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著作権分科会 私的録音録画小委員会(第3回)議事録・配付資料

1.日時

平成20年7月10日(木曜日)10時〜12時10分

2.場所

アルカディア市ヶ谷 「穂高」

3.出席者

(委員)

石井、井田、大寺、大渕、華頂、亀井、河村、椎名、津田、筒井、土肥、苗村、中山、野原、生野、長谷川、松田、森田の各委員

(文化庁)

高塩文化庁次長、山下著作権課長、亀岡国際課長、川瀬著作物流通推進室長 ほか

(オブザーバー)

野方(日本音楽作家団体協議会顧問)

4.議事次第

  • (1)制度のあり方について
  • (2)その他

5.資料

資料1
  第2回私的録音録画小委員会(平成20年5月8日)における「資料2 著作権保護技術と補償金制度について(案)」及び「資料3 私的録音録画補償金制度の具体的制度設計について(案)」に対する質問への回答
資料2−1
  補償金の制度の論点についてのJEITAの見解
資料2−2
  テレビ放送からの私的録画に関するアンケート調査(平成20年5月 社団法人 電子情報技術産業協会)(PDFファイル)
(※社団法人電子情報技術産業協会ホームページへリンク)
資料2−3
  音楽CDからの私的録音に関するアンケート調査(平成20年5月 社団法人 電子情報技術産業協会)(PDFファイル)
(※社団法人電子情報技術産業協会ホームページへリンク)
参考資料1
  コピーワンス問題と補償金制度に関する合同記者会見 第6弾−メーカーの社会的責任と補償金制度−(平成20年5月29日 デジタル私的録画問題に関する権利者会議)(PDF:225KB)
参考資料2
  私的録音録画補償金問題に係るJEITAの見解について(平成20年5月30日 社団法人 電子情報技術産業協会)(PDFファイル)
(※社団法人電子情報技術産業協会ホームページへリンク)
参考資料3−1
  公開質問状(平成19年11月9日 デジタル私的録画問題に関する権利者会議28団体および社団法人 日本芸能実演家団体協議会加盟61団体(賛同団体))(PDFファイル)
(※CultureFirstホームページへリンク)
参考資料3−2
  公開質問状(平成20年6月16日 デジタル私的録画問題に関する権利者会議28団体および社団法人 日本芸能実演家団体協議会加盟61団体(賛同団体))(PDFファイル)
(※CultureFirstホームページへリンク)
参考資料4
  「デジタル・コンテンツの流通の促進」及び「コンテンツ競争力強化のための法制度の在り方」第1章第1節抜粋(平成20年6月27日総務省情報通信審議会第5次中間答申)(PDF:351KB)

6.議事内容

【中山主査】

 まだお見えになっておられない委員がおられますけれども、時間になりましたので、ただ今から文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会の第3回を開催いたします。本日はご多忙中のところ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 いつものとおりでございますけれども、本日の会議の公開につきましては、予定されている議事内容を参照いたしますと、特段非公開とするには及ばないと思われますので、既に傍聴者の方々にはご入場していただいておりますけれども、こういう処置でよろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【中山主査】

 ありがとうございます。
 それでは、本日の議事は公開ということにいたしまして、傍聴者の方々はそのまま傍聴をしていただきたいと思います。
 なお、本日は小六委員がご欠席されておりますけれども、小六委員の申出によりまして日本音楽作家団体協議会顧問、野方英樹様がオブザーバーとして出席されております。
 それでは、議事に入ります前に事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【高橋室長補佐】

 それでは、本日の配付資料を確認させていただきます。
 お手元の本日の議事次第をご覧いただきたいと思います。こちらの下半分に本日の配付資料を書かせていただいておりますので、ここをご覧いただきながらご確認をいただきたいと思います。まず、資料といたしまして資料番号の1番から資料の番号2−3までの資料の4点、それから参考資料といたしまして参考資料の1番から参考資料の4番まで、以上の5点になっております。また、机上の配付資料といたしまして、お手元の法令集、中間整理、それから前回までの会議資料をご用意しておりますので、ご確認いただきたいと思います。
 何か不足等がございましたらお知らせいただきたいと思いますが。

【中山主査】

 よろしいでしょうか。

【高橋室長補佐】

 よろしゅうございましょうか。ありがとうございます。

【中山主査】

 それでは、議事に入ります。
 まず、事務局より資料の説明をお願いいたします。また、7月4日から無料デジタル放送のコピー制限であるダビング10が実施されておりますけれども、その経緯等も併せて説明をお願いいたします。

