですけれども、紹介させていただいたというのが1つでございます。あとは最初の質問の事故防止調査委員会を立ち上げてはいるのですけれども、確かに突然死、お子さんが亡くなるというのは、我々としては重大な災害でございますし、繰り返し発生しているというところもあって、その取り組みとして、世に出しているものとしましては事故防止につながる啓発資料ということで、ハンドブックとしてスポーツ事故防止予防ハンドブックと、実際に目の前でそういうことが発生した時の事故防止対応ハンドブックというものを調査委員会立ち上げて有識者の方のご意見を踏まえた上で作っているところです。我々が世に出している資料としてはあるのですけれども、実際にどういう事故が発生したのかというのは、我々のホームページ上で、障害見舞金と死亡見舞金の事例を平成17年から掲載しておりますので、そこから実際にユーザー様の方が検索して情報をキャッチしていくというところはご用意しております。そういうものがここでもデータが必要だということであれば、そこから我々の方で集計して提供することができると思います。
【菅原委員】
よくわかりました。長澤委員の方も、やはりこういう事故防止についての調査委員会を作られておるのでしょうか。
【長澤委員】
私どもの保険金の支払いは、損害保険会社が行っておりますので、損害保険会社が保険金の支払いに際して、必要な範囲内で調査はいたしますけれども、私どもとしてはまあ取りまとめ機関ということで、そこには直接はタッチしておりません。
議題2 運動・スポーツの安全確保ガイドラインの策定に向けた基本方針と検討課題
【事務局】
ありがとうございました。それでは議題1ここまでとして議題2に移りたいと思います。中村健康スポーツ課長よりご説明をお願いいたします。
【中村健康スポーツ課長】
事故データの分析、それから公表の仕方についてご意見いただきましてありがとうございます。そちらも踏まえて今後検討を進めるにあたっての基本的な考え方でありますとか、議論の範囲、それからこの検討会で何を議論整理していくということについて、事務局から案をお示しさせていただいて、委員の先生方からご意見をいただければと思っております。
お手元の【資料4】をご覧いただければと思います。まず、「1.基本的な考え方」の部分です。3ページ目になりますが、これは第一回に委員の先生方からいただいたご意見も踏まえて、まずガイドラインを示すにあたって、このガイドラインの基本的な考え方として、こういうものを示してはどうかというご提案を4点ほど書かせていただいております。1点目は今年改正されましたスポーツ基本法の中でも、このスポーツによる外傷障害の防止について、環境整備が必要だと規定されたということで、その対策の強化というのが必要な状況になっているというものです。2点目から3・4点目が内容になりますが、まず国民生活においては、前回もご議論がありましたけれども運動・スポーツというのは、子どもの成長を心身の健康を維持し、QOLの確保などの観点から非常に重要な要素だということで、運動・スポーツを実施することは、全ての人にとって意義がある事なのだと、実施しないことのデメリットというものもあるのだと、安全のためにスポーツを実施しないということにならないようにということで、基本的な考え方として書いてはどうかというのが2点目です。3点目として、国際的にもアスリートウェルビーイングが重視されるようになっているということで、運動・スポーツが持つ多様な価値を、すべての実施者が享受するためにも、運動・スポーツにおいて外傷障害、暴力ハラスメント被害に遭うようなことは防ぐべきだと、運動・スポーツに関わるものは、その重要性を皆が認識し、必要な対策を講じるべきなのだという基本的な考え方を示してはどうかということ。4点目としては運動・スポーツにおける安全確保のための対策というのは、国際的な動向を踏まえながら科学的知見に基づいた効果的なものになければならないと、こういうことを基本的な考え方として位置づけてはどうでしょうかというのが、まず基本的な考え方のご説明になります。
続いて、この検討会で議論する運動・スポーツの適用範囲をどういうふうに考えるかということで、5ページ目をご覧いただければと思います。まず、この運動・スポーツの実施者の属性についての範囲ですけれども、これは特定の年齢層など限定を設けずに、性別、国籍障害の有無を問わず、運動・スポーツ実施者となりうるすべての人を対象にすると、そういう考え方でよいでしょうかということ。それから実施者のレベルでも限定をかけるのではなく、トップアスリートから一般人まで対象ということで考えてよいでしょうか、というのが1つ目の実施者の属性の論点になります。
