日本ユネスコ国内委員会

持続可能な開発のための教育(ESD:Education for Sustainable Development)

【経緯】 

  •  2002年に開催された「持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグサミット)」の実施計画の議論の中で、我が国は、「持続可能な開発のための教育(ESD)の10年」を提案し、各国の政府や国際機関の賛同を得て、実施計画に盛り込まれることとなりました。

  •  このことを踏まえ、我が国は、2002年の第57回国連総会に、2005年からの10年間を「ESDの10年」とする決議案を提出し、満場一致で採択されました。この国連決議では、「ESDの10年」の推進機関としてユネスコが指名されています。そこで、ユネスコは、2005年9月に国際実施計画を策定しました。なお、国際実施計画策定に際し、日本ユネスコ国内委員会はユネスコ事務局長に対し、国際実施計画に盛り込むべき事項やユネスコの活動に関する提言を行っています。

  •  他方、我が国では、「ESDの10年」関係省庁連絡会議が内閣に設置されました。同連絡会議は、2006年3月に、国内実施計画を策定しました(2011年6月に改訂)。
    http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokuren/keikaku.pdf(PDFファイル)(※内閣官房ホームページへリンク)

  •  「ESDの10年」の国際的取組を促進する観点から、ユネスコ事務局長に対し更なる推進に向けた提言を行ったほか、2007年10月の第34回ユネスコ総会において、我が国がドイツとともに、ESDの更なる推進のための決議案を提出し、採択されています。

  •  2009年10月の第35回ユネスコ総会において、「国連ESDの10年」の最終年である2014年に日本政府とユネスコの共催で、「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議」を日本で開催することが決議されました。このことを受けて、2014年11月に愛知県・名古屋市と岡山市で同世界会議が開催される予定です。  

※ これまで、文部科学省においては、ESDを「持続可能な発展のための教育」と訳し、略称として「持続発展教育」を用いておりましたが、2014年のユネスコ世界会議に向け、日本政府内の訳語を統一する必要があるため、今後ESDの訳語は、政府として作成する文書においては、「持続可能な開発のための教育」としました。
  ただし、教育現場において引き続き「持続発展教育」を用いることは可としています。

第132回日本ユネスコ国内委員会総会における下村博文文部科学大臣の挨拶(2013年2月13日) 日本ユネスコ国内委員会総会の様子(2013年2月13日)

 

【目標】

  •  持続可能な発展のために求められる原則、価値観及び行動が、あらゆる教育や学びの場に取り込まれること
  •  全ての人が質の高い教育の恩恵を享受すること
  •  環境、経済、社会の面において持続可能な将来が実現できるような価値観と行動の変革をもたらすこと

【基本的な考え方】

  •  ESDは、持続可能な社会作りのための担い手作りです
     ESDの実施には、特に次の二つの観点が必要です
     -人格の発達や、自律心、判断力、責任感などの人間性を育むこと
     -他人との関係性、社会との関係性、自然環境との関係性を認識し、「関わり」、「つながり」を尊重できる個人を育むこと

  • 環境教育、国際理解教育、基礎教育、人権教育等の持続可能な発展に関わる諸問題に対応する個別分野の取組のみではなく、様々な分野を多様な方法を用いてつなげ、総合的に取り組むことが重要です

【育みたい力】

  •  体系的な思考力(問題や現象の背景の理解、多面的・総合的なものの見方)
  •  持続可能な発展に関する価値観(人間の尊重、多様性の尊重、非排他性、機会均等、環境の尊重等)を見出す力
  •  代替案の思考力(批判力)
  •  情報収集・分析能力
  •  コミュニケーション能力

【学び方・教え方】

  •  「関心の喚起→理解の深化→参加する態度や問題解決能力の育成」を通じて「具体的な行動」を促すという一連の流れの中に位置付けること
  •  単に知識・技能の習得や活用にとどまらず、体験、体感を重視して、探求や実践を重視する参加型アプローチとすること
  •  活動の場で学習者の自発的な行動を上手に引き出すこと

【我が国が優先的に取り組むべき課題】

  •  我が国の国内実施計画では、「我が国のESDについて、環境保全を中心とした課題を入り口として、環境、経済、社会の統合的な発展について取り組みつつ、開発途上国を含む世界規模の持続可能な発展につながる諸課題を視野に入れた取組を進めていく」とされています。

 

 

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-- 登録:平成21年以前 --