【川瀬室長】

 それでは、資料1についてご説明をさせていただきたいと思います。
 ご承知のとおり、本年5月8日に文化庁提案というものをこの委員会に提出させていただきまして、それぞれのお立場から意見を表明していただいたわけでございますけれども、当日、権利者、消費者の委員の方々、メーカー側のうち記録媒体の製造業に関わる委員、それから学識経験者の何人かの委員から、それぞれのお考えを聞かせていただいたところでございまして、その際、機器の製造メーカーの委員につきましては、5月8日に提出しました資料3に関するご懸念とか不安とか疑問とか、こういうことにつきまして発言があり、意見の表明が保留されたところでございます。さらに、その懸念、不安、疑問等につきましては、主査の方から文書にして、この委員会に考え方を提出するようにというご指示をいただいたところでございまして、本日はそのご指示に基づきました資料を提出させていただきました。
 お手元の資料1を見ていただきますと、事務局としては分かりやすい形でご説明をということで、いわゆるQ&Aという体裁をとりまして、提出させていただいたところでございます。また、このQ&Aにつきましては委員の先生方には事前に配付して、中身についてはご覧いただいていると思いますので、本日は詳細についてのご説明は控えさせていただきます。
 ざっと概要だけご説明しますと、まず、見ていただけましたら分かりますように、質問については1問から13問までございます。そのうち私どもが提案しています提案の中で、補償金制度に対する縮小、それから他の方法への転換について、提案をしているわけでございますけれども、それに関しまして問1、問3というような関連の質問がございました。
 問1をご覧いただきますと、補償金制度の縮小に関する将来の構想についてはどう考えているのかということで、これも従来からご説明していたとおりでございますけれども、3つ目の丸のところで契約による対応というものの条件整備に向けて、例えば文化庁提案を実現するための調査研究会というものを設けてはどうかというような提案もしているところでございます。また、最後の丸ですけれども、縮小に向けての予め存続期間を決定するようなことについては、ここに書いているような理由で適切ではないというようなことを示しております。
 それから、問3でございますけれども、問3については無料デジタル放送からの録画における補償の必要性がなくなる場合についてはどのような場合かということで、これも提案をしているとおりでございまして、いわゆるダビング10の変更という際に、丸の3番目の中段辺りですけれども、そういった権利者の要請や権利者側も含めた関係者の自由意思による合意に基づく新たなルールが決定すれば、当該ルールの内容を問わず、補償金の必要性はなくなるというふうに考えられるというふうにしております。
 それから、制度の拡大のおそれがあるのではないかというご質問がありまして、それについては問2、問11でございます。
 問2は、文化庁提案では補償金制度の対象とする分野を音楽CDからの録音及び無料デジタル放送からの録画に限定するとしているけれども、今後拡大するおそれがないと言えるのかということです。これは著作物の利用行為に着目した範囲について、それが拡大するおそれがないかというようなご質問だと思いますけれども、これについては録音源、録画源についてパッケージソフト、それからネット配信、それから放送に大別して言及しているわけでございまして、パッケージソフトについては音楽CDからの録音に限定をするということですから、次世代オーディオに転換する際に補償の必要性がなくなるということ、それから仮にビジネスモデルの変更があるとしても、権利者の要請に基づかない保護技術が業界ルールになるということは考えられないので、制度の拡大は考えにくいのではないかということです。
 ネット配信については、これもこの審議会でご議論されています適法配信からの録音録画については、30条の範囲から適用外にしてはどうかというような考え方もございますし、また、違法パッケージや違法配信からの録音録画については、これも適用除外にするということが大勢でありましたので、仮にそのようになった場合は、補償金の対象とはならないということでございます。
 また、放送につきましては、ダビング10については補償の必要性があるということでございます。それ以外の有料放送等については補償金の対象については考えていないと、これも文化庁提案の中で明記しているわけであります。なお、放送を受信して、通常インターネット網で同時再送信するというようなことは、そういうビジネスモデルは今のところ放送業界では想定されておりません、ということも加えております。
 それから、問11でございます。問11は主たる用途の要件の明確化や一体型機器の対象化によって、補償金制度の対象機器が広がるおそれがないのかというご質問でございます。丸の1から3までは事実関係、今までの経緯等についてご説明をしているところですから、何も変わった見解を述べているわけではございません。
 それで、最後の丸でございますけれども、1は一番最初の丸の上を見ていただくと、録音録画機能が附属的機能でないという要件により、制度上、専用機器を対象とし、汎用機器は対象としないということを明確にした上だという、これが現行制度の趣旨でございますけれども、その趣旨については汎用的な機械等が対象にならないことを明確化するために、機能に着目した現行法の規定では対応できないということを踏まえた改正として、主たる用途の要件の明確化を図るものであるという説明でございます。
  2が最初の丸の2ですけれども、機器によりまして記録媒体に録音録画をする形式であるという、いわゆる分離型の機器等による録音録画が現行法では対象になっているわけですけれども、現行制度の導入後の機器等の実態を踏まえ、専用機器等であれば分離型かどうかは問わないということをするための改正でありますので、いずれの制度も拡大を意図するものではないという回答でございます。
 それから、補償金の額についての幾つか質問がございました。それが問8と問9でございます。
 問8は、仮に制度が改正されたとして、補償金の額はどの程度になるのかというご質問でございます。これも最初の方は特に新しい提言をしているわけではございません。今までご説明したことを具体的に簡単に明確化しているということでございまして、最後の3のところですけれども、文化庁は従来から認可に当たりましては関係者のコンセンサスを重視しておりまして、平成5年の現行制度の実施以降、特に問題は生じておりません。
 補償金の額を幾らにするかという際には、様々な議論があったというふうに承知しておりますけれども、関係者のコンセンサスによって補償金の額が定まり、それが円満に認可をされるということがありまして、特に問題は生じていないと。今回の見直しに当たりましても、新たな仕組みの導入が効果を発揮するよう、これは評価機関による公正で透明性のある意思決定システムというものを指しているわけでございますけれども、関係者のコンセンサスの形成と迅速性を重視しつつ、制度の運用に努力するということでございます。
 それから、問9でございますが、問8が仮に制度が改正された場合の補償金の額をどうするのかということに加えまして、問9はその後の話でございまして、当面の暫定措置である補償金制度における補償金額並びに補償料率は、だんだん減少していくものと理解しているけれども、文化庁の考え方はどうかというご質問でございます。
 これは最初の丸に書いていますように、補償金の対象機器等の発展や普及の動向というものに左右されるということは、一般論としては理解できるわけでございますけれども、私どもはこれからそういった録音録画機器、記録媒体の発展・普及動向がどういうふうになっているのかということについては、確たる予想を持っていませんので、なかなか現状では回答ができないということでございます。
 ただ、次の丸ですけれども、景気等の要因によって対象機器等の購入が進まないということや、録音録画機器等の発展・普及の動向の変化がありまして、補償金の対象機器等の使用割合、この補償金の対象機器等というのは、その上の注に書いている5月8日の文化庁提案で提案している対象機器でございますけれども、その使用割合が相対的に低下する場合等は、補償金額の減少を招く要因として考えられるということになっております。そういうことで、もし仮に今後の発展動向等について、メーカー側の方でお話しいただけるのであれば、本日、お聞かせいただければというふうに思っております。