2点目として、運動・スポーツの種類についても特に限定、何かを除外するという考え方は取らないということで、すべての運動・スポーツを対象にしていくという整理でよいかとこういうことでございます。3点目、運動・スポーツの活動の類型ということで、これは大会やイベントなどについても、開催のレベルや規模を問わずに対象にしていく、個人の運動・スポーツ活動に加えまして、例えば保育園幼稚園での運動でありますとか、本日議論出ておりましたが、学校の体育・運動部活動、高校・大学のサークル活動等、スポーツ少年団、市民サークルなども含めた活動、プロリーグ、実業団、各種スポーツ教室など集団的に行われる運動・スポーツは何かを除外していくというよりは基本的にはすべてを包含していくと、そういう整理でよろしいでしょうかということでございます。最後、この範囲で言いますと次の6ページ目になりますけれども、この運動・スポーツが行われる施設としても運動・スポーツを実施するための施設だけではなく、一部に運動・スポーツを行うことを目的として設けられた運動場所、スペース、設備がある施設、例えば商業施設、公園、公民館、学校保育施設なども含めて対象にしていくという考え方です。これらがまず適用範囲についての整理の案です。
次にその7ページ目にこの「2.(2)対象者」ガイドラインを示すにあたっての整理の仕方、切り口ということですけれども、4つに分けられると考え、まず1つは運動・スポーツを実施するご本人に対する対策、それから2つ目として、運動・スポーツ指導者に対する対策、そして、運動・スポーツ大会やイベントを開催する主催者に対する対策、そしてその場所として運動・スポーツ関連施設の設置者・管理者に対する対策という切り口で、ガイドラインの中に、何を盛り込んでいくかという整理をしていくことがあり得るのではないかということです。
続きまして9ページになりますけれども、それではそのガイドラインに何を書いていくのかということです。まず、このガイドラインの目的そのものですけれども、運動・スポーツにおける安全確保のための対策、何をするべきなのかということで、本日、前半でご議論いただきました外傷障害の発生状況、それからその原因などの分析を踏まえまして、運動・スポーツにおける外傷障害を防止するために、先ほどの4つの切り口を踏まえながら、留意すべき事項、それから必要な対策をこのガイドラインの中で示してはどうかということです。その視点として、基本的にはどの競技でどうだという細かい競技別のものではなく、共通して必要な対策をまず示していくということを原則とする。ただ、この検討の中で、特に事故の頻度が高いでありますとか、トリプルHなど重篤な事故が発生しているでありますとか、特定の競技種目にかかる対策を、このガイドラインで示すべきというような方向性が示されたような場合は、そういった個別に留意すべき内容というものも入れていくということを考えてはどうかということでございます。それからもう1つ、共通する対策を示していくということにあたって一定の類型化などができるのであれば、類型化をしながら示していくということもあり得るのではないかということです。それから、先ほど年齢などで限定しないということをご提案させていただきましたけれども、例えば成長期にある児童でありますとか、高齢者でありますとか、障がい者でありますとか、対策にあたって、特に留意が必要な方についての留意事項なども検討の整理をしていくということでどうでしょうかということで、先ほど申し上げましたように、具体的な対策を示す際には、この運動・スポーツの安全確保に関わる実施者自身、指導者、大会などの主催者、施設の設置・管理会社という切り口で整理をして示していくということで、いかがでしょうかということです。
内容の続きになりますけれども、10ページ目の方に行きまして、この外傷障害とは切り口が異なりますが、運動・スポーツ指導者などによる暴力、ハラスメントなどの行為を防止するために必要な対策についても盛り込んでいってはどうかということで、留意点に書いてありますけれども、来年施行されることが見込まれている子ども性暴力防止法の取り組みなどにも留意しながら検討を進めていったらどうでしょうかということです。
2つ目の予防対策に加え、実際にこのスポーツ中の外傷障害が発生した場合の対応についても、ガイドラインに入れ込んではどうでしょうかということで、緊急連絡体制の整備でありますとか、応急対応、医療機関への搬送などの対応方法についても、規定をしてはどうでしょうかということです。ただ、応急措置の具体的な方法を国ガイドラインに記載するということを想定しているのではなく、基本的に必要となる対応について書いていってはどうでしょうか。その場合、保険などについてもどう触れるかについてもご議論いただければと思っております。そして、実際に起きた場合の原因の調査でありますとか、現場における原因の調査でありますとか、再発防止の進め方、それから暴力ハラスメントなどの声が発生した場合の対応方法なども、入れていってはどうでしょうかということでございます。
