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幼児教育部会(第10回)議事録・配布資料


1. 日時: 平成16年3月12日(金曜日)15時〜17時

2. 場所: 如水会館 2階 スタールーム

3. 議題:
(1) 総合施設のあり方について4
 
有識者からの意見聴取
−あけぼの幼稚園・あけぼのっこ保育園安家園長
設置主体・管理運営のあり方について
利用形態のあり方について
意見交換
(2)  その他

4. 配布資料
 
資料1   意見発表資料(安家周一氏)
資料2   総合施設の設置主体及び管理運営並びに評価等のあり方について
資料3   総合施設における利用形態について
資料4   今後の幼児教育部会開催日程
参考資料   中教審答申(「今後の学校の管理運営の在り方について」)

5. 出席者
委員)
田村部会長、國分副部会長、無藤副部会長、池本委員、石榑委員、井堀委員、門川委員、河邉委員、酒井委員、服部委員、北條委員、山口委員

文部科学省)
近藤初等中等教育局長、金森初等中等教育局担当審議官、辰野初等中等教育企画課長、義本幼児教育課長、土屋幼児教育企画官、小田国立教育政策研究所次長、その他関係官
意見発表者)
安家周一氏(あけぼの幼稚園・あけぼのっこ保育園園長)

6. 概要
(1) 事務局より配布資料の確認があった。
(2) 安家氏の資料に基づく意見発表が行われた後、質疑応答、意見交換が行われた。
(3) 総合施設の在り方について事務局より説明があった後、意見交換が行われた。
概要は以下のとおり。
(◎安家意見発表者、○委員、●事務局)

