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3−7  サブサイズ及び実機サイズモータの地上燃焼試験
 3−5から3−6で示したCFRPを用いた断熱材の表面後退についての評価を行うため、サブサイズ及び実機サイズモータを用いた地上燃焼試験を実施した。

(1) サブサイズモータによる地上燃焼試験
 ノズル部の断熱材の表面後退が増大する要因を評価するため、サブサイズモータ(実機の5分の1サイズ)の地上燃焼試験を3回実施した。この地上燃焼試験の条件及び結果では、開発段階で行ったサブサイズモータの地上燃焼試験に比べ燃焼圧力を20%増加させた条件で、表面後退の要因を確認するため、あらかじめノズル部の形状を加工して試験を行った。
 この試験結果から、次の要因が表面後退に影響を与えると考えられる(表2−3−3、図2−3−12)。
燃焼圧力の増加により、従来の地上燃焼試験から得られた表面後退の予測に比べ、予測との差が大きくなる。
ノズルスロート上流部の形状不均一(凹凸)は、表面後退の顕著な増大要因とはならない。
ライナアフトB2前端部付近の周方向に一様な段差(ステップエロージョン)により、溝の深さによっては、比較的深い溝に発達するものが現れる。
ライナアフトB2前端部に、表面後退の進展により、CFRPの積層面と加熱面のなす角度が小さくなっている場所が確認された。

(2) 実機サイズモータによる地上燃焼試験
 ノズル部のCFRP製断熱材の表面後退現象に関する技術データ取得を目的とし、実機サイズモータを用いた地上燃焼試験を実施した。

 地上燃焼試験結果から、固体ロケットの外観に異常はなく、燃焼ガスの後部アダプタ内への漏れは認められなかった。ノズル部には、これまでの地上燃焼試験で見られたような大きな表面後退は認められなかった。
 熱分解層の進展に関する時間履歴のデータを取得し、燃焼中における表面後退の進展についての定量的な評価を行った。
 また、ノズル内壁静圧の低減等を行うことにより、表面後退を低減できる見通しが得られている。


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