制度部会(第12回) 配付資料

1.日時

平成16年10月6日(水曜日) 15時30分~17時30分

2.場所

如水会館 富士の間(3階)

3.議題

  1. 我が国の高等教育の将来像について
    【意見発表】 日本私立短期大学協会
     独立行政法人 国立高等専門学校機構
     全国専修学校各種学校総連合会
  2. その他

4.配付資料

机上資料

  • 制度部会関係基礎資料集
  • 高等教育関係基礎資料集
  • 文部科学統計要覧(平成16年版)
  • 大学設置審査要覧
  • 教育指標の国際比較(平成16年版)
  • 大学審議会全28答申・報告集
  • 中央教育審議会答申「大学等における社会人受入れの推進方策について」
  • 中央教育審議会答申「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」「大学院における高度専門職業人養成について」「法科大学院の設置基準等について」
  • 中央教育審議会答申「新たな留学生政策の展開について」
  • 中央教育審議会答申「薬学教育の改善・充実について」
  • 中央教育審議会答申「新しい時代における教養教育の在り方について」
  • 国境を越えて教育を提供する大学の質保証について(審議のまとめ)
  • 科学技術・学術審議会人材委員会第3次提言(参考資料に第1次提言及び第2次提言を含む)
  • 科学技術関係人材の育成・確保について(総合科学技術会議決定)

5.出席者

委員

 鳥居泰彦(会長)、岸本忠三(部会長)、木村孟(副部会長)、黒田玲子の各委員

臨時委員

 天野郁夫、黒田壽二、関根秀和の各臨時委員

専門委員

 佐藤東洋士、高木不折、中込三郎、福田益和、森脇道子、四ツ柳隆夫の各専門委員

文部科学省

 結城文部科学審議官、石川高等教育局長、金森私学部長、徳永高等教育局担当審議官、泉高等教育局担当審議官、惣脇高等教育企画課長、小松大学振興課長、大槻私学行政課長、くわ原生涯学習推進課長 他

6.議事

 (1)「我が国の高等教育の将来像(審議の概要)」について、大学分科会での審議状況等を含め事務局から説明が行われた。

 (2)「我が国の高等教育の将来像(審議の概要)」について、3団体から意見発表があり、その後に質疑応答が行われた。

【日本私立短期大学協会の意見】

 「学位を与える課程(プログラム)中心の考え方に再整理していく必要がある」との提言は、それぞれの学位にふさわしい専門教育と教養教育とを統合した国際的通用性をもった体系的なプログラムのもとに課程の編成が必要であるとする新しい視点に立った、極めて重要な見解である。学位を与えるという社会的責任への自覚に立って、今後、大学、大学院、短期大学は教育研究の充実に更に取組むべきである。
 短期大学の教育課程を位置付けるに当たって、「学位取得のための教育と技能・資格取得のための教育の性格の違いを内容面から特徴づけるのは教養教育」であるとする指摘はまさにその通りである。実務教育・職業教育により短期大学が位置付けられることがあるが、その基底には教養教育があり、殆どの短期大学において教養教育が重視されていると言える。「短期大学における教養教育は、4年制大学における教養教育と同様」とする見解も、まさに我々の基本的認識に当たる。
 「短期大学を含めた大学における実務教育・職業教育は、教養教育の基礎の上に立ち、理論的背景を持った分析的・批判的見地からのものである点で、他の機関により提供される実務教育・職業教育とは異なる特徴があるものと考えられる」との見解も、尊重されるべきである。
 「短期大学における教育の課程修了を制度上の学位に結びつけることについて、国際的通用性にも十分留意しつつ、検討すべき」との提言に敬意を表すると共に、短期大学に関わる法的位置付けの検討を強く期待したい。
 「事前規制から事後チェックへという流れの中」で「多様な大学等が設置されるにつれて、国際的通用性や学習者保護の観点から高等教育の質の保証が課題となる」との指摘は最も重要である。
 設置審査の基準が急速に緩和する一方で、事後チェックの基礎である自己点検・評価がなお成熟を期さねばならない現状であることも事実である。この観点から「特に、一定程度の事前評価は必要であるとの観点から、設置認可制度について、」以降全体を「認証評価機関による第三者評価の成熟を期しつつ、当面、的確に運用すべきである。」というような表現に改めることの検討してはどうか。認証評価制度が成熟するまでは事前の規制が必要ではないか、との趣旨である。
 「国は、個人の経済状態を問わず高等教育を受ける機会を実質的に保証」する見地から「私立学校振興助成法の趣旨に沿った私学助成の一層の充実を図る」とともに「意欲・能力のある個人に対する支援を一層推進する」ための「各般の措置を推進することにより、教育・研究条件の維持・向上とともに学習者の教育費負担の軽減に努めるべき」との見解、及びこれに続く「このため、高等教育への公財政支出の抜本的な拡充を図るとともに民間企業や個人等からの資金の積極的導入に努めることが必要」との提言は極めて重要である。
 「新しい時代にふさわしい高等教育の位置付けに関し、社会人受入れの推進等の生涯学習機能や地域社会・経済社会との連携も視野に入れる必要がある」との提言について、その役割を主体的に果たす短期大学に対して、より一層充実した国の助成が必要だと考える。我々も生涯学習の担い手としての役割が必要だと認識しており、この役割が十分果たされるよう財政支援をお願いしたい。
 提言全体としては賛同すべきものであり、今後とも短期大学を含め宜しく御審議いただきたい。

