プログラム名 | 評価時期 | 課題名 | 代表者 | 所属機関 | 課題概要 | 総合評価 | 今後の進め方 | 評価結果概要 |
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産学官共同研究の効果的な推進 | 事後 | 金属コア入り圧電ファイバの実用化 | 佐藤 宏司 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 本研究では金属コア入り圧電ファイバの実用化を目指し、(1)生産技術の確立、(2)評価技術の確立、(3)商品設計の3つの研究課題について、射出成型部品の製造メーカーである長峰製作所と共同で取組んだ。 | B | ![]() |
金属コア入り圧電ファイバというアイデアは独創的で評価できる。更に圧電ファイバの生産技術を確立させる意味で、セラミックスの押し出し成形技術を進展させ物性評価を行い、実用化に向けたサンプル提供も行っていることは評価できる。しかし、まだ歩留まりが低いなど、量産に向けた生産技術の確立という本課題の目標達成という点では不安が残ることから、その効果的な応用面に関して更なる検討が望まれる。これらのことから、所期の計画と同等の取組が行われていると評価できる。 |
産学官共同研究の効果的な推進 | 事後 | 次世代照明を齎(もたら)す半導体基板結晶製造技術 | 斎藤 文良 | 東北大学 | 本研究では、窒化ガリウム(GaN)単結晶基板を用いた白色全固体照明を実現するため、「ソルボサーマル法による高品質GaN(窒化ガリウム)バルク基板結晶製造技術の確立」と「変換効率の高い蛍光体製造技術の確立」を目的とした。高効率固体白色照明技術の確立において必要とされる高品質GaN(窒化ガリウム)単結晶基板製造技術の開発と高効率蛍光体の開発を中心にp-型ZnO(酸化亜鉛)技術などの発展的技術開発をも含めた研究の展開を目指す。 | A | ![]() |
ソルボサーマル法による高品質のGaN(窒化ガリウム)結晶製造技術を確立し、所期の目標である1インチ径GaN(窒化ガリウム)単結晶基板作製に成功した。更に2インチ径GaN(窒化ガリウム)自立基板上へのアモノサーマル結晶成長の実証も進められ、高品質化、大口径化に向け、重要な基板結晶製造技術を確立したことは高く評価できる。以上より、所期の計画以上の取組が行われたと判断され、十分に評価に値する。 |
若手任期付研究員支援 | 事後 | 次世代軟X線発光分光器の開発 | 初井 宇記 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構 分子科学研究所 | 本研究は、100〜1,000eV(電子ボルト)の軟X線領域で、従来不可能であった超高エネルギー分解能スペクトルが容易に測定できる次世代分光器の開発、ナノテクノロジーを利用した軟X線発光分光の新しい可能性を切り開くことを目的とした。 | A | ![]() |
3ミクロンの空間分解能と世界トップのエネルギー分解能(E/ΔE![]() |
若手任期付研究員支援 | 事後 | 自己組織化による機能性ナノマテリアルの創製 | 滝澤 忍 | 大阪大学 | 本研究は、高活性機能超分子構造を分子の自己組織化を活用することで効率的に構築し、多機能ナノマテリアルを創製することを目的とした。 | A | ![]() |
多機能デンドリマーの開発、界面活性剤の自己組織化による機能性球状ナノ粒子の効率合成と評価、チオールの自己集合機能を利用する機能性球状ナノ粒子の合成、機能性キラルナノワイヤーの合成という4本柱のテーマについて、それぞれ十分な成果を上げている。特にキラルナノワイヤー触媒は、高活性不斉触媒として機能する超分子として世界初の成功例であり、新規BINOL触媒開発の成功は特筆すべき成果である。また、デンドリマー触媒機能を持つナノ粒子の固定により複数の賞も獲得している。 |
若手任期付研究員支援 | 事後 | 単一種分子から成る新規伝導体の開発と応用 | 田中 寿 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 本研究は、単一種分子性伝導体と呼ばれる新規の分子性伝導体を開発し、その物性評価手段の進展、伝導機構の解明及び測定評価、測定法の開発を目的とした。 | B | ![]() |
