資料4‐1 医学研究等における個人情報の取扱いの在り方等について」のとりまとめについて

科学技術・学術審議会
総会(第14回)
平成17年1月19日
生命倫理・安全部会

 近年、個人遺伝情報等を取り扱う研究を巡る状況について変化がみられること、また、個人情報の保護に関する法律が平成17年4月に全面施行されることを踏まえ、ライフサイエンス研究における個人遺伝情報の取扱い等の適正な実施の在り方について検討が必要となった。
 このため、科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会に「ライフサイエンス研究におけるヒト遺伝情報の取扱い等に関する小委員会」(主査 黒木登志夫 岐阜大学学長)を設置し、平成16年7月から同年12月まで11回にわたり同委員会を開催して、各種指針の見直しや個別法の必要性について検討を行った。この検討は、厚生科学審議会科学技術部会の「医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会」(厚生労働省)及び産業構造審議会化学・バイオ部会の「個人遺伝情報保護小委員会」(経済産業省)と合同で行い、平成16年12月に「医学研究等における個人情報の取扱いの在り方等について」(別添)を取りまとめた。
 なお、この検討結果を踏まえ、文部科学省等において、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(平成13年3月、文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示)、疫学研究に関する倫理指針(平成14年6月、文部科学省・厚生労働省告示)及び遺伝子治療臨床研究に関する指針(平成14年3月、文部科学省・厚生労働省告示)の改正が行われ、平成16年12月28日に官報に公示されている。

1.ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針等の見直し

(見直しの概要は別紙参照)

(1)上記の指針については、個人情報保護の観点から、以下の点を基本として見直しの提言を行った。

  1. 研究の実施に関する最終的な責任者は、現行指針では研究機関の長(大学医学部であれば医学部長)としてきたが、個人情報保護法において事業者単位で個人情報保護を図るべきとされていることを踏まえ、研究を行う法人(行政機関)の長が研究実施の最終的な責任を有し、研究者等を監督しなければならない旨を規定するなど、研究を実施する機関が組織として適切な対応を図るとの考え方を明確にしたこと
  2. 個人情報保護のための安全管理措置、委託者に対する必要かつ適切な監督、個人情報のデータ内容の正確性の確保、苦情相談に対する配慮、提供者等からの求めに応じた情報の訂正・追加・削除等の規定を盛り込み、個人情報保護法との整合性を図ったこと

(2)ヒトゲノム・遺伝子解析研究指針については、上記のほか、近年の研究の進展等を踏まえ、いわゆる多施設共同研究における倫理審査のあり方、地域や集団を対象とした研究における透明性の確保のための手続き、海外の機関との共同研究における本指針の運用のあり方等について見直しの必要性を提言した。
 また、十分な議論ができなかった事項として、遺伝カウンセリング、ヒト細胞・遺伝子・組織バンク等についての今後の検討の必要性を確認した。

(3)なお、指針見直しの検討結果を取りまとめるにあたり、意見募集(パブリック・コメント)が実施された。

2.個人情報保護に関する規定の法制化

 個人情報保護法の制定時の国会の附帯決議等を踏まえ、医療(遺伝子治療等の研究・開発・利用を含む)等の分野における法制上の措置の必要性について検討を行った。
 3省の委員会においては、法制上の措置については、研究にとどまる問題でない等の理由から慎重かつ十分な検討を要する中長期的課題であると位置付けるとともに、同委員会の提言に基づき改正される指針の実効性を確保するための各種の対策、改正後の指針の遵守状況のフォローアップ等を実施することで個人情報保護のための適切な対応が図られるものと考えられるため、現段階において、個人情報保護法の全面施行に際し、個別法の創設など別途の法制化の必要性は乏しいものとの検討結果をとりまとめた。

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