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利用しやすい教室等 |
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柱や壁のコーナーの面取りを行うとともに、できる限り突起物、支障物をなくすなど、鋭利な凹凸のない空間とし、多様な行動に対し十分な安全性を確保することが重要である。 |
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適正な吸音性能を持つ天井、壁材を採用することが重要である。特に、一定の静寂さを必要とする空間については、適度の遮音性を持つ仕様とすることが重要である。 |
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安全性、快適性に配慮して、適度に弾力性があり、柔らかな手触りや暖かみのある素材を採用することが有効である。 |
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障害のある児童生徒の学習方法に配慮して、教室内に教材・教具等が適切に配置できるスペースを確保したり、障害に応じた専用の学習コーナー等を設置できるように計画することが有効である。
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(2) |
移動しやすい屋内の通路 |
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屋内の通路は、できる限り段差を設けず、突起物、支障物をなくすなど、安全でわかりやすい動線となるように計画することが重要である。やむを得ず段差が生じる場合は、適切なスロープ、段差解消機等を設置することが重要である。 |
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屋内通路は、安全かつ円滑に利用できる幅員を確保することが重要である。 |
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スロープは、車いす使用者だけでなく、多様な人々が安全で使いやすいように、勾配、手すりの設置等に配慮することが重要である。 |
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床と壁の立ち上がりの境を視認しやすくするため、床と壁の仕上げは、色相や明度の差を大きくしたり、材質を使い分けるなどの配慮をすることが望ましい。 |
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車いす使用者に配慮して、必要に応じて通路の壁には車いすフットレストあたりを設置することが有効である。 |
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障害のある児童生徒等の利用に配慮して、必要に応じて滑りにくい材質の手すりを設置することが有効である。 |
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通路内に休憩できるスペースを設ける場合は、腰掛け等を設置するとともに、車いす使用者のスペースにも配慮することが有効である。
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(3) |
円滑に利用できる階段 |
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階段は、安全かつ円滑に利用できる幅員及び勾配を確保するとともに、表面は滑りにくい仕上げとすることが重要である。 |
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階段は、段の上端と下端を認識しやすくするため、色相や明度の差等に配慮することが重要である。 |
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主要な階段は、直階段又は折り返し階段とし、踏面及び蹴上げの寸法は一定とすることが重要である。 |
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段鼻は、識別しやすく、つまずきにくいものとすることが重要である。 |
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手すりは、視覚障害者にとっては有効な誘導サインともなるため、設置位置などに留意し、連続して設置することが有効である。 |
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視覚障害者の利用に配慮して、階段の手すりに階数を点字で表示することが有効である。
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(4) |
利用しやすいエレベーター |
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エレベーターは、障害のある児童生徒等が利用しやすいように、主要な経路に隣接して設置し、案内表示を適切に設置することが重要である。 |
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エレベーターの間口、かごの形状・大きさ、操作盤の位置、手すり等は、障害のある児童生徒等の利用を配慮して設置することが重要である。 |
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エレベーター乗降ロビーは、前面に車いす使用者が回転できるスペースを確保することが重要である。また、車いす使用者が直進でエレベーターに進入又は退出できるように設置することが望ましい。 |
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障害のある児童生徒等が、休憩時間内に円滑に移動できるよう、要所にエレベーターを設置することが望ましい。 |
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エレベーターのかご及び昇降路の出入口の戸には、エレベーターのかごの中を見通すことができるガラス窓を設置することが望ましい。 |
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視覚障害者の利用に配慮して、エレベーター乗降ロビーの押しボタンやかご内の操作盤等に、点字等の表示を行うことが有効である。 |
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聴覚障害者の利用に配慮して、緊急時の応答、過負荷ブザー等の音声情報を視覚情報等でも表示することが有効である。
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(5) |
誰もが利用できる便所 |
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便所は、障害のある児童生徒等の利用に配慮した計画とし、車いす使用者用便房*7を設置することが重要である。 |
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車いす使用者用便房を設置する便所については、便所及び便房の出入口並びに通路について、車いす使用者の通行が可能な幅員を確保することが重要である。 |
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床面は滑りにくい仕上げとし、便所及び便房の出入口並びに通路は段差をなくすとともに、戸を設ける場合には円滑に利用できる仕様とすることが重要である。 |
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小便器の一個以上は、床置式又は壁掛式低リップ*8とし、手すりを設置することが重要である。 |
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障害のある児童生徒等が休憩時間内に教室を移動しながら利用することを考慮し、各階に車いす使用者用便房を設置することが望ましい。 |