 それから、プレイスシフト・タイムシフトの関係についてのご質問がございます。これが問12、問13でございます。
 問12につきましては、2つ目の丸、3つ目の丸で、中間整理で整理された記述にして書いております。例えば丸2ですと「一人の利用者が行う私的録音録画の全体に着目すれば経済的不利益を生じさせていることについては概ね共通理解がある」という中間整理でのまとめでございます。また、3番目の丸ですけれども、「プレイスシフト・タイムシフトなどの要素は補償金額の決定に当たって反映させるべきであるとすることについても概ね異論はなかった」というような見解が出ているわけでございます。
 そういう今までの議論の中から、一番最後の丸ですけれども、プレイスシフト・タイムシフト自体の評価について、明確にすることが望ましいことは言うまでもないが、このことを明確にできなくても録音録画の実態から、補償の必要性については一定の関係者の合意が形成されているというように私どもは考えているわけでございます。
 それから、問13ですけれども、一体型の機械ではプレイスシフトやタイムシフトしか用途がないということではないかというご質問ですけれども、これも事実関係については中間整理等でもまとめられていることを最初の丸、2番目の丸で記述しまして、最後は一体型機器でありましても、プレイスシフトやタイムシフトの以外の用途に十分利用されるものと考えられ、中間整理において整理されたプレイスシフト・タイムシフトの評価は、一体型の機器等においても同じだというふうに私どもとしては考えているわけでございます。
 そのほか、例えば私どもが使っています用語の意味を問うご質問とか、あとはそういうある提案の流れの概念を問うという質問がございまして、例えば問4でございますけれども、業界ルールと個別ビジネスモデルの仕分けはどうするのかというご質問、それから問5ですけれども、業界ルールについて権利者の要請がない場合とはどういうような場合か、問6ですけれども、いわゆる技術的保護手段を認める権利者の意思と文化庁提案の「権利者の要請」との関係はどのようになっているのかと。これは、ここにも書いていますように一番最後ですけれども、「権利者の意思」と「権利者の要請」とは異なるということでございます。それは最初の丸、次の丸で具体的に書いているとおりでございます。
 それから、7については技術的保護手段を認める権利者の意思は、私的複製の許諾の意思ではないかということです。これも最初の丸、次の丸については中間整理で整理されたものを特記していることでございます。また、最後の丸ですけれども、これは本日提出されましたJEITAの意見書の中でも、「著作権法逐条講義」の内容について引用されていますけれども、私どもとしましては「著作権者は技術的保護手段を用いることで、家庭内で行われる私的な複製に対しても許諾権を及ぼせることになりました」という記述は、許諾権の内容の一つである著作物の無断利用を禁止するということが技術的保護手段により、物理的に実現できるようになったことを指しているということで、当該技術の範囲内の利用について、利用者の許諾があるということまで説明しているとは考えておりません。
 それから、最後が問10でございまして、評価機関の運営方法と権限ということでございますけれども、これもご説明をしているとおりでございます。
 以上、簡単ですけれども、資料1のご説明を終わります。
 続きまして、5月29日に私どもはこの小委員会を予定していただいておりましたが延期しまして、6月にも開こうということで調整をしてまいりましたけれども、それも開けず今日に至りましたので、その間の経緯について少しご説明しておきます。5月29日につきましては私が冒頭ご説明しましたとおり、関係者のご意見というものが5月8日にほぼ出そろった中で、メーカー側のうち機器の製造メーカー側のご意見というものが保留されていましたので、それについて5月29日に発表していただくということでお問い合わせしたところ、まだ検討中だということでしたので延期させていただきました。なお、その当日に、参考資料1でございますけれども、権利者側が記者会見を開かれまして、自分たちのご意見を広く公にされたということで、参考資料1としてその資料を添付しております。その次の日の5月30日に私的録音録画補償金問題に係るJEITAの見解が公表されておりますので、これは参考資料2で配付しておるとおりでございます。
 それから、その後、6月になりまして権利者の方からJEITAの方に公開質問状が出ております。また、前年の11月には別の公開質問状が出ておりまして、本日、参考資料して配付しておりますのはJEITAの方から文書で、権利者側に公開質問状の回答については、この小委員会の場で意見を述べるというような文面もありますので、私どもとしましては参考資料3−1、3−2ということで、公開質問状について参考資料として添付させていただきました。
 その間、皆様もご承知のとおり、総務省の方で地上デジタル放送の保護技術であります、いわゆるダビング10の実施について、審議会で検討されておりまして、それについて大詰めを迎えたというようなところがございます。また、その中身につきましては、この補償金制度と少なからず関係があるということでございました。
 参考資料4を見ていただけますでしょうか。
 いわゆるダビング10の実施の経緯等につきましては、私的録音録画小委員会の議論というものに関連をしていますので、少し簡単にご説明をしておきたいというふうに思います。
 それで、まず、2ページを開いていただけますでしょうか。
 ご承知のとおり、昨年8月に総務省の情報通信審議会の方で、第四次中間答申というものが行われまして、そこでダビング10の実施について提言されたわけでございます。そのダビング10の実施の条件といいますか、その際の共通認識というものについて、幾つかの事項が挙がっているわけでございますけれども、その一つとしてこの外枠にありますように、コンテンツを尊重して、それを適切に保護すること、その創造に関与したクリエーターが適正な対価を得られる環境を実現することというような条件が、共通認識といいますか、つけられていたわけでございます。
 それから、3ページを見ていただきますと、その後、いろんな経緯がございまして、平成20年4月11日にフォローアップワーキングというものが情報通信審議会にできました。これは第四次中間答申の前提とされていたと考えられる事項の進捗状況をフォローアップした上で、提言されたコピー制御方法、いわゆるダビング10の実施に関する合意形成を検討しようというワーキンググループでございます。その一つが先ほど説明した1ページの外枠にあることでございました。それについてはいろんな経緯がございまして、最終的には情報通信審議会の委員会の合意ということで、6月27日に第五次中間答申の中でそのことが言及され、実際に7月4日からダビング10が実施されたということでございます。
 そこで、4ページですけれども、その間に情報通信審議会で関係者のコンセンサスが得られる前ですけれども、文部科学省と経済産業省がダビング10の早期の実施に向けた環境整備として、暫定的な措置としてブルーレイ・ディスク関係の録画機器・記録媒体を、私的録画補償金の対象とするということで合意したことが公表されました。
 ブルーレイにつきましては、今、現行法で政令指定されていますDVDの録画機器とか記録媒体と同じように、専用機器及び専用記録媒体ということでございますので、現行法では本来、政令指定により補償金の対象とできるということでございまして、私どももこの小委員会における制度の見直しという議論というよりも、現行法に沿った一つの手続というように考えていたわけでございまして、そういう意味で小委員会における補償金制度の議論とは切り離して、対象というように考えておりました。
 ただ、その見直しの時期と政令指定の時期については重なっておりました関係で、小委員会における議論の取りまとめの時期も間近に迫っているということから、文化庁としては政令指定については小委員会の進捗状況を踏まえて、判断をするという立場でございました。ただ、一方、ダビング10の実施という問題があったところから、急遽、経済産業省と文化庁の間で協議が成立して、ブルーレイについてはこの小委員会の議論とは別に、話を進めるということになったわけでございます。現在、その政令の中身については経済産業省と協議をしておりまして、私どもとしましては、できるだけ早い時期に政令指定をしたいと考えております。
 以上でございます。