<安家氏による意見発表>

安家意見発表者 学校法人立の「あけぼの幼稚園」という幼稚園と、併設している学校法人の「あけぼのっこ保育園」という保育園を現在は設置運営しているが、少し歴史的な経緯をお話しする中で、設立に至る思いや、そういうものを御理解いただければと思う。
 まずあけぼの幼稚園だが、昭和29年4月に個人立のあけぼの幼稚園としてスタートした。幼稚園教育は、当初から3年保育も実施して、3歳〜5歳の幼稚園教育をずっと行ってきたが、昭和50年に豊中市との話し合いのもとに、簡易保育所、簡易保育園という名称で、幼稚園の空き教室を利用した保育所制度の導入を行った。これは豊中市の条例に基づく簡易保育所という制度の中で行ったわけだが、当然それは、当時の厚生省からすると、無認可、今は認可外と言うそうだが、無認可の保育園になる。ただ、私どもは豊中市の条例設置に基づく保育所だったので、豊中市の認可であるという形で、豊中市と私どもの幼稚園の設置者との個人的な委託契約により、簡易保育所を併設した。
 以来、現在に至るまで保育所があるわけだが、個人立のあけぼの幼稚園は昭和56年に学校法人立の幼稚園に改組した。保育所が相変わらず簡易保育所制度の中の認可外の保育所だったわけだが、平成12年に規制緩和が打ち出され、学校法人でも認可保育所を設置運営することができるということから、学校法人立の認可保育所に組織を改め現在に至った。
 この保育所をつくっていく経緯の中で、1番目の我々の動機になったのは、親の収入とか、仕事を持っているか持っていないかとか、そういう家庭のありざまによって、小学校に入る前の子どもたちの行ける施設が限定される。行きたくても行けないというようなことについて、地域の子どもたちを見ております我々としては、どうもやはり違和感があったということで、たまたま豊中の行政とのいろいろな話し合いで、幼稚園の中にそういう保育所を併設することを試行するという形になりました。地域に住むすべての子どもに対して良質な教育を行うという意味では、我々にとっては枠組みが先にあるのではなくて、子どもたちの育ちであるとか、家庭のありさまのほうを優先させたような形のものである。
 あけぼの幼稚園は現在210名定員であり、現在、210名の子どもがいる。これは3〜5歳児。それから、保育園児は46名。もともとは40名施設であったが、これも少したくさん入れてもいい、最低基準を下回らなければたくさん入れていいということで、今現在、15%増しの46名が在籍している。保育園児は0歳児はいないので、1〜5歳児までというような子どもたちが46名いる。
 実は私の息子もこの保育所でお世話になったわけだが、私の息子も5年保育を経験した。1歳で入り、年長までずっと。46名の子どもたちが5学年いるので、1学年にすると10人に満たない子どもたちになる。1歳児に入った子どもが5歳までほとんど同じ空間で、同じ仲間と5年間過ごすということの経験をうちの息子はした。
 その中で、片や同じ敷地の中に100名に上る同じ学年の子どもたちが生活しているが、やはりクラスが違うということで、なかなか交わりが持ちにくかったり、我々の意図性みたいなものが少し足らなかったのかもしれないが、子どもたちの集団がうまく交じり合わないという現実を見たときに、今から14年ほど前になろうかと思うが、あけぼのっこ保育園の4、5歳の子どもたちを、その学年の幼稚園クラスに、幼稚園時間の間だけ交じり込ませる。そして、4、5歳の保育園児に対しては、1人の保育士が担任としているが、その担任は幼稚園の保育時間中を、あけぼのっこ保育園の子どもも含めた幼稚園のフリーの教諭というか、保育士として保育を担当する。そして、2時になると、幼稚園の子どもたちは帰るので、保育園に帰ってきた4、5歳の子どもたちを、担任している1人の保育士が公園まで保育を担当するというようなことに、14年前に変えた。
 これについては、先ほど申し上げた、子どもたちが3、4、5歳になったときには、集団保育が非常に大切である。多様な人、多様な友達と接する機会を保障してやりたいという思いから、そのような形で現在に至っている。
 資料については、あけぼの幼稚園の「ごあんない」に費用等については書かせていただいているので、これはまた御覧いただければ結構だが、あけぼのが保育園を併設するということで、様々な機能を私たちとしては実践する可能性が出できた。それが「あけぼの子育て支援メニュー」という資料を見ていただくとわかる。
 「延長クラス」「ホームクラス」「一時保育」「さくら組・さくらんぼ組」「たけのこランド」「青空保育」と、名称が並んでいるが、まずここのメニューの中で、幼稚園メニューと保育園メニューというものがある。左から「延長クラス」「ホームクラス」、この二つについては幼稚園のセクションで担当しているメニュー。それから、「一時保育」から右側の四つについては、保育園の職員が担当しているメニュー。これは経常費補助金という補助金を我々は受け取って、幼稚園を設置運営させていただいているので、やってはいけないこととか、行政のほうからのいろいろお達しもあり、幼稚園と保育園である程度すみ分けをしなければならないということから、まず「延長クラス」というのは、幼稚園児の子どもたちが保護者の理由のいかんを問わずに、一日20名の定員で、延長の保育を受けるというもの。1回800円というふうに費用を決めている。今は18時までしている。これは単発的なもの。
 「ホームクラス」は、定期的に子どもたちを預けたい、仕事を持ちたいという幼稚園児の保護者に対するクラスである。10名の利用者を想定しているが、保育料も一定入会金等もいただき、月決めでいただいている。利用が13日以上と12日以下という形で、費用を少し変えて徴収し、実践している。「延長クラス」はその日によって違うが、最大で20名、「ホームクラス」は現在5名ほど利用されている。
 その右側、「一時保育」からずっと保育園メニュー。これは厚生労働省の一時的保育事業というものが「一時保育」のもの。
 それから、「さくら組・さくらんぼ組」と「たけのこランド」については、これは私どもが以前から様々な取組の中で、子育て支援として保護者に非常に人気の高いものとしてやっている。「さくら組・さくらんぼ組」については、定期的に火曜日とか、満3歳を超えると、月、火、木の3日間、登園してくるというふうなプレ集団保育のようなものである。
 それよりももう少しやわらかいというか、子どもたちに負担が少ないようにということで、「たけのこランド」というものを一昨年から始めた。10回登園してくることをワンクールと考えているが、1回目から3回目を親子で参加、9時半〜11時半という午前中で、親子で遊びに来る。それから、4回目から6回目を9時半〜11時半の午前中、子どものみで保育を行う。そして、7回目から10回目、お弁当を持参して午後まで、子どものみで保育を楽しむというような、10回をワンクールとして、年間に3クール行うような形態である。1クールを10回で8,000円費用をいただくという形にしている。
 それから、一番右側、「青空保育」というのは、毎週金曜日、今日も11時過ぎからやっていたと思う。私は東京に来るので、今日は園長不在と言って出れなかったが、「青空保育」というのを近くの公園で、不特定多数の保護者と子どもが集まって、気候のいい日には、多いときは80組ぐらい公園においでになられる。そういう中で、集団遊びをしたり、簡単な製作物をつくったり、フォークダンスをしたり、親子体操をしたり、絵本を読んだり、歌を歌ったりというような、一連の活動を行う「青空保育」をしている。
 こういうものが、私どもが今取り組んでいる子育て支援としてのメニュー。きょうの資料にもあるが、保護者に配り、あなたはどのメニューにされますという形で御案内をする。
 従来、私どもはこのような形で保育を進めてきて、日本の子どもが小学校に入学するまでに、どのような環境で生活することが望ましいのかということを、以前から私も考えていた。行政的に二元で処理されている日本の小学校までの子どもたちの中で、様々考えることがあった。
 まず一つ目は、日本人の働き方、働かせ方、そして子育ての喜びということ。周辺諸施策を整備することはもちろんのこと、子どもを持ちながら働き続けることを選択する親御さんであったり、在宅で子育てに専念する親御さん、様々存在するわけだが、誰に限らずとも、子どもを育てることが非常にうれしい、幸せであるということが、本来、子育ての経験の中であるべきものなのが、残念ながら非常にそれが難しい時代になってきている。ある意味で、子育てとしつけの全責任を一人の母親がすべて担わなければならなくなっているという意味から、母親に対するプレッシャーが多いということ。
 役所では3歳くらいまで育児休業を取るということも、今は選択の中で可能になっていると伺っているし、働き続けることを前提に育児休業を取っても、所得の40%程度を雇用保険で補てんされるということも聞いてはいるが、まだまだ子どもを持ちながら社会の中で生活することは、働く方、専業の主婦と呼ばれる方々にとっても、日本の国の中で非常に難しくなっているという現状があるのではないかと思う。
 社会福祉法人のほうでも、学校法人のほうでもそうだが、保育所をやっていて、まず2歳までの保育を考えたときに、今現在、0歳児は3対1、1〜2歳児は6対1、豊中市は1人加配がついて、1歳児は5対1の基準だが、乳児期はやさしい大人との個人的愛着関係の保育が基本だろうと思っている。これは在宅においても、施設におきましても同じだろうと思う。そういう意味で、現在の基準ではそれを満たすことがなかなか難しいということもあるし、特に在宅で子育てをなさっておられる方々も孤軍奮闘という形になるので、何とか様々な保育のサポート制度をつくっていく必要があるのではないかと思っている。
 一つは保育サポーターのようなもの、保育ママ制度のようなものも考えられるし、各中学校区ごとに、例えば中学校に保育クラブなどを設置して、そのクラブ活動の一環として、放課後に子どもたちが施設保育のところにクラブ活動にやってくるというアイデアはどうだろうかと思う。必要があるときには、やさしい年長者との愛着が図れるような整備がなされた上で、施設で保育をするとか、在宅の子育てに対してサポートをもらうとか、様々なことをする必要性があるのだろうと思う。中学校の子どもたちがそういうクラブ活動をするということで、次世代の親を育てるという意味でも、大きな意味合いがあるのではないかと考えている。
 それから、3歳児〜小学校就学前までの保育について。生涯学習の観点が非常に重要になってくると思うが、現在、公私立の幼稚園、公私立の保育所、認可外の施設、総合施設、その施設を問わずに、日本の3〜5歳、すべての子どもは新しく制定する仮称「幼児教育要領」―このイメージは、昭和23年に保育要領というものが文部省によって制定されているが、あれは決して幼稚園の施設に通う子どもだけの要領ではなくて、幼稚園や保育所、そして在宅の子育てについても参考にしてもらうような読み物になっていると聞き及んでいるが、その保育要領的なものを設定して、どこの施設にいようとも、幼児教育要領に基づく幼児教育をきちんと受けるというふうなことを考えればどうなのかなと思っている。
 それと一つの施設ですべての機能を担うことは、ある意味で不可能でもあるし、効率も非常に悪いということから、エリアで、地域全体で様々な機能を共有し合いながら、子どもたちがそれを利用するという発想も必要なのではないかと思っている。
 そういうことから、総合施設についてであるが、地域に存在する既存の乳幼児の保育教育施設との連携をもとに、新しい総合施設の機能や役割を考えていただきたいと思っている。
 3、4、5歳の子どもたちについては、3−4−5歳児の縦割り保育などの形で集団保育を受けることを大前提にしたいと思う。ただ、集団もいつまでも集団であればいいというものではなく、やはりある一定時間的な限界もあるので、少し長時間にわたる保育の子どもについては、個人的な活動が保障をされるような保育の在り方も必要かと思っている。
 補助金についてだが、従来、機関的な補助、器に対する補助だったものから、果たした機能に対する補助に移していく必要性があるだろうと思っている。いろいろと質的な担保のことであるとか、免許のことであるとか、難しい問題はそこには存在するが、従来のような学校法人立幼稚園だから経常費補助金がもらえるとか、認可外だったらそういうサポートが全くないということについても、使う側、利用する側のことから考えると、それはあまり納得できるものではないということから、果たした機能、利用した機能に対して補助が積算されるシステムが必要なのではないかと思っている。
 保護者負担だが、同じサービスについては、同じ単価でということを一定考える必要性があるだろうと思っている。ある意味でバウチャー制のようなものも観点の中に入れる必要性があるのかと思う。
 次に、これが今回の総合化の施設において一番大きな問題だろうと思っているが、適正配置をコントロールする機関が非常に難しくなる。既に千代田区の例もそうですし、岐阜県瑞浪市、岐阜市、大垣市で、公立幼稚園と公立保育所の合体施設ができて、近くにある私立幼稚園の園児が激減するということが現実に起こっております。市町村の行政マターである公立幼稚園、公立保育所、そして民間保育所と、都道府県であります我々私立幼稚園というような、今現在はそういうところでも齟齬が生じているということがあるわけだが、今回、総合施設が生まれることによって、それが加速するような危惧を私どもは持っている。そのことから子ども庁的な、そういう一元的に処理をするセクションをぜひ国においておつくりをいただきたいと思う。
 情報公開と評価については、横一線に保育施設が並ぶわけだから、それを保護者が選ぶときに、情報がきちんと開示され、提供される。そして、わかりやすい言葉で、理解がしやすい言葉で提供される必要性があるだろうということから、公的な第三者による評価制度の導入がどうしても必要になってくると考えている。
 最後だが、こういう総合施設の話が出てきて、従来、ずっと二元行政の中で、矛盾点、そして保護者の負担の格差、施設に対する格差、様々な格差を生んできた行政だが、ぜひこの機会に様々な点の抜本的な見直しが行われて、みんなにとって平等な施設なり、平等な制度になることを望んでいる。
 それと小学校就学前の子どもたちにかける社会保障制度、そして社会保障にかける金が、日本の場合はあまりにも貧し過ぎると我々はいつも感じている。ぜひ人生の根幹を培うこの幼児教育のところに、もっときちんとした公金がつぎ込まれて、いい制度がつくられますことを願いまして、発表にかえさせていただく。

委員 保育所の方は現在は学校法人のままで認可保育所になっているということで、補助金はどうなっているか。

安家意見発表者 運営費は保育所並みに出る。運営費は出るが、施設設備に関わる費用については、一切サポートがない。だから、今回、認可保育所にかえるときにも、調乳の設備とか、沐浴の設備をつけ加えたのだが、そのときにもそういうものに対するサポートはなかった。だから、自費でそれをやらせていただくという形。

