プログラム名 |
評価時期 |
課題名 |
代表者 |
実施機関 |
課題概要 |
総合評価 |
今後の進め方 |
評価結果概要 |
新興分野人材養成 |
中間 |
システムLSI設計人材養成実践プログラム |
安浦 寛人 |
九州大学 |
本課題は、電子情報系企業におけるシステムLSI設計分野の中堅、ベテランの技術者及び研究者を対象に、ハードウェアや組込みソフトウェアの垣根を越え、先端技術や製品市場に対する広い視野を持つシステムLSI設計者を再教育することを目的としている。 |
C |
C |
多数の講座が設けられ、養成人数の目標値については達成見込みと考えられるものの、平成19年度から新たに設けられた「実践設計技術習得プログラム」の内容は基礎的なものにとどまり、当初の計画に示された「システムLSI設計の高度かつ先端技術の修得」というレベルに至っていない。このことから、総合すれば所期の目標をやや下回っていると判断される。LSI産業が盛んな地元九州地域を中心とした企業における具体的なニーズの把握が十分ではなく、養成する人材像が適切に描けず、当該人材を養成するための効果的なカリキュラム設計がなされていない。以上のことから、さらに計画の見直しを進め、より効果的なシステムの下で継続して実施すべきである。 |
新興分野人材養成 |
中間 |
先導的デジタルコンテンツ創成支援ユニット |
源田 悦夫 |
九州大学 |
メディアテクノロジーの恩恵を十分に駆使することのできる知識と論理的な思考を背景にしたコンピュータグラフィックスなどのメディアアートに関する創作者を、大学院修士課程のスペシャルプログラムを通して育成する。 |
B |
A |
論理的思考能力と芸術的感性の両方のスキルを持った人材を養成するという意欲的な取組であり、カリキュラムの体系化や作品制作と国外発表などに極めて挑戦的に取り組んだ結果、現時点では所期の成果が得られている。今後、医療をはじめ多くの分野で論理と感性を備えたデジタルコンテンツ創成は重要度が増加すると考えられるので、本プログラムの更なるレベルアップを期待したい。目標とされる人材の養成には、個人的要素を見極め、個人の能力の不足分をどのように補っていけるかが重要なポイントになると考えられる。それらを考慮して、目標に掲げられているコンテンツ創成ができる人材の輩出に努めていただきたい。 |
新興分野人材養成 |
中間 |
ユビキタス&ユニバーサル情報環境の設計技術者養成 |
中川 正樹 |
東京農工大学 |
本課題は、情報システム、情報家電、情報サービスなどの人を取り巻く情報環境の全体と要素において、時間的・空間的制約を解消するだけでなく、利用者の使いやすさや満足度を向上させて、誰でもが操作に煩わされることなく自然に利用可能な満足度の高い情報環境を設計・開発できる技術者を育成することを目的としている。 |
B |
B |
課題のタイトルと実施内容との整合性が取れていない印象を受けるものの、実施内容としては、当初の計画に沿って順調に進捗しており、カリキュラムやプロジェクト研究を中心に据えた養成手法もおおむね妥当なものであると評価できる。本課題は時代のニーズに合ったものであるが、「ユビキタス」と「ユニバーサル」という一般的で広範な意味を持つ言葉が使われているため、人材養成の内容が広がり過ぎて、一般のIT人材育成と変わらなくなる危険がある。目標とする養成人材像に基づき、技術教育として範囲を絞り込んだりメリハリをつけたりすることにより、より高い効果が得られるのではないかと思われる。また、養成修了人材の質の保証という観点から、到達スキルレベルを評価する指標の検討が望まれる。 |
新興分野人材養成 |
事後 |
環境情報獲得のための高信頼性ソフトウェア |
稲崎 一郎 |
慶應義塾大学 |
本課題は、ソフトウェア工学の成果が必要とされている2分野「センシング技術(環境情報の多次元的獲得)」及び「情報通信技術(フレキシブル情報通信システム)」を対象ドメインとして取り上げ、高信頼性ソフトウェアに関するカリキュラムの履修と、研究開発におけるその実践を通して、次世代のソフトウェア開発に貢献することのできる人材を養成することを目的とした。 |
C |