【中山主査】

 ありがとうございました。
 それでは、ただ今の事務局の説明につきましてご意見を伺うわけですけれども、その前に文化庁提案に対するメーカー側のお考えにつきまして、長谷川委員もしくは亀井委員からご発言を願えればと思います。

【長谷川委員】

 ありがとうございます。長谷川でございます。
 ただ今、ご丁寧に説明をいただきましてありがとうございます。まず、JEITAとたしましては、この私的録音録画小委員会の検討が再開されますことを、まずもって歓迎をさせていただきたいというふうに思います。
 先ほどちょっと川瀬室長のお話、お言葉の中に前回、5月29日、JEITAが検討中だというので延期したという言葉がありましたけれども、そこはちょっと正確ではないんじゃないかと私は思っておりますけれども、JEITAが賛成と言われるようなことでない限り、開催しても難しいなというような、そのようなお話をお聞きしたような気がします。それで、私どもは実際に5月29日、確かに延期になったわけでございますが、5月30日に見解を発表しておりますが、あの見解の内容については5月29日に準備はできておりましたので、そういった意味では、JEITAが検討中なので延期したというのは、ちょっと正確ではなかったんじゃないかというふうに思います。すみません、ちょっと細かなことでございます。
 私どもとしてはこれまでと同様、デジタル技術の進展、コンテンツ産業の育成、ユーザーの利便性などを総合的に勘案しつつ、議論を続けたいというふうに思っておりますし、補償金制度の縮小・廃止というビジョンが描かれている限り、それらの道筋も皆様と一緒に明らかにしていきたいというふうに思っているわけでございます。
 今、川瀬室長からご説明がございましたので、この場での審議とは別でございますけれども、一言、ダビング10に関しても触れさせていただきますと、私どもは先般の情報通信審議会、今、ご説明ありました審議会の結果、7月4日にダビング10が実現できたということにつきましては、その端緒となりました、6月17日の両省による合意というものを高く評価させていただいておりますし、その合意に向けましてご努力をいただきました文化庁の皆様を始めとする関係の皆様に、心よりの感謝を申し上げたいというふうに思っている次第でございます。
 5月8日の前回の小委員会でございます。私どもJEITAといたしまして、文化庁の提案に対する懸念について発言をいたしました。大きく言えばデジタル技術の進展に伴って、補償金制度の縮小・廃止ということに向けて、進んでいくという道筋が見えていないのではないだろうか、あるいは制度がそのまま際限なく拡大していく余地があるのではないかという懸念でございました。
 それに対して本日、文化庁の方でQ&Aをご準備いただいたことに感謝を申し上げますけれども、ただ、残念なのは私どもは先週末にいただいたばかりで、一問一問についてコメントを準備しているわけではございませんけれども、私の方から総論的なところについてお話をさせていただいた上で、幾つか私どもは資料も提出させていただいておりますので、亀井委員の方から続けて詳細に現時点の論点と思う点について、考え方を述べさせていただこうというふうに思っております。
 すみません、その前に一言だけ、また述べさせていただこうと思いますけれども、本日の参考資料で先ほど川瀬室長のお話にもございましたけれども、権利者団体の公開質問状が配付されていらっしゃいます。これにつきましては先ほどご説明がありましたようなタイミングで、私どもに送ってきていただいたものでございますけれども、私どもJEITAといたしましては、補償金問題の議論につきましては、従来よりずっと文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会、まさに審議会というところで検討するというのが、やはりこの審議会はオープンな場になっておりますし、最も重要な舞台だというふうに思っておりますので、もし疑問があるのであれば、この場で議論すべきものというふうに考えて、それを申し上げてきているというところでございます。
 ただ、残念ながら公開質問状という形で、いつまでに回答してくださいよというような形で送ってこられて、そのとおり回答いたしませんとその回答がないとか、あるいは対話を拒否しているとか、あるいはその質問の山をまた重ねていこうとか、おっしゃっていらっしゃるようでございますけれども、このような状況につきまして、私どもはやはり審議会という場を設けていらっしゃる文化庁事務局の方々として、どういうようなご認識をもっていらっしゃるのか、後ほどもし教えていただければ幸いでございます。
 すみません、少し前置きが長くなりましたけれども、JEITAといたしましては補償金制度に係る基本的な考え方、先ほど申し上げました5月30日に出しました見解、資料2にございますけれども、一言で言いますと著作権保護技術でコピーがコントロールされているもの、あるいはタイムシフト・プレイスシフトなどのコピーにつきましては、補償は必要ではないというのが私どもの基本見解でございます。これは一貫して述べてきたものでございますし、その点に立って申し上げますと、やはり大きく2つの懸念を指摘しなければならないというふうに思っております。
