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5 信頼される学校教育関係

(1) 義務教育について
義務教育については、子どもたちがどこに生まれようとスタートで差がつかないよう、一定水準の教育を受けさせたい。
義務教育は、全ての児童に一定程度の学力をみにつけさせ、また、落ちこぼれを出さないようにすることが最大の役割であり、従って、義務教育段階でのバウチャー制度導入はなじまない。
義務教育費国庫負担法の問題がなし崩しになって来ているので、これをきっちり中身が充実したものにしていくことが必要。
義務教育の目標が教育基本法の中に規定されているが、それを達成するための教育条件の整備を進めるべき。少人数学級や習熟度別指導の実現が必要。

(2) 学校教育について
全国学力・学習状況調査の結果を学校の改善等へ活用する。
今日的な教育上の課題に迅速かつ適切に対応した教職員の配置改善を行うべき。
学校評価を充実すべき(自己評価、外部評価の定着・充実、第三者評価機関による全国的な外部評価の仕組も含めた方策の検討)。
学校の情報提供を充実すべき。
教材購入費、図書購入費、ICT環境など教育環境整備に不可欠な経費の確保、学校図書館を充実すべき。
教材・教具・図書費は自治体による措置率の差が大きい。数値目標が必要。
学校図書については、地方交付税による措置が必ず使われる仕組みが必要。
脳科学やICT等の新しい技術を教材開発・事務処理に生かすことが重要。
財源の拡充は大変厳しいと認識しているが、効率的に運用するので、既存のものを重点施策に組み替えるのはどうか。例えば、小規模学校の統廃合を何年かの計画で目標を達成し生じた財源を新しい重点施策に組み替えるといった、自助努力へ配慮するようなものがあっても良いのではないか。
教育委員に保護者を含めることや、指導主事の配置の数値目標等も盛り込んでも良いのではないか。
学校の統廃合や指導主事の配置等については、地域の実情が異なるため、このような地域の独自性を打ち出すようなものは数値目標を打ち出さないほうが良いのではないか。
小・中学校の取組が中心で、高等学校についてあまり触れられていない。97パーセントが進学する国民的教育機関であり、多様な人に対応する高等学校教育のあり方に関する検討が必要ではないか。フリーターなどの問題もあり、専門高校でのスペシャリストを養成し、それが職業に結びつくようにすると打ち出すべき。

(3) 安全・安心な教育環境について
公立小・中学校施設について、現在、全国の13万棟弱の校舎のうち、耐震性がありと挙げられているものが約6割弱、耐震性なし・未診断というのが40パーセントを超えているという診断結果がある。学校施設等の安全性確保が非常に緊急の課題であり、計画的な耐震化や老朽施設の再生の整備が非常に重要である。
文教施設整備費・設備費も大きく減少している。学校施設は国の文化資産であり、現状の改善が急務。
子ども達の安全・安心で快適な教育環境を確保するため、老朽校舎の改善やバリアフリー化の促進等の公立学校の施設・設備等の改善・充実が必要。
学校施設の耐震化については、地方財政の危機的な状況のときに、だれがどういう形で措置するのか。子どもたちの生命の安全というようなことを考えたときに、このような危機的な状況からまず改善していくべき。
義務教育の基盤となる環境を整えていくためには、教育内容に見合った施設はどのようなものが望ましいかという観点から学校施設の質的向上が必要である。
学校施設は、地域コミュニティの核、地域住民の交流の場、災害時の応急避難場所としての役割機能を備えているという観点からも、耐震化の推進、老朽施設の再生・整備は極めて重要。また、バリアフリー化、IT化等への対応などの取組が十分でないことにも触れておく必要がある。
学校安全については、通学時に起こる不慮の事故への対応や、自殺防止、犯罪抑止等へ対応する組織づくり等の基盤整備が必要。
荒れる学校、荒廃する学校、問題行動を繰り返す学校が地域の教育力を落としていく現状がある。教育委員会も地域を上げて学校を支えていく応援チームのようなものが必要。
いじめ、校内暴力等問題行動や保護者、地域社会の学校への要求への対応などに対し、学校だけでなく、警察、人権擁護関係、福祉、地域医療機関等の関係機関と、臨床心理士、精神科医、弁護士などの専門家が一体となって、これらの問題解決のための迅速・適切な対応ができるような組織を設けることを地方公共団体へ求めていくとともに、縦割り的な中央省庁の枠を超えて、有機的に連携できる方策を打ち出すべき。
いじめ、不登校の問題や特別支援教育において、学校と地域医療機関等関係機関との連携における養護教諭の役割や保健室機能が非常に重要である。
子どもの悩みや相談を受ける体制として、養護教諭による健康相談活動を充実させる等、幅広い相談体制を整備する。
青少年を取り巻く有害環境を改善するため、保護者のフィルタリング制度の認知度を高める。また、子どもが持つ携帯電話におけるフィルタリング利用率を高める。
有害情報やネット被害から子どもを守るため、学校を超えた対応の枠組みを構築するとともに、省庁を超えて、有効かつ機動的な体制をつくる必要がることを指摘すべき。
虐待等により家庭から通えない子どもの支援も重要である。