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高信頼性ソフトウェアの開発のための人材養成という目標に対して、その方法論、実施方法とも十分に明確化されないまま実施されたという印象を受ける。到達スキルは高信頼性ソフトウェア技術者としてというよりも一般のソフトウェア技術者として必要な基本的スキルであり、もっと高い目標設定が必要であったのではないかと考えられる。また、インターンシップの養成手法に好ましくない点が見られた。すなわち、ソフトウェア工学を実践的に活用しているか、あるいは活用させるかといった指導が十分にはなされていなかった。その結果、本課題の目的とする高信頼性ソフトウェアを開発できるようになったかという点が不明確である。一方、挑戦的な取組もあったと判断されるので、本課題の経験が今後新しい教育につながって行くことを期待する。 |
新興分野人材養成 |
事後 |
京都大学計算材料研究者養成ユニット |
平尾 一之 |
京都大学 |
計算材料分野において、次世代のわが国の産業を牽引するために要求されるのは、単なる理論屋やプログラマとしての単一機能を持つ人材ではなく、具体的な材料科学の研究・開発上の問題に計算科学の手法を的確に、かつ有機的に適用することができる高度な人材である。本人材養成ユニットでは、計算科学を重点的に教育し、材料分野の具体的な問題について、計算機を活用して実践的解決の能力を持つ高度技術者・研究者を養成することを目的とした。 |
A |
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養成コース修了者の多くが、大学、企業、研究機関で指導的立場に立って活躍しており、本課題の計画が十二分に実行され、所期の計画以上の取組が行われたものと判断できる。ポスドク、ドクターレベルの人材を多く養成することは難度が高いと想定されるが、これを達成したことは高く評価できる。また、大学間の技術・人材ネットワークを構築して持続的な発展の仕組みを提示している点についても大きく評価できる。今後、継続されている人材育成システムを活用して、産業界への波及を促進することが期待される。 |
新興分野人材養成 |
事後 |
高信頼インターネットソフトウェア開発検証 |
片山 卓也 |
北陸先端科学技術大学院大学 |
本課題は、ソフトウェアやセキュリティの先端的理論研究の成果を応用し、高信頼インターネットソフトウェア構築技術の研究を行い、その成果を生かした先端インターネットソフトウェアの開発を行うとともに、先端インターネットソフトウェアを企画し、開発や検証のできる高度な技術を持つ研究開発技術者を養成することを目指した。 |
C |
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高信頼インターネットは重要なテーマであり、先端かつ高度な内容に挑戦していることは評価できるが、当初の目的を達成しているとは言い難い。具体的には、カリキュラム体系化の努力は見られるものの、組込みシステムのように関係の希薄な内容が入っているなど、人材養成手法の妥当性に疑問がある。また、被養成者による論文も多数発表され国際性も高いものの、本課題のテーマである「高信頼インターネットソフトウェア開発検証」との関係が疑問視されるものが多い。 |
新興分野人材養成 |
事後 |
日本再生のためのコンビナトリアル計算化学 |
宮本 明 |
東北大学 |
本人材養成ユニットは、日本企業において世界をリードする開発力を育成することを目的とし、「コンビナトリアル計算化学」を活用できる企業研究者を養成することを目指した。 |
B |
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「コンビナトリアル計算化学」は即効性のある問題解決手法として成果を上げており、その手法を習得した研究者などの養成については、企業における研究開発力向上への有効性が認められる。ただし、年間10名を養成するために11名の養成従事者と年平均50〜100名の教育補助者が指導にあたるという体制であり、長期的な人材養成の継続に向け、効率の改善が今後の課題である。非常にユニークな人材育成の取組であり、本格的な計算化学の普及にまでは至っていないものの、一つの大きな発展の布石を作ったと言え、今後の発展に期待したい。 |