運動・スポーツガイドライン(仮称)策定に向けた有識者会議(平成29年度)(第3回) 議事録

1.日時

平成30年3月20日(火曜日)15時00分 ~16時30分

2.場所

文部科学省13F1~3会議室

3.議題

  1. (1)スポーツガイドライン(仮称)について
  2. (2)その他

4.議事録


【福永座長】  皆さん、こんにちは。時間でございますので、これから運動・スポーツガイドライン(仮称)策定に向けた有識者会議を始めたいと思います。
 撮影の申し入れがあるということでございますが、撮影はここまででよろしいでしょうか。
 それでは、本日、配布されております資料につきまして、事務局から確認をお願いします。
【松崎健康スポーツ課課長補佐】  それでは、配布資料の確認をさせていただきます。
 まず、第3回の議事次第がございます。その次に資料1といたしまして、「スポーツガイドライン(仮称)(案)」と冊子になっているものがございます。次に、資料2といたしまして、ガイドラインの「取組効果を高めるためのポイントについて」という1枚紙がございます。あと、委員の皆様の机上には「名称について」ということで、議論を頂いた中での項目を出させていただいたものがございます。以上でございます。
 もし不足、落丁等ございましたら、お申し付けください。よろしくお願いします。
【福永座長】  よろしいですね。ありがとうございます。
 それでは、議題に入りたいと思います。今日は3時から4時半までを予定しております。よろしくお願いします。前回第2回の御意見を踏まえまして、事務局におきまして資料1のとおり、これは仮称でございますがスポーツガイドライン、その案を作成していただきました。委員の皆様方には、事前にお目通しされていると思いますので、簡単に事務局から全体の説明を頂いた後に、それぞれ御意見を頂きたいと思います。
 それでは、よろしくお願いします。
【安達健康スポーツ課長】  それでは、資料1につきまして、前回いろいろ御意見を頂きまして修正をした点を御説明したいと思います。
 1枚めくっていただきまして、1ページ目です。第1章でございます。三つ目の丸で、スポーツ基本法におけるスポーツの定義が書いてあります。前回の御議論ではスポーツの本来の価値である」、例えばスポーツの喜びや楽しみが書いていないところもございました。四つ目のところに、同じくスポーツ基本法でこの定義の後に書いております「全ての国民がその自発性の下、それぞれの関心、適性等に応じて安心かつ公正な環境の下で日常的にスポーツに親しみ、スポーツを楽しみ、又はスポーツを支える活動に参画することのできる機会が確保されなければならない」とあります。こういったスポーツの価値の部分とそういった機会の提供の必要性を書かせていただいております。
 次、2ページ目の三つ目の丸でございます。日本体育協会並びに日本オリンピック委員会が採択した「スポーツ宣言日本」の記載でございます。こちらも同様に、スポーツの価値の部分が書いてあります。こちらは、前回の案では第2章に記載されていたものですが、先ほどと同趣旨ということで、この第1章の方向性に記載を移させていただいております。
 3ページの第2章でございます。1のスポーツガイドラインの必要性で、一つ目の丸で1章の記載を踏まえて、「スポーツの楽しさ、喜びこそがスポーツ活動の中核であり」と、記載させていただいております。また、そういった中で三つ目の丸に記載をしておりますが、「国民が自発的・主体的にスポーツに親しみ、スポーツの価値を享受する環境を整備する上では、特にスポーツに親しむ機会を企画・提供する者の工夫を引き出し、取組の幅を広げていくことが重要であるが、そのための具体的なアクションや実践例が十分に示されていない」と、ガイドラインの必要性をここで記載をしております。
 2のガイドラインの目的・方向性でございます。ガイドラインの目的が明確に書いていないのではないかという御意見もございましたので、目的を明確に書かせていただきました。一つ目の丸でも、後段に「スポーツ参画者の立場に立って、それぞれの関係者の役割を分かりやすく解説したスポーツガイドライン」との位置付けを記載しております。
 二つ目の丸にもございます。「スポーツ参画への阻害要因に対するアプローチ方策について、具体的なアクションや実践例を交えて広く発信」、そういったものをこのガイドラインの中で目的としていることを記載させていただいています。
 4ページの3、ガイドラインの利用者のところでございます。前回は対象者、利用者と分かりにくいということで、このガイドラインの活用を頂く利用者について書いております。こちら三つ目に「具体的には、ライフステージ等ごとの対象に応じて異なるが、学校、地方公共団体、地域スポーツクラブ、スポーツに関する研究者やスポーツ指導者、スポーツに関わる民間事業者や保険者、マスコミなどが含まれることはもちろんのこと、スポーツを通じた健康づくりに携わる者など、幅広い人、組織、団体などにおいて活用できるものである」と、それぞれの事例に出てきた主体をはじめ、幅広い対象の利用者の方に利用を促すことを記載しております。
 第3章でございます。こちらは実際の事例に基づいた方向性、実践例を記載いたしました。6ページ目でございます。子供世代に対する方向性の丸の二つ目です。「運動への意欲を高める支援・工夫」です。前回こちらは運動への苦手意識を克服と、少しネガティブな書き方をしておりました。こちらは意欲を高めるための支援・工夫と、ポジティブな書き方で同種の取組を促したいと思います。
 同じ6ページの事例の②、アローズジャパン株式会社の事例です。前回こちらは「地域の取組」という表題でしたが、内容に即して「科学的知見に基づく取組」という形に記載を変えさせていただいております。
 9ページ目でございます。高齢者世代のスポーツ参加促進に向けた方策の(2)、求められる方向性の一つ目の丸でございます。健康やスポーツの取組自体を押し付けるのではなく自然とそういう取組になるということで、そういった書き方を2行目の「健康やスポーツの取組自体を無理に促すのではなく、自然と歩いてしまうようなまちづくり」と、そういった形で表現を明確にさせていただいております。
 12ページ、障害者スポーツ参加促進に向けた方策です。こちらも幾つか御意見を頂きました。まず、現状と課題です。二つ目のポツで、「スポーツ非実施者のうち、81.7%が特にスポーツ・レクリエーションに関心がないとする無関心層である」という課題を追加させていただいたことと、その次の「地方公共団体において、障害者スポーツの推進体制はスポーツ部局、障害福祉部局、教育部局に分散していることが多く、その体制が十分でない」といった部分がございましたので、追記をさせていただきました。
 それに対応しまして、求められる方向性の一つ目のマルも新たに追加をさせていただきました。様々な関係者が連携・協力した取組の推進、こういった取組が必要ではないかということでしたので、追記をいたしました。上の課題に対応したものでございまして、事例に基づく形で記載をさせていただいています。
 次は19ページでございます。第3章のⅣ番、取組効果を高めるためのポイントでございます。こちらが唐突に出てきていることと、位置付けが分かりにくいということでした。このポイントの位置づけを記載させていただきました。まず、「具体的な実践例から見えてきた『する』『みる』『ささえる』スポーツ人口拡大に向けた取組の効果を高めるための共通する取組ポイントを、スポーツ参加促進と担い手の持続性の2点から整理」をいたしましたものでございます。
