第5章 共通的・基盤的な取組

第5章 共通的・基盤的な取組

1.観測データのアーカイブとデータの統合化・利活用の促進

(1)プラットフォームの構築

  第4章に述べた課題解決型の地球観測の推進には、観測・予測データの体系的な収集、合理的な管理、データの統合・標準化や情報の融合が重要である。特に、観測データを科学的・社会的に有用な情報に変換するためには、自然現象の観測データのみならず、土地利用や社会・経済活動等に関する情報・データを収集し、それらのアーカイブから必要なデータを抽出し、統合解析することが重要である。「科学技術イノベーション総合戦略2015」では、地球環境情報をビッグデータとして捉え、様々な環境問題の解決を目指すため、「地球環境情報プラットフォーム」を2020年度までに構築し、運用することとされている。
  我が国では、「データ統合・解析システム(DIAS)」を世界に先駆けて開発してきたことに鑑み、今後はDIASのような永続性・堅ろう性のあるシステムを中核とした地球環境情報プラットフォームを国として整備し、それを十二分に活用していくことが必要である。また、観測データの利活用を促進するため、データのリアルタイムな共有と提供を図れるようユーザーインターフェースの構築を行うとともに、第4章で提示した課題の解決に向けた取組を積極的に推進すべきである。さらに、地球観測に関わる多様なデータをビッグデータとして扱うためのディープラーニング等の最新技術も取り入れ、より高次の情報を抽出し利活用するための研究開発も推進する必要がある。

(2)オープンデータ化の推進

  「GEO戦略計画」の検討に当たっては、地球観測による社会利益はデータ共有なしには成し遂げられないとして、GEOSSとしてデータ等を原則無償かつ無制限に共有することが検討されている。我が国においても、オープンサイエンスの推進の在り方について検討が進み(「我が国におけるオープンサイエンス推進のあり方について~サイエンスの新たな飛躍の時代の幕開け~」(平成27年3月))、公的研究資金による研究成果(論文、研究データ等)の利活用促進・拡大を基本姿勢とすることや、公的研究資金による研究により生成されたデジタル形式の研究データを公開する場合には、提供するデータを自由に利用できるルールを付す必要があることなどが指摘されている。
  今後は、このような国内外の動向を踏まえ、地球観測においても、観測・予測データの有効な利活用の観点から、地球観測の分野を中心に国が主導してオープンデータ化の推進と、観測・予測データの共有に取り組む必要がある。そのため、観測実施主体(データホルダー)を中心に、利用促進を図るための体制の確立と強化を推進し、あらゆる人々が容易にアクセスできるデータ・情報の提供を目指す必要がある。
  一方、データの積極的な公開を促すためにも、安全保障や産業競争力強化の観点から、公開することがふさわしくないと判断されるものを特定するなどの配慮が必要である。

(3)データの利活用の促進

  多様なステークホルダーが観測・予測データを活用し、課題解決のための行動を取ることができるよう、観測・予測データの利活用を促進すべきである。そのため、国として、専門的な観測・予測データ及び社会データの利活用に関する情報提供や技術支援、フィジビリティスタディによる有用事例の拡充等を強化し、推進する必要がある。また、国内外で既に構築されている各種観測ネットワークのデータ及びデータベースを最大限に活用し、観測・予測データのリアルタイムに近い迅速な収集と流通を、我が国全体で目指していくことを検討すべきである。国際的には、GEOの活動に加え、国際科学会議(ICSU)において、世界データシステム(WDS)や科学技術データ委員会(CODATA)が科学研究データの保全や効果的利用のための活動を続けており、我が国に設置されたICSU-WDS国際事務局を中心に、データの利活用を一層推進すべきである。
  また、近年の新たな技術革新に対応し、様々な形で観測データの収集や、情報の配信がなされてきている。スマートフォンなどの携帯情報端末は、あらゆる場所で観測データを収集し転送することを可能にし、現場の農業や漁業の従事者など、これまで情報の利用者側であった者が観測者となることも可能であり、今後は、携帯情報端末等を活用した地球観測データの収集及び利活用を推進すべきである。その際、国としては、情報通信技術の利用に困難を抱えるユーザーに対する情報提供等の在り方を検討する必要がある。