委員 三つほど質問をさせていただきたい。
 一つは、「あけぼの子育て支援メニュー」で、人材、場所、経費、そういったものがどのように、特に人材をどうしていらっしゃるのかを伺いたい。
 二つ目は、「2歳までの保育」だが、資料に中学校などで保育クラブなどの創設を働きかけというふうにあり、もしやっていらっしゃるのなら、どんな現状なのかということをお聞きしたい。
 三つ目は、「情報の公開と評価」というところだが、そこで総合施設においては、公的な第三者が評価し、とある。今、保育所は第三者評価なのだろうと思うが、幼稚園の部分でどんな評価をなさっているのか。例えば、幼稚園は学校教育の中に位置付けられているから、自己点検・自己評価とか、学校評議員制度とか、保護者による評価とか、そういったことはどうなされているのか伺いたい。

安家意見発表者 まず幼稚園メニューのほうの「延長クラス」と「ホームクラス」。「延長クラス」については、パートタイムの幼稚園教諭の免許証を持っているが、既に子育てが終わったパートタイムの職員を午後に、ちょうど2時に保育が終わるので、その時間に合わせてパートタイムで要員をしている。「ホームクラス」については、同じくパートタイムの職員がこれに関わる。
 それから、保育園のほうのメニューの「一時保育」「さくら組・さくらんぼ組」「たけのこランド」「青空保育」だが、これについては、保育園のほうの要員がそれに関わるということで、これはパートタイムではなく、基本的には正職の者たちが関わります。ただ、延長の長い時間のものとか、例えば「たけのこランド」のスポットのところに時間的な助っ人を入れ込んで、このメニューが達成できるようにするということで、これはほとんど「延長クラス」と「ホームクラス」、つまり幼稚園のほうは、若干文科省の補助金をいただいておりますので、そういうものを充当している。
 それから、保育園メニューのほうの人的なものについては、様々な子育て支援メニューが選べるものがあり、一つ、例えば次世代間の子育ての育成事業を選ぶと、年間に25万円いただけたり、そういった補助を少しずつ充てながら、上手にやっているという形になる。
 それから、保育クラブへの御質問だが、実はこれは私のアイデアではなく、私の友人のアイデアで、その友人の地域では既に今始まっている。私どもの近隣でも、このことを校長先生と話をしながら進めているが、できれば豊中市全体に広がっていけばなという願いは持っているし、こういう活動がかえって子どもたちの次世代を育てるという意味でも非常にいいと思って、今後、実践してまいりたいとも思っている。
 自己点検・自己評価については、既に我々のほうでは実践を始めている。学校評議員制度というのは、幼稚園の場合はまだ現実にはスタートしていないが、自己点検・自己評価については、既にある程度、全日私幼連という全国団体でもそういうマニュアルはでき上がってきているし、大阪府独自でもCD−ROMに焼いたものを、全園に配付して、各園で自己点検・自己評価のできるようにということになるが、いかんせん私立幼稚園というのは、ある意味で各設置者園長の裁量に任されている部分が非常に多い。そういう意味から、ある一定の幅の中で、一つという意味でなくて、この幅ぐらいの中には入っていようという意味合いで、あまり極端な教育の方法が用いられるというのも、子どもにとっていいのか悪いのかの議論もあるだろうし、そういう意味での評価制度というものを外部に置く必要性があるのではないかと考えて申し上げた。だから、自己点検・自己評価をするということは、当然、自園を健全に運営していくためには必要なことだが、それ以上に幼稚園だけではなく、保育所、そして認可外の施設についても、そういう評価制度を一律にすることによって、選ぶ保護者にわかりやすくその情報を提供する必要性があるのかと思ったので、このように書かせていただいた。

委員 「一時保育」「さくら組・さくらんぼ組」「たけのこランド」「青空保育」は、今、予算が出ている中から、そういったものを利用しながらお金のほうはやっているということでしたけれども、そうしますと、この辺は割合最近できた支援メニューか、それとも前からあったものか。

安家意見発表者 ものによっては違うが、「青空保育」のようなものは、実は私が中心になりながら、少し手のあいている職員を一緒に連れていってやるというようなものなので、ほとんどこれは人件費的なものはかからないし、製作物をするにしても、牛乳パックであるとか、あまり費用のかからないようなものを用いてやるので、これはあまり費用がかからない。
 一時的保育事業というのも、既に10数年前から、これは当時、厚生省の保育メニューの中にも既に入っていたので、これを豊中市が採用し、各保育所で展開をしているということ。だから、これは歴史的に10年ぐらいある。
 「さくら組・さくらんぼ組」というのは、これは以前保育園メニューではなかった。全く違った組織でやっていたものだが、認可保育園になったことを契機に、保育園のメニューとして取り込んだもの。
 「たけのこランド」は、まだ2年ほどしかたっていない。

委員 ただいまの御発表の中で、従来のこの部会の検討の中で出ていなかったところとしては、地域の施設全体で充実した機能を発揮する、というところ。一つの施設にすべての機能を持ち込むのは実は不合理だし、コストもかかってしまうという、こういう視点が出て、なるほどと思った。例えば総合施設を考えていく場合、画一的なものをイメージして、かちんかちんにつくるということは、これは弊害のほうが多いと思う。今日の御提言のように、いろいろな幼稚園があって、保育園があって、あるいは子育てママさんがいたり、多様な形態があって、それが全体として子どもたちを総合的に育まれるようなシステムをつくっていくのは極めて大切なことだと思っている。大変いい御提案をいただいた。

委員 私自身も、もともとは総合的に盛り込んだほうがいいということ考えており、あと私立幼稚園の立場からすると、0〜2歳にニーズが増えているので、そこに対応したほうが経営的には安定するという観点から、今、0〜2歳まで幼稚園が取り組んでいるところが出てきているので、そこに今後、みんな幼稚園も向かっていって、結局、みんな総合施設になってしまうのかというイメージを持っていたが、ある幼稚園の先生からは、むしろ就労支援ではなく、就労規制だというような話があったが、0〜2歳はきちんと家庭でやって、3〜5歳をしっかり幼稚園でやるという流れもきちんと保障するというそのバランスを選択肢として残すことも非常に重要だろうということで、最近、思い直しているところ。
 ただ現状として、どうしても今は0〜2歳は、保育所に行けば補助金もたくさん出ているので、どうしても親はそちらのほうに自然と流れてしまい、私立幼稚園も3〜5歳だけしっかりやろうと思って頑張っていると、他のところにとられて、この間伺った0〜2歳を始められた園も、園児を獲得するという目的もかなり出てきてしまっているように思っている。
 なので、私自身は、別途、在宅育児手当の議論なども勉強しているところだが、もしも本当にいろいろな選択肢を残すということで家庭でしっかりやって、幼稚園で3〜5歳というのをきちんと残すということであれば、保護者が家庭でしっかりやるという部分への補助を、それは教育としてやるのかどうか、あるいは0〜2歳の部分をバウチャーにして、家庭で使うのか、保育所で使うのかという選択肢もあるかと思うが、そこまで取り込んで考えないと、親の部分は家庭だけというふうに残してしまうと、自然とそこが補助金のある保育所のほうで侵食されていってしまうこともあるかなということも考えている。

委員 地元の幼稚園のほうの団体から、むしろ在宅保育手当にいくべきだという議論が非常に強くある。今やっている幼稚園の先生方のお考えは、そういうものがあるのだと思うが。もともと、これは本来、公ではなくて、企業がやるべきだという意見もある。企業がやるべきことを国が負担しているのだという意見もあるようで、非常に難しい問題がいろいろある。そこで、総合施設というのが、一つのそういう問題を解決する切り口になればいいかということで、最初は三元化なんだと思うが、それが将来どうなっていくかということを見据えながら、この施設を考えていくということなのかと思っているが、いろいろな問題があることは事実。これから一挙にそれが出てくるだろうと思うし、それは全部解決していかなければいけないことだと思う。