 お手元の資料2を御覧になってください。1枚紙の横のものです。これは、左側に四つの具体的な事例が書いております。右の方が、この取組効果を高めるためのポイントでございます。それぞれの事例から、例えば一つの事例でも多くのポイントと関連しているところがございます。いろいろな事例から出てきたポイントを抽出したものでございます。特に、上のポイント1から4が赤くなっています。これはスポーツ参加促進に向けたポイントです。例えば、関心を喚起したり、誰でも参加しやすい場づくりであったり、参加者の継続性を高める工夫であったり、地域への定着などがございます。青い部分のポイントですが、これは担い手、実施者の持続性に向けたポイントで、現場の創意工夫を促す仕組みづくりをはじめ、こういった5点について載っています。ですから、今回調査しました事例から出てきた取組効果を高めるためのポイントを横串で整理したものという位置付けでございます。大きく二つの視点から分けて分かりやすく整理をさせていただきました。
 22ページを御覧になってください。ポイント7でございます。前回の御議論の中で、スポーツを実施する場所の確保やアクセスのよさが非常に重要なポイントだということでした。事例からもそういう視点もございましたので、ポイント7としまして、「スポーツを実施する身近な場所の確保」を追加をさせていただいております。
 あと、ポイントの8につきましては、前回「産業化の促進」ということで、ビジネス色の強い書き方になっておりました。こちらは担い手にとっての取組を持続可能とする工夫であり、書いてある内容が、受益者負担の意識の醸成、あるいは担い手にとっての企業者マインドをどう持つかという工夫についての事項ですので取組を持続可能とする工夫という書き方に修正をしております。
 あと、23ページの第4章でございます。三つ目の丸、PDCAサイクルによる取組につきましては、前回こういったPDCAサイクルに基づいた効果的、効率的な取組が考えられるといった書き方でした。もう少し取組を促すべきではないかという意見もりましたので、ガイドラインとしてはそういった実施を期待すると記載を変更させていただいております。
 以上が、前回の御議論を踏まえた主な修正点でございます。よろしくお願いします。以上です。
【福永座長】  どうもありがとうございました。
 それでは、それぞれ御意見を頂きたいと思います。まず、第1章、第2章につきまして御意見を頂いて、その後章ごとに3章、4章とやっていきたいと思います。それでは、第1章と第2章、これについてはいかがでしょうか。御意見いただければ有り難いです。
 はい、どうぞ。
【中西委員】  前回も意見させていただきました。事前に資料を頂きましたが、大変申し訳ありません。昨日まで学会で、理事長として学会運営をしないといけなくて、北海道におりました。夜の7時半頃帰ってきまして、事前の連絡ができなかったことを、まずはお詫びとお許しいただければと思います。
 その上で、かなり内容的なところを本日述べさせていただくことも、何か非常に申し訳ないです。読ませていただいて1章、2章は、私にとってはすっと余り落ちない部分がございます。少し長くなるかもしれませんがお許しください。
 これまで「スポーツ振興」と言ってきたところを、スポーツ基本法からは「スポーツ推進」や「スポーツプロモーション」などと、今の時代とともに変わってきています。その意味を私はこう理解しています。スポーツ振興というのは、以前も申し上げましたが、行政側、スポーツを提供する側が「スポーツはこんなにいいから、こんな価値があるからスポーツをしなさい」と、要するに、「健康づくりにも役立つし、医療費の削減にも役立つし、体力も向上するし、だから、スポーツをやりましょう」とやっていく考え方です。
  ところが、現代社会はそうやって人から与えられるスポーツよりも、自分自身が「スポーツというのはこういう価値があって、だから、役に立つからスポーツをやろう」と価値選択の自由の時代です。だから、「スポーツ推進」という意味は、スポーツをしたり、見たり、支えたりする人たちが、価値を決めて自由に行っていこうという考え方であり、行政はそうした環境を支援していこうという意味合いで、スポーツ基本法では「スポーツ推進」という言葉に変わったと私は理解しています。
 しかしながら、スポーツ基本法の定義を見ていただければ、この丸の三つ目です。1ページ目の丸の三つ目の「スポーツは」云々と。この定義は、実は「スポーツ推進」と使っている割には、相変わらず「スポーツ振興」の定義になっているという矛盾に気付いていただきたいです。しかしながら、これは法律なので変えることはできません、というのも前回申し上げました。なので、ここのくだりというのはもう淡々と「こういう価値があってスポーツはいいですよ」と言っていかないといけないと思います。
 それを許容しながら読ませていただいて、2ページ目の下二つの丸が私は非常に気になりました。まず、上の方の「このように」という脈絡があります。スポーツ参画人口を増やすことを目的にするのですかという疑問があり、私はそうではないと思います。例えば、学力向上や体力向上や直接的な目的にしてはいけないとよく言われます。例えば、私たちが小さいときに体力向上を目的に木登りをしたり、かけっこをして自由に遊んでいたかというとそうではないと思います。友達と遊んで体を動かすことが楽しいから、何か夢中になってやっていて、結果的に体力が向上していただけだと私は思っています。
 学力向上も同じだと思います。学力向上をやるためにいろいろなテクニックを教えても、これはたしかに学力は高まるかもしれないけれども、根幹は学ぶことの楽しさを教えない限り、学力は高まらないと私は思います。
 スポーツも同じだと思います。スポーツ参画人口を増やすことは、いろいろな何でもありでできます。「ゆるスポーツをやろう」「健康づくりをやろう」など、テクニックはいっぱい出てくると思います。でも、肝心のスポーツの楽しさを分かっていなかったら、スポーツ人口は実は増えないのです。一時的で終わってしまいます。
 だから、非常に「このように」のところが、スポーツ参画人口を増やすためにこのガイドラインを作るのかと疑問に思います。前回も申し上げましたが、あくまでも国民が自分の日常生活の中に、スポーツを「する」、「みる」、「ささえる」という活動を通して、スポーツの楽しさを日常生活に定着させる豊かなスポーツ生活、スポーツライフを築くためにこういうものを作ると私は信じています。
 そのために、スポーツを「する」ことにどうやって参画していくのかという取組の事例を出す。あるいは、スポーツを「みる」という関わり方を普及するにはこういう事例がある。あるいは、スポーツを「ささえる」ことを普及するには、こういう取組があることを、私は3章以降に書いていくというくだりになった方がよいと感じます。最終的には、そういう豊かなスポーツライフを築く国民が増えてスポーツの価値を知り、結果的にはスポーツ参画人口が間接的に増える。そういうことがこれからの行政には大事なことなのではないかと、勝手に私自身が思っているのかもしれません。そのように私は捉えながら、昨日夜遅くまでこれを何度も読み返して、御意見が言えなかったので、今日言うことを許していただきたいです。