【独立行政法人国立高等専門学校機構の意見】

 高専教育の特徴は色々あるが、1.早期からの5年一貫の技術者養成教育、2.体験重視型の専門教育、3.地域密着型の高等教育機関、について説明する。1は欧米の先進国に類を見ない我が国固有の制度であり、我が国の経済の発展に大きく貢献してきたところである。21世紀になり付加価値の高いものづくりが求められているが、高専の5年一貫のシステムはこの要請にも応えられる。その場合、2が非常に重要な役割を果たす。多くの高専で2を行っており、高専発ベンチャーが数多く誕生するなど多くの実績を挙げている。科学と技術が違うように科学者養成教育と技術者養成教育は本質的に異なり、高専高学年における技術者教育も大学の学士課程教育や短期大学の課程教育とは明確に区別される。今後とも高専が応用力に富んだ実践的、創造的技術者を養成する教育機関として非常に重要な役割を果たしていくことを確信している。3について、高専はほぼ平等に全国に配置されており、いずれの高専も地域出身の学生の割合が非常に高くなっている。またインターンシップや共同研究など、地域社会・地域産業界との連携による地域への貢献度も非常に高く、それに対する期待も大きい。
 高専卒業生の進路は多様であり、創設以来高い求人倍率とほぼ100%の就職率を維持している。これは卒業生が多くの企業から高い評価を受けてきたことを表している。平成3年度をピークに就職者の割合は減少し始めたが、これは高学歴時代を迎えて進学者の割合が増加してきたことによる。平成4年度には専攻科が設置され、長岡、豊橋の両技術科学大学を始めとする大学への編入と合わせると進学率は平成10年度には32.2%、平成15年度には40.7%にまで増加している。また専攻科修了者については約7割が就職し約3割が大学院に進学しているが、今後進学率が増加すると予想されている。
 単位の計算方法の改善についての記述が取り込まれたことに感謝したい。「編入学・留学先の大学に単位数の3分の2しか認められないという実態もある」との記述はその通りで、その他にも留学の可否を1学期間の成績で決められ、結果的に1学期分の学習を損してしまう例もある。
 また大学の1単位45時間という規定の中には自習の時間が含まれているのに対し、高専の30時間という規定にはそれがない。1学年当たりの取得単位数は大学と同じであり、高専生の時間的拘束が大学生のそれより厳しくなっているのが実態である。これは自習時間に対する制約になると同時に学校が斬新な体験重視型のカリキュラムを組む際の制約にもなっており、大きな問題である。現在の記述は「単位の在り方を分けて考える等の方策について、検討する必要がある」となっているが「検討すべきである」との記述にしていただきたい。
 専攻科の設置基準では専攻科修了者に対する学士の学位授与は大学評価・学位授与機構で認定することになっているが、認定に要する時間が膨大であり2年次の10月には論文を提出する必要がある。沖縄高専を除く全ての国立工業高専に専攻科が設置され、高専の将来像を語る上で専攻科の充実は最も重要な課題となっている。現行制度は上記の時間的問題以外にも精神的、経済的問題を引き起こしており、現在の記述では「引き続き検討する必要がある」となっている「専攻科の役割等について」具体的に検討していただきたい。
 もう少し詳細に説明すると、国立高専は第1期中期計画期間中にワシントン・アコードの水準となるべく努力を重ねており、これが達成されると自ら学位を授与する資格を有することが立証される直接的な材料となると考えている。また大学評価・学位授与機構が今年から高専の機関別認証評価を試験的に開始しており、この結果をもとに学位授与資格の有無を判断し、有ると認定された高専が自ら学位を授与できるような方向性を盛り込んでいただきたい。
 高等教育機関としての「競争的・重点的支援」の機会の拡充については、例えば現代GPの6つのテーマにおいて高専は2つしか応募資格が認められていない。地域活性化への貢献や知的財産関連教育の推進など、それ以外のテーマについても高専で取組んでいるところであり、広く機会を認めていただきたい。
 高専、技術科学大学ともに技術者養成のための機関として政策的に設置されたものである。科学技術創造立国の実現のためには技術者養成は大変重要な課題であり、様々な意味で高専と技術科学大学の連携を積極的に支援していただきたい。