(4)過去の地球観測データの活用

  地球環境の変化を捉えるためには、現在の観測データのみならず、過去の観測データの蓄積が有効であることは言うまでもない。今後は、過去の電子化されていないデータの数値データ化・アーカイブ化を推進し、既に取得された観測データが最大限活用できるよう配慮すべきである。また、国内外の観測機関、研究機関、研究グループ等から過去データの提供を受け、その数値データ化・アーカイブ化を促進することも重要である。

2.分野間の連携、多様なステークホルダーの関与及び人材育成

(1)社会と研究開発をつなぐ地球観測

  社会からの多様なニーズに応え、課題解決への道筋を示すためには、社会と研究開発をつなぐ視点での地球観測を強化する必要がある。第4章で述べた課題解決型の地球観測の推進に当たっては、観測実施主体(データホルダー)が、取得したデータの社会での活用先を意識して取り組むことが重要である。また、バックキャストの視点を常に持ち、社会ニーズに対応できる地球観測システムの計画・整備に努めるべきである。
  今後、将来の気候変動予測に基づいた適応策の検討等に際しては、自然現象の観測・予測データのみならず、社会・経済の現状や将来シナリオを十分踏まえた情報が必要となり、災害リスクの低減のためには、人口、土地利用、農地開発、産業立地といった社会経済的な情報や、社会インフラの整備の状況等の空間的な把握が必要となる。このように、自然科学と社会科学をつなぐ視点で地球観測の在り方やデータの利活用を考えていくべきである。

(2)官民一体となった地球観測

 国の観測船や衛星のみならず、民間の航空機や船舶を活用して観測データを取得するなど、産業界との連携により、充実した地球観測を目指す。また、観測のみならず利活用に至る社会実装を進めるため、観測データと社会をつなぐための技術開発を、官民が一体となって促進することを検討すべきである。その際、欧州の「コペルニクス計画」等を参考に、官民連携で観測・解析・利活用を行う体制を整備し、アプリケーション開発と現業ユーザーへの普及を促進する必要がある。そのために、利活用まで含めたトータルな社会実装重視への転換が図られるよう、ユーザーの参画を得たアプリケーション開発の実施に、国として具体的に取り組むべきである。
  また、「GEO戦略計画」の検討・実施に当たっては、GEOに参画するステークホルダーを拡大するため、国連機関、国際機関、国際開発金融機関、研究資金配分機関及び民間部門等との連携の拡大と強化も目指すこととしている。多様なコミュニティから多様な地球観測の取組が提案されることを念頭に、関係のステークホルダーが会するフォーラム等の場を設け、観測、予測、データ活用等の活動を国として促進していくことも検討すべきである。

(3)国民の理解増進

  長期的かつ安定的に地球観測を継続するためには、地球観測の重要性や有効性が国民に広く理解される必要がある。グローバルな環境変動の影響がローカルな現象として生じ、その対策もローカルに取られることもあることから、地球観測に関わるあらゆる組織・研究者が、国民との対話や、幅広い普及・啓発に継続的に努めるべきである。
  その際、今後は、単なる情報発信にとどまることなく、国民との対話・コミュニケーションにより、新たな課題やニーズの発見につなげていくべきである。また、観測・予測データやそれらから創出された情報を利用することを通じ、ユーザーの地球観測の重要性への理解が深まるよう取組を講じるべきであり、そのための分かりやすい情報伝達手段の開発も、今後進めるべきである。

(4)市民参加型の地球観測の推進

 1.の携帯情報端末等を活用した観測データの取得に当たっては、例えば、生物の出現状況の把握など、市民参加型のモニタリングも新たな手法として想定される。このような活動に当たっては、国民の理解増進に加え、国民自ら地球観測に参画するための仕組み作りも重要であり、例えば、地域のコミュニティを活用することなども考えられる。