 そのように考えると、どうしても最後のJOCと日本体育協会の定義をここに持ってくるのは、合わないです。要するに、政策が政策、施策、事務・事業という体系で、三層構造で政策は確立されているわけです。要するに、政策は第2期スポーツ基本計画で、施策はその政策を実現するためにどういう手段で、事務・事業は予算と直結しています。このガイドラインは多分一番下の事業のところに当たります。こういう形で展開していこうと考えるわけです。
 そう考えたときに、これをここに入れるのではなくて、本ガイドラインとしては「こういうスポーツの在り方になっていくことを目指すのだ」というその目的、方向性に入れた方がよいと思います。本ガイドラインの目的、方向性など、そういうところにうまく入れられた方が、いいくだりになるのではないかと思いながら、1章、2章に関しては、正直なところとても疑問がいまだに残っています。
 そういうスポーツの本質、価値を国民に伝えることが一番、それがスポーツの楽しさを学ぶことで、そういうことを知った人たちが、自発的に運動やスポーツをやるから参画人口が増えるという考え方の方が、取組事例の出し方とは一致すると感じました。
【福永座長】  ありがとうございます。いかがでしょうか。
【安達健康スポーツ課長】  ありがとうございます。
 前回も御議論いただきまして、スポーツの価値の部分を記載させていただいたことと、もちろん押し付けるものではなくて自発性、自主性も書かせていただいている中で、2ページの「このように」のところは「スポーツをする人」、ここは前提を踏まえた上でストレートに書いています。
 委員がおっしゃったように、スポーツの価値を認識いただいて、自主的に豊かなスポーツライフを享受する、そのような方向で考えてはいますが、「このように」のところは表現がうまくつながらないかもしれません。委員の皆さんのアドバイスがあればよろしくお願いしたいと思います。
【福永座長】  いかがですか。今の中西委員の御意見に対して、御意見はないでしょうか。
【福永座長】  この2ページの最後の丸の体育協会とJOCのものは外した方がいいという御意見も踏まえて、御意見ください。この「スポーツ宣言日本」のこの件はいかがですか。ここにない方がいいということですよね。
【中西委員】  ここに置かない方が、むしろ本ガイドラインの目的や方向性の方にうまく、もう少し文章をいじらないといけませんが、入れる方がガイドラインとしては「こういうようなスポーツの在り方を将来的には考えている」というくだりにした方がよいのではないでしょうか。
 なぜかと申しますと、第1章の見出しが「スポーツ施策の方向性」になっています。これはスポーツ施策の方向性ということは、今の第2期スポーツ基本計画を受けて書くしかないわけです。その基本計画に基づいて施策を作るわけですから、第2期基本計画に書いていないものをここに置くというのは、施策の方向性としては難しいわけです。
 それだったら、ガイドラインとしては「最終的にはそういう第2期スポーツ基本計画の理念を目指すけれども、ガイドラインでは、このJOCと日本体育協会が言っているように、スポーツの自発的な運動の楽しさを基調とする人類共通の文化を普及するためにこのガイドラインを作った」とやっていただいた方が、まだ整合性は取れると思います。もし、この言葉をどうしても入れたいということであればですが。ここに入れると、個人的にはスポーツ施策ではなくなると感じます。
【福永座長】  いかがでしょうか。大事なところですので、少し議論したいのですが、皆さん意見を言ってください。
【後山専門委員】  私としても同意です。多分頭の方で今書かれている基本計画を踏まえるのであれば、確かに最後の丸1個手前までで、国としてのやるべきことを書いていただいて、このガイドラインは「将来的に自発的にスポーツを行う行為を楽しくやっていきましょう」ということであれば、2章などに入れていただくのがいいのではないかとは思います。
【内藤委員】  今2人の委員が言われたように、最初のところの国あるいはスポーツ基本計画の最後に、体育協会とJOCの関係が来るのは少し違和感があります。むしろ、国あるいは基本計画を踏まえてとなりますが、もしも似たような考えを今の流れをプラスアルファでするならば、例えばユネスコの宣言のような「世界のところでもこうだ」ということをここに盛り込む感じの方がまだ格好としてはいいと思います。
【福永座長】  なるほど。ほか、いかがでしょうか。
 私もそういう気がします。ここに置くことはないだろうと。いかがですか。
【安達健康スポーツ課長】  ありがとうございます。
 最後の丸は、実は前回の素案では第2章に記載させていただいたわけです。今回第1章に移したのは、スポーツの価値や自発性のところを共通部分として書いたのですが、今の議論を踏まえて修正をしたいと思います。
【福永座長】  ほか、いかがでしょうか。
 それから、その一つ上の中西委員が言われていたここは、私はそんなに違和感はなかったです。
【中西委員】  説明すると、どうしてもこの「スポーツ参画人口」という言葉が私は気になります。結局量的な指標なわけです。もちろん、財務省向けには量的指標はないと予算獲得はできません。それはよく分かった上で、むしろここの部分は、そういうスポーツを「する」、「みる」、「ささえる」というスポーツとの多様な関わり方を「スポーツ参画ととらえ」と書いた方がいいと思います。そういう「多様なスポーツとの関わり方をスポーツ参画ととらえ、これからはそういうスポーツ参画の重要性をしっかりと認識した上で、そういうスポーツの価値を広めていく」というところでとどめた方がよいように思います。
 「人口」と言ってしまうと今までもそうですが、スポーツ振興時代もそうですし、スポーツ振興基本計画を作ったこともそうです。スポーツ振興基本計画は、「スポーツ人口を増やすために総合型地域スポーツクラブをやります」と書いてあります。「いや、そうではないでしょう」というところがとても疑問にあります。人口を増やすことではないと思います。人間がスポーツと多様な関わり方をすることが豊かな生活を築くのだということが大事です。
 たしかに、行政的には人口を計って何%だからうまくいったので政策評価として評価されるのは、それはスポーツ庁の方でテクニカルにやっていただければいいことです。国民向けに対しては、人口を増やすと言ってしまうのは私はどうなのかと思います。もっとスポーツとの多様な関わり方をスポーツ参画ととらえ、そういうスポーツ参画の意味や役割を十分認識していただいて、スポーツの価値を楽しんでいただくことでとどめておいた方がよいと思います。
【福永座長】  ありがとうございました。分かりました。どうですか。
【安達健康スポーツ課長】  中西委員の趣旨はよく分かりました。実はスポーツ基本計画の中では、まさにスポーツ庁の政策目標としては、例えば2021年までにスポーツ参画人口を65%程度にしよう、あと2,000万人増やそうという目標が重要なものとしてあります。
 ただ、このガイドラインを利用される方は、別に65%などということではなくて、まさにスポーツを楽しみながらという趣旨はよく分かりましたので、このガイドラインをうまく利用していただくための書き方を、今の御指摘も踏まえてこちらも少し検討したいと。
【福永座長】  そうですね。1章、2章で、ほかにございますか。よろしいですか。