【全国専修学校各種学校総連合会の意見】

 今回の審議の概要は高等教育政策を大きく転換する旨を明示したものであり、転換後の高等教育の中に専門学校をしっかりと位置付けていただいたことは極めて画期的である。
 特に「専門学校のうち一定の要件を満たすと認められたものを卒業した者に対して大学院入学資格を付与することも検討すべきである」との記述は「知識基盤社会」においては「個々の高等教育機関ばかりではなく、国の高等教育システムないし高等教育政策そのものの総合力が問われることとなる」との認識に対応するものであろう。平成11年度から専門学校卒業者の大学編入学が制度化されたが、その定着とともに大学等を卒業して専門学校に入学する学生も増加しており、大学と専門学校の連携は教育活動の相互の活性化、学生の目的意識の醸成等に好影響を与えている。大学院入学資格の付与は大学編入学の理念を発展させるもので、高度な職業教育を行う専門学校を確認する制度としても有用であり、大いに期待をしている。
 近年、専門学校は知識、技術等の高度化した専門技術者の養成等に対応するため修業年限を長期化する傾向がある。制度としての大学院入学資格の付与は職業人養成の観点からまさに高等教育政策そのものの総合力を高めることになる。
 「専門学校を含めた進学率」をもとに「ユニバーサル段階に既に突入」、「量的側面からすると、高等教育は万人に開かれたもの」とし、「質的側面においても、多様な学習者の需要に対して高等教育全体で適切に学習機会を提供する」必要があるとの記述があるが、過去の高等教育計画が主に大学や短大への18歳人口に対する進学率をもとに作成されてきたことと比べ、職業教育に対する見方が改善されてきていると感じている。
 しかし専門学校に対しては量的側面が強調され、質的側面が正しく評価されていない印象も受ける。専門学校は教育の質の維持向上を第1の課題と考えており、就職率約8割、かつ専攻と関連する分野への就職がそのうちの9割以上という数字は学生の目的意識の醸成・維持をはじめ、職業人に必要な人間性の涵養に資する教育を含め、専門学校の行う職業教育が社会から高く評価されていることの証である。専門学校の教育の質的側面に対する考慮は「依然として人々の意識の上では学歴偏重の考え方も根強く、意識と現実との乖離を解消する努力がなお必要」との理念に通じるものであろう。
 「各学校種ごとに、それぞれの位置づけや役割を活かした教育を展開するとともに、各学校種の中においても、各高等教育機関が個性・特色を明確化することが重要」との認識には大いに賛同できる。しかしロードマップの原則論である学校種ごとの教育機能の定義が明確に記述されているのは大学に限られている。また「知識基盤社会」において求められる人材は「大学のみならず高等専門学校、専門学校」においても「育成することが期待」されるとしながらも、「こうした多様な機関による人材育成は、社会全体の共通基盤の形成という大学の役割を土台としてこそ最も効果的に行われる」と教育機能において大学と他の学校種の優劣にまで触れている。このような記述は将来像の趣旨に反するものであり、今後是非検討いただきたい。
