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資料1

2004年3月12日 幼児教育部会
(学)あけぼの幼稚園園長 安家 周一

1 現在の取り組みの様子
 学校法人と社会福祉法人
2 日本の子どもが小学校入学までにどのような環境で生活することが望ましいのか
:日本人の働き方、働かせ方そして子育ての喜び
周辺諸施策の整備が必要であるが、子どもを持ちながら働き続けることを選択する親と、在宅で子育てに専念する親が存在する。職業を持っていても子どもが3歳くらいまでは親の選択によって在宅による保育と施設保育が選択できるようにする。要は、在宅で子育てをする親も、働きながら子育てをする親も、子育ての喜びが享受できる環境を、社会が整えることである。
:2歳までの保育
乳児期は優しい大人との個人的愛着関係が保育の基本である。一人親家庭や働き続けることを選択した人のために、0歳児3:1,1,2歳児6対1という厚労省の配置基準に加え、トレーニングをすませた子育て経験者による「保育サポーター」を導入したり、各中学校などに「保育クラブ」などの創設を働きかけ、放課後は、地域の保育施設に出向き、保育士の指導のもと、クラブ活動を展開することによって分厚い人的配置を実現し、必要がある時には優しい年長者との愛着がはかれるよう整備する。結果的に、次世代の親を育てることに繋がり、子育て文化の継承に資することができる。
又、一部地域で実施されている「保育ママ制度」などにより、家庭で預かり、1対1の環境を実現することも可能とする。
:3歳から小学校就学前の保育
生涯学習の観点から、公私立幼稚園、公私立保育所、認可外施設、総合施設など、施設を問わず、日本の3−4−5歳児すべての子どもは新しく制定する仮称「幼児教育要領」のカリキュラムによって保育を受ける。施設によっては、集団の人数が少なく、集団による保育の確保が難しい施設も存在する。そのような場合には、3−4−5歳児の縦割り保育や、近隣の集団保育が可能な施設に、9時〜2時くらいの中心となる保育時間をゆだねるなどの、地域の施設全体で充実した機能を発揮することも必要である。
3 総合施設について
新しくできる総合施設については、地域に存在する既存の乳幼児保育教育施設との連携を基に、新しい総合施設の果たす機能や役割を考える。
:0〜2歳児までは、様々な工夫をもとに、総合施設でもできるだけ1対1のゆったりとした愛着が芽生える環境を整える。
:3〜5歳児は早朝7時より9時くらいまで、保育の必要な子どもについては早朝延長保育、9時から14時くらいまでを中心の保育時間とし、集団による保育形態の中で統一されたカリキュラムで教育活動を実施する。子ども達が集団保育を受けることが可能な時間的限界も考えられることから、14時から必要に応じておおむね19時までは夕方の延長保育時間として、個別の課題に取り組めるなどのゆったりとした家庭生活のような時間を過ごす。
4 施設への補助について
従来施設〔機関〕に対する補助だったものから、施設が果たした機能に対して補助が積算されるシステム
  それぞれの地域に応じて、必要と思われる機能を準備し、保育を実施する。実施する機能の質、実行した量によって補助されるシステム。例えば、通常の9時から2時までの保育に加え、乳児保育や長時間保育、障がい児保育、病後児保育や、病児保育、夜間保育、一時預かりのシステムなど、たくさんの人手やコストのかかる機能毎に補助単価が算定され、補助される。
又、一つの施設で、すべての機能を有するのではなく、地域にある既存の施設が持つ機能を、お互いが共有し合うような連携を基に、それぞれの施設が機能を決定する。その連携を調整する機関の設置も必要。
5 保護者の負担について
従来の補助システムや保護者の負担については、通わせる機関によって投入される税金の額や負担するコストが違っていた。これからは利用する機能に対して費用を支払う。
:利用する保育機能に対して費用を支払う
既存の幼稚園や保育所、認可外施設、総合施設、どこの施設に通っても、利用する機能によって、負担するコストが同じになるようにする。また、児童手当を大幅に拡充した後、生活困窮家庭などは福祉的補助金の支給。生活困窮以外の世帯にも、例えば固定資産を加味した所得の捕捉を徹底し、所得に応じた補助を行う。
6 地域における適正配置は誰がどのようにコントロールするのか
すでに、各地で問題になりつつあるが、公立幼稚園、保育所、私立幼稚園、保育所など、既存の保育施設を十分に勘案せず、市区町村(千代田区、岐阜県瑞浪市、岐阜市、大垣市)が幼保総合的施設を設置する例が散見される。
:公立幼稚園、保育所、市立保育所は市町村行政、私立幼稚園は都道府県行政という行政枠組みの違いから、混乱が起こる可能性がある。
:各種施設を統括する行政的枠組みが必要
上記6−1の意味からも各種施設を1元的に所轄する国、都道府県、市町村が繋がったシステムの構築が必要。例えば内閣府の中に「子ども庁」の設置など。
7 情報の公開と評価
このような制度に移行することにより、小学校入学前の教育、保育施設が横一線に並ぶ。どの施設、どの機能を選ぶのかは保護者にゆだねられることもあり、それぞれの施設を公的な第三者が評価し、評価結果を公開することによって、風評や噂などではなく保護者の選択が可能となる。評価結果は、一般保護者が判るような表現で公開されることも重要な要件である。
8 最後に
総合施設の検討を機会に、従来からの懸案であった幼保の問題、公的税金の投入の問題、保護者負担の問題、認可外施設の問題など、小学校入学前の諸問題を解決するのに、絶好のチャンスが到来したと考える。又、日本の国が社会保障全体に占める、小学校前の子ども達に対する税金のかけ方が少なすぎることも俎上にあげ、議論されることを望むものである。


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