 それでは次に行きます。第3章をお願いします。いかがでしょうか。3章の御意見はございませんか。
【中西委員】   この3章の部分も人口の拡大です。なので、もし先ほどの1章のとことろをあそこでとどめるのであれば、ここも「人口」と書かれるよりも、例えば、第3章のタイトルはいいと思います。スポーツへの参画、人間とスポーツの多様な関わり方を促すための方策でいいと思います。ところが、丸が三つあるうちの上二つは人口の拡大になってしまっています。
 もし、第1章、第2章を変えるのであれば、この「スポーツ参画人口の拡大」ではなくて、「スポーツ参画を促す」と書いた方がいいです。丸の二つ目も「特に、『する』スポーツ人口の拡大」よりも「特に、『する』スポーツへの参画に当たっては」など、あとその下に「『する』スポーツ人口の拡大」も、例えば「『する』スポーツ参画の推進」など、「みる」スポーツ参画の推進など、2章、3章がそのように人口を増やすことが目的ではないと。それは間接的な結果だとやんわりと分かっていただけるようにして、あくまでもそういう関わりを増やす取組としてこういう事例を挙げているとしていただいた方がいいと思います。
 そうすると、先ほど第1章にありました最後の日本体育協会とJOCの定義も、第2章の目的・方向性のどこかにうまく、将来的にはこのガイドラインを使うことによって、要するに運動の自発的な楽しみを中核とするそういうスポーツとの関わり方を目指すようにしていくなど、これをうまく使って入れた方がガイドラインの目的や方向性は示せると感じています。なので、「人口」という言葉は避けた方がいいと感じます。それはもうスポーツ政策の中だけで言っておけばいいことではないでしょうか。
【安達健康スポーツ課長】  繰り返しになりますが、私どもは「スポーツ参画人口」を重要な政策目標として掲げております。御指摘を承ります。
【福永座長】  意味は今の中西委員の言われたことで、別に人口のこだわるわけではないですね。では、そちらの方向の修正をするということで。
 ほか第3章、ございますか。
【岡部専門委員】  改めてこのガイドラインを利用する立場の方、「する」「みる」「ささえる」というところで見たときに、一番どこを読み返すかと思ったときに、この19ページ目の取組効果を高めるためのポイント、これがこれから始めてやると、若しくは今やっているけれども何かうまくいかない課題を持っている人にとっては、ここに関してこういうところが大事だと思ってもらえるといいと思います。それに向けて、具体的なアクションプランや実践例がその前のページで表現されているわけで、記載されているわけです。
 今日別紙の資料2の形が出てきて、改めて思ったのが、このポイントが羅列はされているものの、実際に関心の喚起はとても難しくて、どうやっているだろうと。あと持続性に関しても、取組を持続可能にする工夫は、それはそうですが、どのようにやっているだろうかというときに、このように事例でどのポイントがなっているかというマトリックスではないですが、分かりやすくなっているととてもいいと思います。
 これは提案ですが、この24事例のところにそれぞれここポイントが、「こういうポイントにおいて非常にいい事例ですよ」と付け加えることは可能ですか。
 例えばですが、今取組のポイント8はとても難しいと思います。どうしても担い手に負担が行ってしまっているのが現実です。では、それを可能とする工夫と言われてもどうするのか分からないのが一番の問題です。括弧の24事例の中に「この辺りはそういう工夫が込められていますよ」というのも、見てとるのも難しいので、ポイント8と書いてあったりするとこういうことが参考になると。場合によっては、「イオンの日野市の方にお話を聞こうか」、「浦和スポーツクラブの方にお電話してみようか」など、広がりをこのガイドラインをベースに持つといいと思いますが、いかがでしょうか。
【川田健康スポーツ課課長補佐】  机上配布で緑の冊子に、前回の会議資料を付けておりまして、日本総研の資料の中に、ヒアリングでの示唆も書いてあります。こういったものも日本総研のアドバイスも踏まえて、本体にも何らかの形で表示できるようにしたいと思います。
 前回の資料でいくと資料1-1の中に、それぞれ各ヒアリングにおけるコメントが入っております。例えば、今「関心の喚起」ですと、第2回の配布資料の資料1-1の16ページです。
【福永座長】  よろしいですか。
【岡部専門委員】  そうですね。見る方、利用される方が分かりやすく把握できて整理できることが、とてもこのガイドラインにとって重要かと思ったので、うまく反映をしていただければ。お願いします。
【川田健康スポーツ課課長補佐】  ありがとうございました。
【福永座長】  ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、次に行きます。第4章、お願いします。今後の課題です。いかがでしょうか。いいですか。
 それでは、全体をもう一度振り返りまして、御質問、御意見、自由にお願いしたいと思います、どうぞ。
【萩委員】  今後の課題に入るかもしれないですが、このガイドラインがどういう方に読まれて活用されていくのかが一番肝心かと思います。例えば、今後の課題の2番目の丸に、この「ガイドラインについてはスポーツ関係者等や国民に対して啓発する」となっております。恐らくスポーツ関係者というのは、非常にこういうことに興味・関心があって特段問題はないです。
 例えば、学校などでも校長先生が体育の先生だったりすると、一気に進みますが、全くそうでないとなかなか学校開放ひとつも理解していただけないことがあります。これは国の施策なので、何らかの方法で教育委員会やそういった長が集まるようなところでこういうものが報告されたり、利用されたりする戦略も必要かと思っています。学校の施設をどう開放していくかは非常に重要な課題ですが、その辺りの決断、そこでいい、悪いを判断する長の理解が一番重要かと思います。
 あと、それはほかのことも同じで、健康づくりの中で、例えば久野先生が一生懸命頑張ってやっていらっしゃるSWCの話も、結局首長さんが理解してくれている市町村では一気に進むけれども、そこが全てネックになっていると。そういうことであれば、行政の長に何らかのアプローチができる仕組みも何か、この中に課題として入れられるかどうか分かりませんが、そのようなことを感じたので、お願いできればいいと思います。
 以上です。
【福永座長】  ありがとうございます。
 今の点、いかがでしょうか。
【安達健康スポーツ課長】  ありがとうございます。このガイドラインができた後の周知、活用がまさに一番のポイントですので、従来の対象以外もいろいろなところも含めて、いろいろな活用方法も含めて、そこはしっかりやっていきたいと思います。
【福永座長】  ほか、いかがでしょうか。
【日本レクリエーション協会】  「スポーツガイドライン取組効果を高めるポイントについて」という図表についてでございます。スポーツ参加促進に向けたポイントのポイント3、参加者の継続を高める工夫の中に2個入っております。「参加者が主体となった自治の仕組みづくり」とあります。参加者自体が継続していくことを高めるためには、この事例の中にもありますが、スポーツを誰もが一緒に楽しむと。一緒に楽しむことが非常に大事なのではないかと考えております。参加者が主体となった自治の仕組みは、むしろ取組を持続可能とする工夫の方に入れられるのではないかと思いました。
