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子供時代(有効回答数102人) |
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両親、親戚、教師といった周囲の大人から知的な刺激を受けていることを示す記述が目立った反面、あまり勉強を強制されたことはなく、どちらかというとのびのびと好きなことをしながら成長してきている傾向が見られた(53人)。 |
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子供自身の知的好奇心も強く、自然に触れる、読書や趣味に没頭する等を通じて積極的に知識を吸収してきたことを窺わせる回答も多かった(43人)。 |
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教育については、子供の好奇心を引き出し、興味を伸ばすような教育の重要性を指摘し、構い過ぎたり、干渉過剰に陥ることを否定する意見が多く見られた(35人)。 |
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大学学部生時代(有効回答数94人) |
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自分で考えて勉強したことや友人・先輩からの刺激や周囲との議論・対話を通じて多くのことを学んできていることを示す記述が多かった(28人)。 |
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実際の教育に当たっても、議論や対話を中心とした少人数での演習やレポートを重んじる授業を重視する傾向がみられた(30人)。 |
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専門分野以外の文科系・理科系両面での教養を身につけたこと、知的なバックグランドの広さが研究活動を進める上で有益であったことを示唆する回答も目立った(21人)。 |
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大学院生時代(有効回答数93人) |
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研究をテーマの設定・変更、研究実施面で比較的自主性を尊重してもらいながらも、研究の過程では研究室内での議論や指導もしっかりと行われたことを示す回答が多く、自由が放任にはなっていないことを窺わせた(43人)。 |
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専攻分野の知識基盤を系統的に身に付けたり、境界領域・異分野の知識を持つことの重要性や、そのための授業を大学院教育の中で充実するべきとする意見も多かった(16人)。 |
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大学院生が経済的に自立するための支援を充実し、教官の労働力として使われている現状を改善し、大学院生がきちんと研究者として育成される環境を整える必要性を指摘する意見もあった(17人)。 |
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ポスドク時代(有効回答数71人) |
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海外の一流の研究者に指導してもらったり、接する機会を持てたこと、海外での人脈が形成できたこと、国際感覚を身に付けられたことなどを評価する意見が多かった(19人)。 |
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大学院生時代とは違った環境を経験できたことや、違った分野・新しいテーマで研究したことがプラスになったことを示唆する意見も目立った(18人)。 |
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ポスドクの経験について肯定的な意見が多い一方で、我が国のポスドクについては、ポスドク終了後の就職問題など、キャリアパスとして確立していないことが指摘された(19人)。 |
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助手・講師(テニュア・トラック)時代(有効回答数92人) |
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若いうちから独立して研究室を持てたこと、科研費を得たこと、米国でテニュア・トラックを経験できたことを評価する意見が多く、研究スペース、研究費などを含め、文字通り“独立”することの重要性が窺えた(41人)。 |
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若手の独立の観点から、現在の教授・助教授・講師の間の従属的関係を解消するよう提言したり、講座制・助手制度の弊害を指摘する意見(20人)や、米国のようなテニュア制度(テニュア・トラック→テニュアという流れ)採用の必要性に関する指摘もあった(11人)。 |
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注) |
テニュア制度、テニュア・トラックについて |
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アメリカの公私立大学で広く採用されている制度。大学院を卒業後研究経験を積んだ後,まず、一定の試用勤務年限(3〜7年程度)の定まった’instructor’,’assistant professor’等として就職する。その間実績を積み重ね,’associate professor’となった後にテニュア審査に合格すると「テニュア(終身在職権)」を取得し,その大学に終身雇用される。但し、’instructor’等として採用された者の全てがテニュア審査を受けられるわけではなく、特に数年後にテニュア審査を受けることが初めから決まっているポジションを“テニュア・トラック”ポジションという。 |
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教授・助教授(テニュア)時代(有効回答数94人) |
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流動化に対する肯定的な意見(新しい刺激を受け成果につながった等)が目立った一方で、実際の組織間移動に当たっては、移動する人の負担(機器の移動、学生の扱い、住居等)が大きいことや処遇面でメリットが感じられない(同じ組織に長く勤務した方が有利になっている)ことなどが指摘され、流動化に当たっての支援体制整備の必要性が窺われた(22人)。 |
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「雑用」に忙殺され、研究に専念できない現状の改善を求める意見が出され、書類作成を始めとした事務面での負担、教授会等の大学、学部、学科の運営に係る会議の多さ、独法化・大学評価等の作業の負担に関する指摘が見られた(48人)。 |
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組織のマネジメントについては、基本的には教授会等で扱うのではなく適任者・専門家に委ねるべきとする意見も多かった(26人)。 |
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シニア時代(有効回答数52人) |
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年齢による一律の定年制には否定的な意見が多く、能力に応じたリタイヤ(研究資金が獲得できなくなったら引退する等)を主張する意見が目立った(24人)。 |
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シニアが第一線で活躍し続けることは不可能であり、むしろ経験を活かして、教育、若手育成、組織の管理・運営、社会貢献等に努めるべきとの意見も多かった(33人)。 |
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時代に関わりない共通する事項 |
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以上の他の指摘の中で目立ったものとしては、以下のようなものがある。 |
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競争的資金の課題選定、評価の充実・強化(研究資金の配分機関での専門家の配置、名前や過去の実績に拠らない評価等) |
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自校出身者採用の抑制、公正な公募の徹底等によるインブリーディング(大学教員の自校出身比率の高さに代表される純粋培養、純血主義)の排除 |
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海外経験などを通じて第一線の優れた研究者に触れる重要性 |
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サバティカル制度(数年に1度、自己研鑽のために与えられる半年から1年間程度の休暇)の導入 |
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評価の負担(評価のための作業の負担、評価結果が十分に活かされていない等) |
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(参考資料) 国際級研究人材の養成・確保に関するアンケート調査における回答例 |