課題実施者自らが新規の単一種伝導体Ni(tmdt)2を提案して新たな研究分野に挑み、単一種分子のみで金属性を示す分子性金属のフェルミ面の存在を証明した。また、Ni(ニッケル)以外の銅やコバルトを中心金属とする単一種金属錯体から成る伝導体を合成するなど重要な成果が得られた。 単一種分子のみで金属性を示す有機伝導体をもとに、ド・ハース−ファン・アルフェン振動の観測を行い、フェルミ面を決定して金属性を証明した成果は顕著である。発表した論文の被引用回数も多く、分子の合成については世界的に高い評価を得ており、一流誌への掲載や受賞につな繋がっている。 |
若手任期付研究員支援 | 事後 | マイクロ流体システムによるナノ分子操作 | 山下 健一 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 本研究は、マイクロ流路中の層流という流れ状態や大きな速度分布勾配、そして高度な流体制御性という特徴を最大限に活かし、マイクロ流路内を流れる分子の形状や向きなど、ナノレベルでの制御の実現を目的とした。これにより、今まで実現できなかった新規化学反応や高精度な分子認識への応用を目指した。 | B | ![]() |
層流中で分子の形を制御するというアイデアは独創的で評価できる。本研究で得られたマイクロ流路による分子操作技術の具体的な応用(例えば酸素反応等への応用など)にも挑戦し、研究の進捗を示すことができていれば、よりインパクトのある研究にまとまったと考えられる。今後の発展に期待したい。 |
重要課題解決型研究 | 事後 | 違法薬物・危険物質の非開被探知装置の開発 | 大谷 知行 | 独立行政法人理化学研究所 | 犯罪・テロ関連物質(違法薬物:麻薬・覚せい剤、爆薬、生物剤等など)が郵便物に隠蔽され流通することを阻止するため、テラヘルツ波を用いて郵便物内の違法薬物や危険物質を非開被で探知する装置開発を目的とした。 | A | ![]() |
犯罪・テロ関連物質を探知することによる犯罪・テロ防止を国家的、社会的な重要課題として認識し、封筒など等の郵便物を対象とした非開被検査装置として「2段階分光検査装置」のプロトタイプ装置を早期に開発したことは高く評価される。本装置は政策目標である「安心・安全で快適な社会の構築」のための犯罪・テロ活動の阻止、抑制に大きな貢献が期待される成果と考えられる。 |
重要課題解決型研究 | 事後 | 新機能材料開発に資する強磁場固体NMR | 清水 禎 | 独立行政法人物質・材料研究機構 | 従来のNMR技術では観測が困難だった数多くの四極子核を持つ元素に対して、固体高分解能NMR測定を世界最高の感度と分解能で可能とする先端的分光計を開発し、共用設備として広く公開することを目指した。 | A | ![]() |
強磁場下で使用可能な新しいNMR分光計の開発を行い、困難とされていた四極子核元素の高分解能NMR測定を可能にし、非晶質など新たな物質分析への道を切り開いた。特に、原子レベルの構造解析に課題を抱えている非晶質材料に初めて光を照らす成果であり、強磁場固体NMRは、新しい分析技術としてX線や電子顕微鏡と相補的な役割を果たす存在と期待される。またユーザーネットワークを構築して、固体NMRと材料開発を結びつけた組織を立ち上げており、今後、強磁場固体NMR装置の一般ユーザーへの幅広い提供体制の確立、要素技術の一般的なNMRへの応用などを通じて、国内産業の競争力強化も期待される。 |
中核的研究拠点(COE)育成 | 事後 | 独立行政法人産業技術総合研究所(光反応制御・光機能材料分野) | 立矢 正典 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 強磁場下で使用可能な新しいNMR分光計の開発を行い、困難とされていた四極子核元素の高分解能NMR測定を可能にし、非晶質など新たな物質分析への道を切り開いた。既存技術とは全く異なる条件下での測定法の開発研究であり、多くの技術的な問題点を解決するとともに、研究成果は基礎および応用の両面に渡っている。 | B | ![]() |
「光反応制御・高機能材料」の分野で、優れた研究者集団の研究意欲と能力を動員し、電子移動、色素増感太陽電池などの理論的解明から要素技術の開発まで、世界トップレベルの研究成果を次々と生み出す研究グループを組織することに成功した。また、分野構成、マネジメント共に優れており、優秀な若手を輩出し、拠点として大きく発展した。若手だけではなく、世界の研究者が集まる真のCOEとなるための基盤が確立できた点は評価できる。しかし、育成機関の組織再編に伴い、拠点の実体的な組織の存続ができなかった。今後、研究の柱を整理すると共に、実体的な組織が構築されることを期待したい。 |