 以上でございます。
【福永座長】  ありがとうございます。いかがでしょう、今の話。
【安達健康スポーツ課長】  いただいた指摘は検討したいと思います。
【福永座長】  ほかにいかがですか。オブザーバーの方も是非御意見をお願いします。
 それでは、もう一つ重要なことがこのタイトルであります。名称をどうするかということですが、お配りしてある机上配布の「スポーツガイドライン(仮称)の名称について」とあります。これを説明していただけますか。
【安達健康スポーツ課長】  前回も最後にこの「ガイドライン(仮称)」の名称ということで御議論を頂きました。今御説明しましたこのガイドラインの中身を表現する、かつ分かりやすいものをということで、各委員からも御意見もいただきました。あと事務局の案も含め、議論のたたき台にと今お配りをしております。
 読み上げさせていただきます。例えば「スポーツアクションガイド~皆が楽しくスポーツに関わる機会を充実するために」、「スポーツへの関わりガイドブック~『する』『みる』『ささえる』スポーツに参加するために」、「スポーツガイドブック~Enjoy Sports, Enjoy Life~」、「スポーツ推進ガイドライン~豊かなスポーツライフの実現を目指して」、「スポーツ嫌いですか? 「する」だけじゃない、「みる」のも「ささえる」のもスポーツです」、「スポーツ便利帳」「エンジョイスポーツ」、「みんなが集まるスポーツの手引」「みんなで楽しむスポーツのきっかけづくり」などがございます。これを一つのきっかけとして、また今まで御議論いただいた中でどういう名称がいいかを御意見を頂ければと思います。
【福永座長】  いかがですか。これ以外にももしお気付きがありましたら、お願いします。とりあえずどれがいいですか。今までの中身の議論をされた上で、それを踏まえてどういうタイトルが分かりやすく、かつ皆さんに理解してもらえるか。自由に御意見をお願いします。
【後山専門委員】  いろいろ議論を伺ったり、これを見ていると「推進」という言葉がいいと思っています。「スポーツ推進ガイドライン」のような言い方はあると思っています。(1)のタグラインにある「スポーツに関わる機会を充実するために」という言葉があります。この「関わる機会を充実」というのも、今回で言うとこのガイドラインにとって必要な要素なのではないかと思っています。基本的にはこの「スポーツ推進ガイドライン」がいいと思いますが、この「機会の充実」という言葉は、どこかに入っているといいのではないかと思いました。
【福永座長】  ありがとうございます。ほかにいかがですか。
【岡部専門委員】  多分分かりやすいのが一番で、次は「Doスポーツ」だけではないという、「する」だけではなく、「みる」「ささえる」という三つの視点がこのガイドラインの大きな一つの特徴だと思います。そうすると「Doスポーツ」に見えない、「エンジョイスポーツ」だけだと「Doスポーツ」に見えてしまうきらいもあります。なので、「スポーツ推進ガイドライン」がいいと思いつつ、サブタイトルには、これまでも中西委員から何回もお言葉に出てくるように「エンジョイ」というものがあった方がいいと思います。サブタイトルでミックスになりますが、スポーツ基本計画の一番ベーシックなところでもある「エンジョイスポーツ」「エンジョイライフ」というミックス型はどうかと思いました。
【福永座長】  ありがとうございます。
【岡部専門委員】  「スポーツ推進ガイドライン~エンジョイスポーツ・エンジョイライフ」と、はい。
【福永座長】  これは「スポーツ推進ガイドライン」に続いて「エンジョイスポーツ」という文で。
【岡部専門委員】  と「エンジョイライフ」……。そうですね。3と4のミックスのように。
【福永座長】  3と4のミックスで。
 はい、ほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ。
【宮地委員】  全体を通して読んでみると、これのターゲットは、最終的には国民にこのメッセージを伝えることが目的だと思いますが、実際にはそのスポーツの場を提供するような方であったり、あるいはスポーツに関わるステークホルダーの方にしっかり読んでいただいて、この趣旨に基づいたサービスを提供していただく。あるいは、取組を提供していただくものになるのではないだろうかと思います。
 ですから、私の厚生労働省の経験で言いますと、「健康づくりのための身体活動基準2013」というホワイトペーパー、白表紙があります。それは大体74ページぐらいで構成されています。その内容は非常に学術的で専門的なので、一般国民が読もうと思っても「読んでみたはいいけれども、難しくて分からないですよね」ということなのです。なので、それを分かりやすく「健康づくりのための身体活動指針」、略称を「アクティブガイド」と言っています。A4表裏1枚のこのような分量のものに落とし込んで、国民向けのメッセージにしています。その中でのメインメッセージが「プラス・テン(+10)」ということで、福永先生にも御協力いただいて作ったものです。
 そう考えると、この白表紙に合った名称を付ける必要があるのではないかと。ということになってくると、余りキャッチーな名前を付けようなどとここで心掛ける必要はないです。本当にここでこれが目指しているものは何だろうかと、少し固めでもいいからここの実情、目的を明確に示すことが重要だろうと思います。
 そういった部分で今、前の委員からの御発言にもあるように「スポーツ推進ガイドライン」というのは一つのいい候補だと思います。先ほどから議論になっていますように、スポーツ参画を促進する、スポーツ参画促進ガイドラインなど、そういう多くの方にスポーツに参画していただくための道しるべになるガイドラインといった意味が伝わるような少し固めの名称をしっかり付けて、それを読むと「ああ、そういう中身が書いてある」と分かるようなものにされてはいかがかと思います。なので、「スポーツ推進ガイドライン」若しくは「スポーツ参画促進ガイドライン」といったような名称かと思いました。
【福永座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがですか。
【内藤委員】  今、宮地委員からあったのですが、本当に元々仮称は「ガイドライン」です。この「ガイドライン」という言葉は重たいので、その重たいところまでを本当に使うか、もしかするとこれが日本の施策として世界に出てきて英訳されていったときは、その「ガイドライン」という言葉で出て行くわけです。日本はこういう「ガイドライン」だと言ったときに、少し重たすぎるという気がします。例えば「スポーツ推進のアクションガイド」など、気持ち重たいところを、荷を降ろした方がいいという感じがします。
 あと、先ほど英語の「Enjoy Sports, Enjoy Life」というサブタイトルといったときに、今回体育協会さんが4月から「スポーツ協会」になるところで、このスポーツ(sports)の「s」を取ってあえて単数のスポーツ(sport)というこだわりのある名称にしています。もしこれを使うのであれば、「s」を入れるのか、入れないのかという議論も、もしもこれでいくのであればした方がいいと思います。
【福永座長】  「スポーツ推進アクションライン」と先生が……。