(5)地球観測を担う人材の継続的な育成

  観測データの取得から利活用まで、データを適切に取り扱い、目的に応じたデータの加工・利用に当たる専門の人材や、地球環境情報を活用して我が国のみならずグローバルな視点から課題解決を支える人材、地球環境情報を教育研究の現場や社会で生かせる人材の育成が重要である。その中で、社会と研究開発をつなぐ地球観測を目指す観点からも、今後は、観測(入り口)とデータを使った課題解決(出口)をつなぐ人材が必要不可欠である。若手人材の減少等により持続的な人材確保が困難となるおそれがある中、長期かつ安定的な地球観測の継続の観点からも、我が国の地球観測に関わるあらゆる者が、実効性の高い人材育成について不断の努力をもって強化、継続していく必要がある。

3.長期継続的な地球観測の実施

(1)恒常的な地球観測体制の確立

  地球の現状を的確に把握し、災害の予兆をはじめとする地球環境の変化を捉えるとともに、長期的に観測データを蓄積し将来の有用な成果につなげるためには、継続的に高精度な地球観測を実施することが不可欠である。このため、本部会を中心に地球観測を実施する機関が相互に連携し、既存の地球観測の施設、設備、ネットワーク等を最大限活用することにより、恒常的な地球観測体制を確立することを推進すべきである。このとき、研究機関や大学、観測ネットワークが、それぞれに運営する多様な分野の観測サイトにおける取組を相互に連携させることにより、地球観測における新たなシーズの創出と分野横断的計画を推進することが望ましい。

(2)必要な観測項目の特定

 大気、気象、海洋、水文、土地被覆・利用情報、地図情報、地形・地質・地殻変動情報など、地球環境の現状を正確に記録することで、過去から現在に至る変化過程の把握、将来予測のための初期値の設定など、多様な課題解決に至る基礎的な情報が得られることから、そのための観測を強化する必要がある。一方、予算及び人的資源等に限りがある中、必要な観測体制を維持し、継続的に観測データを取得していくためには、地球観測を実施する機関が中心となってそれぞれの観測の目的を明らかにしつつ、既存の観測項目の必要性や課題解決への貢献度の評価と新たな観測項目の洗い出し等を実施し、今後、我が国が長期継続すべき観測項目を特定することを検討すべきである。その際、重要度の高い定常的観測項目は、関係府省・機関の業務観測の一つとして実施する等の長期継続性を確保する方策を検討すべきである。

(3)地理空間情報の整備

  全球測位衛星システム(GNSS)や地理情報システム(GIS)による位置情報の測定・利用技術の普及、観測技術や予測精度の向上に伴い、高精度な位置情報の決定が求められている。このため、地球科学分野及び社会・経済活動分野で用いられる地球規模の地理空間情報、及びその根幹となる国際地球基準座標系(ITRF)の整備を、引き続き進めるべきである。

4.地球観測による科学技術イノベーションの推進

(1)地球観測・予測技術の高度化

  世界をリードする地球観測研究等の推進は、将来にわたる持続可能な社会の実現や、我が国の産業競争力の強化にも貢献するものである。このため、観測・予測精度の向上や観測の安定性の確保、低コスト化に向けた技術開発に、継続して取り組む必要がある。また、新たな課題解決や科学的発見への道を開くため、斬新な着想に基づく新たな観測手法の開発や新たな地球物理量の観測等も、国として引き続き積極的に推進するべきである。
  特に、我が国が強みとする衛星や船舶等による観測のための観測機器や衛星システム、探査機、広域物理探査技術、海底ケーブル等によるリアルタイム観測技術等の開発を、今後も着実に推進する必要がある。例えば世界気候研究計画(WCRP)の「Polar Challenge」などの国際的なコンペティションに挑戦し、積極的に技術開発の進展を図ることも有効であると考えられる。なお、地域的な課題解決に当たっては、より精緻な観測・予測データを必要とする場合があることから、データのダウンスケーリング技術やデータ同化技術の高度化も必要である。

