「映像コンテンツ大国に向けた検討委員会」が2007年2月に取りまとめた提言において、放送番組のマルチユースの促進に向けた今後の課題のひとつとして、ネット配信に際しての配信ルール、プロテクションや配分に関するルールなどが指摘された。
		 これを受け、同年4月、同委員会の「放送番組における映像実演に関するWG」の下に「ネット配信」研究会が設置され、配分ルールをはじめとするネット配信に関する諸問題について計6回研究会を開催し、検討を行った。その結果、関係者はネット配信に積極的に取り組むことを前提に、以下のとおり合意した。
	
		1.合意の前提条件
		
			- 実際のサービスの内容は本合意内容を踏まえ、当事者の判断あるいは当事者間の契約により決定すること。
 
			- 以下の合意事項には、音楽番組は含まない。
 
		
	 
	
		2.キャッチアップ・サービスについて
		
			(実施主体・対象)
			
				- 放送局が(放送局が他社のポータルサイトのスペースを借りる場合も含む。)一度放送した番組を放送終了後に一定期間ネット配信するサービス。
 
			
		 
		
		
			(配信方式)
			 配信方式は次の通りとし、どのような通信技術または端末を用いて配信されるのか事前に明示すること。
			
				- ストリーミング
 
				- ダウンロード
1週間〜10日などで消去 
			
		 
		
			(報酬の配分方式)
			 いずれかを各々のメリット、デメリット(図1)を踏まえ関係者の協議により選択。
			
				- レベニューシェア
 
				- 出演料ベース
 
				- レベニューシェアと出演料ベースの組み合わせ
 
			
		 
		
			(配信内容)
			
				- 番組の全部又は一部を配信するかはそれぞれの契約内容に委ねる。
 
			
		 
		
			(プロテクション問題)
			
				- その時点で国際標準レベルの技術を採用する。また、プロテクションが破られた時など海賊版が流通した時には関係者は真摯かつ速やかに対応する。
 
			
		 
		
			(図1)
			
				
					|   | 
					メリット | 
					デメリット | 
				
				
					| レベニュー・シェア方式 | 
					
							- 収入が増えれば、配分も増える。
 
							- 事業者にとってリスクがない。
 
							- 経費の全体像が把握できる。
 
							- 事業に参入しやすい。
 
							- リスクがないため、より多くの番組がラインアップされる。
 
						  | 
					
							- 権利者への配分が少ない可能性がある。
 
							- 権利処理のためのコストが高い。
 
							- 収入の配分管理が大変である。
 
						  | 
				
				
					| 出演料ベース | 
					
							- 権利者にとって一定の配分が確保される。
 
							- 権利処理のためのコストが低い。
 
						  | 
					
							- 事業者による収入が出ても権利者への配分がない。
 
							- 収入や経費の全体像がわからない。
 
							- 事業者にとってリスクがある。
 
							- リスクがあるため、よく見られる番組が中心になる。
 
						  | 
				
			
		 
	 
	
		3.放送番組のネット配信について(キャッチアップ・サービスを除く)
		
			(実施主体・対象)
			
				- 放送局又は放送局以外の第三者が、過去に放送された番組や今後放送される番組をネット配信するサービス。
 
			
		 
		
			(サービス期間)
			
				- 契約期間を3年以内とし、合計配信期間6ヶ月以内を原則とする。
 
			
		 
		
			(配信方式)
			 配信方式は次の通りとし、どのような通信技術または端末を用いて配信されるのか事前に明示すること。
			
				- ストリーミング
 
				- ダウンロード
一定期間での消去 
			
		 
		
			(報酬の配分方式)
			 いずれかを関係者の協議により選択。
			
				- レベニューシェア
 
				- レベニューシェア
ミニマムギャランティー 
				- 提供価格ベース(主に第三者への番組販売)
 
			
		 
		
			(プロテクション問題)
			
				- その時点で国際標準レベルの技術を採用する。また、プロテクションが破られた時など海賊版が流通した時には関係者は真摯かつ速やかに対応する。
 
			
		 
	 
	
		4.今後の取組について
		
			- 放送事業者・番組製作会社・所属事務所・実演家は、番組製作時において、上記1〜3を参考としつつ(個別の団体協約がある場合にはそれに従う)、インターネット、モバイルへの番組・素材の提供の可否について確認する。
 
			- また、過去の放送番組の二次利用に当たっては、所在不明の権利者が円滑な利用の障害となっていることに鑑み、同様の事態が今後生じるのを防ぐため、放送事業者・番組製作会社・所属事務所・実演家は、番組製作時において、次の事項を徹底する。
				
					
 製作者側は、出演実演家がCPRAあるいは日本音楽事業者協会のいずれにも所属していない場合には、出来る限り当該実演家から本研究会で決まった合意事項に基づき承諾を得るよう努める。 
					
 CPRAあるいは日本音楽事業者協会は、いずれの団体にも所属していない実演家がいる場合には、出来る限りいずれかの団体に権利を委任するよう働きかける。 
				
			 
		
	 
	以上