 専門学校の個性・特色を明確化する要素として職業教育を挙げている点は社会的な理解と整合している。しかし、他の学校種の職業教育に関する考え方が専門学校の職業教育の内容を分かりづらくしている。具体的には大学の学士課程教育を「教養教育」、「専門基礎教育」、「専門教育」の組み合わせと捉え、「大学における実務教育・職業教育は、教養教育の基礎の上に立ち、理論的背景を持った分析的・批判的見地からのものである点で、他の機関により提供される実務教育・職業教育とは異なる特徴がある」と教養教育の存在をポイントとして挙げているが、専門学校においても社会のニーズに的確に対応した職業教育に加え、人間性の涵養に資する教育を行っており、上記の観点から個性・特色の違いを明確にすることは難しい。法令上も学校教育法第82条の2で「職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図ることを目的」とし、専修学校設置基準第8条3項で「専門課程の授業科目の開設に当たつては、豊かな人間性を涵養するよう適切に配慮しなければならない」と規定されている。
 代替案として職業教育の中身あるいは取組み方によって個性・特色を明確にしてはどうか。大学における職業教育が「理論的背景を持った分析的・批判的見地からのもの」であり、学問分野として確立されていることを前提に人類全体の共通利益のために行われるのに対し、専門学校では学問分野としての確立以前から社会的背景、実態及び将来等を踏まえた必然的対応として先駆的に行われると言える。つまり職業としての確立及びその見込みを前提に、個人のニーズをもとにした実際の企業や産業にマッチした職業教育なのである。加えて大学の本来の目的が学術研究であることから、学問分野として確立された後でも実務的教育に対する比重の置き方は専門学校とで異なるものと考える。
 また大学等の修業年限がきちんと定められているのに対し、専門学校の課程は1年以上と規定されているだけであり、自らの教育目的等に応じて修業年限を定めることができるという利点がある。これにより社会や個人の学習需要に的確に応えることが可能であり、その辺りも個性・特色として明確にできるのではないだろうか。
 「専門学校は、今後、教育内容・方法や経営状態に関する積極的な情報開示や充実した事後評価の仕組みの確立による社会的信頼・評価の確保に努める必要がある」と書かれているが、平成14年に設置基準が改正され自己点検・評価が努力義務化されたことを受け、現在「教育・研究水準の維持・向上を図るため」の基本である自己点検・評価に積極的に取組みつつあり、今後も広く推進すべく評価の仕組みの確立に向け対応しているところである。また職業教育機関である専門学校はその教育活動等が社会や企業から既に厳しく評価されており、それを踏まえた改善・向上に努めている。
 情報の開示については本年度の私立学校法の一部改正により財務情報の公開が義務付けられたところであり、自主的かつ積極的に対応していかなければならないと考えている。
 「高等教育を受けた人材によって支えられる現在及び将来の社会もまた受益者」、「層の厚い高等教育の存立そのものが経済社会全体の発展の基盤として不可欠」の認識の下、各高等教育機関の個性・特色の明確化を促進する「多元的できめ細やかなファンディング・システム」の構築の重要性を指摘した点には大いに賛同する。しかし「大学・短大・高専の学校数・学生数ともに約4分の3を占めるなど、私立学校は我が国の高等教育の普及と発展に大きな役割を果たしてきた」の部分に私立が9割以上を占める専門学校が含まれておらず、是非専門学校も含めた形で公的な財政支援の重要性を表明するようにしていただきたい。それが今回の将来像の基本理念に沿うものであるし、大学設置・学校法人審議会学校法人分科会学校法人制度改善検討小委員会「学校法人制度の改善方策について」の「はじめに」に書かれた「設置主体や学校種の違い等に基づく様々な制度的取扱いや整備の在り方など」も今後「改善に向けた検討がなされることを期待したい」との提言に適うものと考える。

【以下、質疑応答】 (□:意見発表者、○:委員)