以上おおまかになりますけれども、このガイドラインの中身として、こういうものを盛り込んではどうでしょうかというご提案です。
最後にここに集まっていただいている団体の皆様も含めまして、11ページ目になりますけれども、国、それらスポーツ統括団体、中央競技団体など、それぞれがどういう役割をこう果たすべきなのかということも、この中で整理をしていければと思っています。ここまでが、ガイドラインの中身になりまして、ガイドラインの検討に加え、この検討会の中で、あと2点ほどご議論をお願いできればなと思っていることがございます。
まず13ページ目になります。これは本日まさに前半でご議論いただきましたけれども、運動・スポーツ中の障害・外傷等のデータについて、どのように把握して分析し、対策につなげていくか、その仕組みについての議論も必要かなと思います。本日、スポーツ安全保険と共済のデータをご紹介いただきましたけれども、必ずしもそれらで全てのスポーツ事故のデータが網羅できていない状況だと思いますので、現在の仕組みで何が把握できていて、何が把握できていないのかということと、この全体の状況を見ながら事故の防止に生かしていくためにはどういう情報を、誰がどういうふうに把握・収集・分析をしていくのが効果的なのかということです。それから、その分析結果を予防対策に生かすためには、どういう仕掛け、仕組みが必要なのか、そういったことについてもこの検討会の中で議論をして、今後の方向性が出していければというふうに思っております。
そして最後になりますけれども、この検討会の議論に基づいて、ガイドラインを策定していくということになりますが、策定しただけで終わってしまわないように、それを現場にどう落としていくのかと、こういうことも非常に大事だというふうに思っております。そのガイドラインに基づく取り組みがどうやって着実に現場で実行に移していくのか、その中には、例えば指導者に対する教育研修をどのようにやっていくのか、それを実際に指導者に徹底させるために、どういうふうに対応していけばいいか、大会やイベントを実施するときに、このガイドラインに基づく対策をどのように浸透させていくのか、それから施設の管理者などにきちんと安全な施設の確保というのはどういうふうに実施していっていただく必要があるのか。実施者という意味で、誰でも当事者になり得るので、広く国民にもどういうふうにこういった考え方を浸透させていくかもこの検討会の中で、後半になると思いますけれども、ご議論いただければというふうに思っております。
本日、事務局からのご提案ということでございますので、委員の皆様からも、いろいろご意見をいただき、今後のご検討の方針を定めていければというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】
ありがとうございました。それでは委員の皆様からご意見をいただきたいと思います。前半と同じく会場でご参加の委員におかれましては、挙手をお願いいたします。オンライン参加の委員におかれましては、画面上のリアクションボタンから、挙手ボタンでお願いをいたします。それではご意見ご質問の委員の方、お願いをいたします。
【勝田委員】
ご説明ありがとうございます。まず基本的な考え方の中で、スポーツが持つ多様な価値、社会的な価値、このところは非常に重要。そのために皆様で危機感を共有しながら議論していくことが大切と思っています。参考までに、国外のスポーツ・インテグリティについての文献のいくつかを見ますと、分類などに関して「人々」、「試合・大会・ゲーム」、「組織」などに柱立てしている事例があります。また「システム」もあります。本日のような集まりも機能・システムのひとつと考えます。こういった機能をどのように皆様で共有していくか大切なことと思いました。また、今後の取り組みのところでもお話がありましたが、「ガイドラインのチェック」、「モニタリング」、あるいは「教育・研修・啓発」といった取り組みや柱立てなども重要と思います。参考まで。ご説明
【笠原委員】
