16文科高第551号
平成16年10月28日
各国立大学法人学長 殿
各大学共同利用機関法人機構長 殿
文部科学省
高等教育局長
石川 明
文部科学省
研究振興局長
清水 潔
国立大学法人及び大学共同利用機関法人(以下「国立大学法人」という。)における国立大学法人法第35条において準用する独立行政法人通則法(以下「準用通則法」という。)第44条第3項における文部科学大臣の承認(以下「経営努力認定」という。)については、以下のとおり取り扱うこととするので、留意されたい。
剰余金(準用通則法第44条第1項に定める残余)の翌事業年度への繰り越し(準用通則法第44条第3項)に係る文部科学大臣の承認については、剰余金がある場合、各国立大学法人は経営努力により生じたものであることを説明し、同条第4項の規定により文部科学大臣は国立大学法人評価委員会の意見を聴取し、国立大学法人法第36条第4項の規定に基づき財務大臣と協議のうえ経営努力認定を行うこととされている。
独立行政法人における経営努力認定の仕組みとしては、
についてはそれぞれ経営努力により生じたものとされている(独立行政法人会計基準第73通則法第44条第3項による承認の額<参考>経営努力認定の考え方について)。
具体的には、運営費交付金等に基づく収益以外の収益から生じた利益についてはその増収等が経営努力によること、本来行うべき業務を効率的に行ったため費用が減少したことにより生じた利益については、個々の事業毎に予算と決算の差額が経営努力によることを説明することにより経営努力認定を受ける運用がなされている。
国立大学法人における経営努力認定の基本的仕組みは、独立行政法人と同様とされているが、国立大学法人の主たる事業である教育研究は、それぞれが相互に複雑に関連し合いながら実施され、個々の事業毎に客観的な達成度を説明することは容易ではないという特性を有している。
仮に、経営努力認定に際して、独立行政法人と同様に個々の事業毎に予算決算の差額が経営努力によることを立証しようとしても、
などから、国立大学法人における経営努力認定については、こうした教育研究の特性に鑑み、独立行政法人の経営努力認定の仕組みとは異なる仕組みとする必要がある。
国立大学法人においては、国立大学法人会計基準により、運営費交付金債務は原則として期間進行基準により収益化することとされているが、これは行うべき事業を行うことを前提としたものである。したがって、国立大学法人においては、当該年度に行うべき事業を予定通り行えば基本的には収支均衡するものであり、このように行うべき事業を予定通り行った場合であって剰余金が生じたときには、国立大学法人の業務運営の効率化等の結果とすることが妥当であり、行うべき事業を行わなかった場合に限り、当該事業に相当する運営費交付金債務は、負債のまま翌事業年度に繰り越されることとなる。
さらに、国立大学法人へ措置される運営費交付金の算定においては、
から、国立大学法人が行うべき事業を行ったことを立証することにより、剰余金については、予め国に帰属すると定められたものを除き、原則として経営努力認定を行う取扱いとする。
以上により、国立大学法人においては、その事業である教育研究の特性から、中期計画において記載された教育研究に係る当該事業年度における行うべき事業を行ったことを立証することをもって、経営努力に係る説明責任を果たしたとする取扱いとする。
具体的には、国立大学法人は、各事業年度において剰余金がある場合、中期計画において記載された教育研究に係る当該事業年度における行うべき事業を行ったことを、
をもって説明することとし、当該説明を受け、文部科学大臣は、国に帰属すると予め定められたものを除き、原則として経営努力認定を行うこととする。(【別添】参照)
国立大学法人における運営費交付金債務の取扱いについては、原則として事業の状況に応じ以下のとおり取り扱うこととする。この取り扱いによって剰余金が生じた場合、原則として経営努力認定を行うこととする。
区分 | 事業の状況 | 運営費交付金債務の取扱い |
---|---|---|
行うべき事業を行った場合 | 中期計画に記載された学部、修士、博士、専門職大学院の各課程における各学生収容定員を在籍者が充足している場合 | 期間進行基準により運営費交付金債務を収益化 |
特別教育研究経費により措置された事業及び法人内予算におけるプロジェクト事業等の場合 | 成果進行基準により運営費交付金債務を収益化 | |
行うべき事業を行わなかった場合 | 学生収容定員に対し在籍者が一定率(注)を下回った場合 (注) 平成16~18年度:85パーセント 平成19~21年度:90パーセント |
運営費交付金の積算のうち学生の受入に要する経費として措置している額について、収容定員を下回った割合により当該措置額に相当する額をもって運営費交付金債務のまま翌事業年度に繰り越し ⇒中期目標終了時に相当額を国庫納付 |
天変地異等による業務の中断等、予定された事業が実施されていないと明らかに認められる場合 | (例)運営費交付金の積算のうち学生の受入に要する経費として措置している額について、キャンパスの閉鎖日数等の客観的な基準により当該措置額に相当する額をもって運営費交付金債務のまま翌事業年度に繰り越し ⇒翌事業年度以降において補講を行うこと等により当該事業年度における行うべき事業を行った場合は、成果進行基準により運営費交付金債務を収益化 |
研究振興局学術機関課