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第2節 ビーム機器の性能向上・更新のあり方
 J-PARC/MLFにおけるBL機器の性能向上・更新にあたっては、専用BL設置・産業利用促進の実績等で先行する大型放射光施設SPring-8の各種制度を参考にしながら対応することが望ましい。SPring-8の専用BLの場合、10年間の契約期間で5年目に専用施設検討委員会による中間評価を実施して然るべき勧告を行うことになっている。現時点でのJ-PARC/MLFのBL設置に係る審査制度では、設置が承認されたBLは一定の期間毎(5〜10年程度とする方向で検討中)にその設置契約を更新することとしている。本制度は既にその目的を達して役目を終えたBLや技術・機器の陳腐化により利用効率の低下したBL等に代わり、最新の技術動向や利用ニーズに即応したBLの新設・改良を行うことにより施設全体の活性を保ち、国際的な研究拠点としての機能・役割を維持・向上させるためには不可欠な制度である。こうした契約更新のプロセスを円滑かつ効率的に進めるためには、契約期間の満了する1〜2年前に、専門の検討委員会により当該BLの稼働・利用状況を評価し、契約更新の可否、及び更新可の場合は、装置の改良・性能向上、一般共同利用へのビームタイム割当比率等についての勧告を行う制度を導入することが適当と考えられる。
 なお、BLの整備・運用には、前述の多額の整備費用に加え、その維持・管理・運転、装置改良等に年間数千万円〜数億円の費用を要する。特に競争的資金で機器開発・整備を行うものをはじめとして、これらのBL運転・管理経費を定常的に確保するための方策について検討・留意する必要がある。
 RIBFにおけるビーム輸送系及び実験設備については、施設者が中心となり、利用ニーズの動向を踏まえ、ビーム性能の向上のための技術開発や日々進歩する最新技術の導入等の高度化を継続的に実施し、施設の先端性維持とこれによる利用者ニーズへの即応を図っていくことが望まれる。なお、RIBFの場合、SPring-8及びJ-PARC/MLFのように、複数のBLを同時並行して運用し実験を行うことについては、機器整備の運用上の工夫・配慮を要するものと考えられることから、今後の利用分野の拡大・多様化に応じ、BL機器の整備・運用のあり方について相応の検討を加えていくことが期待される。


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