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2.今後の取組み

(1) 基本的な考え方
 国際的にグローバル化が進展し、世界的な大競争時代を迎える中、諸外国は、人材の育成こそ国家的最重要課題と考え、教育の充実を目指して国をあげて取り組んでいる。天然資源に恵まれない我が国にとっては、人材育成なくして国家社会の繁栄は期待できない。我が国が持続的な発展を続けるためには、知・徳・体のバランスのとれた人材を育成することが一層重要になっており、学校教育の充実に対する国民の期待は極めて高いものがある。また、未だかつてなかったような急速かつ激しい変化が進行する社会を一人一人の人間が主体的・創造的に生き抜いていくことが求められている。そのために必要となるのは、子どもたちに、基礎的・基本的な内容を確実に身につけさせ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、より良く問題を解決する資質や能力、自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力などの「生きる力」を育むことである。この「生きる力」を育むためには、「確かな学力」、「豊かな人間性」、「健康・体力」を子どもたちに身に付けさせることが必要であり、教育活動全体を通じた個に応じたきめ細かな指導は、これらの目的を達成する上で極めて重要な手段である。
 このような中、我が国は、個に応じたきめ細かな指導の充実の観点から、教員1人当たりの児童生徒数が欧米水準となることを目指して教育条件の整備を進め、現在では、初等教育(小学校)で20.3人、前期中等教育(中学校)で16.2人となるなど一定の水準に達している。しかしながら、OECDの平均は、初等教育で16.6人、前期中等教育で14.4人となっており、未だ世界水準に達している状況にはないことも事実である。特に、「OECD学習到達度調査(PISA2003)」において世界最高水準にあるフィンランドでは、初等教育で15.8人、前期中等教育で10.6人となっており、教育条件の上でも世界最高水準にある。
 今後、我が国が世界最高水準の学校教育を国民に提供できるようにするためには、教育内容の充実を図るとともに教育条件の整備を進める必要があり、上記のような状況を勘案しつつ、次期教職員定数改善計画を策定・実施し、教職員定数の一層の充実を図る必要がある。
 教職員定数の一層の改善・充実に当たっては、30人学級編制の実現を望む声も少なくない。しかしながら、仮に全国一律に30人学級編制を実現する場合には、増加教員定数が約11万人で国・地方を通じた給与所要額が年間約8千億円、教室の増加に要する経費等を合わせると莫大な財政負担を伴うこととなるため、現時点での実現可能性は極めて低いものと思われる。また、仮に30人学級編制とした場合、1学年31人の場合には、16人と15人の2クラスに分かれることとなるが、児童生徒が切磋琢磨し互いに人間性・社会性を育むための生活集団の規模としては小さすぎるのではないかという意見もある。さらに、地域、学校、学年ごとに抱える課題や状況もそれぞれ異なっていることなどから、学級編制の標準を全国一律に引き下げるという画一的な取組みではなく、地域や学校の実情に合わせた柔軟な取組みを可能としつつ、これまで進めてきた少人数教育を一層充実させることが効果的である。
 したがって、次期教職員定数改善計画の策定に当たっては、国がナショナル・スタンダードを確立し、地方がその上にローカル・オプティマムを実現することを基本として、
 今日的な教育課題も含め、学校現場が抱える教育上の諸課題に対応しつつ、学習指導、生徒指導など教育活動全般にわたりきめ細かな指導が徹底されることを可能とする
 また、特に学習指導においては、学校現場がそれぞれの実情に合わせ、より多様な指導形態や指導方法を自主的・自律的に判断・展開することを可能とする
 その際、学校が学級や学年を越えて学校全体として教育上の諸課題に柔軟に取り組むとともに、学校の設置者がその取組みを支援できるようにする
  という方向で取り組む必要がある。

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