(2)観測・予測データを活用した新産業等の創出への貢献

  保険業においては、天候インデックス保険における商品設計や保険金の支払の決定などにおいて、降水量や気温などの地球観測データが活用されている。また、1.で述べた地理空間情報を活用した地球環境変動への適応や災害リスク軽減等へのきめ細やかな対応や、海底資源開発をはじめとする各種開発に際しての環境アセスメント、災害リスク軽減の実用化を担う民間ビジネスなど、観測・予測データを活用した新たなビジネスが創出される可能性がある。これまでは研究目的や防災等の行政ニーズに対応した地球観測が主流であったが、今後は、気象分野やエネルギー分野をはじめとした多様な事業の用途において、民間による地球観測データの活用も念頭におくことが重要となる。
  そのため、民間ビジネスのニーズを踏まえた上で、1.で述べた「地球環境情報プラットフォーム」等の基盤も活用し、地球観測衛星や測地衛星による観測と通信衛星とが連携したデータの利活用など、様々な目的で取得した観測データや既存の観測システムの更なる連携を促すことにより、観測データの統合した利活用の促進を我が国全体で強化していく必要がある。あわせて、低コストで多地点高密度に展開可能な観測技術の確立等を検討すべきである。

(3)データの公正性・透明性の確保

 気候変動適応策の立案を始め、科学的根拠に基づいた政策決定を行う場合や、地球観測データに基づいて保険金を支払うなど観測データを商用利用する場合には、公正性・透明性のある観測データが必要不可欠である。そのため、特定の者に対する利害関係のない中立性の高い機関が観測データを取得・提供する、あるいはこのような機関がデータの公正性・透明性を保証する仕組みを検討する必要がある。

(4)2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会への貢献

 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の機会を日本発の科学技術イノベーションを国内外に発信する機会と捉え、地球観測分野の実施機関も大会の円滑な実施等を支える技術開発や、観測データの取得・提供・利活用の促進に積極的に努める必要がある。
  例えば、「科学技術イノベーション総合戦略2015」において大会に向けて取り組むべきプロジェクトとされているゲリラ豪雨・竜巻事前予測の高度化と気象情報の提供を始め、夏季に開催される大会の暑さ対策や、大会を契機とした環境配慮の推進などに、地球観測データや関連技術を活用するべきである。

5.科学技術外交・国際協力への地球観測の貢献

(1)国際的な貢献の在り方の明確化

  北極海の高気圧が強まると日本に寒波が襲来するなど、自然環境の影響が及ぶ範囲は地球規模である。また、近年は社会的・経済的環境も、国や地域を越えて地球規模になりつつある。このような背景から、現在、我が国の課題は、グローバル社会の課題と密接不可分となってきていると言える。そこで、日本の利益は世界の平和と安定とともにあるとの認識の下、世界に目を向け、我が国を取り巻く社会との良好な関係を築き上げるための地球観測を推進することは、我が国の安全保障にも資するものである。このため、科学技術外交・国際協力への地球観測の貢献の在り方をより明確化する必要がある。
  具体的には、例えば、1.で述べたオープンデータ化の推進を踏まえ、我が国の安全保障上問題のない観測データは、あらゆる人々の行動判断に役立てる目的の下、原則的に全面開示していくなどの国際貢献を推進すべきである。また、今後の地球観測では、観測・計測手法や観測機器、データの処理方法等の世界的な標準化が進むと考えられることから、我が国の地球観測の手法を世界標準にすることなどを含めた検討が必要である。さらに、国際協力関係を構築しつつ、地球規模課題の解決やその基盤となる地球システムの理解を含め、我が国の地球観測及び関連する研究成果等を活用して国際貢献を強化、推進していく必要がある。
 そのため、これまでに形成されてきた国際連携の枠組みやシステムを維持発展させるための取組を検討し、推進すべきである。特に、今後策定される「GEO戦略計画」も踏まえ、関係各国・機関との競争と協調のバランスも意識し、我が国単独では得られない観測データや、海外における質の高い情報の入手とデータの更新が継続的に行われるよう、引き続き人的・組織的ネットワークを構築していくことが重要である。また、開発途上国における観測能力の向上を踏まえ、人材育成を含め、各国の能力を活用した連携の方策についても検討すべきである。
  また、我が国の国際的プレゼンスの向上や産業創出につなげるため、JICA、世界銀行、アジア開発銀行等とも十分連携して、我が国の優れた地球観測システムと利活用まで含めた技術の国際的普及に戦略的に取り組むべきである。