委員 総合施設の中で、たぶんすべての施設が0歳からでなくてもいいというような議論にだんだんなってきているような気がするが、仮に3歳以上の今の幼稚園段階をもうちょっといろいろな形で柔軟にするにしても、安家先生のお話で言えば、「たけのこランド」とか、要するに3歳未満の親子登園や2歳児クラスとか。この2歳児も毎日ではない。週に1日とか、3日とか、いろいろあるようだが。従来はそういうのは、保育というか、幼児教育というか、そういう位置づけではない。子育て支援の一部だというか、幼児教育施設なり、保育園にしてもおまけみたいなものだったと思う。そうではなくて、それを乳幼児保育、乳幼児教育の重要な一部としてきちんと位置づけて、それなりに補助金を出していく。そういうことなら、総合施設の中でそれは柔軟に扱えるのではないか。そうすると、場合によっては0歳の親子登園とか、その中で親と子どものグループ活動とか、そういうことがあってもいいし、いろいろ柔軟な、従来のクラスに集まって、10人、20人、30人というのではないようなスタイル、毎日ではないようなスタイルも位置づけられると、いろいろなニーズにこたえられると思う。
 様々な調査を見ても、確かに待機児童はなかなか解消しきれない部分があり、かつ3歳未満児に待機児童がかなり多いのだが、全保護者というか、親の率からいえば、特に3歳未満についていえば、家庭で育てたいと思っている人のほうがはるかにまだ多いわけだし、少しずつずっと働く人が増えるにしても、一気に倍になるとかということは、これから5年、10年でまずないだろうと思う。だが、そういう人たちの育児不安の高さや、何らかの意味で親としてしたいとか、指導を受けたいというニーズは、これはかなり高いわけだから、従来保育や教育と思わなかった部分をもうちょっとしっかり位置づけて、専門性のある先生が指導に、保育に関われるということを考えてもいいなと思っている。

委員 週5日制に移るときに、幼稚園の先生がかなり強力に反対した。というのは、あの年代で毎日続けていたのが、2日休むと元に戻ってしまうからという理由で。それは子どもが小さければ小さいほどそういった影響が強いということで、強力に反対した先生方がおられた。だから、小さいうちはむしろ毎日やったほうがいいという説もある。その辺りのところで何かお感じになられたことは。

安家意見発表者 毎日来る子と飛び飛びで来る子とあるが、うちは2歳児の子どもたちも対象だが、週5日間、毎日べったり来ることについては、私はあまり賛成はしていない。3歳児についても、私どもはちょっと前までは、木曜日に1日お休みを取る。これは6日制のときだが。というようなことをして、少し楽にしてやるということもしていたぐらいで、2歳児が週5日間毎日登園するということについては、体力的に集団のパワーのことから考えても、育ちの上でそんなにいいとは思っていない。ただ、満3歳を過ぎたころからは、そういうことにも耐えられるだろうし、それが自らの楽しみとなっていく子どももいるので、すべての子どもというよりも、子どもによってという感じがする。
 もう一つは、受け皿になる家庭の様子が家庭によって本当に様々で、ある意味では毎日子どもに出ていってもらわないと、気が狂ってしまうというように感じておられる保護者の方もまたおられて、子どもといることが本当に幸せであると感じられる親御さんもおられるが、地域のネットワークが希薄になっているということから、子どもを母ひとりで育てるには少し荷が重過ぎるのかと思うことは、私どもはたくさんある。

委員 いろいろ見ていると、幼保三元化を超して幼保多元化の時代になるのかという気もしている。既にそういった状況も生じているのではないかと思う。
 いろいろなメニューを選べるように、これまでおまけというか、そういうものでやっていたものをきちんと位置づけて、そこに補助を出していくというお話が先ほどから出ているが、その補助を出していくという考えも、こうやって多元化になってくると必要だろうし、あるいは利用する家庭側にある一定の、利用券というか、そういうものを一律に渡しておいて、幼稚園を選びたい人は幼稚園でそれを使う、あるいは保育所で使いたい人はそれを保育所で使う、こういった支援メニューに使いたい人は使うというようなシステムの構築もいいのではないかと思う。
 機関に対する補助を、今度は施設が果たした機能に対して補助が積算されるシステムなんていうこともあったし、全く発想を転換した補助も必要なのかなということを思った。
 それから、保育クラブのことだが、私どものところでは、結構、中学生のボランティア部、部活動だが、そういったお子さんたちが、かなり頻繁に幼稚園に出入りしています。本当に次世代に親になる人たちを育てることになるというのを、そういった現状から実感している。例えば、もちろん小さなお子さんと接するわけで、自分が何かをしてやろうと思って来るらしいが、反対に子どもたちから教わる部分のほうが多かったという感想を言っている。それから、子ども同士がけんかをしたときに、その仲裁をしながら、自分の交友関係に思いを馳せながら、〈あ、そうか。相手はこんな気持ちだったのか〉という、人間関係の勉強もしているという感想も寄せられているので、こういったことはぜひ、どんなところでもいいから、広げていくといいと思った。

委員 多元化を考えるときに、原則が必要だと思う。そこに何か原則がないと、乱立してわけがわからない状態になってしまう。安家先生のお話では原則に二つの方向性が示されていて、一つは子どもの発達をしっかり押さえる。安家先生も、2歳までは集団化以前の問題で、1対1の落ちついた生活が必要だとおっしゃっているので、そのように子どもの発達を押さえて、様々な保育形態を提供する。
 もう一つは、幼児教育カリキュラムとおっしゃっているけれど、幼児教育要領、カリキュラムの考え方というのは、ある一定の時間内で、ある一定の集団、ある一定の期間を想定して、教育の目標を立てるのがカリキュラムの理論ですので、それが崩されないようにしなければならない。
 ほかにもあるかもしれないが、その二つの方向性をしっかり押さえないと、多元化といってもぐすぐすになってしまうかと感じた。

委員 私の関係の幼稚園は、渋谷の駅のすぐそばにあるが、毎年のように地方の中学生が修学旅行に東京へ来ると、渋谷に遊びに行くと言うと具合が悪いらしく、うちの幼稚園でボランティアをやると言って来る。毎年のように来る。ちょっとボランティアをやって、原宿で散策して帰るようだが、そのような仕組みをするというのは、次世代の子育てには非常に意味があるような気がする。幼児教育を全体が考えるという仕組みをつくっていかないと、解決できない問題が出てきているということなのだろうと思う。
 実は数日前にお母さんから相談があり、子育てで、離乳食にしたら食べなくなったと言う。離乳食にするというのを、ミルクを与えているときと同じようにやろうとしている。本にそう書いてあるから。一日に何回で、何時から何時までに与えると書いてあるから、そのとおりやろうとする。そうすると、赤ちゃんはおっぱいを飲むときはそのとおり飲むんだけれども、離乳食になると味も違うし、食べにくいし、絶対にそのようにやらない。そうすると、悩んでしまう。「一体どうしたらいいだろうか」と。「そんなのはずれて当たり前なんだ」と専門家の先生が話したら、安心して帰って行った。本当に当たり前みたいなことが実は解決されていない。それが拡大してきているというのが、今の社会なのかもしれない。
 幼児教育というのは、そんなに難しいものだけではなく、本当に根本みたいなところが、今まではお年寄りの知恵で解決していたのがなくなったので、どこかでやらなければならなくなる。そこまで踏まえて議論しなければいけないのかもしれない。もちろん先ほどの話の中の原則、これはしっかりと踏まえてということでいかなければいけないと思うが。

