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(1) |
導爆線の加熱試験
導爆線が高温の燃焼ガス等の熱環境にさらされるケースを想定し、温度上昇時の挙動を確認するため、導爆線の加熱試験(加熱率300 )を実施した。
この結果、導爆線内部の爆薬が約200度を超えると、爆薬が分解反応を起こすことにより機能を喪失し、起爆されても爆薬により伝爆できなくなることを確認した(表2−3−1)。
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(2) |
後部アダプタ内の三次元ガス拡散解析
ホルダBの溶融・破孔による後部アダプタ内への三次元ガス拡散解析を行い、導爆線の加熱率及び加熱率に基づく温度上昇を検討した。
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1) |
破孔面積の推定
サーマルカーテンの加熱試験結果から、サーマルカーテンの温度上昇には、約13 程度の加熱率が必要であることを確認した。
この加熱率を与えるような燃焼ガスの漏洩量を推定するため、三次元ガス拡散解析を行った。この解析結果から、破孔面積を25 とした条件では、サーマルカーテンへの加熱率は、10 程度で安定することを確認した。
このことから、実際のサーマルカーテンの温度上昇が発生するためには、25 以上の破孔面積が必要であると推定する。
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2) |
導爆線の加熱率の推定
導爆線の加熱率を推定するため、3次元ガス拡散解析を行った。解析の条件としては、25 の破孔が維持された場合と破孔が拡大(100 )した場合として解析を行った。
破孔面積が25 で維持された場合の解析結果から、後部アダプタ内の導爆線の位置によって加熱率は異なるが、システムトンネル近傍では1秒以内で数100 以上に上昇することを確認した。これは、システムトンネルを経由してSRB−Aの外に抜けるガスの流れが影響している。
また、破孔面積が100 まで拡大した場合、導爆線の位置にかかわらず、後部アダプタ内の導爆線の加熱率は、1秒以内で数100 程度に上昇することを確認した。
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(3) |
導爆線の機能喪失の可能性についての検討(まとめ)
導爆線の実験結果及びガス拡散解析の結果から推定すると、ホルダBの破孔面積が25 で維持された場合でも、そこから漏洩する燃焼ガスにより、数秒で導爆線が機能を喪失する加熱率に至り、その結果、導爆線内部の爆薬が分解反応を起こし、伝爆できなくなる。
したがって、燃焼ガスの漏洩により、導爆線が機能を喪失したことからSRB−Aが分離できなかった可能性が高いと推定する。 |