(2)地球規模課題の解決への貢献

 SDGsの目標の達成に当たっては、第4章で述べた課題解決型の地球観測も大きく貢献できるであろう。例えば、SDGsの具体的な目標として設定される数値目標について、それらを達成するための計画の立案と達成状況のモニタリング及び評価を実施する際に、観測データを活用するべきである。
 また、地球規模課題を解決し、持続可能な社会を構築するため、学術の専門家だけでなく、社会の様々なステークホルダーが参画し、研究活動の設計から成果の創出まで協働して行うことを目指す「フューチャー・アース構想」が、国際科学会議(ICSU)を中心に推進されている。同構想の下では、自然科学的な観測データと社会科学的なデータを融合し、真(しん)に社会に役立てる情報としていくことも求められる。同構想への貢献を通じ、社会から求められる地球観測がいかにあるべきか、社会データと観測データの統合や利活用をどのように進めていくか、我が国の地球観測に関わる関係者がそろって検討していく必要がある。
 さらに、第4章2.で言及した「仙台防災枠組2015-2030」や、平成27年末に予定されている国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で合意される予定の平成32年以降の世界の気候変動・温暖化対策に関する新たな国際枠組みの実現においても、科学技術の貢献が求められており、これらの国際的な取組の状況を踏まえた地球観測の実施を検討すべきである。例えば、防災・減災への貢献の観点からは、高密度観測網を持つ日本ならではの研究成果を他国の防災・減災に役立てることや、GEOをはじめとする国際協働事業や各国の機関による災害データの収集に協力することにより、我が国の国際貢献を果たすことが必要である。

(3)地域的な課題解決への貢献

  現在の国際情勢も踏まえ、これまで我が国の地球観測が重点的に貢献してきたアジア・太平洋地域に加え、アフリカ、中南米等への対象地域拡大や、地域的課題の解決への地球観測の貢献等の内容・人材育成等、戦略の再検討を行うべきである。その際、我が国の大学等の教育研究機関、研修機関等も活用しつつ、各国現地において人材育成を行うことも現地国への支援等の観点から必要である。その一つとして、地球規模課題と科学技術水準の向上を目的として、開発途上国と共同で進める地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)を、地球観測の観点から推進、支援すべきである 。
  また、我が国は、平成25年に北極担当大使を任命するとともに、北極評議会のオブザーバー資格を得ている。今後は、気候変動がもたらす北極海航路の利用可能性を視野に、北極圏諸国との連携を強化し、我が国としても北極圏における地球観測を推進すべきである。
(※ウ)「北極評議会」
北極圏に係る共通の課題(特に持続可能な開発,環境保護等)に関し、先住民社会等の関与を得つつ、北極圏8か国(カナダ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、ロシア、スウェーデン及び米国)間の協力・調和・交流を促進することを目的として、1996年に設立されたハイレベルの政府間協議体(なお、軍事・安全保障事項を扱わないことが明確に確認されている)。

(4)「GEO戦略計画」への対応及びGEOSSの発展への貢献

 「GEO戦略計画」に対しては、設定される社会利益分野の課題に対し、我が国の地球観測の貢献を明確に示していく必要がある。例えば、現在利用者との連携で進めている「センチネル・アジア」や「アジア水循環イニシアティブ」、「アジア太平洋地域生物多様性観測ネットワーク」のような我が国の取組をグッドプラクティスとして示しつつ、このような活動を後押しするとともに「ブルー・プラネット・イニシアティブ」のような全球的な社会利益分野横断型の活動に積極的に参画し、更なるGEOSSの発展を目指していくべきである。
  また、新たな知見の創出に当たってはグローバルなモニタリングが不可欠であり、基盤的な地理空間情報も活用しつつ、各国・各機関・各観測ネットワークとのデータの共有や統合・標準化での連携を通じて、活動を強化する必要がある。そのために、我が国の主導の下、アジア・太平洋地域において開催している「GEOSSアジア太平洋シンポジウム」を活用する。これらの活動を通じ、各国の協力の下で実施すべき観測項目を特定し、実施していくことが重要である。

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研究開発局環境エネルギー課

メールアドレス:kankyou@mext.go.jp

(研究開発局環境エネルギー課)