○ 大学・短大・高専は認証評価を受けることになっているが、専門学校として今後、自己点検・評価に加え第三者評価を受けることは考えているのか。

□ 東京都ではNPOとして私立専門学校等評価研究機構を立ち上げて第三者評価に積極的に取り組んでいる。専門学校全体としても文部科学省の指導のもと研究を重ね、積極的に取り組みたい。

○ 早晩実現するか。

○ 今日明日ではなく、中長期的な課題として対応している。先の機構は既に東京都の認証を受けており、大学評価・学位授与機構からもお話を聞かせていただいている。

○ 東京都以外でそのような動きはあるのか。

□ 具体的にはない。東京都を前例に、それを見ながら研究、対応をしていきたい。

○ 高専は高度経済成長期に技術者養成機関として作られたが、専攻科への進学や大学への編入学が増えてきた現在、大学の工学部と比べた高専の存在意義は何か。
 短大も女子教育の機関として発展してきたが、女性も男性も大学に行く時代になった現在の存在意義は何か。
 根本論として、既存の機関や制度を付け足しながら守っていく必要はないという考え方もあるのではないか。

□ 高専の5年間は教育中心で教員が研究を行う時間は殆どない。専攻科ができたことで研究機能が充実し、教員の活力が生まれた。学生への好影響にもつながっており、これからの高専の将来には専攻科の充実が重要だと認識している。
 編入学について言えば、学生は専攻科に行くか大学へ編入学するか選択でき、分野を変えたい等の要望に対応できる。

○ 専攻科まで行くと工学部と同じ年限であり、それが特別に存在しなければならない理由は何か。

○ 15歳という非常にフレッシュな頭に創造性教育を施せるのは世界中で日本の高専しかない。また高専の教育を受けた学生はその後も大きく伸びている。

○ 専門学校卒業者に対する大学院入学資格の付与は更に進むと専門学校が大学院をつくって良いかという問題になる。これに対して大学分科会では賛成、反対の両意見が出た。この問題はどう考えるか。

○ 審議の概要では「高等教育」と「大学」の区別が不十分になっている。高等教育の全体像を描く中で大学とは何かが問題になるが、そこで重要なのは教養教育である。今はそれが欠けているために「日本人」を育成できていない。
 高専教育の問題は研究をやってきた人達が教員になっていることだろう。専攻科ができたことで研究が活発になり教育に役立っているとのことだったが、研究のための研究を行っている実態がある面も踏まえる必要がある。専攻科が普及し一般の大学への編入学も可能である今、豊橋と長岡の両技科大は廃止も考えられるのではないか。
 日本が技術立国である以上、技術者は必要である。高専の設置基準が古くカリキュラム編成の制約となっているのは理解できる。創造性や多様性のある技術者を養成するためには大学にならった研究重視へのシフトではなく、単位の互換やカリキュラムを含めた教育内容の見直しが重要である。是非、これらに取り組んでいただきたい。

○ 21世紀になって短大、高専、専門学校の全てが本当に必要なのかという疑問もある。

□ 技術者養成をどうするかは国の課題。その中で中核となるのは高専と両技科大であり、技科大はむしろ拡大すべき。
 高専は出口の就職率だけでなく入口の入学志願率も高校に比べてはるかに高い。存在価値云々の抽象論ではなく実態論も必要ではないか。
 高専の研究志向について指摘があったが、私の所属する高専では教員の採用の際にはっきりと「ここは教育機関であり、研究がしたいのなら大学にアプライして下さい」と伝えている。研究は教育の裏付けのために行われており、研究志向の教員は絶対少数だと信じている。

○ 高専は中学卒業生を受入れる唯一の高等教育機関である。しかも優秀な中学卒業生が入ってきている。日本が科学技術立国を考えるならば是非この人材を活かさなければならず、国はもっと高専に投資すべきではないか。
 大学入学に向けた受験勉強が課されていない環境で教育ができるのがポイントであり、高専と大学は明らかに違う学校種である。高専経由でマスターを取得した学生が技術者として企業から一番歓迎されている。
 専攻科がなく、技術者養成課程が大学2年レベルで終了する制度であれば、それは世界的に例がない。どこの国でも大学4年レベルまでの教育体系があり、中には制度として大学と一緒になったところもある。専攻科の拡充や技科大との連携を含め、技術者教育の柱として機能することが必要。

