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4.防災のための次期地球観測衛星システムについて

(1) 基本方針

   防災のための次期地球観測衛星システムの構築にあたっては、「2.」で整理した各防災関連府省庁等からのニーズに適切に応えることを最優先の課題とし、技術的な早期実現可能性等も踏まえ、以下のような方針で実施していくこととする。

1 災害状況の把握では、より詳細な観測データが求められるため、できるだけ高い分解能(約1メートル)を実現できるセンサの開発を検討する。その際、夜間や悪天候時の観測を考慮し、光学センサだけではなく、レーダセンサの開発を検討し、光学センサについてはパンクロマチックだけではなく、マルチスペクトルのセンサの開発も検討する。
2 分解能と観測幅はトレードオフの関係にあるが、国内の主要な災害の規模を考慮すると地震では40〜70キロメートル、風水災害では30〜50キロメートル程度の観測幅が必要となるため、上記高分解能センサによる広域観測の実現を重点目標とし、観測幅は50キロメートル以上を目指す。
3 災害発生直後の迅速な観測というニーズに対応するため、概ね3時間以内の観測を目指し、光学センサとレーダセンサを別々の衛星に搭載し、各衛星2機ずつの4機体制による観測頻度の向上を実現するシステム構成を検討する。

 これらの基本方針に基づく防災のための次期地球観測衛星システムは、災害発生後の被災状況把握のみならず、平時における災害の予兆把握等にも有効に活用できるものと考えられる。また、「だいち」が取得した観測データは、これまでにも、世界各地で災害が発生した際に、海外の防災関連機関等に提供されており、被災状況の把握等に利用されている。今後も、「だいち」による防災利用実証実験の実施等を通じ、防災分野における地球観測衛星データの利用が進むことが予想されるため、防災のための次期地球観測衛星はできる限り早期に打ち上げられるべきである。特に、「だいち」の寿命は5年を目標としているため、「だいち」の運用期間との空白ができないよう考慮する必要がある。

 加えて、防災のための次期地球観測衛星システム等の開発・運用に際しては、データの利用のための地上システム等を含め、「3.」で整理した防災利用実証実験の成果をできる限り反映するとともに、「だいち」等で取得する観測データとの整合性及び継続性も十分考慮することが必要である。

(2) 長期的見通しに立った研究開発

   各防災関連府省庁等からの防災ニーズは、防災のための次期地球観測衛星システムで全て満たされるものではなく、今後も長期的な見通しを持ち、ニーズに対応した衛星の研究開発を着実に進めるべきである。特に、被災状況をできるだけ迅速かつ詳細に把握するというニーズが強いことから、迅速性を向上させるためのシステムのあり方やセンサの更なる高分解能化に関する研究等を進めていくことが重要である。

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