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(1) |
学校施設のバリアフリー化等の視点 |
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障害のある児童生徒等が安全かつ円滑に学校生活を送ることができるように配慮
社会におけるノーマライゼーションの考え方の進展や、従来の特殊教育の対象の児童生徒が増加傾向にあり、今後、小・中学校で障害のある児童生徒が一層増加することが想定されることを踏まえ、障害のある児童生徒等が安全かつ円滑に学校生活を送ることができるように、学校施設において個々のニーズに応じた対策を実施することが必要である。
なお、障害のある児童生徒に配慮した対策は、児童生徒のみならず、教職員、保護者、地域住民等の多様な人々が施設を安全かつ円滑に利用するための対策としても有効である。
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学校施設のバリアフリー化等の教育的な意義に配慮
バリアフリー化された学校施設は、その利用を通じ、児童生徒に対して障害者に対する理解を深める学習効果が期待できるものであり、関連する教科等において具体的に活用することも有効である。
また、小・中学校の学習指導要領において、小学校、中学校、盲学校、聾学校及び養護学校などとの間の連携や交流を図るとともに、障害のある児童生徒や高齢者などとの交流の機会を設けることを規定している。このため、学校施設の整備においては、これらの交流活動が円滑に実施できるように、障害のある児童生徒や高齢者が安全かつ円滑に利用できる計画とすることが必要である。
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運営面でのサポート体制等との連携を考慮
小・中学校の学習指導要領において、障害のある児童生徒については、実態に応じ、指導内容や指導方法について工夫することを規定している。障害のある児童生徒に対しては、教材・教具の工夫はもちろん、安全かつ円滑に教室への出入りや便所等の利用ができる教室を提供するなど、ハード面での配慮や、施設の運営・管理、人的支援等のソフト面との連携などについて考慮することが必要である。また、学習面だけでなく生活面においても個々の状況に応じ、人的サポートが必要となる場合があるため、学校施設の整備においては、これらのサポート体制と連携した計画とすることが必要である。
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地域住民の学校教育への参加と生涯学習の場としての利用を考慮
小・中学校の学習指導要領において、地域や学校の実態等に応じ、家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深めることを規定している。このため、学校の教育活動へ地域の人材を受け入れるなど、様々な人々の学校教育への参加を考慮して計画するとともに、地域住民が生涯学習の場として利用することを考慮した計画とすることが必要である。
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災害時の応急避難場所となることを考慮
小・中学校施設は、地震等の災害発生時には地域住民の応急的な避難場所としての役割も果たすことから、地域住民が利用することを考慮した計画とすることが必要である。
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(2) |
既存学校施設のバリアフリー化の推進
現在、我が国における小・中学校施設は、約3万5千校あり、何らかのバリアフリー対策を実施すべき施設は相当数に達する。社会的な背景等を踏まえると、今後、学校施設のバリアフリー化を一層推進していくことが重要であり、そのためには、既存学校施設の積極的なバリアフリー化の推進が必要である。
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関係者の参画と理解・合意の形成
既存学校施設のバリアフリー化を計画的に推進するためには、当該地方公共団体における全体的な中・長期の行政計画やバリアフリー化整備計画等の上位計画との整合を図りつつ、学校、家庭・地域、行政(教育委員会、営繕部局、都市計画部局、財政部局、防災部局)等の参画により、幅広く関係者の理解・合意を得ながら、既存学校施設のバリアフリー化に関する整備計画を策定することが重要である。
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バリアフリー化に関する合理的な整備計画の策定
地方公共団体等の設置者は、これまで述べた学校施設のバリアフリー化等に関する基本的な考え方を踏まえ、第2章で述べる計画・設計上の留意点を参考として、既存学校施設のバリアフリー化に関する整備計画を早急に策定し、計画的にバリアフリー化を推進していくことが重要である。
既存学校施設のバリアフリー化に関する整備計画を策定するには、まず、所管する学校施設のバリアフリー化の現状を調査し、障害のある児童生徒等の安全かつ円滑な利用に対する障壁を把握する。その後、それらの障壁を取り除くための整備方法を検討するとともに、必要となる経費を試算するなど全体の事業量を把握する。さらに、将来動向の推計も含めた障害のある児童生徒の在籍状況等を踏まえ、各学校施設のバリアフリー化に関する整備目標を設定し、所管する学校施設に係る合理的な整備計画を策定することが重要である。
なお、バリアフリー化に関する整備計画の策定に際しては、運営面でのサポート体制と連携して、段階的な整備目標を設定することも有効である。
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計画的なバリアフリー化に関する整備の実施
設置者は、所管する学校施設に係る整備計画に基づき、計画的に学校施設のバリアフリー化に関する整備を実施することが重要である。
なお、障害のある児童生徒等が安全かつ円滑に学校施設を利用するために障壁を取り除くという観点からは、円滑に利用できる便所の整備、校内を円滑に移動するためのスロープやエレベーター等の設置が重要である。さらに、個々の障害に応じた適切な整備を実施する必要があることを考慮して、バリアフリー化に関する整備を実施することが重要である。
また、学校施設の耐震化や防犯対策に係る整備等と併せてバリアフリー化に関する整備を実施するとともに、小修繕や既製品を用いる等により対応することも有効である。 |