資料の中で適応範囲の運動・スポーツの種類というところの部分になるのですが、スポーツというところで幅広くなると思いますが、レクリエーション分野も含まれるべきなのか、それに含めて余暇活動というところが本当に幅広く、レジャーも含まれてくる可能性も出てくるのではないかというときに、どのように定義をしていくかというのは、とても大事かと思っています。いわゆる継続的なスポーツというところの枠組みで捉えるのか、あるいは一過性のものというものを含めてなのか、そこの分け方をしていくことによって、あるいはeスポーツを継続的にというのであれば、十分含まれる可能性もありますし、その時だけであればそれは対象外になるかもしれませんし、これは幅広くなっているのではないかと1つ感じました。それに合わせて場所というところになってきますが、そうすると今のちょうどこの時期ですが、川・海のレジャーの死亡事故が非常に多いというところで、そこも含めてというふうに捉えていくべきなのかどうかというところも、この場所についての対象範囲かなというふうに思いました。続いてそのいろんなところにもあるのですがJSCの報告にありましたように、そこでは負傷疾病という言葉が使われていまして。ここの資料につきましては、スポーツの外傷障害というふうな言葉でスポーツ安全協会については傷の外と書いてあるものであって、結構名称がバラバラだと私は思っておりまして、そうすると混乱をしがちなのが、我々研究・調査している側もあるというのが現状なので、この機に合わせて、名称を整理すると、1つ国民への周知等も含めてしやすくなるのではないかなというふうに感じております。最後一点なのですけども、示すべき事項③で、本日示していただいた資料を拝見しますと、やはりこれは中学校、高等学校の課題っていうのが明確ではないかと思ったときに、これは高体連・小中体連の関与というものについては、マストとして考えるべきなのではないかなと思っています。そうしますと書いてあるところのどこかに入るかもしれませんが、この実態を鑑みますと、相手も高体連・小中体連というところの役割をどうすべきか、しっかり記載した方がよろしいのかなと思いました。
【中村健康スポーツ課長】
ありがとうございます。範囲については基本的には一過性のものも除外はしないのかなというふうに思っていますが、委員の皆様方のご意見をいただきたいと思っております。それから確かに外傷・障害、いろんな言い方があるのですけれども、スポーツ基本法では外傷・障害という書き方をしているので、この検討会では、そういう言い方を使おうと思っていますが今後混乱を避けるために、どうやってそれを統一化していくのかについては、委員の先生方からご意見賜りたいです。
【荻野委員】
その障害のショウは傷という字でしょうか、差し障りの障でしょうか。
【中村健康スポーツ課長】
スポーツ基本法のショウガイは、障がい者の障になっています。
【荻野委員】
コザト辺の障ということで、それは医学的な話にも合うと思います。要するに長期的な影響によるものが、障がいで、皆様もご経験があると思いますが、現場で嫌がるのは頭、中枢神経系の怪我で、それをなんとかしてくれということです。以前に中村課長に申し上げましたが、役所がまたぐガイドラインという時には、それは法的な効力を持たないそうなのですが、私たちはガイドラインというのは、基本的には裁判にも使えるものと医療従事者はそう思って作るので、その証拠となるエビデンス、レベルも厳格に決めていきたい。これは、非常に高いレベル、これは低いレベルといって、それぞれの文章を書くものですから、ガイドラインと簡単に言うことに非常に抵抗があって、指針ぐらいにしてくれないかと前回の会議の後に中村課長に申し上げました。今、言葉はどうでもよいのですが、適用範囲、もちろん最終的には全部の範囲に広げていいのですが、最初はやはり話の骨子を作るのはある程度、まずこれで作ろうって決めた方がいいと思います。それができたら、若干高めのカレッジ、あるいは高校レベルぐらいで、小中が入ると。室伏長官は教育にスポーツを使うなとおっしゃいますけど、あの本当にそれがかかわってきて、本当に決めにくくなってしまうので、もちろん最終的に肉付けしているのはいいですが、ある程度競技性があるような状況を想定して、まず作り始めた方がスムーズではないかという気がします。範囲ですが、いろんなスポーツ入れるのは良いのですが、それを私たちが全部できるかといえば無理ですから、例えば頭でいったら、たくさん選手がいる試合で頭を打って怪しいと思ったら、交代して別の選手を出したいいですけど、個人種目でそれやったら負けちゃいますので、同じような原則作っても全部で適用されない可能性があります。また、資金がある競技で対応できる競技団体と、発足間もないような団体もあります。プロがいいかといえば、例えば法人格を持っていない競技もあり、安全対策に関する一貫した方針も持ってなく、スポーツ庁・国が競技団体にある程度責任を持たせる方向に持っていかないと、多分何も決まらないのではないかと私は個人的には思っています。それに反対する団体もあると思いますので、うまくコントロールしていかないと難しいのではないかという印象を持って聞いていました。範囲とか、種目もある程度限って、そういうところから話し始めないと、スポーツの障害とか相性とか、いわゆるジェネラルなスポーツをする人たちの周りにいるステークホルダーは具体的にイメージして話を進めたほうが、議論が散らばらない印象を持っています。
【柄澤委員】
