平成28年2月2日(火曜日) 16時00分~18時00分
文部科学省 3階 3F2特別会議室
(東京都千代田区霞が関3-2-2)
間野委員、斎藤委員、髙橋委員、田中委員、次原委員、中野委員、橋本委員、長谷部委員、土方委員、松崎委員、三沢委員、山本委員 ※欠席:ジム・スモール委員
(各委員の主な意見)
【スポーツ産業全般について】
○GDP600兆円を達成するためにはスポーツだけで30兆円程度の市場を作り出す必要がある。これは、欧米の状況を考えれば十分可能で、欧米も2~30年前のスポーツ産業規模はたいしたものではなかったが、今では官民の努力で強大な成長産業となっている。アジアでも中国やシンガポールが国策としてスポーツの産業化を進めている。よって、この未来開拓会議では「産業化」の一点で議論し、成果を出すべき。
○スポーツビジネスが拡大し富を生み出せば、その富を経済のあらゆる分野に再配分することができる。カスタマーファーストで収益を上げることが大事で、それが好循環して健康や教育におけるスポーツの価値も最大化され、アスリートのセカンドキャリアや障害者スポーツにも恩恵がある。こういったモデルは欧米では沢山の成功事例があるので、徹底的に研究して、日本でも同じ改革をするべき。欧米に出来て、日本に出来ない訳がない。
○スポーツ人口の減少はビジネスの面でも大きな問題。スポーツに親しみやすい社会を作るために、関係者がより一層連携し、様々な面で仕組みづくりや応援をしていきたい。
【スポーツ施設全般について】
○スポーツ産業の改革の本丸はスタジアムやアリーナ改革。総花的にやらず、ここに絞って一点突破する気概で議論をすべき。
○未だに日本のIRはカジノを中心とした街づくりの話で、バグジーがラスベガスを作った70年前の古い発想で議論されている。最近の米国では、複合商業都市をつくる場合にはカジノよりも収益力が大きいスポーツ施設を核としたまちづくりが行われているのが実状。対し、日本では新国立競技場問題の様に、青山という最高の立地に確実に赤字になる大失策を止められない状況。ジャイアンツスタジアムを青山につくった時の経済効果を考えたら、悲しくなる。スポーツが巨大産業になると理解されていない。
【スポーツ施設における官民の役割について】
○行政側が単独でスポーツ施設等を作ることには限界がある。民間事業者の力を借りて進めていくべき。
○官と民では役割が違う。米国では過去20年くらいでMLBとNFLの全スタジアムの8割以上が新築もしくは大幅改修されている。自治体が100%出すものから、民間が100%出すもの、合同で出すものなど色々なケースがあるが、平均で65%を公的機関が投資している。ただし、運用などは民間のノウハウがきっちり反映されている。官民できっちり役割分担をして、スポーツ産業化という目標を達成すべき。
○「スマート・ベニュー」という考え方は、街なかにおいて、スポーツ施設を中核にして街の活性化や魅力ある都市空間整備を行い、スポーツ施設を活用したスポーツ産業の振興やコミュニティの再生に貢献するというもの。
○従来、スポーツ施設は単機能で、行政が主導し、郊外に立地し、収益も低いというイメージであったものを、多機能で、民間が担い、街なかに立地し、収益性も高められた、周辺のエリアマネジメントとも連携性があるような施設としてもう一度捉え直すべき。
○自治体と民間が組むことで、行政がもっている施設を魅力的なものにしてそこに観る人も来るというサイクルをつくる必要がある。
【規制緩和について】
○現代の状況に合わない規制になっている法令があるのであれば、検証が必要ではないか。
【新事業創出について】
○スポーツビジネスを伸ばすためには、他産業との融合の中で新しい市場をつくっていくというアプローチが有効。
○観光ではスポーツツーリズム、その他にも、医療、ヘルスケア、食、ITなどとスポーツを融合したような新しいスポーツビジネスを目指す動きがある。施設ではハード、ソフト、あるいはマネジメントを一体にしたような新しいサービスを目指す動きが出ている。このような動きを捉え、スポーツビジネスのイノベーションにつなげていくことが必要。
○良い取組であっても市場などから評価をされないと、企業経営としてはなかなか一歩踏み込めないという問題があったときに、1つのインセンティブとして企業の非財務的な価値を評価するような仕掛けが必要。民間だからリスクをとるべきだといっていてもなかなか進まない。いろいろな企業の連携や公民がリスクをうまく分担する中で、リターンも含めてそれをいろいろシェアして踏み込んでいくような新しい枠組みを考えるべき。
【人材について】
○我が国のスポーツ産業の現状は、スポーツを売る、スポーツをサービスとして提供する側の人間のアイデア不足と、スポーツに対して商品を買い、お金を払う側の思いの不一致がビジネス拡大の障害となっており、この解決のためには、スポーツマネジメント人材の育成が必須。
○未来のオリンピアンを出すことはとても大切だが、過去のオリンピアンも日本の財産。オリンピアンをリスペクトし、社会としてフルに活用するというのもこれからの我々の1つの大切な役目。
○アスリートに対しては、スポーツ界の発展のためにボランティアで協力させている現状から、活動に対して適切な対価を払う意識を醸成していくことも必要。
○トップアスリートがなかなか就職できない現状について、改善に向けた取り組みを進めていきたい。
○アスリートが自身のキャリアプランを考える上でビジネスを絶対にやってはいけないという固定観念を変えていかなければならない。
○2,000万人近くのインバウンドの訪日観光客とスポーツ産業を結びつけるために、スポーツボランティアのジャパンモデルをつくって、国内の活性化と海外輸出ということを考えてみたい。
【健康・障害者スポーツについて】
○企業が運動習慣の義務づけ等に取り組んだ時に社会としてきちんと企業の評価に値するような仕組みをつくることが必要。
○東京パラリンピックは、福祉に対する考え方、支援の対象から尊敬の対象へと大きく変わるチャンス。
○障害者スポーツは、ビジネスセクターに広げていくことが現状出来ていない。多くの方々の支援を受けとめ、2020年以降につなげていくためには、競技団体や競技団体に関わる部分に対しての事業化や企業化の支援、経営者人材の育成が必要。
スポーツ庁参事官(民間スポーツ担当)
-- 登録:平成28年03月 --