【内藤委員】  「スポーツ推進アクションガイド」のような、「スポーツ参画推進アクションガイド」、あちこちいろいろな組合せができます。「ガイドライン」というと、少し重いというのが感想です。
【福永座長】  ほかにいかがでしょうか。
【中西委員】  例えば、4番を選んだとしたら、これの英語は多分「Promoting Sport」だと思います。あるいは「Sport Promotion」、でも正確に「推進」イコール「Promotion」ではないですが、余りカタカナばかりやるとどうなのかと思います。漢字を1個入れて、サブタイトルなどは先ほどいわれたように「Enjoy Sport」で「s」を取った方がいいと思います。「s」が入っていると、種目の集まりなので、「s」を取るとスポーツは文化としての構成要素で成り立つ意味なので、「s」は取って正確には「Enjoy Sport」ですね。「Enjoy Sport」「Enjoy Life」のサブタイトルの方がいいと個人的には感じています。
【福永座長】  「スポーツ推進ガイドライン」の「Enjoy Sport」「Enjoy Life」ということですか。
【中西委員】  はい。サブタイトルを英語表記にするのかどうかですね。それとも、カタカナで書くのか。英語表記に「s」を取っていただいて、「Enjoy Sport」と。「スポート」と言った方がいいのかと。「エンジョイライフ」のようなことは、結構スポーツを通じた豊かな生活を送る意味合いも出てくるのかと思います。でも、実際は「Enjoy」よりも「Enrich」の方が、多分「豊かな」という意味ではいいのかもしれないです。
【福永座長】  「スポーツ推進ガイドライン」というのが人気がありますね。あと、その「ガイドライン」にするかどうするか。
【萩委員】  大変印象で申し訳ないですが、最初仮称のスポーツガイドラインとなったときに、やはり「ライン」というので何か基準がしっかりあってという印象をどうしても受けてしまいます。そしたら、もう1回最終的にできあがったものを読んでいくと、これは「ガイドライン」でもいいかと思えるようになりました。そこはこだわりの問題という気はします。「ガイドブック」となると、何となくかなりどーんとくだけてしまった感じもします。「ガイドライン」ぐらいで少し高尚にいった方がいいと思ったりしました。
 英語の表記は、是非スポーツ基本計画の方もそういう英語表記があったりします。これからの時代を考えると、この英語の表記でいくのは一つありではないかと。そのときにはやはり「Sport」だと思います。ということで組合せがいいのではないかと思います。
【福永座長】  「スポーツ推進ガイドライン」ですか。
【萩委員】  はい。
【福永座長】  ほかの意見はありますか。どうぞ。
【後山専門委員】  「ガイドライン」というところですが、普通に「ガイドライン」と聞くと、結構手取り足取り教えてくれそうなイメージがある気もします。そうすると、これはあくまで参考資料の形だったりするので、そうするとたしかにガイドラインというと重いのではないかという気も、お話を伺っていると思いました。なので、もう少しくだけた言い方の方が僕はいいのではないかと今思いました。
【福永座長】  例えば?
【後山専門委員】  「ガイドブック」がたしかに軽かったりもすると思いますが、何か固いというかあれですが、参考資料のような位置付けな感じもします。飽くまでもこれは参考資料で、とても長く言うと「スポーツ参画促進に向けた参考資料」という感じはします。ただし、「参考資料」と書くと軽過ぎて、今度は余り意味のないものになってしまうとも思いますので、この言い方は難しいと思って。「ガイド」で止めてしまうのもあると思いました。「ガイドライン」ではなくて「スポーツ推進ガイド」のようなところで止めるのはどうかと思います。
【福永座長】  なるほど。
【後山専門委員】  とても細かくて恐縮です。
【内藤委員】  あとは、あえて漢字で「スポーツ推進の指針」ですか。
【福永座長】  「ガイドライン」と似た、同じになってしまいますが、でも先ほど宮地委員が言ったように、固く付けるなら何とかの「指針」というのも一つかと。
【後山専門委員】  「指針」だとそんなに全部手取り足取りという感じが出ないのでいいかもしれないです。少し固い感じがしますが。
【福永座長】  いろいろ意見が出ますね。どうですか。
【安達健康スポーツ課長】  大変ありがとうございます。
 事務局でも、「ガイドライン」という言葉については、今、スポーツ庁の中でも「部活動ガイドライン」などがあるように少しルール的なものかと。それに比べて後山委員からもありましたように、参考的なものを提供して促すものだと「ガイドライン」がいいのか、「ガイド」がいいのか。先ほど内藤先生が言われた「アクションガイド」がいいのか。皆さんの意見をできれば集約したいと思います。
【福永座長】  集約できますか。
【安達健康スポーツ課長】  いろいろな御意見が出れば座長にお任せしたいと思います。
【福永座長】  先ほど宮地委員が言われましたが、こういうものができてそこから厚労省一般向けの何でしたか。
【宮地委員】  プラス・テンです。
【福永座長】  プラス・テン、あれはどういうところに配っているのですか。
【宮地委員】  あれも市区町村の担当課や企業にはもう全部配っていますし、PDFは自由にダウンロードして使えるようにしています。例えば、研究者や企業が「資料が使いたい」というときには、自由に版権フリーで使っていただくようにしています。
【福永座長】  そうすると、例えばこのガイドラインができますね。それプラスもっと一般向けのものを作るということですか。
【宮地委員】  一般的には、こういった白表紙でかっちりしたものを作った場合に、これを最終的にはリーチしたい相手は国民なので、国民に対しては「こういうメッセージを持ってこの中身を提供しますよ」とメインのメッセージは「プラス・テンで10分増やすことです」といったような、シンプルな形に落とし込んでやるのが到達し得るゴールだとは思います。
 でも、その前の段階としてこういったしっかりとした事例集であったり、ガイドのようなもの、白表紙は必要だと思います。これがあった上での今のお話なので。この中でも「こうした方がいいですよ」といったタイトルになっているようなものがありますよね。それが恐らくだあっと並んだものを一般的に「ガイドライン」になるのでしょうか。その中でも国民向けには「これを『する』だけではなくて『みる』ことも『ささえる』こともスポーツの楽しみを深める大きな要素です」というのが、恐らくここで言いたいメッセージだと思います。それをどのように分かりやすく言葉にするのかというプロセスが、ここからあるのだろうと思います。
【福永座長】  我々の委員会の目的はこれを作ることですが、その後の展開も考えているわけですか。
【安達健康スポーツ課長】  先ほど第2章のガイドラインの利用者のところで、非常に幅広い利用者を想定しております。まず、こういったところに周知なり働き掛けをして、利用を促していく。あとは、今日いろいろな団体さんにも来ていただいて、オブザーバーの方もいらっしゃいます。いろいろな各主体に活用を促すような働き掛けはしたいと考えています。
【福永座長】  それはそのときはこのガイドラインだけでいくわけですか。