新潟県スポーツ協会柄澤です。まず適用範囲なのですが、今ほどご意見がございましたが、まず対象とするスポーツはある程度、初めは制限した方が良いのではないかなというのは、私も同感です。私ども新潟県スポーツ協会としては、基本的にレクリエーションとかレジャーにかかわるスポーツは所管をしておりません。今回ガイドラインをまず作ったとして、レクリエーション、多分そのレジャーをする人に誰がどう伝えるのかというところは、多分伝えられないのかなというふうには思っておりますので、まずはそういった体系的にガイドラインを伝えて守っていただけるようにできるスポーツをいくつかピックアップして、それから始めた方がよろしいのではないかなと思ったところです。また、施設の種類ですが、これも基本的に限定しないというところではありますが、ジョギング・ランニング等をされている方は、普通の道路で走ってらっしゃると思うのですけれども、限定しないとなりますとそういったところも全部入れなければならなくなるのかという感じもします。もし施設を指定するのであれば、管理者がいて、そういったことの管理監督が可能な場所にまずはした方がよろしいのかというふうに思いました。ガイドラインというところを定めて、運動・スポーツの指導者に対して、それを見せるという形になったとき、そのガイドラインのおき場所といいますか、そのガイドラインが規制になるのか、何になるのか、ガイドラインではなくて、もっと緩い形にしてはどうかという話もあったと思うのですけども、まずのガイドラインを出したことによりそれをしなければならない、やらないと、罰則的なものがあるのかないのか、そういったところが多分出てくると思います。そうすると、あの地域のあのスポーツ団体の指導者は、ガイドラインをしっかり守らないと罰を受けるようなことになれば、萎縮してしまって、スポーツの指導に踏み出さないような人も出てくるとも思われますので、そこは考えた方がよろしいのかなと感じたところです。
【室伏スポーツ庁長官】
ありがとうございます。今どこまでの範囲かという話があって、当然そうなのですが、ガイドラインであるとか、どこまで拘束するものがあるか、法的なものとありましたけれども、まず我々はこれまで教育的な機関からその教育、組織に通達するようなことを行っておりますが、あまり国民全体に正しいサイエンスを、今現状の一番正しいことは何かということを伝えられているものはないと考えています。しかも、これだけインターネットが発達していますが、自分で調べてくださいとなってしまってはいけないですので、これだけ多くの委員の先生方に集まっていただき、この会議体がそういう力を今後持っていくといいと思います。やはり、最新の新しいサイエンティフィックな観点で発出していくことが、それを受け取って指導者が指導強化、安全面の配慮もしていけるということで、あまり絞らなくてもいいのではということでした。
ガイドラインの話はまたあるとは思うのですけれども、実はこの正しいサイエンティフィックな情報は、どこを信頼したらいいか、なぜかというと皆様ご存じの通り、それぞれの持ち前のところ以外のところは、できるだけ飛び越えないように縦割りになってしまっているので、皆様が集まって今やっています。このデータのことに関していろいろ質問されて、斉木委員は大変だったと思うのですが、私は全部貴重なデータだと思っています。それは完全なものはないですし、今から完全なものを作ろうということもあるかもしれませんけれど、是非これらトータルでいろいろ考えて、また他のこれパフォーマンスが入っていません。全然違うデータと掛け合わせて見て検証していくことも、まだできるので、おそらく全部が使えるのではないかと思います。そのあたり山田委員がご専門ですので、新しいサイエンティフィックなところの、データの扱いもお聞きしたいと思います。また、予防することだけでやっていくと、やらない方がいいという話が出ることもあるのですが、これはスポーツの現場で怪我をしなければ強化につながるわけで、ウェルビーイングにもつながり、トップアスリートの究極のバスケットの怪我が多いのは、ひざの問題が多くなるのもみんな分かっていることです。でも、それを言わないでというより、どう予防して、それをパフォーマンス回復させたかっていうのは、たくさん素晴らしいデータもあって、それが一般にもまた学校現場でも使われていくようなものもあると思います。共通のものだけ、さらに個別のスポーツで起きるような現象で、スポーツの中でもどういう動きが膝・股関節内転の時に膝が怪我をし、それで外転の強化をするようになって、ずいぶん減ってきているというもあります。それがパフォーマンスや一般の方の健康増進にも使われているっていうところもあるので、こういう観点を、ガイドラインと正しいサイエンティフィックなことを伝えていくというところは大変重要なポイントだと思います。もし山田委員、その辺のデータ、これだけのものをどう使うか、これまで多分皆様議論してもらって、意見をこう集約するって形ですけど、こういうふうにそれぞれのデータを貴重なものを出していただいて、今後どうするかっていうところに立ったところは、大きな成果だったと思います。