○ どの学校種も公的な財政支援が必要だと言う。しかしパイは限られており、どこが本当に大事なのか見極めていく必要がある。

○ 短大は18歳人口の減少、女子の4年制大学への進学の流れを受け、入学者は減ってきている。しかし、それを受けて直ちに要らないとするのは乱暴であり、制度は社会が淘汰すべきものと考える。
 高専は若年からの技術者教育に特徴があるし、専門学校は緩やかな設置基準に最大の特徴があると思う。大学院入学資格の付与が実現され、そのための要件をクリアしようとすることで専門学校の特徴が失われるのではないかと危惧している。

○ 大学院入学資格の付与は、日本の高等教育を受けた者に対し公平に入学の機会を与えるものであると考えるべきではないか。

○ 大学院入学資格の付与により専門学校が大学と同じ位置付けになるとも考えられる。大学とは何か、専門学校とは何かという根本的な問題を明らかにした上で検討すべきではないか。

○ かつて専門学校は2年制が標準で3年制のものは主に看護系であった。その看護系が次々に4年制大学になっている今、どのような領域で4年制の専門学校ができてきているのか。
 高等教育機関に対する進学率が7割を超えてユニバーサル化してくるとともに、短大の4年制大学化を含め短期高等教育機関の修業年限が延びてきた。なぜ修業年限を延ばす必要があったのか。
 1つには高等教育機関への進学率が高まったことで職業教育が無視できなくなってしまったことが考えられる。どの高等教育機関も職業に向けた教育をする必要が出てきて大学、さらには大学院がこれまで専門学校が行っていたようなベーシックな職業教育を行うようになってきている。日本の職業資格が曖昧であるために不必要なところでも修業年限の延長が起こっているのではないか。教養教育、専門基礎教育、専門教育、専門職業教育の概念が曖昧なままに全てが修業年限の問題と捉えられ、学位を授与できる形に近づこうという動きと一体になっている。21世紀の産業社会、職業社会を考えた場合に果たしてこれで良いのか。これは個別の学校種だけを見ていても解決できない問題であろう。
 アメリカでも学位と職業資格との中間的な存在であるサーティフィケートが増えてきている。大学が出している場合も多く、学位というのは古い制度と言えるのかもしれない。

□ 専門学校に限らず、より質の高い職業人の養成が社会から求められるようになり必然的に修業年限の延長につながっている。例えば医療短大が学部になっている。他にも質の高い看護師、理学療法士、作業療法士、保健師、助産師等が求められ、修業年限が延びている。

○ 高専の単位計算方法の改善について、具体的にどのような改善策を考えているのか。
 一般科目と専門科目は年次で分けているのか。

□ 具体策は即答しかねる。是非御検討いただきたい。
 一般科目と専門科目の取り扱い方は各高専により異なる。また一般科目の中でかなり専門的なことを教えている等、一般科目と専門科目の境界が曖昧になってきている。

○ 1つの職業教育が細分化すればするほど、そこには一定の専門性が発生する。それとは別に先端的な専門性がある。その中間に一定の総合性をもった専門教育があり、その部分がこれからの日本にとって非常に重要ではないかと感じている。高専はこの中間部分の教育を行っているのではないか。
 この将来像は学校種を離れてそれぞれの教育機関が提供しようとしているプログラムに即した形でもう一度類別化を図っていこうという提言を出しており、その見地は非常に重要であろう。どの機関もそれぞれが描く教育に徹することが大事なのではないか。

○ 専門高校の中にも優れた成果を挙げているところがある。高専は専門高校との関係をどのように考えているのか。

□ 高専は5年間だが、それでも真に社会や企業が要求する技術者を養成するには不十分な部分がある。専門高校は3年間であり、卒業生が数多く高専に編入してくるなど十分な教育を行えていると言い切れるかどうかは分からない。

○ 高専は高等教育機関、工業高校や農業高校等の専門高校は高等学校としてできたという違いがある。また高専は技能者、専門高校は技術者を養成するという違いがある。

7.次回の日程

 次回は、平成16年10月28日(木曜日)15時~17時に開催することとなった。

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)

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