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5.おわりに本報告書を取りまとめるにあたり、内閣府政策統括官(防災担当)付 地震・火山対策担当参事官付及び文部科学省研究開発局宇宙開発利用課が、防災関連の各府省庁、機関、有識者等の協力を得て、計6回にわたり地球観測衛星の防災分野における貢献策について検討を行ったことは非常に有意義なことであった。 それは、文部科学省の宇宙開発委員会 地球観測特別部会が2005年6月に取りまとめた報告書「我が国の地球観測における衛星開発計画及びデータ利用の進め方について」の中で、災害監視分野の衛星について課された「利用者の具体的なニーズについての詳細な把握」及び「それらを踏まえた衛星・センサ開発」という宿題事項について、真摯に整理を行い、「だいち」以降の防災のための次期地球観測衛星システムを検討し、本報告書に具体化したことが最大の理由である。 また、取りまとめを通じて明らかとなったことは、地球観測衛星の防災分野の利用については、まだ初期段階であり、今後解決すべき課題が数多く存在するということである。しかし同時に、各防災関連府省庁等が構成する防災システムの中で、航空機や地上系設備による観測との得意分野の棲み分けを行いながら、地球観測衛星が得意とする広域観測や、夜間・悪天候時の観測を長期継続的に実施していくことについては、各防災関連府省庁等の多くが期待をもっているということも明らかとなった。 なお、本検討会では、国内の各防災関連府省庁等の具体的ニーズに応えるということを第一義として議論を行ってきたが、宇宙空間から地球を観るという地球観測衛星の本質から、「だいち」や「だいち」以降の防災のための次期地球観測衛星システムは、アジアを始めとする世界各国で発生する森林火災や洪水といった災害の監視にも貢献できるものであると考えられる。既に、災害発生時に各国が取得した衛星データを提供し合う「国際災害チャータ」や、防災に関するデータをアジア各国で共有する我が国主導の「センチネル・アジア」といった取り組みが実施されており、これらを通じて国際貢献を果たしていくことの重要性についても認識しておく必要がある。 本報告書については、「だいち」による防災利用実証実験計画と、「だいち」以降の防災のための次期地球観測衛星システム構築に向けた基本方針を示すに留まったが、今後も本検討会を有効に活用しつつ、各防災関連府省庁等のニーズや有識者等のご意見をいただきながら、防災のための地球観測衛星等の利用に関する検討を継続的に行うこととしたい。
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