 1つはやはり権利者の要請という、こういったやや曖昧と私どもが思っております概念に対する懸念でございますけれども、ダビング10のように著作権保護技術が機能している範囲では、権利者の要請があったかなかったということも重要なのかもしれませんが、やはり私的複製は制限されているわけでございますので、補償の必要はないというふうに考えざるを得ないというふうに思っている次第でございます。
 今日のQ&Aの問3において、今後は権利者側の著作権保護技術の要請は、補償金制度を前提としないものになるというお話でございますけれども、一方で仮に権利者以外の関係者が補償金制度を前提としたルールを提案するということで合意すれば、補償金制度は存続するというふうになっております。ダビング10というのが、まさしくそのような状況に近いような状況だったのではないかというふうに思うわけでございまして、結局、ダビング10の経緯のようなものが一般化されてしまうおそれもあるのではないか。問1のところではダビング10のさらなる変更、次に変わっていけば補償金制度廃止の条件が整うというふうにおっしゃっていますが、どうもそういうふうに本当になっていくのだろうかというふうに思っているところでございます。
 もう一つ、補償金対象機器等が際限なく拡大してしまうのではないかという懸念につきましても、第2の懸念として申し上げておきたいというふうに思います。5月8日の文化庁提案ではいわゆる内蔵型、一体型機器というものについて、録画録音を主たる用途としている限り、分離型と区別する必要はないということで、そういうふうに簡単に片付けられているわけでございますけれども、JEITAといたしましては従前より一体型というのは、やはりタイムシフト・プレイスシフトに使われるというのが主流でございますので、権利者への損失ということにつきましても、分離型とはやはり違うのではないかという主張をしてきているわけでございまして、それが余り顧みられていないということに、懸念を感じているというところでございます。
 録画につきましては、私どもは5月に実はアンケートを発表しておりますけれども、細かいので開いていただく必要はありませんが、資料2−2の5ページにあるんですけれども、タイムシフトというものをしているという回答は約7割、ライブラリーにしたいという回答は16パーセントぐらいというような結果でございました。そういった結果を見る限り、Q&Aの問13の中では、保存目的でのHDDへの録画はますます増加するというふうになっていますけれども、私どもはやはり保存されたものは、いずれタイムをシフトして視聴される、あるいは媒体に移され、あるいはHDDから消去されるというものであって、タイムシフトという意味での経済的損失はないのではないかというふうに思っている次第でございます。
 録音につきましても、従前から主張しているとおりございますけれども、CDを何枚も持ち歩くのか、あるいは携帯オーディオプレーヤーに入れて聞くのかという、いわゆるプレイスシフトでございますけれども、これは技術革新により利便性が高まった例でございますので、権利者に経済的不利益を与えていないということは、明白ではないかということでございます。
 私どもの調査にもあるんですけれども、レンタルCDのリッピングというものへの損失という点につきまして、私どもとしては従来より、契約によって解決できるものではないだろうかというふうに申し上げているところでございまして、Q&Aの問1のところで文化庁の方で契約実務の見直しなどをされるということでございますので、できれば早期にやっていただいたらどうなのだろうかというふうに思う次第でございます。さらにPCとか携帯電話とか、そういう汎用機器についても、対象外というふうに言っていただいているわけでございますけれども、一方で「現状では」という留保もついているような感じも見えますので、対象の拡大についての懸念は払拭できないのかなというふうに思っております。
 最後でございますけれども、将来の私的録音録画環境の見通し、JEITAとして何か考えはあるかというお話でございましたけれども、私どももなかなか機器の見通しというのは持っているわけではございません。ご存じのとおり、ユーザーのニーズを踏まえてビジネスコンテンツ側の方々がどういうふうにそれをモデルとしてご提供されるかと、それに沿う機器を作っていくということでございますので、そういった意味で私どもはそういう見通しを正確に持っているわけではございませんけれども、もちろん、技術の進展に伴いまして機器の性能、機能はより複合的になっていくでしょうし、汎用化していくという姿は変わらないというふうに、私どもも大方の予想のとおりだというふうに思っております。また、ネットはよりユビキタスな環境になっていきますし、コンテンツの管理というものもより容易に、さりげなくできるようになっていくだろうということでございます。
 一方で、パッケージからの録音録画という姿は当然縮小していくというのは、そのとおりだと思いますので、そういった意味からビジョンにありますように、補償金制度縮小・廃止に向かい、契約と技術をベースとします、新たなコンテンツビジネスモデルが生まれていくことになろうというふうに思うわけでございます。JEITAといたしましては、そのようなビジネスモデル推進のために、技術開発とその提供に引き続き努力をいたしまして、そうしたことに向けた環境作りということを支援してまいりたいというふうに思っている次第でございます。
 私の方からは以上でございます。