委員 今、子育ての0〜2歳が行き場がなくなっていて、そのような人たちがたまり場のようなところをつくってはいるが、そこがなかなかうまくいかないというのは、その後の上とのつながりがないことだとか、ある先生の理念のもとに一定の教育方針があるとか、将来がなかなか見えなくて、ただその時間だけが解消できればいいというような場になってしまっていることに、皆さん非常に不満を感じられている。その意味でも単にそこで小さな子どもだけを集めるのではなくて、もっと教育組織としてのきちんとしたところに属して、将来的にそういう方向の一部にいるんだというルートが見えるとか、そういう教育理念に触れることが非常に重要なので、幼稚園がそういった活動をやるということには意味が非常に大きいように思っている。
 補助金についても、私が調べているニュージーランドでは、親子の集まりの活動なども、幼児教育の一つのジャンルとしてきちんと位置づけられていて、選択肢としてちゃんと親にも情報提供されており、補助金ももちろんつくということで、そういった一貫した中に、こういうものを位置づけていくことによって、親の側としても非常に参加しやすいし、ハードルが低くなって、またそこに行くことのメリットも大きくなるのではないか。

委員 やっぱり年齢の軸というのが非常に重要なってきていて、0歳〜2歳ぐらいまでというのは、子どもが親に依存しているわけで、そういう意味では親子ぐるみでひっ張り込んでの活動が大切であり、3歳からは幼稚園教育要領の中にあるような、教育的なものがきちんと位置づけられ、それが小学校につながっていくというか、そういう筋がきちんとなければいけないと思う。
 多元化するときには、少なくとも私たちは幼稚園教育要領というのは、歴史もあり、非常によく考えられて積み上げられているから、そこを教育としては譲れない、国としてのガイドラインというか、最低限のものとして保障していかなければいけないのではないかと思う。

委員 一元化、二元化、三元化、多元化という、幼児教育の原則を幼保にかかわらず、総合施設にかかわらず、それを徹底してもらうということだと思う。

<設置主体・管理運営のあり方について(総合施設のあり方について)>
委員 資料では、保育所のほうの公費負担は、あくまでも国基準で、実際の数字ではない。いつもこれしか出てこない。やはり現実にどうなのかということは、地方の負担分も含めて資料を出していただかないと、本当の姿がわからない。ぜひ御配慮をお願いしたい。
 この数字で話をしてしまえば、保育所の4、5歳児と私立幼稚園の保護者の負担とはそれほどの差はないということになってしまうが、これは事実に全く反しているわけで、これが歩かれては困る。
 要は厚労省が出さないからいけないので、文科省の責任ではないと思う。

委員 現実に国が決めている保護者徴収金というのがある。所得のランクによって違うが。国が決めている徴収金の約7割しか市町村では徴収していない。現実に100徴収しなさいというように国が決めているのにも関わらず、豊中市の場合は、68とか、69、そのぐらいしか徴収していなくて、全国の市町村の徴収の基準が大体そのぐらいだろうと言われている。
 もう一つは、公立の保育所を中心にと聞いているが、保護者が保育料の負担を滞納する。徴収に非常に苦労を来している。現実に徴収不能額が年々何千万円という金額に上っているという事実もあるので、この徴収金額をいろいろお考えになったりする場合には、そういうところの要素も含めて、詳細に調査をなさって、突合する場合にはぜひそういうところのファクターもお考えをいただきたいと思う。

事務局 この辺りはかなり技術的、専門的なところであり、私ども十分、資料自身、できるだけ努力させていただきたいと思うが、かなり専門的な技術的な検討が必要な部分なので、すぐにこの問題について一定の方向性なり、あるいは姿、具体的なところは、もうしばらく時間がかかる問題ではないかと思っている。

委員 そうすると、今日の資料というのは、ここの部会のということで、厚労省との話し合いがベースになっているということではないということか。

事務局 御参考までに資料として出させていただいたが、厚労省のほうには事前にお話をさせていただいて、一応了解をいただいた上で出させていただいている。

委員 資料についての質問だが、施設の利用のところで、保育に欠ける要件の有無に関わらず、希望するすべての幼児を受け入れる、そのような考え方でいいかと、こういうことだが、「受け入れる」という意味が、幼稚園の場合には、入園希望して、何らかの選考があって入る。保育所の場合には、保育に欠けていれば、市町村は受け入れなければならない。「受け入れる」と単にあるが、これはどっちに頭があって、選考して受け入れるのか、受け入れなければならないかによって、全く違ってしまう。
 というのは、ある資料では次の点にも留意すべきと考えるがいかがかということで、いろいろなことが書いてあるが、別の資料では単にそういうことは触れないで、とにかく「受け入れる」と、こういうふうな資料であると理解していいのか。

事務局 インプリケーションを持つような意味ではなくて、一般論としての「受け入れる」ということであり、基本的にはそれぞれの施設においても定員を設定して、その中で選考してということになると思います。たた、ここで出させていただいたのは、一般論としての「受け入れる」という意味である。

委員 学校評議員の設定と、あと外部評価の割合については、公立幼稚園のデータということで出されていたが、あれは私立幼稚園についてはデータにないということでよろしいか。

事務局 先ほど意見発表者から御紹介があったように、私学団体のほうで、自己点検・評価については、評価項目をおつくりいただき、今、取組をされておられるが、全体として私学についての状況については、まだまだ途上なので、私どもとして今、調査をして持っている数字というのは把握していない。これは公立につきましては、公立の幼稚園長会のほうでお調べになった数字を使わせていただいている。

委員 学校法人の設置には理事会と評議員会というものが義務づけられており、従前より評議員制度というのは、私立としては持っている。ただ、学校の教育的な評価に対する評議員の役割が、従来はあまり位置づけられていなかったので、どちらかというと運営形態、運営状況に対する意見具申を行うという意味での評議員制であったために、我々としても評議員会の内容を少し精査をして、今後は学校教育の内部にも少し意見をいただけるような体制を整える必要があると思うが、そういう組織は以前から我々も持っている。
 運営にかかわっての学校評議員制というのは、私立学校法の評議員とはちょっと違うが、私立学校はそういう制度を利用して、学校教育に評議員会、評議員制度的な利用をするということは意味があることだと思いますけれども、今の評議員制度そのものは、学校教育法に規定して、学校法人と関係なく、学校をやる場合は幼稚園も含めてこういったものをやってほしいということが規定されているという趣旨でございますので、いろいろなやり方で対応されるのがいいと思います。私立学校であれば、従来ある評議員制度を利用してやるというのももちろんいいのだが、この議論はそういう意味ではちょっと違うといことだけ御説明させていただだく。

事務局 事務局の説明が十分でなかったところがある。自己点検・評価、情報公開につきましては、幼稚園設置基準を改正して、これは公私立を通じたものとして設定させていただいている。他方、学校評議員制度については、公立学校を念頭に置いた制度として、今、導入が進められているというものである。

委員 学校評議員のお話が出たので、数値はわかったが、公立幼稚園で教育内容にどのようにそれが反映されているのか、内容的なものを質問させていただいてよろしいか。

委員 例えば文京区の場合だと、文京区は10園あるが、今年度、設置された。幾つかまとめたものがあることはあるが、実際に本園の例で言うと、年間に3回ほど実施した。委員になっている方々は、地域の方。例えば町会の方とか、それから小学校、中学校の校長先生が入っているところもあるし、それからPTAの関係の方とか、お医者様とか、幼稚園を取り巻く地域の方で、幼稚園の御意見番にもなり、また、応援団にもなるようなというところで選んでいる。年3回ぐらい実施したところが大体多いが、そのほかに保育所が入っていたり、警察、消防、そういったところが入っているところもある。図書館とか、児童館とか、保健センターの方、それから同窓会の方、ボランティア関係の方、園によって人選は様々ですけれども、そんな方々が委員になっている。
 それから、内容だが、議題は発足当時なので、会の趣旨説明とか、委員の紹介があったが、幼稚園側からは年間の教育計画とか、研究計画とか、特色ある教育活動、行事とか、そういったことを説明したり、あるいは実際に保育を見ていただいたりして、そういったことについての理解を深めるということがあった。それから、第1回目から活発な議論がというわけではないが、2度目以降、あるいは3度目あたりには、評議員制度の方々に幼稚園教育に対しての評価もしていただいているので、そういった内容についての話がなされたりした。
 そういう中で、幾つか議題に上ったところは、幼稚園教育に関することであれば、子どもの心の育成を第一にしてほしいとか、自然体験を取り入れた教育をさらに実践してほしいとか、人とかかわりを学べるような活動をとか、割合具体的なところが多かった。
 それから、家庭教育に関することでいえば、親子の触れ合いの大切さをもっと実感するよう、保護者に指導してほしいとか、家庭教育の重要性について、保護者の啓発をお願いしたいとか、あと子育て支援についてとか、本当に具体的なところで意見が挙げられた。
 それとどこの園でも、最近の不審者のことが取り上げられて、安全に関する要望がとても多かったように思う。
 今、どこの園もそういった学校評議員制度の方々の意見を踏まえて、来年度の教育課程でそこを改善していこうということで、反映するようなシステムになっている。