【山田委員】
まず今回のデータを2つの組織の方から示していただいたことは、非常に有意義だったと思っております。JSCの学校管理下における給付に関するデータと、スポーツ安全協会がその保険として給付するもの、そもそものデータの性質がまったく異なるということが分かってきたというのがあって、例えばスポーツの給付がこれだけこういう時期にあるということに対して、例えば片方では急性で外来のものに対して保険が支払われるというのが、1つのバックグラウンドにありますし、かたや学校の管理下にあるということで長期的なオーバーユース症候群みたいなものでも保証され、それがデータに上がってくるというような形で、片方のデータには上がってきやすい情報と片方のデータにはまた違う情報として上がってきやすいものがあるということがわかったことによって、こういうデータのそれぞれの見方が非常に大事というふうに思います。また先ほど、田口委員からありましたように、やはり母集団の特性がどれだけあって、それに対してどういう発生が起きているのかということを見ていくという仕組みが、必要だということは、まさにその通りで、そういうようなデータというのが、これだけ出てきたということがまず重要なのですが、逆に中途半端なデータは、場合によっては人を混乱させ、ミスリードする可能性があると考えていて、これらをそのこの会議体の中で、しっかりとエビデンスまで持っていくというのが、まず1つ重要なのかと感じました。その上でそのスポーツをウェルビーイング、あるいはその長期的に継続していただくということをモチベーションとして考えたときに、そのスポーツの外傷及び障害というのはできるだけ避けないといけないと思うのですが、それからひいてはそのスポーツをする人にとって、パフォーマンスの向上にもつながるということだと思います。ではそういうのを予防するために、どういう体づくりをしたらいいのかといったところもまた、同時に、例えば環境づくりもそうですが、初心者が起こりやすい怪我と、逆に強度の高いスポーツをずっと続けている部活動の局面での怪我と体育の授業での怪我っていうのは、だいぶまた違い、また体育の授業で怪我しやすいバックグラウンドがどういうことで、逆に部活動で怪我をしやすい人とか、どういう状況なのかというようなことまで考えていくと、非常にこれからこのスポーツの安全を検討する会っていうのは、有意義だと感じております。その上で、先生方がおっしゃるように、ガイドラインとなると、やはりその特に医療現場、あるいは教育現場でそのガイドラインに従わなかったことによって、一生懸命頑張っている人が罪に処されるというようなことがあるという危険性は十分に考えないといけないと思うので、おっしゃるように、そのガイドラインとして、適切なものが出せるのかどうかというところは、十分に考えないといけないですし、その時にはその議論を区切るということも大事だと思います。例えば今回どうしてもこのデータに出てきていないところで、私が1つ気になったのが、女性の発育発達における運動がもたらすシビアな影響として、摂食障害とか、生理が来なくなるとかっていうことによる発育発達の遅れ、あるいはそれが、今、肥満学会で、若年の痩せのことと栄養のことを定義されてFUSと言っていますけれど、そういうことにも、そのスポーツがつながっていく可能性もあると考えると、その外傷障害だけではなく、場合によってはその精神的なものなのか、身体的なものなのか難しいですけれども、広い意味での疾病もまた大事な要素だと感じており、そういうところを考えると、そのまずは議論を何かに制限せずに議論していくことの重要性もあるので、その1つのものを作るということと同時に、広い議論をするという2つが必要かと思いました。
【祐末委員】
皆様が議論していただいている中で、今議論しているところとは違うかもしれませんが、対象者を書かれていたところがあったかと思いますが、運動・スポーツ実施者と記載の箇所で7ページになるかと思います。これは非常に大きいと思っておりまして、今の議論とも重なるかもしれませんが、ガイドラインを私が現場サイドでキャッチするとこのガイドラインをもとに自分たちをどうするかっていうような、指針的な位置付けの意味合いがあるので、ガイドラインという表現でよいのかと思うのですが、この対象者の区分で括るとあまりにも大きすぎるので、多分今までの議論のようにトップアスリートとか、地域・スポーツレベル、学校等という行レベルでは分類をして、その中で列として今書かれている4つのようなクロスをかけるような対象者の絞り方にして、それぞれのトップレベルであったり、地域・スポーツとか学校とかって、それぞれワーキングで議論するのはこの①から④をそれぞれ議論すると少し幅広くカバーできるのではないかと思いまして、現場でこのガイドラインを使おうとした時に、この4つだけで行くとそれこそトップアスリートのものでは、地域に落としにくかったり、地域のものでは、トップアスリートとか競技者とかは難しかったりするので、それぞれの視点でこの4つが議論できたら、それぞれが使いやすいガイドラインになるのではないかという意見です。