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多機能便房*9については、多機能便房以外の便所と一体的又はその出入口の近くなど、適切な位置に設置することが望ましい。 |
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車いす使用者用便房や多機能便房には、緊急通報ボタンを設置することが望ましい。 |
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洗面台の一個以上は、座位でも容易に使用できる高さ、使いやすい水栓の設置、車いすでひざ下が入るスペースの確保等の措置を講じることが望ましい。 |
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視覚障害者の利用に配慮して、洗浄ボタン、ペーパーホルダー等の機器の配置を統一することが有効である。 |
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視覚障害者の利用に配慮して、案内板等に便所の位置及び男女の別を点字等により表示することが有効である。 |
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視覚障害者や聴覚障害者の利用に配慮して、便房の戸に使用中か否かの表示装置をわかりやすく設置することが有効である。
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(6) |
出入りしやすい教室等の出入口 |
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出入口は、車いす使用者の通過を妨げるような段差を設けず、通過可能な幅を確保するなど、安全かつ円滑に利用できるように配慮することが重要である。やむを得ず段差が生じる場合は、適切なスロープ等を設置することが重要である。 |
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出入口の戸は、開閉しやすい形式のものを設置することが重要である。 |
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車いす使用者が戸の開閉や出入りを行うために必要なスペースを確保することが望ましい。 |
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出入口の戸のガラス等は、衝突時の事故防止等に配慮することが望ましい。 |
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視覚障害者の利用に配慮して、点字や浮き彫り文字により表示を行うことが有効である。
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(7) |
建物に出入りしやすい昇降口、玄関 |
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建物に出入りしやすいように、分かりやすい位置に、昇降口、玄関及び受付の配置を計画することが重要である。また、運営面でのサポート等の観点から、職員室や事務室等の配置にも考慮して計画することが重要である。 |
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昇降口、玄関は、床面を滑りにくい仕上げとし、車いす使用者の通過を妨げるような段差を設けず、通過可能な幅を確保するなど、安全かつ円滑に通過できるように配慮することが重要である。やむを得ず段差が生じる場合は、適切なスロープ、段差解消機等を設置することが重要である。 |
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出入口の前後には、車いす使用者が方向転換できるスペースを確保することが重要である。 |
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昇降口、玄関の戸は、開閉しやすい形式のものを設置することが重要である。また、必要に応じて、自動ドアを設置することが望ましい。 |
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昇降口、玄関の戸のガラス等は、衝突時の事故防止等に配慮することが望ましい。 |
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受付の位置は、高齢者、身体障害者等に対する情報提供やサポート等の運営体制を考慮して計画することが有効である。 |
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出入口付近に受付カウンターやインターホン等の案内設備を設置することが望ましい。この場合、視覚障害者誘導用ブロックや音声により案内設備への誘導を行うことが有効である。 |
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視覚障害者や聴覚障害者の利用に配慮して、建物や施設の情報案内を点字、音声、文字等により適切に表示することが有効である。 |
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車での送迎が必要な児童生徒等の利用に配慮して、車寄せには屋根を設置することが有効である。
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(8) |
操作がわかりやすい建築設備 |
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建築設備は、操作しやすく、わかりやすいものとすることが重要である。 |
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スイッチ、コンセント、手洗い場等の設備は、大きなものを使いやすい位置に配置することが重要である。 |
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放送、音響設備は、聴き取りやすいように配慮することが重要である。また、聴覚障害者に配慮して、放送、音響設備とともに文字情報を提示する電光表示板等を設置することが有効である。 |
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施設利用者の特性や施設用途、立地環境等を考慮し、聴覚障害者の利用に配慮して移動式又は固定式磁気ループ*10等を設置することが有効である。
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(9) |
利用しやすい家具 |
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黒板、机、いす、各種棚等の家具は、利用者の体格に配慮して設置することが重要である。 |
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高さ等の調整が可能な机、いす、黒板等を設置することが望ましい。 |
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視覚障害者が楽な姿勢で読み書きを行うことができる傾斜調整が可能な机や、点字機器、教材拡大機器等を使用できる広い机面の机など、障害の特性に配慮した家具を配置することが有効である。
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(10) |
適切な照明設備
施設利用者の特性、施設用途、立地環境、照明の用途等を考慮して、見やすくまぶしさのない良質な光の得られる照明器具を選定するとともに、適切な照度、照明器具の位置等を計画することが重要である。
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(11) |
明確な色彩計画
色彩計画は、その組合せ等により、エリア表示、誘導方向表示、サインなどと代替可能であるため、色相や明度の差に配慮するとともに、視覚面や心理面での効果等を十分に検討して計画することが重要である。 |