委員 教育機関、保育施設の評価というのは、今、例えば大学においても、特に国立大学は評価機構ができて、本格的に始まっているわけだが、様々な水準で進行している。これは企業でも何でも、すごく単純に整理すると、恐らく外側からの評価というのが、大体は三つの水準でなされるのだと思う。一番下のレベルというか、それは国なり自治体なりの基準だと思う。それが満たされていないと、だめだよと。運営できないというか、存在できないよということがある。その上のレベルとしては、ちゃんと運用しているかというレベルがあって、一番上のところに、かなり質が高いレベルになっているかということがあるだろうと思う。
 例えば、幼稚園、保育園の場合に、公立、私立、それから保育所も認可保育所と認可外といろいろ複雑で、また、評価システムというか、基準の押さえ方が違うので困るが、例えば公立幼稚園で言えば、基本的な最低限の基準があって、それが基本的には教育委員会で押さえられている。それから、運用レベルについては、さらに教育委員会のチェックや指導が入ってくるし、より高いレベルもそこで目指されているというように、大体教育委員会のほうですべて面倒を見るというのが基本だと思う。保育所、あるいは私立になるともう少し複雑になっていると思う。
 その場合に、分権化とか、規制緩和とか、いろいろな形に広がってきたときに、一つ参考になるのが、保育所の場合の第三者評価のシステムだと思う。これは本格的にはこの一、二年で始まったわけだが、厚生労働省のほうで、スタートは全国社会福祉協議会に委嘱して、評価基準等をつくってもらい、次にその基準に基づいて、各都道府県ごとに第三者評価機関の認証をする委員会をつくり、そこが認証して第三者評価機関というものをつくった。それは企業とか、NPOとか、組織はいろいろだが、それが活動して、保育所等が第三者評価に申し込んで、いろいろなやり方があるようだが、2日ぐらい来てもらって、資料を提供し、実際の保育も見てもらい、インタビューを受けて行う。それは有料で1回数十万円程度らしいが、ということになって、その評価は単に「A」ですよというのではなくて、かなり中身の細かいことまで含まれたり、改善ならこういうことをしないといけないとか、いろいろなことがあるということだと思う。
 問題は、総合施設のときにどういうようにしていくかということだが、幼稚園の場合には、基準としてされている部分が、今までは少なくともしっかりできていたと思うので、その幼稚園としての基準を満たしていれば、保育としては割とちゃんとしているということになっていたと思う。幼稚園という名称は、基準を満たしている施設だけが使うので、そういう意味では非常に信頼を受けている保育施設になっていたと思う。そういう割としっかりしたレベルを最低基準のところにどこまで入れるのかというあたりを、もう少しここで議論すべきことだと思うが、かなり柔軟にしていく中で、その辺りは自治体にゆだねるというのもあるだろうし、様々なアイデアを生かす意味では、各施設のアイデアが可能な、かなり緩やかにするという考えもあると思う。
 分権化し、特に市町村レベルにゆだねるなり、さらに言えば施設にかなりゆだねる部分が増えてくると、先ほど申し上げた第2レベル、第3レベルの評価が相当に重要になってくる。そのときに、一番極端な意見は、選択する側というのは保護者だが、それに任せればいいではないかと、情報公開と選択がいいと。
 お金についてはバウチャーでいけば、いいところに自然に集まるものだという、マーケットに任せるという議論があり得ると思う。
 そういう議論のもっともな点もあると思うが、幾つか保育・幼児教育については難しい点がある。それは他の小学校以上の教育機関、大学、その他と比べても、保育・幼児教育の大きな特徴が幾つかあると思う。それは一つは、厳密に言って保護者が利用するのではなく、子どもが利用するのであり、子どもは物を言わない、乳幼児は少なくともあまりは言ってくれない、かつ選択するのは保護者だが、保護者は朝、夕、少しは見られるでしょうけれども、本当の保育の中身を見ることはなかなか難しい。最近、テレビをつけたりしているみたいだが、それでもあまり理解できるとは思えないという問題が第1。
 もう一つは、あらゆる教育がそうだが、特に保育は、その成果、あるいは逆のマイナスの被害も長期にわたるものなので、今日預けて、明日何かが出るというわけでは必ずしもないから、そういう意味でも、保育についてよく知らない方が選んでというのは、なかなか難しい面もある。
 最低基準についてしっかり設備等を設けることが必要だが、保育の質の相当部分は属人的というか、保育者の資質というか、そういうことにあるわけで、例えば保育者の数はいても、その保育者がしょっちゅうどなりつけていたらぐあい悪い。そういうことは紙の上ではわからないわけで、そうすると、運用レベルが相当問題になる。
 4番目は、現実的には小学校以上と比べてみて、特に大学などと比べれば明らかですが、小規模なところが多いので、例えば保育者が10名程度のところで、自己評価を相当厳密に義務づけても、実際には実施できないという問題がある。
 したがって、もし分権化し、かなり規制緩和し、柔軟にしていくのなら、第三者評価的なものが不可欠になるのではないかと、こう結論的には思う。そのときに第三者評価というのは、先ほどでいえば、最低基準というのはしっかり国あるいは自治体が行政的にチェックすべきだと思うが、第2水準、第3水準については、第三者評価が望ましいだろうと思う。その場合に、運用的なレベルと、より高いレベルは分けたほうがいいのではないかというのが私の意見。
 これは大学でいうと、大学としてきちっと運営している、という一つのチェックがあるが、それと別にいろいろなランキングがたくさん出ている。優れた大学の何か、それはもう10や20ではなくて、何百というランキングが、今、世の中に出回っているが、それは非常に高いレベル。高いレベルというのは、大学のランキングでわかるように、様々な観点があって、一律ではない。しかし、運用レベルは、教育である以上、あるいは保育である以上は、一定の基準はあるだろうと思うので、それは一定の基準の中で統一的にある程度できるのではないか。その際に、厚生労働省というか、保育所で進んでいる第三者評価のシステムが一つの参考になるのではないかと思う。
 ただ、より高いレベルを目指すという意味でいうと、保育所の第三者評価はそこを必ずしも目指している評価システムではないように思うので、またそれは別に考える必要がある。私は、特に幼稚園教育要領の趣旨というか、在り方を考えたときに、あれはかなり高い水準を目指すようにつくられているように思う。それは小学校以上の学習指導要領とかなり質が違うものだと思うが、学習指導要領は昨年来、最低基準という言い方になっていて、幼稚園教育要領はそもそも茫漠とつくられているというせいもあるが、あれを最低基準と言われると、世の中の幼稚園はやっていられないというぐらいに高い理念が訴えてある。
 だから、どちらかというと最低基準に相当する部分もあるが、かなりの部分はある理念であれを目指してみんなで頑張ろうというようなところもある。それがまざっているように思う。そういう意味で、幼児教育の特徴がそこによく出ていると思うので、より高いレベルの評価も要るのではないか。ただ、それはなかなか一律ではいかないので、かなり多様な機関というものが出ざるを得ないのではないか。ただ、それはお手盛りというか、勝手に自分たちのグループが評価機関をつくって、自分たちはいいと宣伝してもしようがないだろうから、第2水準の第三者評価と似たような意味で、より高いレベルについても、ある程度はその認定についてチェックも必要かもしれないと思っている。
 大学のランキングを新聞社がやったり、予備校がやったり、いろいろなところがやっているみたいだが、あれがそれなりに信頼が置けるのは、基準が割と見えるから。単なる人気投票ではなく、論文の数、科学研究費など、その基準がいいか悪いかは別として、その根拠がわかるが、保育について日本のトップ10幼稚園と言われても、たぶん基準はよくわからないので、そこにはある程度評価機関の評価みたいなことを入れるべきではないかということを思っている。
 ということで、個人的な意見も後のほうは入っているが、多少整理すればそういうことだと思う。
 なお、もう一つ加えておくと、質の評価というときに、研修等がかなり意味を持ってくると思う。それはなぜかというと、教育というのはあらゆるところでそうだと思うが、一定の設備とか、あるいは教師、保育者の資格が満たされればいいわけではなく、絶えずその人たちが研修し、改善することで、一定水準が保てる。また、新しい課題も生まれてくるというものだと思う。それがつまり、属人的ということの意味だと思う。立派な設備をつくると、あとはいい学校になるというものではない。また、最初にいい先生がいても代われば、まただめになってしまうかもしれないということがあるので、そういう意味では、改善のシステムを組み込んでいるようなところを見られる評価が大事かなということを思っている。
 そんなところで、今の教育機関評価の一種の動向の整理ですが、一応御報告させていただく。

