3.学校評価の実施・公表
(1)自己評価
- 自己評価を行うに当たっては、学校の教育目標等を実現するために、重点的に取り組むことが必要な目標や計画の取組状況等を適切に評価できる項目等を各学校の実情に応じて設定し、教育活動を実施する必要がある。また、評価結果を公表することにより、学校運営の質に対する説明責任を果たし、保護者との連携協力を推進することができる。
1.重点的に取り組むことが必要な目標等の設定
- 学校が、教育活動その他の学校運営について、目標(Plan)-実行(Do)-評価(Check)-改善(Action)というPDCAサイクルに基づき継続的に改善していくためには、まず目標を適切に設定することが重要である。
- 各学校においては、目指す子ども像などを示すために学校の教育目標等を設定し、この学校の教育目標等を実現するために教育課程編成の重点その他の運営方針を定めていることが通例である。
- これらを基に、園長をはじめ教職員の目指す理想、学校の置かれている実情、前年度の学校評価の結果及び改善方策、及び保護者等のアンケートの結果を考慮し、重点的に取り組むことが必要な目標や計画を具体的かつ明確に定めることが必要となる。
- その際、重点的に取り組むことが必要な目標等が、園長のリーダーシップの下、学校の全教職員がそれを意識して取り組むことができるなど実効性あるものとなるよう、学校運営の全分野を網羅して設定するのではなく、学校が伸ばそうとする特色や解決を目指す課題に応じて精選する。
- その他、各学校が目標等を設定する場合には、設置者の学校教育に関する方針も踏まえたものとし、必要に応じて、設置者が目標設定に関する支援を行うことも考えられる。
2.自己評価の評価項目の設定
(ア)自己評価の評価項目・指標等の設定
- 重点的に取り組むことが必要な目標等の達成に向けた取組などを評価項目として設定する。
また、評価項目の達成状況や達成に向けた取組の状況を把握するために必要な指標や、指標の達成状況等を把握・評価するための基準を、必要に応じて設定することが考えられる。
- 具体的にどのような評価項目・指標等を設定するかは、各学校が学校の状況や地域の実情に基づき判断すべきことであるが、その設定について検討する際の視点となる例を、参考として巻末の【別添2】に掲載する。ただし、そのほかの視点も考えられるとともに、適切な評価項目等の内容や数とする必要がある。
- また、参考として、学校の教育目標等と重点的に取り組むことが必要な目標や計画、評価項目等の設定の関係例を巻末の【別添3(PDF:54KB)】に示した。
(イ)成果への着目と取組(プロセス)への着目
- 評価項目等には、目標の達成状況を把握するための(成果に着目する)ものと、達成に向けた取組の状況を把握するための(取組に着目する)ものがあり、適切に設定することが望ましい。
3.全方位的な点検・評価と日常的な点検
- 学校が抱える課題等を把握するためには、全方位的な点検・評価も重要である。あまりに重点化された目標等を指向するのみでは、学校運営全体における力点の置き方に均衡を失する可能性もある。このことから、日々の学校運営の中で必要に応じ幅広な「全方位型」の点検等を適宜行うことが大切であり、例えば一定の時期(数年に一度など)に学校の取組の状況について全方位的なチェックを行うことなどが考えられる。また、1回の評価で全方位的な点検・評価をするのではなく、数回の実施により、多岐の領域を評価していくことも考えられる。
- さらに、学校評価の取組とは別に、学校として当然に満たすべき法令上の諸基準等を満たしているかどうかという合規性のチェックも重要である。
4.自己評価の実施
- 自己評価は、園長のリーダーシップの下、全教職員が参加して組織的に取り組むことが重要である。また、必要に応じて、学校評価委員会などの組織を校内に設けることも考えられる。
- 各学校は、設定した評価項目等を用いて、目標の達成状況や達成に向けた取組の状況を把握・整理する。その結果をもとに、これまで進めてきた教育活動その他の学校運営に関する取組が適切かどうかを評価し、その結果を踏まえた今後の改善方策を検討する。
- 自己評価を行う上で、保護者等から寄せられた具体的な意見や要望、アンケート等の結果を活用する。
その際、集計・分析等に要する事務量にかんがみ、評価項目等との関連を図りつつ、適切な項目を設定して行うことが必要である。
なお、アンケート等の実施に当たっては、匿名性の担保に配慮する。
- 自己評価は、各学校・地方公共団体の事情に応じて、教育活動の区切りとなる適切な時期に行うことがふさわしいが、1年度に少なくとも1回は実施する必要がある。
また、評価項目等の内容や教育活動の実施状況等によって中間的な評価を実施し、評価項目等をより適切なものに見直すことが考えられる。
5.自己評価の結果の報告書の作成
- 各学校は、自己評価の結果を報告書にとりまとめる。
- 自己評価の結果の報告書には、重点的に取り組むことが必要な学校評価の目標や計画、その達成状況及び取組の適切さ等の評価結果や分析に加え、それらを踏まえた今後の改善方策について、簡潔かつ明瞭に記述する。
6.自己評価の結果の公表・報告書の設置者への提出
- 各学校は、自己評価の結果及びそれを踏まえた今後の改善方策を、広く保護者や地域住民等に公表することが必要である。例として、巻末の【別添4(PDF:16KB)】のようなフォーマットで公表する方法も考えられる。
- 評価結果を公表することによって、各学校の良さや課題が明らかになり、学校における教育の信頼性が高まることになる。また、それにより保護者と連携協力することが必要な内容を明らかにすることができる。
- 公表の内容については、各学校において様々に工夫し、公表した評価結果が各学校の今後の教育に役立つようにすることが大切である。