(4) 教員について
教員免許更新制の導入と指導が不適切な教員の人事管理の厳格化が必要。
養成・採用段階からの教育の質の確保、現職研修の改善・充実等が必要。
5〜6年の教職勤務の後、大学院で学び直す機会を与えることが必要。
教職員の定数改善と教員給与の問題は、団塊世代の大量退職、民間企業の雇用改善が進む中で、優秀な人材を確保するため、教職員の定数改善と優遇措置及、人材確保法の堅持の下で、メリハリのある給与の構築が必要(新しい職に応じた処遇、諸手当の見直し、教員評価及び処遇への反映等)。
教員の「諸手当の見直し」ではなく「改善」という言葉にすべき。
教員が一人一人の子どもに向き合える時間や教材研究の時間が確保等職能開発に費やす時間を確保できるよう、教職員を増員することが必要であり、早急に第八次の教職員定数計画を策定すべき。
優れた人が教職について、のびのびと育つ制度であることが必要。
頑張っている教員や学校を励ますような取組を具体的に検討すべき。
将来の日本の人口推計上、大学や高校の数と教員養成との関係について、将来の産業教育をどうするのかといったことを考えた10年、15年後を見越した教員養成を検討すべき。
学校のマネジメントはどうしても教員偏重になってしまい、何でも教員でやろうという意識が強く、教員に負荷がかかりすぎており、本来の専門的知見を活かされなくなっている。
教員の事務的な仕事は地域の力を活用する、又は専門の民間機関へアウトソーシングし、教員と子どもの接する時間を確保すべき。
教員に対する外部からのクレームに迅速、かつ適切に対応する組織的体制の整備が必要。
校長の権限の裁量について、いつまでに何をすべきか考えるべき。
教員の超過勤務部分に該当する6,000から7,000億円の手当てを、教職員の定数改善に振り分けていくことが、子どもの学習環境を改善し、少人数学級の実現と、教員の恒常的な長時間の勤務を是正する上で、有効な方策となるのではないか。例えば、概算の試算としては、30人学級を小学校1年生から中学校3年生まで全学年で実施した場合は、約8,000億円、35人学級で実施した場合は3,000億円程度で実現することが考えられる。
一般公務員、行政職より教員の給与が11パーセント高いため、人確法の廃止や教職調整額の廃止等が指摘されているが、統計処理の問題を是正し比較した場合、実際はわずか2パーセントに過ぎず、教員特別手当や教職調整額を廃止すると実質的には一般行政職より給与が低くなる。人確法を継続しながら、特別手当の廃止に代わる俸給上の配慮が必要ではないか。
教員免許更新制が導入され、場合によっては免許が失効される可能性がある教員と、一般行政職の給与を単純に比較し、議論することはなじまないのではないか。
学級規模は、教員の働き方を規定するとともに、子どもの学習環境を整えるという意味で、人数を何人にするかは今後の教育政策上きわめて重要な課題。日本の標準40人は欧米に比べかなり大きな数字であり、日本の教師は極めて大きな負担となっている。
学級規模は、国の基準で35人程度の定数を計算し、それをどのように使うかは、都道府県又は市町村に委ねていくといった仕組みも含めて検討する必要があるのではないか。
教員の給与については、人材確保法による一律の優遇措置ではなく、勤務実態をよく分析し、むしろ学校運営について非常に大きな貢献をしている教員について、メリハリのついた給与体系にしていくという方向が、非常に説得力があるのではないか。
教職員定数については、単に教員数を増やして教育条件を改善するだけでは説得力がないので、国全体が人権費を減らされる中で、いかに学校現場の教育を効率的に進めるかといった観点が重要ではないか。
学校現場の二極化や家庭教育の二極化が学級崩壊その他に影響しているといった現状を踏まえ、少人数学習・習熟度別学級編成等の多様な教育ができるよう学校現場の裁量権も踏まえた定数改善のほうが現状に合うのではないか。
定数減や、外部人材の活用の議論の前に、新しい教育基本法の第9条(教員)を踏まえ、教員の養成・研修・採用・待遇等の条件整備について議論すべき。数を減らして、給料減らせば節約できるという乱暴な議論ではなく、人材確保法を堅持し、教員の待遇を考えるという大きな方向性については、共通理解を持ちたい。
教員の採用については先見的に、長期に、弾力的に考えるべき。小学校低学年については、学習と生活指導の両面が担保できる学級担任が必要。中・高学年では専門性が高い教科担任制度を入れていくか、30人、35人程度の学級規模にすれば、活気もあり、面白い授業もできるのではないか。そのような趣旨を踏まえれば、地域の実態に合わせて、学校長、市町村教育委員会にある程度の判断を委ねるとともに、定数を下げてはどうか。
小学校を教科担任制にするという方法と併せて、中学校の先生が、小学校に教えに行く等の幼小中学校の連携や小中学校の連携を行う仕組みが必要ではないか。
不登校の問等については、生徒の心の問題や、地域の治安の確保などについては、専門家が対応すべきこともあるが、教員が全て対応しなければならない状態にある。教職員の定数改善に関する議論だけではなく、学校のマネージメントの観点からも事務職やスーパーバイザー等の専門家の活用も検討すべき。

