答申素案

おわりに

• 　今回の答申は、「はじめに」で述べたように、平成17年6月に文部科学大臣から「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について」との生涯学習全般にわたる諮問を受け、特に国民一人一人の学習活動を促進するための方策や地域住民等の力を結集した地域づくり等について審議を行いまとめたものである。また、本答申は教育基本法改正後の初めての生涯学習及び社会教育に関する答申であり、改正教育基本法を踏まえた今後の生涯学習振興行政・社会教育行政の在り方について、制度の在り方も含め、検討したものである。
• 　その結果、本答申では、改正教育基本法にも新たに規定されたように、学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力をより一層進めるため、社会教育と学校教育が「目標の共有化」をした上で、社会教育行政がより積極的に「出向いて」学校教育等の支援を行うこと等を特に強調して、地域全体の教育力向上のための方策について提言した。また、地域の教育力を支える国民一人一人の学習の支援においても、これまでと同様に個人の自発的意思を尊重しつつも、行政としては、社会の変化等を受けた「社会の要請」に基づいた目標をより明確にした生涯学習の振興方策の展開の必要性について提言した。生涯学習振興・社会教育の再構築に向けて、今後これらの提言に基づく施策が講じられることを期待する。
• 　学校は国民の教育に対し第一義的な責任を負う教育機関であるが、学校教育のみで教育課題すべてを解決していくことには限界がある。すでに述べたように、学校・家庭・地域社会三者の連携が従来に増して強く求められており、今後の社会の変化に対応できる国民を育成する上で、学校教育の成果を一層確実なものとしたり、社会における経験等を踏まえて達成できる教育の目標を実現したりする上で、生涯学習振興行政・社会教育行政の役割は大きい。
• 　その中核を担う社会教育行政の組織は、地域により人的・財政的状況にも相当の差異がある。その中で、国民の学習需要の高まりや社会の要請に応じた学習支援に対応し、より積極的な行政を展開していくことは、社会教育行政関係者にとって容易なことではない。しかしながら、本答申で示したように社会教育行政の重要性にかんがみ、関係者は地域におけるネットワークづくり等により、関係者の協力・連携に努めていくことを期待したい。また、そのような行政を各地域において目に見える形で推進することにより、生涯学習振興行政・社会教育行政の役割が今一度再確認され、その重要性につき広く社会の理解を得て、さらに参画・協力する人が拡がっていくなど、社会の教育力の向上につながっていくことを期待したい。
• 　さらに、今後政府で策定される教育振興基本計画等も踏まえ、各地方公共団体における取組を支援すべく、国において本答申を受けた具体的な取組が推進されることを求めたい。