- また、評価の方法については、「可否」「5段階評価」などが考えられるが、その場合においても、指標や基準等の内容及び評価の根拠等について記述することが望ましい。
- 評価を行った場合、翌年度等に向けて取り組むべき課題も示すことが必要であるが、その際には、現状において改善が必要な課題だけでなく、現状において達成されていると評価した視点についても、さらに充実させるために、課題とすることも考えられる。
- さらに、各学校は、自己評価の結果及び今後の改善方策を取りまとめた報告書を設置者に提出する。
7.評価の結果と改善方法に基づく取組
- 各学校は、自己評価の結果及び今後の改善方策を、適宜具体的な取組の改善をはかることに活用する。
さらに、自己評価の結果について評価する学校関係者評価の結果を踏まえ、自己評価及び今後の改善方策について見直しを行い、それを今後の目標設定や取組の改善に反映させる。
- 学校が改善のための具体的な取組を進めるに当たっては、設置者等による支援・改善と連携しつつ進める。
(2)学校関係者評価
- 学校関係者評価は、自己評価の客観性・透明性を高めるとともに、学校・家庭・地域が学校の現状と課題について共通理解を深めて相互の連携を促し、学校運営の改善への協力を促進することを目的として行うものである。
1.学校関係者評価の在り方
- 学校関係者評価は、自己評価の結果について評価を行うことを基本とする。
- 評価を実施するに当たって、学校は、学校の状況や努力が評価者に理解されるよう十分な情報提供や学校の公開を行うことが必要である。
2.学校関係者評価委員会
- 各学校は、単独であるいは複数の学校ごとに、保護者や地域住民などの学校関係者により構成される委員会(以下「学校関係者評価委員会」という。)を置くことが考えられる。
- 学校関係者評価においては、その学校と直接の関係のある保護者等を評価者とすることが適当であるが、その他、例えば学校評議員、地域住民や地元企業関係者、子どもの健全育成・安全確保の観点から青少年健全育成関係団体や警察の関係者等を加えることが考えられる。また、接続する小学校の教職員や大学の研究者等を評価者として加えることにより評価を受けることも考えられる。
- 学校関係者評価委員会を新たに組織することにかえて、学校評議員や学校運営協議会等の既存の組織を活用して評価を行うことも考えられる。ただし、学校関係者評価の取組が一部だけのものとならず、透明性が高く広がりをもったものとなるよう配慮する。
- また、評価者への就任を依頼する際には、学校訪問や評価のとりまとめの作成、幼児に関する個人情報の保護、守秘義務など、どのような負担等が生じるかを説明し、あらかじめ各評価者の理解を得ることが必要であるが、過度の負担が生じないようにすることが大切である。
3.学校関係者評価の実施
- 学校関係者評価委員会が評価を行うに先立ち、教育活動の参観や、学校との間で十分な意見交換等を行い、学校の状況について共通理解が深められるよう留意する。
- 学校関係者評価委員会は、学校が行った自己評価の結果及びそれを踏まえた今後の改善方策について評価することを基本とする。具体的には、下記の内容などを評価することが考えられる。
- 自己評価の結果の内容が適切かどうか
- 自己評価の結果を踏まえた今後の改善方策が適切かどうか
- 重点的に取り組むことが必要な目標や計画、評価項目等が適切かどうか
- 学校運営の改善に向けた取組が適切かどうか
4.学校関係者評価の結果の報告書の作成
- 学校関係者評価委員会等は、評価の結果をとりまとめる。
- その際、学校関係者評価の結果の報告書を、自己評価の結果の報告書と併せて作成することも考えられる。
5.学校関係者評価の結果の公表・報告書の設置者への提出
- 各学校は、学校関係者評価の結果及び今後の改善方策について、保護者や地域住民等に公表するとともに、報告書を設置者に提出する。
6.評価の結果と改善方策に基づく取組
- 各学校は、学校評価を実効性ある取組とするため、自己評価及び学校関係者評価の結果並びに今後の改善方策を、次年度の重点目標等の設定に反映したり、具体的な取組の改善を図ることに活用する。
- 学校が改善のための具体的な取組を進めるにあたっては、設置者等による支援・改善と連携しつつ進める。
(3)評価結果の公表・説明
(ア)学校評価の結果と改善方策の公表
- 各学校は、学校評価の結果及びそれを踏まえた今後の改善方策を、園だよりへの掲載等の方法により広く保護者に公表する。
- さらに、PTA総会を活用して保護者等を対象とした説明を行ったり、学校のホームページや地域広報誌への掲載等の方法により、より広く内容が周知されるよう留意する。
(イ)公表に当たっての工夫等
- 学校評価の結果及びそれを踏まえた今後の改善方策の公表に当たっては、適宜公表する内容等を工夫する。
(4)設置者への報告と支援・改善
1.設置者への報告
- 各学校は、自己評価及び学校関係者評価の結果並びにそれらを踏まえた今後の改善方策をとりまとめた報告書を設置者に提出する。
これらを一つの報告書にまとめて提出することも考えられる。
- その際、自己評価を行う際に利用した保護者や地域住民からの意見や要望、アンケート等の結果等の具体の情報・資料を含める。
2.設置者等による支援・改善
(ア)評価結果等に基づく学校の支援・改善
- 設置者は、各学校の学校評価の結果の報告書に示された学校の特色や課題に向けた取組状況等により、各学校の教育活動その他の学校運営の状況を把握し、その状況や必要性を踏まえて、学校に対する支援や条件整備等の改善を適切に行う。
(イ)評価者の研修
- 各学校における学校評価の取組の中心となる教職員の研修や、保護者など学校関係者評価の評価者の知識の向上等を目的とした研修の充実を図る必要がある。

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