【金岡委員】
スポーツによっていいことと何らかの副作用的なことがあるということを、スポーツ庁としてスポーツを推進する・運動を推進する、そういう働きの中で、それによって何らかのデメリットも起こり得るのという薬の添付文書のような形で周知するというようなことが非常に重要なのではないかと思います。そういう点で言えば、人間の体に何らかの負荷を加えたらこういうことが起こり得るというようなかなりプリンシプルというか、原則のようなものを示しておくことで、細かい枠組みは様々なスポーツ団体やそのコーチたちが、そのあたりでそれに沿って考えてゆけばいいのかというように感じております。ですので、細かくいろいろな事象についてやっているよりは、大原則をスポーツ庁の方で提示して、その原則に沿って、各競技団体なり実施者が考えるような、そのような流れがいいのではないか、と感じております。
【田口委員】
資料の中で成長期の児童という表現を入れていますので、是非、女性の運動実施率を上げるためにも、先ほどもご発言がありましたけれども、女性の抱えている特徴があると思いますので、ガイドラインの中にそのような視点も入れて、スポーツ安全の面からも、女性たちのスポーツ実施すること皆様が注力している、注目しているとことは、是非PRしてもらいたいと思っています。
【本間委員】
3点意見をさせていただければと思います。まず安全確保のための対策ということで、共通する取り組みについて、一定の類型化も検討するというのは賛成です。ただ、こういう事故というのはハード面とソフト面、この2つの掛け合わせで、事故が発生すると思います。ハード面につきましては、老朽化・使用法・配置、様々な要因があります。ソフト面につきましても、例えば競技者のスキル、体調、精神状況、疾病の有無、年齢状況、さらには競技の種別といろんな要因がありますので、原因をしっかりと、本日いろいろなデータもありましたので、原因をしっかりと分析した上で、対策につなげるという原因の明確化、これが一番重要と思います。それから2点目、ガイドラインの位置づけについて、事故は小さな怪我から大きな怪我までいろいろあります。小さな怪我まで対象に含めてしまいますと、競技に萎縮するということも十分起こり得るかなと思いますので、定義を明確化する必要はありますが、大きい怪我に特化すると、例えば死亡後遺症は絶対に起こさない、そういったところで、ガイドラインで対象とするというような位置づけでもいいのかなと思います。それから3つ目ですけれども、事故情報の収集分析ということではあるのですが、例えばですが、航空事故・鉄道事故につきましては、運輸安全委員会等そういったもので重大な事故が起こりましたら原因を徹底究明して、再発防止につなげるということを行っていますので、こういったものをスポーツ版においても仕組みを導入すると、非常に効果的なのかなと思っております。以上3点です。
【下光委員】
今回子ども・学童など、データがよく出されておりますが、対象者は高齢者も入っているということですと、高齢者は疾病を持っている人たちが多いので、疾病を持ちながら運動を行う高齢者に、色々な事故が起きるということがあります。それで、運動前のメディカルチェックや医学的評価ということも必要だろうと思いますので、そのような内容もこのガイドラインの中に入れていただければと思います。なお且つ若者、特にアスリートの中で肥大型心筋症など、亡くなってしまうケースも多いこともありますので、基礎的な疾患を持った人たちに対するメディカルチェック、そういうものがガイドラインに必要かと思っております。これについては、川原委員がご出席だと思いますので、川原委員から何かご意見があれば追加していただければと思います。よろしくお願いします。
【川原委員】
特に追加はございません。重要なご指摘ありがとうございました。
【村上委員】