(5) 大学等について
国公私立を超えた、新しい高等教育の在り方を描く必要がある。このままでは、国際競争力がなくなる。大学を核とした地域振興も私学の力が大きいが、小さな私学の衰退は、地方の衰退につながる。
国際競争に伍するためには、問題解決型の教育、教員の質の向上、教育研究の一体的な環境整備が重要である。
これからの日本は、多くの人が、多くの場所で、多様な力、知的な力を発揮し、アジアの中で日本がリードする国にしていくため、それぞれの地域で力を発揮する、裾野の広い多様な人材が輩出されるような高等教育の場をつくっていく必要がある。
社会人が学んだことを生かせるよう、社会のニーズを踏まえつつ、米国のように一定の知識・技術を修得したことが評価できる教育プログラムを提供することが今後の大学において非常に重要。
大学院を抜本的に強化し、世界的な教育研究拠点を形成すべき(「大学院教育振興 施策要綱」の確実な実施、卓越した教育研究拠点の形成、国際的に魅力ある大学院教育の構築)。
社会の信頼に応える学部教育等を実現(社会的ニーズを踏まえた個性化・特色化の支援と教育研究環境の整備、厳格な成績評価など「出口管理」の強化に向けた支援、高等学校と大学との接続の改善、大学教員の教育力等の向上)。
実践的な優れた職業人等の養成が必要(キャリア教育・インターンシップ等の推進、大学・専修学校等の支援)。
大学等の国際化を推進すべき(海外有力大学との連携強化(大学国際コンソーシアムの創設等)、留学生交流の推進、優れた教員の招聘)
留学生交流については、量より質を優先するとともに、米国トップレベルの大学院に入れる日本人留学生が減っているので、優秀な学生の海外派遣支援ができれば良い。
教育研究に継ぐ第3の大学の機能として、大学の地域貢献について、大学を地域おこし、地域経済の活性のための地域の核にするという視点を打ち出すべき。
地域における国公私立大学等の連携体制を構築すべき(地方大学コンソーシアム形成への支援、大学等の地域貢献機能の強化・拡大(地域人材の育成、イノベーション創出等)。
大学教育の質を保証する仕組みを確立すべき(大学設置の認可・基準の見直しと的確な運用、大学評価システムの定着・確立、分野別の質保証システムの構築)
我が国が、世界の主要な国々に対して人材立国として伍していくため、大学等の教育研究を支える基盤を強化すべき(基盤的経費(国立大学法人等運営費交付金、私学助成)の確実な措置、競争的資金(COE、科学研究費補助金等)の大幅な拡充と審査・評価の充実、各大学の個性・特性を伸ばす大学教育改革の取組支援の充実、教育研究施設・設備の再生)
国立大学の運営費交付金について、総額を減らす観点で傾斜配分をするような話があるが、それでは(国と地方の間で)格差のついたものとなる。もっと地方の国立大学に光を当てて、そこが持つ資源が活用され、特色が伸びるような方策を検討すべき(例えば、鳥取大学の鳥インフルエンザ対策に力を発揮された地道な研究など、他大学にはない取組)。
国公私立大学を通じた新たな学術研究の推進体制を構築するため、私立大学等の研究機能を活用した新たな学術研究システムの整備が必要である。
「新しい科学的知を創造する人材」(Differentiator:D−型人材)の育成を目指すと同時に、幅広い基盤知識・技術をベースに、「知の創造を社会経済的価値創造にまで創り上げる統合能力人材」(Integrator:Σ−型人材)の育成が必要であるが、我が国の高等教育はこの点の人材育成機能が不十分であり、その実現に向けて、大学、産業界、研究機関が三位一体的に連携を充実強化していくことが求められる。
このため、学部・大学院における優れた科学者教育と技術者教育への支援の充実、大学院における、産・学・官の一体的な連携による多様な能力を持つ人材育成の推進と教員の意識改革、卓越した国際的教育研究拠点を重点的に支援する取り組みの充実、博士課程学生に対するフェローシップ、TA・RAなどによる経済的支援の拡充(産業との連携策を含む)が重要である。
現行の大学設置基準は、大学を設置して一定の基準を満たせば私学助成が配分される仕組みはとなっており、入り口でチェックはするが、退出のところはうまく機能していないので制度化するなど見直す必要があるのではないか。
