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第2章 量子ビームの利用促進活動とその波及効果
第1節 対外的プロモーションの推進活動
本検討会の中間とりまとめの成果をベースとして、事務局側より各般の業界団体や報道機関等を中心に、J-PARC及びRIBF等の多様かつ高品位の量子ビームの有効性について広報・アウトリーチ活動が展開され、以下のような産業利用の可能性に係る多くの有用な助言、新たな利用開拓の可能性に係る示唆・提言が得られた。
産業界の新たな利用開拓の可能性について、大手重電機メーカーの有識者からは、中性子ビームを用いた計測技術は、モノ作り産業の将来にとっても不可欠の技術であり、企業団体関係者に対し、より積極的に周知すべきとの認識・提言が示された。
また、これまで中性子ビーム等の利用にほとんど関わる機会のなかった農林水産関係の先端産業技術研究をサポートする団体(社団法人・農林水産先端技術産業振興センター:STAFF)との意見交換においては、農林系産業への量子ビーム利用の様々な可能性が示唆され、農林水産・食品関係の研究者・起業家が集まる技術フェア(アグリビジネス創出フェア)にビーム施設側よりブース展示を行うべきとの提言がなされた。これを受け、関係法人が当該フェアに出展を行い、ビーム利用に関わりを有する企業関係者と専門研究者の交流に係る貴重な機会が得られた。また、後述する量子ビーム産業利用研究会にSTAFF関係者が参画・貢献すること等を通じ、量子ビーム技術のこれら分野への周知・普及を効果的・効率的に進める仕組みが整いつつある。新たな産業分野における量子ビーム利用の可能性を開拓する上で、こうした公益的な組織・団体等を通じ技術・情報の周知・導入を図ることは、極めて有効な方策と言える。
さらに、これまで大型量子ビーム施設の利用経験をほとんど有しない石油・資源産業関連分野の研究者・技術者との会合では、中性子は、メタンハイドレート、燃料電池等の資源・材料の機能・構造評価のためのツールとして有効であるとの考え方、触媒の機能評価への利用可能性等についての示唆がなされた。このように、従来、中性子ビームの利用に馴染みの薄かった多くの研究者等に対し、業界団体や当該業界との連携・協力関係を有する専門機関を介して直接の説明・働きかけを行うことにより、その有用性が認識され、新たな産業ユーザーを生み出すきっかけが得られるものと期待される。
ビーム利用促進活動のあり方に関しては、原子力分野の有識者より、“量子ビーム”等の言葉を高校生の教科書等で積極的に取り上げていくことや、女性を主たる対象として意識した広報活動を行う等、若年層や女性等を対象とした効果的なPR活動の必要性等の提言があった。また、加速器関連の企業団体の会合における意見交換では、世界最高水準の我が国の加速器技術を今後とも維持していく上で、若手技術者を効果的に引き付け、活用する機会を与えることが重要といった意見が出された。
更に、主な報道機関の関係者との意見交換では、「イノベーションジャパン2005」等多くの研究者・企業人が集う場に出向き、積極的に意見交換、人脈づくりに努めるべき旨の提言がなされた他、各種メディアを通じ、一般の関心が必ずしも高いとは言い難い量子ビーム施設の動向・成果につき、積極的に情報発信していくことも重要と指摘された。
これら重要な示唆・提言等を踏まえ、今後も種々のメディアや人的ネットワークを活用しつつ、コーディネータ・アドバイザー等による広報・アウトリーチ活動を精力的に実施し、これまでビーム利用に係る知識・情報に接する経験の少なかった層にもアプローチしていくことが期待される。その際、多様な人材の参画を得つつ、各ビームの特性や強みをできる限り分かりやすい形で発信・アピールしていくことが重要であり、そのためにはこうした広報・アウトリーチ活動に豊富な経験を有する専門人材を配置し、各種学会誌・専門誌やwebを通じた発信等、人材活用やメディア開拓に関する工夫も必要と考えられる。
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