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効率的な財務経営への寄与 |
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大学等における施設関連経費は、新増改築や大規模改修等の投資的経費と、修繕費、点検保守費、運転監視費、清掃費、警備費及び光熱水費等の経常的経費で構成される。これらの経費が運営経費に占める割合は少なくなく、その増減は財務経営に大きく影響する。
しかし、単なるコスト縮減は安全衛生の確保や教育研究の遂行に影響を及ぼし、大学等の活力低下や資産価値の低下を招くことに他ならず、適切なコストマネジメントによる合理的な対応が必要である。仮に施設の修繕費や老朽機器(照明、空調等)の更新費をカットして一時的に運営コストを下げても、なすべき事の先送りでは、施設の劣化を早め将来の経費を増加させる結果を招く。
コストマネジメントの実現には、必要なことには応分の経費を充てるメリハリのきいた経費配分と、配分された経費の執行に最も経済的メリットの高い手法を駆使するという二つの要素を併せ持つことが必要である。
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公共工事のコスト縮減の一環 |
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公共工事コスト縮減対策関係省庁連絡会議(平成15年9月18日)において、「公共事業コスト構造改革プログラム」が決定され、国立大学等の施設整備費も対象となっている。このプログラムは公共事業のすべてのプロセスをコストの観点から見直すもので、平成19年度までに15パーセントのコスト縮減が目標である。
目標の達成には、建設コストの縮減に加え、新たに規格見直しによるコスト縮減、事業の迅速化による便益向上、将来の維持管理費の縮減があげられており、これらはいずれもコストマネジメントの目標に合致する。
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省エネルギー対策の強化 |
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エネルギーの使用の合理化に関する法律(以下「省エネ法」という。)が平成14年6月に改正され(平成15年4月1日施行)、第一種エネルギー管理指定工場 の指定対象が全業種に拡大された。大学等はこれまでエネルギー管理員の配置義務のみであったが、エネルギー消費原単位を年平均1パーセント以上低減させることが求められることとなった。
さらに、第一種エネルギー管理指定工場に該当する場合はエネルギー使用合理化の中長期計画の作成や定期報告が、第二種エネルギー管理指定工場 に該当する場合には定期報告が、それぞれ義務付けられた。
大学等では教育研究の高度化に伴ってエネルギー消費量が増加傾向にあり、断熱性能や空調機器等の効率アップ、使用者の省エネルギーマインドの向上等により、教育研究活動の活力を維持しつつ、エネルギー消費原単位 を低減させていく必要がある。 |
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第一種エネルギー管理指定工場
燃料等の年度使用量(原油換算)3,000[ ]以上、または、電気の年度使用量1,200万[ ]以上
国立大学65団地、私立大学46団地が該当 |
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第二種エネルギー管理指定工場
燃料等の年度使用量(原油換算)1,500[ ]以上、または、電気の年度使用量600万[ ]以上
国立大学42団地、私立大学74団地が該当 |
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エネルギー消費原単位
大学の場合、業務のために要したエネルギーの使用量を建物延床面積その他の当該業務に供した施設の規模等エネルギーの使用量と密接な関係をもつ値で除して得た値 |
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京都議定書の発効
国際的な気候変動対策を進めるため、平成9年に地球温暖化防止に係る京都議定書が採択され、平成17年2月に発効した。その骨子は、温室効果ガス 排出量を平成20年から5か年で、平成2年を基準に先進国全体の少なくとも5パーセント削減することであり、このうち日本は6パーセント削減することとされている。
平成14年度のわが国の温室効果ガスの総排出量は13億3,100万トンで、基準となる平成2年の総排出量12億3,700万トンを7.6パーセント上回る状況である。大学等からの排出量は、国立大学だけでも年間150万トン以上と推定され、大学等としての社会的責務を果たす観点からも削減努力が不可欠である。 |