近年いろいろな形態の大学が申請されており、実際に今の設置基準ではカバーできない、基準を変えていく必要がある。早急に見直しを進める必要がある。
大学入試について、例えば、入試センター試験に論述式を入れるかどうかなど、試験をどういう形でやるか議論してはどうか。
大学が国際的な競争環境の中で、優秀な人材をスカウトしやすくなるような方策について検討する必要がある。
高度専門職業人育成の大学院は、MBAや臨床心理士養成、ロースクールやビジネススクールなど、職業に直結した、社会人の受け入れを行う大学が重要となってくる。
イノベーションの源としての多様な人材育成のため、その担い手となる若手研究者、女性研究者、外国人研究者など多様な人材が能力を最大限に発揮し、活躍する環境の整備を促進することが必要ではないか。その際、「自立」した研究環境、競争的で「切磋琢磨」する環境、「異」との触発による以下のような創造的環境等の整備に努めることが必要である。
例えば、若手研究者が自立的に創造的な研究を行うことのできる環境の整備、女性研究者が出産・育児等を両立し、能力を最大限発揮できる環境の整備、産業界との連携の促進などによる若手人材のキャリアパスの多様化、異分野、海外との交流など、「異」との交流による触発機会の提供等。
多様な人材を育成すべきだが、中教審では女性の力を活用しようという視点がない。科学技術基本計画では、期待される女性研究者の採用目標は自然科学系全体で25パーセントであるとされている。
競争資金のみで大学の教育研究を支えるというのはかなり難しく、人材育成にとっての基盤的な経費が必要。
大学院の質の低下については、確かにひどい学生もいるが、それ以上に教授が忙しく、指導の時間が十分に取れないという問題がある。また、研究費用がなくて教育が出来ない。
大学・大学院の質の向上を図るため、質の向上を自らできない大学は淘汰されても仕方なく、文部科学省のある一定の誘導又は、関与も必要ではないか。また、質の向上に向けた明確な方策を盛り込むべき。
社会的な背景を踏まえ、今後、高等教育の質的向上を図る、成人教育を拡大する、国際的な流動性を高めるなど、高等教育の構造改革を支えるため、21世紀としての戦略的な投資として高等教育へ社会全体が公財政支出することが必要であり、また一定の投資目標を掲げるべき。
グローバル化、少子化などにより、大学経営や学生の学力低下などの課題への対応のため、国公私学ともに、財政の確立が重要。国立大学運営費交付金を増額と、私学助成の拡充などを図るべき。
大学の施設は老朽化したものが多く、教育研究に影響を及ぼしている。ソフト面だけでなくハード面も考えるべき。学校施設は国の文化資産として考えるべき。大学の施設はお粗末であって、これではとても世界的な公的研究機関にならない。
優秀な人材を惹きつける魅力ある教育研究環境の整備が必要。
大学の施設費が大きく減少しており、インフラ、特に施設整備に投資すべき。
社会のニーズに合わない、すぐに役にたたないものが切り捨てられる傾向にあり、日本の知的基盤が薄くなってしまう恐れがあるが、どこかで再認識をする仕掛けが必要ではないか。
高等学校と大学等の連携が重要である。高等学校は義務教育ではないが、ほとんどが進学している状態で、高等学校をどうするのか骨太に考えるべき課題。
高等教育における専門学校の制度的な位置づけについて、引き続き検討を進めていくことが必要である。

(6) 私学の振興
日本の学生の60パーセントは私学の文系だが、今後、その質をどうするかが課題。文部科学省は、このような日本の人材の裾野をまともに取り上げてこなかったのではないか。教育の骨太の考え方を、中教審として早目に打ち出すことが重要。
私学については、新たに教育基本法に明記された趣旨を重視してほしい。
私学教育の充実が必要。
私立大学の学生一人当たりの国庫補助は、国立大学の10分の1程度であり、国私格差をどのようにとらえ、考えていくかが高等教育の大きな課題。

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