【中山主査】

 それでは、亀井委員からお願いします。

【亀井委員】

 ありがとうございます。
 ただ今、長谷川委員から大方のご紹介、意見表明がございましたが、本日、資料2−1ということで見解を書面にしたためておりますので、一部重複するところがございますけれども、お時間をいただきたいと思います。
 まず、1でございますが、著作権保護技術と私的複製の関係についてというところでございます。著作権保護技術が施されている場合には、当該著作物についてその保護技術が機能する範囲においては私的複製をオーバーライドすると。いわば契約によって法的に複製を許諾・制限しているのに等しい状況であろうということですので、当然ながら補償は不要というのが当協会の見解でございます。このことは先の昨年の中間整理に対する意見にも詳細を述べておりまして、関連部分を引用いたしますと、ここにあるとおりでございます。
 技術的保護手段に該当する著作権保護技術を回避して複製した場合、私的使用のための複製とは認められず、著作権侵害に該当する。したがって、法律を利用していること自体が著作権者等が権利行使をしているのと同視できるのであって、そのような場合にまで補償金請求権を与えることは、二重利得に該当するおそれが高い。すなわち技術的コントロールという形でいったん権利行使をしている以上は、さらに補償金を与えることは技術的にコントロールされた複製についての逸失利益を補填するということになり、法が二重の権利行使を認めることになる、このような意見を述べております。このことは、先ほど川瀬室長も引用されました「著作権逐条講義」において、「技術的保護手段を用いることで、家庭内で行われる私的な複製に対しても許諾権を及ぼせること」になったということ、これは私どもの見解を支持されているというふうに私どもは理解をしております。
 それから、先ごろの総務省で行われました情報通信審議会の情報通信政策部会というのがありますが、そこに出席されておられます消費者側の委員の方からも、ダビング10というコピー制限がある以上、補償金は必要ないという趣旨のご発言が聞かれました。これは当協会と同じお立場であろうというふうに推察をしております。
 著作権保護技術につきまして、ユーザーの複製行為が私的録音録画の範囲を超えないように、蓋をかぶせるだけという意見がございます。これは公開質問状という形でお寄せいただいた権利者のご意見でございますが、この考え方によりますと、私的複製として適法となる範囲は、採用される著作権保護技術が許容する複製の数によって、例えばコピーワンスなら1個、ダビング10なら10個というふうに伸縮するということになりますけれども、このような考え方が30条の解釈としてふさわしいものかということについては、この場にご参加の専門家の学識の先生方に意見をいただきたいと考えております。
 仮に、そのような私的複製の範囲が伸縮するということを考えますと、これはむしろ私的領域で行われる複製について契約で許諾を与える場合と、ますますもって法的評価は変わらないのではないかとも考えられます。契約によって許諾された複製を私的複製の範囲から除外するという考え方、これはこの小委員会でもほとんど合意されていると思いますが、それとの相違について法的な説明が要るのではないかというふうに思われます。
 次のページに簡単な図にいたしましたけれども、契約と私的複製の関係でいいますと、予め法が想定している30条の中で関わる契約を締結した場合に、契約の範囲によって恐らく契約がきく部分、すなわち補償がなくなる部分というのが関わる、伸縮する。それは契約によって伸縮するということだと思います。一方で、技術的保護手段が私的複製の範囲を画定するという考え方をしますと、これは契約で伸縮するのと同じように、その部分自身が伸縮するということでございますが、このように並べてみますと、いずれも補償不要という結果になるように見えないかというところでございます。稚拙な絵でございますのでなかなか説明も難しいんですが、このように考えております。
 「なお」というところでございますが、5月30日に発表いたしましたJEITAの見解の中に、「私的複製が際限なく行われること」という表現がございます。この表現は私的複製であっても、何ら技術的に抑制されない状況で行われる複製を指した表現でございまして、あくまで私的複製と、その範囲で行われる複製行為について述べているということでございます。
 例えますならば、アナログ放送を受信して録画する場合には、現状では何らの技術的制約はないということから、可能性の点で際限なく複製することができると。複製数を「際限なく」と表現したところで、私的複製ということですので、これは適法ということになる。私的複製が際限なく行われるということを言ったとしても、同条の予定する範囲を超えるということにはならないというふうな理解でございます。
 2、文化庁提案において縮小の道筋が明らかでないとする理由というところでございます。
 (1)でございますが、技術的保護手段と補償の関係についての整理が不分明であることでございます。文化庁から提案されております案を子細に検討いたしますと、次のように表現をされております。
 まず、1でございますが、著作権保護技術が例えば権利者の要請による場合には補償は不要である。それ以外には補償の必要性がなくなるとまでは言い切れないというふうなことが書かれております。
  2「権利者の要請」ということにつきまして、現在の案ではいかなる場合に成就する条件であるのかということが明確に書かれておりません。単に技術仕様の策定に参加していれば満足する条件でないということは、どうも明らかでございます。「策定されたルールが権利者の意向を反映していればいるほど、権利者の被る経済的不利益は少なくなり補償の必要性もなくなるはずである」というふうに書かれておりますが、これは逆に読みますと、権利者の意向がルールに反映されない程度によって、補償の必要性があるというふうに読めるかと思います。
  3補償の必要があるとされているダビング10でございますけれども、その検討経緯に照らして、「権利者の要請により策定されたものといえないことは明らかである」というふうにされております。結局、ダビング10の検討経緯と同様なこと、すなわち、当該技術仕様に関与するいずれの権利者団体の方から異を唱えられるということになりますと、要請のなかった技術と解釈されることになるということを読むことができます。
 すなわち、技術仕様策定の場において複製の数等について、権利者が立場を明確にしない場合、あるいは表明した複製数と異なる結論となった場合、権利者の要請があったとは考えられないという一般則になるのではないか。今後も設定された技術仕様策定の場というときに、ダビング10と同様の経緯をたどれば権利者の要請はない。したがって、補償の必要性があるということになる。したがって、縮小するとされていることに疑義が生ずるということを申し上げているわけでございます。本日配付されております、便宜上Q&Aと言っておりますが、資料1においてもこの点の疑義は残念ながら払拭されていないではないかと思います。
 JEITAといたしましては、従来から著作権保護技術の施されている場合には、補償は不要であるという意見であると、上述のとおりでございますけれども、著作権保護技術と補償の要否を検討するに当たっては、「権利者の要請」なる概念を持ち出して、技術仕様の策定の時点での意思の反映を評価するということではなくて、実際に著作物を提供する際の意思を評価すべきだというふうに考えております。したがって、技術仕様を策定する経緯がいかなるものであろうとも、複製回数を制約する環境に著作物が提供される事実、それをもって補償の必要性はないというふうに考えております。
 (2)対象となる機器に関して、縮小が確実なものとなっていないということでございます。この点は先ほど長谷川委員からもあった、「現状では」という点が問題という点でございます。携帯機器であるとか家庭内で用いられる機器に見られるように、録音録画に供される機器は専用機器から汎用機器と多様化してきております。将来、録音録画専用機器が存在しない状況となるとは考えておりませんけれども、明らかに機器は汎用化していくものだと考えております。そのような将来を考える場合に、現在の提案では対象が縮小していくどころか、かえって拡大していくように読むことができるというところでございます。
