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2  関係者間における協議について

 従来、著作権分科会等では、対立する利益を代表するものと思料される関係者の間における協議(以下「関係者間における協議」という。)をまず促し、当該協議の結果を踏まえた上で、必要に応じ、改正課題に関する検討を進めてきたところである。
 著作権に関する改正要望には、反射的に一定の不利益を被る者が存在することが多い。このような利害対立の存在を理由に、当該課題の検討自体を躊躇するとすれば、著作権に関する改正要望のほとんどについて、専門的な検討がなされる機会を与えられないこととなってしまう。
 したがって、関係者間における協議が一定の合意に至るまで、著作権分科会等における検討自体を一律に控えることは合理的ではない。また、ひとたび一定の合意が形成されれば、必ず制度改正への道が開かれると考えることも適当とは思われない。
 また、検討課題の中には、そもそも適切な関係当事者を特定することが困難なものもある。仮にある程度特定できたとしても、関係者間の意見の隔たりが大きく、任意の協議によって一定の合意に至ることは期待し得ないものなどもあり得る。関係者間における協議を強調することによって、かえって不合理な事態を招来する側面もあるのではないかと考えられる。
 必要に応じて外部の参考情報を得ることが有益であるのは確かだとしても、著作権分科会等における検討は、第一義的には、著作権分科会等の見識に基づき、その責任において、行われるべき性格のものである。

 以上のような観点から、今後は、関係者間における協議が自主的に行われている場合には、当該協議の過程において整理された争点や主張などを、著作権分科会等における検討に当たっての考慮要素として位置付けることとするのが適当である。
 そのための具体的な方策としては、今後、著作権法の改正要望事項を広く募集するに当たり、当該要望事項に係る参考情報として、利害関係者の意見や協議の状況について任意に記載させることとし、必要に応じ、当該要望事項に係る関係者を著作権分科会等の検討の場に招致して直接意見を聴くことなどが考えられる。
 なお、当該協議が行われていたとしても、当該改正要望事項について利害関係を有するすべての者を網羅して協議が行われているとは限らないので、著作権分科会等における具体的な検討結果を最終的に取りまとめるに先立って、一般から意見募集を行うこととすることが適当である。


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