このガイドラインを検討していく中で「あり方」ですが、「守りなさい」だけではなく、このガイドラインを守ることによって、全ての人が安心安全に楽しくスポーツを行えることができるポジティブなメッセージの発信が重要であり、これまで以上にスポーツの価値が高まればと考えます。この様に「ガイドラインの在り方」を示すことも非常に重要なポイントではないでしょうか。2点目は、様々なデータから事故が発生しているボリュームゾーンがあるとおもいます。そのボリュームゾーンに対して、どのようにアプローチするかを考えていかなければなりません。特に子どもに焦点を当てることが重要であると考えます。少子化で子どもがどんどんどん減ってきています。また、スポーツを行う人口は、全体の50%以下になるのではないかと危惧されています。lこのことから未来を担っていく子どもたちに対して安心安全にスポーツに取り組むことができる環境整備が不可欠です.また,育成年代の子どもの発育発達過程は様々であることから,一概に「子ども」と括るのではなく,個々の成長に合わせた事故防止対策の視点も踏まえたガイドラインを考えていかなければならないと考えます。更にインテグリティの視点に関して、踏まえなければないと考えます。
【栗山委員】
皆様貴重なお話ありがとうございます。またデータを色々ご提供いただきまして大変参考になりました。スポーツ庁にて指針をご策定いただきましてありがとうございます。
まず、皆様からのご説明を伺い、スポーツを実施する中で最も重い結果が死亡ですので、これを回避することもきちんと明記した方がいいと思っています。
次に、先ほどオンラインで委員からお話しがありましたが、スポーツを実施する上で配慮すべき疾病・疾患については、競技団体側から実施してよいのかにつきご相談があるところでして、実際にその協議がコンタクトスポーツであるのか、強度がどの程度かといったことによってその判断は異なると思っております。今回検討しているガイドラインにおいて、明確にルールメーキングするのは難しい面もあろうかと存じますが、疾病・疾患をお持ちの方々の運動管理については、盛り込んだ方がいいのではないかと思っております。
また、関係機関の役割については、今後、運動の部活動の地域展開が進む中で、これに関係する機関も含めて、果すべき役割を検討するのがよいのではないかと思っています。
そして、実際にガイドラインでどのように書くかについては、先ほどお話しがありましたが、資料4の7ページの①~④のように対象者毎に整理いただいた上で、より細かくしていく方向もあろうかと思います。もっとも、例えば、「①運動・スポーツの実施者」と「②運動・スポーツの指導者」にお伝えする内容はそれなりにかぶる部分もあるのかなと思います。一定の重度の結果やそれを導く事象、ごとに分けて整理していくのか、それとも関係者ごとに整理していくのかについて今後さらに検討する必要があると思います。
【菅原委員】
頭部外傷、心肺停止、熱中症という重篤な事故をどう防ぐかということ、本当に重要だと思うのです。先月6月15日に紀尾井町カンファレンスセンターで、日本スポーツ少年団の集まりがありました。以前から事故防止のことを私は話してきていたのですが、現在のスポーツ少年団の指導者たちは、部活動がなくなって地域展開になった時、どうやってスポーツ少年団の役割を果たしていくのだ、というような意見が次々出ました。今まで、部活動・学校が1つのグループで、そこである程度安全が守れた。ところが、地域に出ると子どもたち、これからスポーツを背負っていくのは子どもたちだと私は思っているので、その子どもたちがどう安全に安心してスポーツを続けられるのかということが重要だと思っています。その時に日本スポーツ少年団の発言をよく聞いたのですが、その辺のガイドラインを出していかないと、学校から地域に法的責任がどうなるのかという問題が出てくるのではないか、と思っています。その点が気になったのでお願いします。
【中村健康スポーツ課長】
本日の議論は以上にしたいと思います。いただいたご意見を踏まえ、本日お示しした事務局側からの案も再度を整理させていただいて、今後の議論を進めていきたいと思います。
【室伏スポーツ庁長官】
今、子どもの話もありましたが、皆様から本日いただいたご意見をまとめていきたいと思います。子どものことに関しては、少子化で1人1人を伸ばしていく指導方法が求められます。やみくもにトレーニングをさせて怪我をしてしまうことがないように、大切に扱っていくということで、地域でもそういう形になると思います。いずれにせよ、本日いただいたご意見を縛るというよりは、もう少し議論して、うまく運用できるような形にブラッシュアップする必要があると思います。またご意見、アドバイスをいただければと思います。
【中村健康スポーツ課長】
第2回検討会は、以上で終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。
議題3 その他
【事務局】
本検討会は以上で終了します。なお、第3回の検討会は9月8日(月)10時から開催予定です。追って正式なご連絡をします。第3回検討会もよろしくお願いします。本日の検討会は、お忙しいところご出席いただきありがとうございました。
スポーツ庁健康スポーツ課
TEL:03-5253-4111(内線:2684)