委員 第三者評価や、学校評議員制度のようなものをとり入れていくことは非常に重要なことだと思うが、今、保育所は恐らくそれは義務づけということではなく、自発的にという取組になっているのだろうか。

委員 自発的というか、任意。今のところは、一つは、やることは義務ではない。もう一つは、評価しても、その結果を情報公開することも義務ではない。今のところは、という話だが。

委員 自発的というのも一つのメリットだと思うが、すべての施設はそれがセットとして組み込まれているということが、本来、理想的なものであれば、それができるだけ多くのものに設定されているほうがいいわけですので、そういった形で、諸外国などはニュージーランドでは義務づけで、公開も義務づけという形をとっている国もあり、私自身は、より高いということであれば、そこまで総合施設のあたりからはしっかりやって、また、学校評議員のように地域に開かれたものを設置するということを決めてスタートしたほうが、それがベースになってやったほうがいいようなことを考えている。

委員 情報提供だが、東京都で自己点検・自己評価をする際の評価資料を出しているのだが、その評価資料をもとに、16年の1月に文京区版の評価資料をつくっている。例えば、この評価資料は大きく二つに分かれているが、一つは教育課程の編成と実施に関する評価であり、もう一つはそれを支える諸条件に関する評価。これは10何年前のまま、ここは二つに分かれている。その二つ目のほうの教育課程の編成と実施を支える諸条件に関する評価のほうに、研修なども位置づけられていて、細目を見ていくと、例えばこんなふうな評価の視点で、私どもは自己点検・自己評価をしている。例えば園内の研究、研修、教育課程との関連では幼児の実態に即した研究主題になっているかとか、幼稚園の当面する課題等をもとに教職員が共通理解しながら、園内研究、研修を進めているかとか、もっとたくさんあるが、園内におけるものであれば、研究、研修で得た資料や成果を自園のために活用するように努めているかとか、その成果を幼児の園生活に反映させるようにしているかとか、そういった細目に分かれてしている。

委員 ある市では、公立の幼稚園も含めて約290校園について、まず13年度に学校評議員を全校、幼稚園に置いた。これは、先進的な取組が何校かで成果をあげ拡大された。更に15年度から外部評価を全校園で実施した。実施にあたって留意されたことは、親の意識も含めた上で狭い意味で学校のランキングが気になる。そこで、評価の物差しを一つにしない。学校ごとに、幼稚園ごとに、学校・園と評議員等とで育てるべき子ども像とかを論議する。行政は、評価表のモデル案をつくり、具体的には各学校、幼稚園で論議して、つくりあげてもらう。そして、それに対してどれだけ到達したかということを評価にして、単純な比較ができない。そういう点に気を遣っている。そうした当事者評価と専門家の評価をどう有機的に機能されていくかということが課題。
 もう一つの視点は、幼稚園あるいは学校がすばらしいものになっても、親が教育を丸投げしてはいけないので、親の参加、地域の参加をどうするのかという視点を大切にしている。学校評価というより、学校、家庭、地域、三者の相互評価、トータルとしての評価という形になっていかねばならない。親が役割を果たせているかということを自己評価し、相互に評価し合うような感じで、それが親の成長につながっていかないといけない。品評会をやって、あそこの幼稚園がいい、ここの幼稚園がいいということではダメである。サービス度のいいところだけ選ぶようなことになってはダメ。教育をサービスの提供側とサービスを受ける側という形になっていかないかということを危惧して、保護者・地域と幼稚園・学校が共に向上していくためのものにと考え実施した。これはこれから地域や保護者が学校運営、学級運営にどう参画していくかというところにも絡んでくるわけだが、共に向上する視点が大事ではないか。その辺りが大学と違う、高等機関と幼稚園、小学校ぐらいとは大きく違う。新しい評価システムを、今、挑戦的にやっている。

委員 今、評価ばやりの時代だから、やはりエバリュエーションという言葉の中でのバリュー。今おっしゃったように、育てるべき子ども像というところが明確でなかったら、ただ仕事が増えるだけの評価のための評価で、そこがものすごく重要なポイントだと思う。そこが基準になったときに、それをどのように実現化しようとしているかというところであって、それが間違っていたら、ますますおかしなことになってしまうと非常に思う。
 先ほど問題点を四つお話しになったが、やはり大学評価と違って、小さい子どもであればあるほど、今のことでもそうだが、親の利便性に流されやすい。子どもは発言できないから、子どもの視点を専門家がどう評価の中に入れるかとか、それからロングスパンで考えなければいけないから、目先では何かみたいなことだけではいけないし、それから属人性という言葉を私は初めて聞いたが、保育の質の問題を保障することは、重要なポイントだと思う。
 もう1回言うと、育てるべき子ども像をどうみんなでコンセンサスして、それに対していくかというところがものすごく重要だと思う。

委員 幼稚園、学校を、親、地域が評価する。その前にもちろん自己評価がある。専門家が評価するときもある。そういうことではなく、育てるべき子ども像に対して、学校が、幼稚園が、親が、地域が、その三者が何ができているか、何をするべきであるか、課題であるかというシステムを評価するようなものにしていかなければ、サービス合戦だったり、批判合戦だったりということにならないか。そして、サービスのいいところを探し回る。それが子どもの育ち、学びにつながっていくものであるかどうか。そこのところは学校、幼稚園評価ではないなということを、地域を含めた子育て力の評価へつなげたいということを実践の中で感じて、そこを目指していきたい。

委員 評価の観点は本当に大事だと思うが、落としてはいけない、あまり議論されていないことは、総合施設をつくるとなると公費を相当投入することになると思う。その公費の使われ方が適正かどうかという評価もぜひ入れるべきだと思う。もちろんその施設の機能に対して、それは本質的な問題ではないが、これは地域住民にとっては極めて重大な問題だと思う。せんだっての千代田区のいずみこども園だが、施設設備費を除いたランニングコストで1人300万かかる。これは地域住民から言ったらとても成功例とは言えないような事態が起こってしまう。そのような事態を起こしてはならないと考えている。

