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3. H−2Aロケット6号機の打上げ失敗の原因究明
3−1  右側の固体ロケットブースタ未分離の原因の推定
(1) 故障の木解析(FTA)
 テレメトリデータ等の解析を基に、右側のSRB−Aが分離しなかったことを頂上現象とする故障の木解析(FTA)を行った結果は、図2−3−1に示すとおりである。
 右側のSRB−Aが分離しなかった要因として、SRB−AとH−2Aロケット第1段機体とを結合している前後方ブレス及びスラストストラットの引っかかり等による分離異常、または、各部分の未分離が考えられる。
a)  分離異常(引っかかり等)
b)  スラストストラットの未分離
c)  後方ブレスの未分離
d)  前方ブレスの未分離

(2) 搭載カメラ等の分析
 第1段機体に搭載されているカメラの画像により、後方ブレスは正常に切断されたが、前方ブレスが切断されていないことが確認できる(図2−3−2)。
 また、スラストストラットが切断される時間に、第1段機体の加速度に従来号機と同様な加速度が記録されている。これは、スラストストラットの切断用爆破線が正常に作動し、スラストストラットが正常に分離されたことによる衝撃が計測されたものと考えられる。

(3) SRB−A未分離の原因の推定(まとめ)
 以上の分析結果から推定すると、SRB−Aが分離しなかった原因は、前方ブレスが正常に切断されなかったことによるものである。


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