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ノズル温度の上昇
打上げ後約62.2秒に180度の位置に設置されているノズル温度センサ(以下「ノズル温度センサ 」という。)の温度(以下「ノズル温度 」という。)が上昇している。さらに、打上げ後約62.9秒に計測範囲の上限値を示し、その後約64.2秒に計測範囲の下限値を示している(図2−2−4)。
ノズル温度センサは、設計上、センサまたはその信号線が断線した場合に計測範囲の上限値を示す。実現象か断線かの直接的な判別は困難ではあるが、ノズル温度 は、打上げ後62.2秒から62.7秒まで温度が上昇し、その後、約64.2秒にはセンサまたはその信号線が短絡したものと考えられる。
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サーマルカーテン温度の上昇
打上げ後約63.0秒に0度付近に設置されているサーマルカーテン温度センサ(No.1及びNo.2)の温度が共に上昇している。その後、打上げ後約64秒に、両センサとも計測範囲の下限値を示している(図2−2−5)。
計測範囲の下限値の出力は、サーマルカーテン温度センサの設計上、センサまたはその信号線が短絡した場合に発生することから、サーマルカーテン温度は、打上げ後約63.0秒から約64.7秒まで温度が上昇し、その後、センサまたはその信号線が短絡したものと考えられる。
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ノズル歪データの異常
打上げ後約63.7秒に0度の位置に設置されているノズル歪センサ(No.1及びNo.2)のデータが共に0となっている。0出力は、ノズル歪センサの設計上、センサまたはその信号線が短絡した場合に発生することから、ノズル歪センサまたはその信号線が短絡したものと考えられる。
なお、ノズル歪センサの信号線は、ノズル上180度の位置で1ヶ所に集まっている。
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ノズル温度データの異常
打上げ後約64.6秒に45度、270度、279度の位置にそれぞれ設置されている温度センサのデータが計測範囲の下限値を示している。
計測範囲の下限値の出力は、ノズル温度センサの設計上、センサまたはその信号線が短絡した場合に発生することから、これらの温度センサまたはその信号線が短絡したものと考えられる。
なお、これらの温度センサの信号線は、ノズル上180度の位置で1ヶ所に集まっている。
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ノズル駆動用電池データの異常
打上げ後約66.2秒にアクチュエータ駆動用電源電圧のデータが280 から0 を示している(図2−2−6)。さらに、アクチュエータ駆動用電池起動確認のデータがHigh(起動信号ON)からLow(同OFF)になっている。
0 及びLowの出力は、設計上、機器またはその信号線が短絡した場合に発生することから、機器内または機器間の配線が短絡したものと考えられる。
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アクチュエータ系データ及び燃焼圧力センサデータの異常打上げ後約67.6秒にNo.1アクチュエータ駆動用パワートランジスタ温度が上昇し始め、その約1秒後に計測範囲の下限値を示している(図2−2−7)。
また、これと前後して、アクチュエータ関係信号(消費電流モニタ、操舵信号モニタ、ポジションフィードバック・モニタ等)のデータが連続して0となっている。
さらに、3つある燃焼圧力センサのデータが相次いで0となっている(図2−2−8)。
計測範囲の下限値の出力及び0出力は、設計上、センサまたはその信号線が短絡した場合に発生することから、センサまたはその信号線が短絡したものと考えられる。
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電力分配装置系データの異常
打上げ後約69.3秒から約69.9秒にかけて、電力分配装置系に異常が発生している。これらの異常は、設計上、機器またはその信号線が短絡した場合に発生することから、いずれもセンサまたはモニタ信号線の短絡と考えられる。
なお、この段階で右側のSRB−Aの全てのテレメトリデータが異常となっている。
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第1段機体での事象
打上げ後約63.7秒に第1段エンジン部及びエンジンカバー外部圧力のデータが0となっている。これは、同一の電源であるノズル歪の出力が0となった事象と同時刻であることから、これらの相関は強いと考えられる。
打上げ後約68.4秒に、第1段コントロール電池の電圧が低下するとともに、電流が計測範囲の上限値となっている(図2−2−9)。第1段コントロール電池は、電力分配器により、右側のSRB−A内の一部の機器に電力を供給していること、さらに、右側のSRB−Aの電動アクチュエータ制御装置のオフ及び圧力センサのオフに伴って、同電池の電圧は段階的に復帰し、正常に戻っている。このことから、第1段コントロール電池の異常は、右側のSRB−Aの機器の配線が短絡したことによる影響と考えられる。 |