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事例紹介1

ICTを活用した生涯学習の広がり「インターネット市民塾」

1.市民が創る新しい学びの場

 インターネット市民塾は、市民による講座の開催や私塾・グループ活動など、「知の発信・交流」を地域ぐるみで支援する仕組みである。富山県では、県、県内市町村、大学、商工会議所、企業等、官民学が参加する推進協議会が運営している。これまで300を越える自主企画講座・私塾が開かれ、ネットを通じていつでもどこからでも参加できることから、働き盛りや子育て中の人など幅広い参加が見られ、課題であった生涯学習への参加の偏りを補っている。

2.各地への広がり

 これを参考に各地に特色あるインターネット市民塾が生まれている。東京葛飾区の町工場経営者が、多摩大学や千葉商科大学などと協力して立ち上げた「東京e大学」、世田谷区教育委員会と区内の大学が参加して運営する「せたがや e カレッジ」、地元企業、大学や県、地元メディアなどがNPOを設立して運営している「わかやまインターネット市民塾」、県立高校と町が連携し一緒に「人財づくり」を進める「おおがた学校」、大学の呼びかけに、県・市町や地元企業などが集まり運営する「徳島インターネット市民塾」など、この2年余りの間に急速に広がった。このほか、横浜、佐賀、熊本などでも同様の活動が始まっている。これらが連携し現代的課題の解決に取り組もうとする動きも出てきた。ニート等を含む若者の就業を支援するeラーニング事業は、その取組の一つである。

3.ICTが生きる草の根型の生涯学習

 市民講師を発掘し知識発信を支援する取組は、地域の知識財を顕在化させるとともに、「教えることは最高の学習」となり、市民講師を目指すことが学びのモチベーションを大いに高めている。自発的に集まった受講者にとっても市民講師との「知の交流」は、受身になりがちな学習を一変させ、「自分にもできることがある」という動機付けになり、これまでの経験や学びを生かして講師を目指す受講者も出ている。
 デジタルコンテンツ(教材)から一方向で学ぶ学習方式とは異なり、人と人の学び合いによる学習コミュニティがインターネット市民塾の特徴である。それぞれの市民が持てる知識財を生かし、その生きた知識発信に共感した参加者と知識交流を行なうスタイルである。ネットを通じて共感者が草の根的に徐々に広がることも良く見られる。
 インターネット市民塾は、市民講師の講座だけでなく、行政や大学、企業が開く講座に、職場や自宅、学校、公民館、野外など、さまざまな場所から学習の参加を可能とした。ICTを活用して「いつでも、どこでも学ぶ」しくみを提供するとともに、「与えられる学習機会」から「学びの場は、いつでも、どこでも自ら作る」という市民の意識改革と自発的な学習を促し、「学びによる社会参加と知の交流」を推進する活動でもある。

(富山インターネット市民塾事務局長 柵 富雄)


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