【安達健康スポーツ課長】  このガイドラインと前回参考資料で一つ一つの細かい事例もございます。このガイドラインから更に細かい事例もありますので、うまく体系立てを使っていただくようにしたいと。
【福永座長】  先ほどの宮地委員の言われていた厚労省の場合はそれプラス、そのプラス・テンというもっと簡単な分かりやすいものを作っています。スポーツ庁はそれは別にならないわけですよね。
【安達健康スポーツ課長】  例えば、プラステンでは1日何歩など分かりやすい指標としての10の取組などあります。このガイドでは事例を元にしているものですから、先ほど第3章の取組のポイントだけを示しても唐突かなと思います。今のところは白表紙のこれを使っていただいて、更に取り組む方が詳細なものは参考事例の方に行っていただく流れで考えております。
【福永座長】  もう1回タイトルに戻ります。ほかに何かありますか。
 今は「スポーツ推進」や「スポーツ参画」などの言葉で、「ガイドライン」にするか、「ガイドブック」にするか、「ガイド」で止めるか。それにサブタイトルは「Enjoy sport, Enjoy life」という案が出ているわけです。そこら辺でよろしいですか。もっとほかに御意見ございますか。
 では、このようなところでまとめていただけますか。それで今後としては、少し待ってください。これで大体タイトルの議論が終わりましたので、あとはこの全体の第1章から第4章までの中身を議論させていただいたことと、それからタイトルも含めて事務局で整理していただいて、そして、名称を座長一任にしてもらってよろしいでしょうか。
 では、そういう方向でよろしいですか。
(「はい」の声あり)
【福永座長】  ありがとうございます。
 それでは、これで目的とした会議は達成されたのですが、これまでいろいろ大変な作業をしていただきまして、やっとここまでこぎつけられたと思うわけです。ありがとうございました。それで、これでこの委員会は終わるわけですが、是非各委員の皆様方に感想なり、御意見を最後に一言ずついただいて終わりたいと思います。
 宮地委員からお願いします。
【宮地委員】  医薬基盤・健康・栄養研究所の宮地でございます。このような機会を与えていただきましてありがとうございました。内藤先生を主査とするワーキンググループからこの検討会に参加させていただきました。
 こういったガイドラインを作る作業、様々なやり方があります。厚生労働省のガイドラインが医学的な側面があるものですから、結構アウトカムも生活習慣病の発症を予防する、早世を予防する、寿命を何年延ばすなど、そういった明確な目標があるガイドラインは比較的エビデンスも作りやすいです。
 スポーツ参画という考え方自体が、ここでもとても議論されましたが、非常に広がりを持っていて変化があり、なおかつ多様があるという部分に加えて、本当にどうやったら国民がスポーツを楽しんでくれるのかという学術的なエビデンスの蓄積が余りにも不十分です。我々研究者として十分に貢献できてこられなかったことを、改めてここで痛感をしました。そういったことも私たちが研究するものとしての一つの課題として持っていきたいと考えています。
 以上です。
【岡部専門委員】  28年度、29年度と2年度にわたり参加させていただきました。ありがとうございました。その最中に私個人的に言いますと、ティップネスというスポーツを「ささえる」事業者から、日本テレビという「みる」事業者に異動して、今立場が変わってはいます。
 改めてこのスポーツガイドラインというものが、「する」人はもちろんですが、この「みる」「ささえる」という方たちに一つ何か役に立つものになって、それを是非スポーツ庁の皆さんにお願いしたいのは、このガイドラインを見てアクションをおこした人を評価できる仕組みづくりをしていただいて、それは民間・官を問わず、何かこのガイドラインから起きたことを伺い、一体どういう形でそれが国民の皆様に伝わったかと評価できるようになるといいと思いながら参加させていただきました。
 全然畑違いのところでいろいろ勝手なことばかりお話したかもしれませんが、どうもありがとうございました。
【福永座長】  どうもありがとうございます。
【後山専門委員】  博報堂の後山です。今年度から参加させていただきまして、こういうガイドラインを作る委員会に出席するのは初めてです。本当にこういうものができて、どう使われていくのかが楽しみというか、知りたいと思っています。国も多分こういうガイドライン的なものをいっぱい作っていると思います。なかなか私どもの実生活にこのように生かされているというのが見えなかったりします。是非これは見えるような形でやっていただきたいと思います。ありがとうございました。
【福永座長】  どうもありがとうございます。
【中西委員】  立命館大学の中西と申します。28年度、29年度と委員をさせていただきました。
 28年度は自然科学の方、社会科学は私1人で、正直に言いますと、こうも運動やスポーツのとらえ方が違うのかという壁に、多分宮地委員にも不快な思いをさせたかもしれません。こうも違うのかと思いつつ、また政策、行政の立場からスポーツを見るのもまたこう違うのかという、そういう28年度を送らせていただきました。29年度になって3回目ですが、そういう中でスポーツの価値や運動は、自然科学者であろうが社会科学者であろうが、行政の立場であろうが、共通言語になるような努力をお互いがしていかないと、一方は健康のためにスポーツがあると言い、社会科学者はそうではなくてスポーツは文化だから、いろいろな関わり方があっていいと。そんな医療費の削減なんてどうでもいいといいうような社会科学者の立場とそういうところをうまく融合できるガイドラインがもしかしたらできるのではないかと思いました。
 非常に不愉快な思いもさせたかもしれませんが、楽しい会であり、自分にとっても勉強になりました。本当にありがとうございます。
 それと最後に、言うのを忘れていたので1点だけです。6ページに学校体育施設の有効活用とあります。多分文部科学省の時代に、平成22年から23年に学校体育施設有効活用事例集を作っていると思います。調べていただいたら分かると思います。そこを「参考」と入れた方がより文科省のとき、まだスポーツ庁がないときに作ったものも事例として使っていただける。多分まだホームページは公開されていると思います。それをいうのを忘れていましたので、すいません。最後の御挨拶のところで申し訳ありません。ありがとうございました。
【萩委員】  東海大学の萩です。28年、29年この会議に参画させていただきました。
 私はスポーツ基本計画2期にも参画させていただいたので、この65%の参加する人を増やすのはどのようにやっていくのかという非常に興味津々だったわけです。結果的に、このガイドラインの委員にも選ばれて、具体的にどうしていくのかという施策も考えていかなければいけないことで、緊張した覚えがあります。2年間で本当にできるのかと思いました。作業部会の先生方が一生懸命作られて、最終的に落とし込まれてできあがってよかったと思います。
 ただ思うのは、先ほど宮地委員がおっしゃっていましたが、国民に向けてこういうことをやっていると情報発信できるかが非常に大きいです。多分アクティブガイドも「プラス・テン」という非常にキャッチーな言葉の中で、時間をかけてじわじわと広がっているように思います。
