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3今後の教育・学習情報の発信・提供の在り方

  2「2(1)今後の発信・提供の方向性」において、今後はインターネットを活用した情報提供に移行する方向性としたところであるが、発信・提供すべき「教育情報」と「学習情報」の内容は、単にこれまでエル・ネットで放映してきたものをインターネット環境に移行しても、即座に活用が図られるものではない。今後は、それぞれについて検討し、継続・充実させるべき内容について精査していく必要がある。

1. 発信・提供すべき情報の精査
 
(1) 教育情報
 
1 行政説明・会議等
   文部科学省主管部課長会議等の会議をはじめとした国からの行政情報については、地方行政担当者が必要な施策の解説を逐次視聴できるとともに、出張者に加え各担当が必要部分を地域で視聴することができるなど旅費等の経費負担の軽減が図られることから、取組の継続が望まれている。また、関係資料等をデータ送信する機能(コンテンツ配信)は有効に活用されており、今後も各地において資料を入手する取組が望まれている。
 なお、これら行政説明・会議等の配信には、アクセス制限を必要とする場合がある。
2 研修・講座
   研修・講座におけるエル・ネットの活用は、生涯学習の振興を目的として一般の学習者を対象に提供するものではなく、研修対象者に対しての提供手段であり、今後は、研修成果の向上を図るためどのような取組が必要であるか、実施主体ごとに検討することとなる。
 教員研修センターから放映されている講座は、地方単独では招聘が困難な著名な講師による講座や喫緊の課題に対応した講座などがあり、地方でレベルアップが求められている教員にとってニーズが高く、継続する必要がある。なお、これらは地方では事実上集合型研修で活用されることが少ないが、個人のスキルアップに活用されることが多く、 eラーニングを活用した個人研修にも適していると考えられる。
 なお、文部科学省の委嘱により社会教育実践研究センターにおいて実施している「社会教育主事講習」においては、主会場以外に各地の受信局等に設けられる副会場でも同時に講義を受講できるが、これらは各地で求められている社会教育指導者養成の期待に応えるためにも、取組を継続する必要がある。
 また、「新任図書館長研修」等の放映により、各地で必要な講義を視聴できる取組や、「視聴覚教育指導者講座」等の講義部分を収録し、後日放映する取組などについては、研修機会の幅を広げるために今後も広く全国へ提供されることが期待されている。

(2) 学習情報
   今後、どのような学習コンテンツの提供をすべきか結論付けることは避けるが、生涯学習活動を支援するためには、社会的要請に対応する課題を学ぶ学習機会の提供について、国が取組を支援していくことが望ましい。なお、現在、中央教育審議会生涯学習分科会「国民の学習活動の促進に関する特別委員会」において、国民の学習活動を促進するための議論が展開されており、今後はこの報告を踏まえ、必要とされる情報を今後のシステムにおいて提供していくことが望ましい。その際には、「オープンカレッジ」の調査研究結果等や「子ども放送局」の取組の成果を生かしつつ、学習の場への支援を図っていくことが望まれる。
 どこで学んでも、いつ学んでも、その成果が適切に評価され、多元的に人間が評価されるよう、人々の意識を社会的に形成していくことは、今後も必要である(「生涯学習の基盤整備について」平成2年中央教育審議会答申)。学習者が自ら適切な学習機会を選択し、いつでもどこでも自由に学習機会を選択して学べ、学習の成果が適切に評価される社会を目指していくために、メディアを活用した側面からも考えていく必要がある。
 なお、国が学習情報を提供する場合には、地域の課題解決などのために必要な情報を発信することが必要であり、民間教育事業者との役割分担を考える必要がある。

(3) 他の地域の先進事例・制作コンテンツ等の共有化の取組
   各自治体においては、それぞれの地域で作られたコンテンツや研究成果等について全国へ情報発信し、同時に他地域で作られたコンテンツを共有化することについての要望が高いことから、これまでの地方VSAT局からの情報提供の取組をインターネット環境の情報発信へつなげていく必要がある。各地では全国への発信による研究意欲の向上等の効果もあり、情報通信分野全体の変化により、「地方から地方へ」直接情報提供ができることが望ましい。また、各地の学習コンテンツを全国へ提供・共有化し、それらを受け手側の地域で活用することにより、学習活動が促進されることが望まれる。
 なお、これらの取組については、各自治体が必要とする内容を自治体相互に主体的に発信し、活用することが求められている。

2. 学習意欲を高めるための学習情報の提供の在り方
   インターネットを活用してコンテンツを流通させることにより、需要が拡大し、学習の場が広がっていくことが想定される。なお、学習情報の提供の在り方を考える場合、学習の場や交流の場についても併せて検討する必要がある。

 
(1) 個人学習と集団学習に対応すべき提供の在り方
   インターネットの活用により、学習意欲のある者が情報を活用しやすくなり、学習の場の拡大が期待される。しかしながら個人学習には限界があるため、更に学習活動を発展させていくためには、学習者がディスカッションを行う集団学習の実践の場が必要であり、また、依然として集団学習への要望が高いことも指摘されている。社会教育施設における集団学習への対応のための情報提供の在り方についても引き続き考える必要がある。このため、各個人が生涯学習に取り組むきっかけとなりやすい個人学習の場、及び学習の効果が高い集団学習の場、それぞれへ適した情報提供を行うことが望ましい。

(2) 学習の場の形成に向けて
 
1 社会教育施設における集団学習への対応
   集団学習は、学習に関する共同活動を展開することにより、個人の知識・教養の向上を図るとともに、共通の意識を育て集団の課題も解決し、集団としての目的を実現することに効果がある。社会教育施設で学習集団を育て、学習者の活動を方向付ける取組につなげるには、受け手側である学習者の立場に立つことのできるコーディネーター、アドバイザー等の確保が重要である。
2 コミュニティ形成に資する個人学習への支援
   個人学習を支援する観点においては、個人学習を集団学習や他者との交流、他地域との交流に結び付けていくことが求められる。
 インターネットの活用により、地域や個人からの情報発信が活性化し、人と人との交流が促されることが期待される。「審議経過の報告」においても、「ネット・コミュニティ」の概念が打ち出されており、「ITなくしては実現しなかった、人と人との交流を促す媒体としての役割を担う」効果や、「全国や各地域における「ネット・コミュニティ」が形成され、人と人との交流を通じた学習の深化が促され、新たな価値観が創出される」ことへの期待等が提言されている。
3 地域間の学習活動をつなぐネットワークの形成
   学習資源を共有化し、各地の学習資源を全国でつないで互いに学習する取組が期待されている。なお、中には同時性が必要とされる内容もあり、個人学習、集団学習ともに、多地点で同時に学習する取組が求められているとの指摘もある。
 既に、「インターネット市民塾」などの取組においても、個人学習を想定した eラーニング方式の学習環境を充実させることで、地域コミュニティの活性化へとつなげる取組が見られる。


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