委員 総合施設の設置主体と管理運営と評価の在り方は切り離して考えられないわけで、国の基準とか運用に関しては、設置主体がどこであれ、管理運営がどこであれ、きっと基準を守ることは容易だろうと思う。一番難しい質の評価に関して、それをどこがするかということと、設置主体、管理運営の問題が深く関わってきているのだと思うので、そこのところをどうするかという議論を深めていく必要があるのではないかと思う。
 質の評価は本当に難しく、今日、うちは卒園式だったが、顧客満足度120%という感じで卒園していくけれど、私の目から見ると、4歳児の担任のほうが資質的には優れていて、5歳児になって代わった担任は苦労していたなと思うが、保護者の評価も、子どもの評価も、後者のほうがすごく高くて、園の中でも大変難しい。それを第三者の人が来て評価するわけだから、その第三者の資質をどう評価するかというところも難しい。評価者の評価という問題も出てくるのではないかと思う。

委員 評価をする際に、どれだけ公表しているかというところがとても大事だと思う。結局、評価をする人は、自分の前で見たことしか材料がないわけで、そういったことをどう知らせていくか、その公表や、説明責任、そういったことがキーワードとしては大事かなと思う。

<利用形態のあり方について(総合施設のあり方について)>
委員 利用形態だが、いろいろな項目を並べていただき、それぞれきちんと対応しなければいけないと思うが、例えば保育時間についてという問題でも、現在実施されているいわゆる一体化施設が先行事例として、それがある種モデルになって、保育時間を設定していくと、これはどうしても長い設定になってしまうと思う。そこでやはり子どもに対する配慮、子どもを大切にするまなざしによって、保育時間についてはやはり禁欲的に考えるべきだというのが一つの意見。
 それから、資料に入園対象者は0歳から小学校就学前とするがという記載があるが、そもそも総合施設の大もとの考え方は、就学前の教育・保育を一体としてとらえるということのはず。であるとすれば、教育という観点は、これは原則3〜5歳だから、入園対象者はこういう記載ではなく、原則は3歳から小学校就学前である。それで0〜2歳のほうを付加的なもの、例外的なものとして位置づけるのが当然だと思う。

委員 今日の資料で、基本的に公費が結構投入されている。そうしてしまうと、どうしてもいろいろな形で総合施設をつくって、受け入れ側でいろいろな対応をしても、結果として超過需要にならざるを得ない。要するに親の需要のほうが多くなるのが当然。それだけ自分でいろいろな形で面倒を見る場合に比べれば安いコストでできる。そのときに、どういった形でそれを制限するかというのが問題になると思う。
 一つは、子どもなり、あるいは親の、要するに需要者側の個別の事情をきめ細かく考慮して、必要な人から優先的に受け入れるというのが筋なのだろうけど、そうは言ってもなかなか個別の事情まで配慮するのは、実際問題として難しい。そのときに、どういった形で調整するかというと、結果として一番行われやすいのは、供給面での何らかの制約をつけて、待機児童をたくさん結果として出す形でやらざるを得ないのではないかと思う。こういった総合施設を行政的に推し進めようとすれば、そこを利用するほうが、利用しない場合に比べると、当然、親のほうから見ると、望ましい状況になるわけでだから、そうでない場合に比べて、当然そういったものに対する需要は増えざるを得ないわけで、それを何らかの形で制限するときに、非常に恣意的にならない形で制限する一番手っ取り早い方法は、供給側の制約があるからだという理由で、要するに需要側でいろいろな形で、あなたは適していませんという形で制約するよりは、そのほうがやりやすいので、そうならざるを得ないと思う。
 そういった形の制約を結果として取らざるを得ないときに、それへのもう一つの方法としては、需要を抑えるように、受益者負担をなるべく上げるというのがもう一つの方法で、これがある程度出てくれば、要するに公費負担を大幅に減らせる形の対応がとれれば、ある程度総合施設できめ細かくいろいろなサービスをつけても、それなりに待機児童を減らせることはできると思うので、そこのところのトレードオフをどう考えるかという、それが問題だろうと思う。
 行政的に総合施設を推し進めようという場合には、なるべく公費も含めて、そこを充実させるということなので、そうすると、結果としては何らかの形の供給制限にならざるを得ないと思うが、そこのところで客観的な制限がうまくかかるような形がどういったものがいいのか。例えば、保育所であれば、保育をする側の人員を、1人当たり幾らという形で制限するなど、受け入れに枠をかけるとか、いろいろな形にならざるを得ない。そういった形で、待機がつきものだということを前提にした上で、総合的な施設を進めるのか、あるいはそういった形の待機児童自体があまり望ましくないということであれば、もう少し受益者負担を利用する方向に変えるか、どちらかだと思う。

委員 総合施設の性格づけというか、本質というか、それにかかわる最も重要な点ではないだろうかと思うが、それは先ほどあったように0歳児からを原則とするか、3歳児からを原則とするか、その場合に希望する者すべてを入れるのか、保育に欠ける子だけに限定するのか、それ以外の要素があるのか。もちろん現実には弾力的・例外的ということはあると思うが、考え方としてどれをとるかによって、この総合施設の性格が決まってしまうと言っていいのではないだろうかという気がするので、この辺りはもう少し時間をかけて、突っ込んで議論する必要がないだろうかという気がする。
 それから、設置主体で、継続性、安定性とか、あるいは公益性の確保とか、いろいろなことが要件としてあるわけだが、現在、幼稚園は、私立の場合、学校法人が原則で、例外的にいろいろなものもある。それから、保育所は社会福祉法人が原則で、それ以外にもいろいろある。しかし、原則は原則になっている。この総合施設について、設置主体を何らかの形の公益法人に限定するのか。しかし、現実には幼稚園も、保育所も、公益法人以外のものの設置を認めているわけだから、なかなかそれも難しいかもしれない。とすれば、それ以外のものについて、学校法人あるいは社会福祉法人に準ずるような、例えば資産を持っているとか、役員についての適格性であるとか、あるいは例えば特区その他についてもいろいろな要件がかかっている。個人誰でもいいというわけではない。株式会社誰でもいいというわけではないということについて、いろいろな要件があるが、その辺りが私は最低限の要件だろうと思う。それは特区においてすらそうなのだから、それ以外のところではもっとプラスアルファがあってもいいのかなと思うので、その辺りが設置主体についての議論の一つのポイントではないかと思う。

事務局 保育所、それから特区について、付加的な要件が増えているところだが、御紹介させていただくと、保育所のほうは平成12年に主体を緩和したときに出した通知について、資料の中で、社会福祉法人以外のものによる設置認可申請という形で、審査の基準として例えば経済的基礎とか、経営者の社会的信望とか、あるいは財務内容の適正等々について、審査の基準という形で出している。
 また、認可の条件として、例えば、認可する場合については類型を勘案し、以下の条件を付すことが望ましいという形で、例えば報告を求めるとか、施設ごとの内容によって、区分経理をするというような点も触れているところである。
 それから、特区につきまして、要件としましては、保育所のほうとも関連するが、経営に必要な財産を有すること、それから役員については知識・経験を有すること、社会的信望というような最低限の要件を付すと同時に、先ほどお話があったような財務内容についての情報公開、それから認定を受けた自治体による評価、それから破綻した場合のセーフティネットが要件とされている。この辺りも参考にしながら、今後、検討させていただくことになろうかと思う。

委員 保護者として幼稚園と保育所と総合施設を選ぶときに、幼稚園は幼稚園なりの最低限保障されたカリキュラム、プラスあとのオプション、保育所は保育所の最低限のカリキュラムとオプション、総合施設は今はまだ何かわからないが、総合施設としての保障されたカリキュラムと、それプラス、オプション。オプションの部分に関してはすべて受益者負担で行うことにしてしまえば、保護者としてはその三つどれかを選ぶときに、選びやすいなという感想がある。
 あと第三者評価に関しては、一園一園の評価だけではなくて、その地域における適正な規模と配置についても、第三者評価が行われたらいいなと思う。

午後5時8分 閉会


(初等中等教育局幼児教育課)

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