 録音録画のための機器が移行するのであって、当然に対象とすべきであると主張されるご意見がございますけれども、当協会はこれらの例につきましては、これは制度の拡大であるととらえております。これまでパソコン等の汎用機器を補償金の対象とすべきとのご主張が繰り返されてきたことに鑑みますと、「現状では」との表現があるがために、今後、同様の主張が繰り返されるということは容易に想像されるところでございます。
 奇しくも明日ですか、iPhoneの発売が予定をされておりまして、せんだって日経がとられたアンケートによりますと、iPhoneの使用目的として80パーセントが音楽を聞くという回答をされたという報道がなされておりました。iPhoneはそれではここに言われる機器、今回の提案の中の対象となるのかならないのかということについて、後ほど文化庁のご意見を承ってみたいなというふうに思っております。
 3、ハードディスク内蔵レコーダー、携帯オーディオレコーダーを対象とすべきでないということについて。これらの機器はタイムシフト・プレイスシフト、あるいは契約によって提供される著作物の録音録画に用いられる機器でありますので、これらを補償金の対象とする合理性はないと考えております。タイムシフト・プレイスシフトに機器が用いられる場合に、補償の必要性があるとすることに対する疑義は、JEITAといたしましては一貫して疑義を述べています。この点についても先の11月の意見書に詳述しております。
 本日、配付をいただきました当協会が実施したアンケート結果によりますと、音楽の純粋なプレイスシフトだけで約35パーセント、その他契約等で対価回収が可能な複製部分というものを加えますと、補償が不要と考える複製は約78パーセントにも及ぶと、あるいは映像のタイムシフトについても、約72パーセントがその目的をタイムシフトと書かれています。このように補償を不要とする複製に用いられる割合が7、8割にも及ぶこれらの機器を補償金の対象とすることは認められるべきではないと考えます。
 この点、Q&Aの先ほどの問12のご説明にございましたけれども、「一人の利用者が行う私的録音録画の全体に着目すれば経済的不利益を生じさせていることについては概ね共通理解がある」とされておりますけれども、一人の利用者が行う私的録音録画の全体に着目しますと全く複製を行わない、ここはいわゆる不要となる部分を除くような複製ということでございますが、そういう人もいるということになりますので、全体に着目すると経済的不利益を生じさせると断ずることはできないのではないかと考えます。
 さらに、単に経済的不利益があるというだけではなくて補償が必要と言えるためには、少なくとも補償が必要な複製が大半を占める必要があると思いますけれども、先ほどのアンケートによれば利用実態はその反対の結果を示していると考えます。にもかかわらず、「プレイスシフト・タイムシフト自体の評価について明確にすることが望ましいことは言うまでもないが、このことを明確にできなくても録音録画の実態から補償の必要性については一定の関係者の合意が形成されている」とするのはかなり強引ではないかと。それから補償の必要性につき関係者に合意があるとされる点は、現にこの場でも反対をされている委員もおられるわけで、私たちも含めて反対がいるわけで、事実に反すると考えております。
 また、一体型機器を対象とすることに対して、昨年の第5回小委員会から反対を表明しておりますし、中間整理にて「大勢だった」と書かれたことに対して第11回では反対しました。それから中間整理に対する意見書でも言っております。ハードディスク内蔵型レコーダー、これにはハードディスク録画機能付きテレビもこれに入ってくると思いますけれども、そういうもの、それから、あるいは携帯オーディオレコーダー等の一体型機器を対象とすることについて、一貫して疑義を唱えてきたということはJEITAの立場でございまして、現時点でも異なるところではございません。
 一体型機器の取り扱いについての中間整理の記述に関して、審議会の場で、この場でご質問したことに対しまして、文化庁事務局から、ここに引用したように、「そう深くは議論しておりませんので、このまとめもそういう細かい点に踏み込んで問題点を整理して、了承を得られたところは了承を得られた、異論があるところは異論があったという細かい議論をしていないと、一般論として書いていて」ということを言われております。その後、この中間整理が公表されてパブコメの募集をして以降、この場において一体型機器の取り扱いについて、深く議論をしたという記録はないかと存じております。
 5ページでございます。地上デジタル放送におけるクリエーターへの適正な対価の還元についてという論点でございます。これは本小委の直接的なイシューではございませんけれども、公開質問状にもございますので触れております。総務省情報通信審議会第四次中間答申の「基本的な考え方」において、「様々な場」での「コンテンツの流通の促進等に係る具体例が検討されている例」という中に、補償金制度に係る検討も記載されております。ただ、補償金に対価の還元の方法を限定されるという記載が一切ございません。むしろ、JEITAは当時よりここに挙げたような疑問を持っていたところでございます。
 とりわけ、2の著作物の流通の過程で契約処理ができるはずであるにもかかわらず、なぜそれがなされないのかという点が大きな疑義であった。これに関しましては、せんだって出されました第五次中間答申において、適正な対価の還元等に係る関係者の認識に相違が見られるとしつつも、補償金以外の側面から検討されるとされておりまして、JEITAといたしましては同審議会でも検討が深まっていくということに期待をしております。
 5番目、音楽CDをソースとする場合の補償金の必要性についてでございます。音楽CDにつきましては著作権保護技術との関係について考察する限りでは、補償の要否を検討する余地があると考えております。しかしながら、昨年の第4回小委員会における発言のとおり、補償の要否を決するためには、録音によって権利者に重大な経済的不利益が生じているかどうかを吟味する必要があると考えております。自ら購入した音楽CDをプレイスシフトすることによって再生する、あるいは音楽配信サービスからダウンロードした音楽を再生したりする、そういったことを主目的として録音される場合には、重大な経済的不利益が生ずると考えられないことになりますので、補償の必要がないというふうな帰結になると考えております。
 また、レンタルCDからの複製が権利者に経済的不利益を与えているかどうかにつきましては、中間整理に関する意見の中でこれも述べておりますけれども、レンタルCDについて著作権保護技術という技術的な管理が及んでいない場合でも、権利者、レンタル事業者、利用者間の契約によって複製の対価を徴収できるはずだというものでございます。後ほどご覧いただきたいと思いますが、先ほどのアンケートにおいても、レンタルCDの利用者の実に61パーセントの方がレンタル利用料の中にリッピングの対価、複製の対価が含まれていると思われているという結果が出ております。
 最後は今後の検討でございますが、北米のコンテンツ産業の隆盛を目の当たりにいたしますと、それが補償金制度によってではなくて、資本主義社会のルールでございます契約によってもたらされているということに、思いをいたす必要があると思います。例えば北米のコンテンツホルダーを中心としたビジネスモデルにおいては、コンテンツホルダーの要望を受け、メーカーがコンテンツ保護技術を開発、提案、導入すると。それによってコンテンツホルダーに対価が還元されるというビジネスモデルが構築されてきたという事実がございます。
 私的自治の原則の下で、契約と技術による解決によって対価が還元されるモデル、それを推進していくというために、私どもメーカー、JEITAは技術の開発とその提供に努力してまいりましたし、今後もそのように環境作りを支援してまいりたいと考えております。したがって、補償金といった法制度によってではなくて、契約と技術による解決を志向することによって、消費者の方の認識や不公平を是正する、また、権利者に対する利益の還元を推進すると、さらには産業の国際競争力を強化できる、そういう道を目指していくべきだと考えております。
 長い時間、ありがとうございました。