 スポーツ基本計画のときに出てきたのは、スポーツのとらえ方が非常に狭義の意味でのスポーツでとらえている国民が多いので、なかなか家の前で体操したり、ウォーキングをしたりしている人たちは「スポーツをしていますか」と尋ねたら、「していません」になってしまうところもあります。
 是非この機会に、国民に向けて簡単なメッセージ、「スポーツは、実はこういうものですよ」と。「スポーツは実は『する』だけではなくて『みる』楽しさ、『ささえる』楽しさ、こんな楽しさがあります」と。「そういう結果生活が本当に豊かになります」というメッセージを何らかの形で発信していくことも連動してやっていくことで、何かこのガイドラインが本当に生きてくるかと思います。その辺、また今後お考えいただければいいと思います。
 いろいろと大変勉強になりました。私もスポーツ基本計画を作った側でもあるので、スポーツ庁寄りになるところがあります。中西先生のように「そもそもスポーツはね」という部分を引き戻していただいて、「そうだよね、スポーツは本来そうあるべきだよね」と。変な目標を掲げられると、そこばかりが先んじて人口さえ上がればいい、増えればいいとなりがちだけれど、本当はそうではないところをきちんと盛り込むのは大事なことだと、大変勉強になりました。いろいろとありがとうございました。
【内藤委員】  順天堂大学の内藤でございます。このグループにはワーキングの方も含めて2年間参加をさせていただきました。
 これまで文科省あるいはスポーツ庁の関係で、幼児期運動指針を一度関わっていましたものですから、どちらかというとどれくらいの運動、どれくらいをやったらいいかというようなイメージで最初スタートしました。結果的にはもっと広い観点からのガイドライン、指針ができるということで、これまでにないものができたのかと思っております。
 ただ、この今後の課題にも書いてあるPDCAという言葉ですが、このガイドラインそのものにも当てはまることで、作っても結局はこれがどう使われてということを検証していかなければいけません。ガイドラインができましたが、どう活用されて、どのように効果があるのかガイドラインのPDCAがこれからの課題になってくるのかと思っております。その辺も本当は今後の課題のところに、このガイドライン自体も見直すだけではなくて、評価することも必要なのかと思いました。
 あと、先ほど全体のところで言わなかったのですが、用語の説明のところに、これは多分、例だけが示されているのだと思います。「このガイドラインにおける用語の定義は次のとおり」という、「幼児・子供・成人・子育て世代・高齢者」という年齢カテゴリーの説明だけですが、必ずしも「幼児」という言葉は見た感じではこの中に出てこないです。ガイドラインのこの中に出てくる言葉、意外と一般の人からすると難しい言葉も、難しいというよりも耳慣れないと言いますか、言葉があります。そういうものもここの説明のところで幾つか、もう少し深くして加えた方がより広い対象に向けたいいものになるのではないかと思います。最後のそこの部分をお願いしたいと思います。
 以上です。
【福永座長】  どうもありがとうございました。
 長い間いろいろ大変幅広い調査や作業をしていただきまして、本当にありがとうございました。先ほど宮地委員あるいは中西委員が言われたように、結局体育学の従来の日本体育学会があります。これはいろいろな領域が、従来の自然人文社会の領域の人たち、スポーツの専門家たちで構成されている学会です。私はここできちんと議論、体育学会そのものがいかにこれまで長いこと30年ぐらい過ぎていますか、やってきた議論をもっと詰めていくとこういうディスカッションが必要になります。
 去年まで私は鹿屋体育大学の学長をやっていました。体育大学はまさしく三つの領域が一緒になって体育学を構成しているわけです。その間の、先ほど中西委員が言われたように、自然系と人文特に倫理系などはかなり違ったディスカッションになって、エンドレスになっていく可能性があります。しかし、そういう部分をスポーツは秘めています。スポーツとは、言ってみればヒューマンサイエンスです。人間そのものを扱っているわけです。これはどこか一つの方向だけ見てしまうと間違った方向になるので、今回のこの委員会に出席させていただいて、大変そういう意味では参考になりました。
 今後、せっかくこれで作られて世の中に出て行くわけです。是非テレビ局や博報堂さんで、いかにこれを世の中にアピールしていくかというアイデアをたくさん出していただいて、世の中に出ていかないことにはこれはもう僕らの研究と同じで、余り意味がないわけです。社会にいかに役立つかという意味では、これからのそれこそ「スポーツ庁ここにあり」というような感じのステイトメントとして幅広く出せるようにしていただければ有り難いと思います。
【藤江スポーツ庁審議官】  本日は最後の会議ということで、お礼の御挨拶をさせていただきたいと思います。本当に委員の皆様方には福永座長をはじめ、2年間にわたり大変お忙しい中、スポーツへの多様な関わり方ということにつきまして、それぞれの立場から非常に貴重な御意見、あるいは具体的な事例もいただきまして、更にはいろいろな作業をしていただいたということで本当に心から感謝申し上げます。
 本日も本当に本質的なところを含めて御議論いただきました。まだまだ修正が必要な部分がございますが、それにつきましては座長とも御相談させていただいて、御意見を踏まえた形でしっかりとまとめさせていただきたいと思います。
 また、命名というのも非常に難しいものでございます。活発な御議論を頂きましたので、うっすらと名前が見えてきた状況でございます。そちらもきちんと中身にふさわしい名前を付けていきたいと思っております。
 そして、今後の周知ということで最後にも非常に多くの御意見を頂きましたが、地方公共団体、関係団体と幅広い関係者にしっかりと周知してその取組を一層促進していきたいと考えております。
 更に、これで一旦まとまって終わりということではなくて、引き続き好事例の収集も行いながら、必要に応じて見直し、更新を図ることとしております。これについても関係者等にしっかり周知もいたしますし、先生方にもまたいろいろ御意見等いただければと思っております。
 それから、これも御議論ありましたが、私ども65%にするという命題を負っておりましてそういう非常に大きな課題であるわけでございます。そのために、スポーツ庁ではスポーツ審議会の下に「健康スポーツ部会」を立ち上げました、御指摘のように、スポーツの楽しさを享受し、多様な関わりの中でスポーツ実施率の向上をどうしていくかという方策の議論も進めているところでございます。この部会にも今回のガイドラインにつきまして報告を行い、御意見もいただきましたが、国民への働き掛けといった点も含めまして、その議論に生かしていきたいと思っております。
 本日これで最後でございます。今後もこの国民がスポーツに親しむ機会の確保、充実ということに向けまして、引き続き周知の面、あるいは活用の面、そして更新、あるいは御意見いただきました評価をどうしていくかも含めまして、引き続きいろいろな御意見を頂きたいと思っておりまして、お世話になるかと思いますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。本当にありがとうございました。
【福永座長】  では、終わります。

―― 了 ――

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-- 登録:平成30年04月 --