アスリートへのSNS等での誹謗中傷について(長官メッセージ)

令和4年1月28日

スポーツ庁長官 室伏広治  

 まもなく北京冬季オリンピック・パラリンピック競技大会が始まります。大会の開催を前に、皆様にお願いがあります。

 昨夏の東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、残念ながら一部会場を除いて無観客開催となりましたが、そうした中でも国民の皆様からの応援が選手にも届き、選手の大きな力になったと考えています。一方で、SNS等により、アスリートに対して心ない言葉が浴びせられるといった事案が多く報道され、誹謗中傷の問題が浮き彫りになったことも事実です。
 もとより他人を誹謗中傷する行為は、いかなる理由があっても許されないことであり、真摯にプレーしているアスリートをおとしめる言動は、決して正当化される行為ではありません。
 アスリートも一人の人間です。一部の方による心ない書き込みや投稿が、アスリートの心を深く傷つけることにつながります。悪意をもった言葉だけでなく、何気ない言葉が相手を深く傷つけてしまうこともあります。
 アスリートの尊厳を傷つける言葉、性別や国籍・人種等に関する差別的な言葉、根拠のない憶測をもとにアスリートを非難する言葉、アスリートの写真や動画を使用した性的な言葉や画像等について、書き込み・投稿しないようお願いします。
 こうした誹謗中傷等は、自身が発するものはもちろん、他人の書き込み・投稿を拡散することも、民事上・刑事上の責任を問われる可能性があります。書き込み・投稿が、他人を傷つける結果につながることのないよう、十分にご留意ください。
 国民の皆様におかれては、ぜひアスリートへの温かい応援をいただきますよう、なにとぞよろしくお願いいたします。
(参考)【特集】SNS等の誹謗中傷 | 安心・安全なインターネット利用ガイド(総務省)
  https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/special/sns/ 
 
 北京でプレーされるアスリートの皆さん。感染症の影響で様々な制限や困難もあった中で、不安を抱えながらも大会を目指してトレーニングを重ねてこられたと思います。日頃の鍛錬の成果を存分に発揮され、一人ひとりが納得できるプレーをされることを期待しています。
 国民の皆様に応援していただけるよう、SNS等の利用に当たっては、皆さん自身もマナーを守り、多くのファンを悲しませることがないよう発信に十分に配慮してください。もしご自身が心ない言葉を向けられた場合には、一人で抱え込まず、相談してください。
 また、ハイパフォーマンススポーツセンター(HPSC)においては、普段からアスリートやコーチ等の心理サポートを実施していますが、この北京大会期間中も現地での対応を含め、心理面でのサポートを、対面だけでなく、電話やインターネットなど様々な形で提供しますので、皆様も遠慮なくご活用ください。
 また、国際オリンピック委員会(IOC)・国際パラリンピック委員会(IPC)では、北京冬季オリンピック・パラリンピック競技大会に参加する全てのアスリートやそのご家族、指導者等を対象とした24時間のメンタルヘルス支援を提供するヘルプラインを設置しており、日本語でサポートを受けることが可能です。
 これらの心理サポートは、誹謗中傷等に限らず、大きな大会に向けてのプレッシャーやストレス、不安への対処など、幅広く心理面での支援を行っています。これまでこうしたサポートを利用したことがない選手も、ぜひ気軽に利用してください。
 全てのアスリートが安心して競技に打ち込み、力を発揮できるよう、スポーツ庁としても、引き続き支援に努めてまいります。

(スポーツ庁競技スポーツ課)