【中山主査】

 ありがとうございました。
 それでは、前回と今回のこの小委員会で、関係者のご意見が一応出そろったということになりますので、先ほどの事務局の説明に対する質問も含まして、これから議論に移りたいと思います。どなたでも結構でございます。ご質問あるいはご意見がございましたらお願いいたします。
 松田委員、どうぞ。

【松田委員】

 まず、事務局に経緯のことについて質問をしてみたいと思います。先ほどの両省の大臣で一定の合意ができたという情報をニュースとして聞いたときに、この審議会で議論してきてだんだん詰まってきた経緯が実を結んだのだと思いました。これでもう、この審議会は一定の結論、文化庁事務局案で解決すると思いました。ところが両省大臣が合意をしても、関係者は合意できていなかったということなんですか。
 もちろん、政治的な場面で事が決せられたとしても、この審議会がまた違う意見を持っていれば、別の議論を出すことがありますでしょう。しかしながら、審議に参加していた私としては今までの長い経緯の中で、一定の方向性が出てきたところで両省大臣のご意見が一致して、ダビング10とそれから私的録音録画補償の方についても一定の線も出たんだなというふうに認識したんです。
 これは恐らく両省とも審議の経過を踏まえたことは当然だろうと思いますし、ある意味では権利者団体やそれからJEITAのご意見も聞いた上で、そういうような方向性が出たのではないかというふうに思うのは当然でしょう。そこのところの調整をしないで、一気にトップだけで判断したんでしょうか。その経緯をお聞かせ願いないでしょうか。一委員としてはそういう流れがどうしても疑問として残ります。

【中山主査】

 では、室長、お願いいたします。

【川瀬室長】

 先ほど私の方からもご説明しましたとおり、今、この小委員会でご議論されているのは、現行の制度がございまして、これは平成4年にできて平成5年から実施しているわけでございますけれども、その現行の制度を様々な要因、例えば著作権の保護技術と補償の必要性の関係とか、一体型が出てきたのをどうするのかというようなことを踏まえまして、その制度をどうやって見直していくかという、まさしく制度の見直し論をこの委員会の場でやっているわけでございます。一方、現行制度というものは現に存在するわけでございまして、現行制度によって今のシステムが承認されていますというか、定まっている限り、例えば新たな機器ないしは記録媒体ができてきた場合には、現行制度に沿って粛々と、文化庁としては事務を進めていくということになるわけでございます。
 それでは、ブルーレイについてはどうかといいますと、ブルーレイは先ほど私が説明しましたように、いわゆる現行法の対象になっている分離型のいわゆる対象機器と記録媒体、つまり今指定されていますDVDと仕様は違いますけれども、基本的には同じものでございますので、実は本年2月ぐらいからHD-DVDの取り扱いをどうするかということも含めまして、経済産業省といろいろとお話もしてまいったところでございます。
 ただ、先ほど言いましたように、新たな機器の出現と見直しの議論が同時並行して行われていましたので、私どもとしましてはブルーレイの指定については、この小委員会における結論を見た上で、対応する必要があるのではないかと考えていたところですけれども、ご承知のとおり、総務省の方でダビング10の実施について、フォローアップ委員会も設けながら、第四次中間答申の共通認識というものが、条件整備ができたかどうかというのを議論されておりまして、その中で総務省の方から私ども、それから経済産業省の方にも、省庁間で協力して何とかダビング10の実施について、前進するような政策はとれないものかというような要請もございましたところ、たまたま先ほど言いましたように、ブルーレイの実施については事務的には経済産業省との間で、以前から話を進めておりましたので、そういうことであればということで、いろんな問題点等もあったわけですが、そこを超えて合意をしたということでございまして、私どもとしましてはブルーレイの指定とこの補償金制度について議論については、切り離して考えているということでございます。

【中山主査】

 私は両省間の折衝に関係していないから、正確なことは言えませんけれども、ブルーレイを指定するということは、現行法のもとで政令を指定するというだけのことであって、この審議会で議論をしているのは、知財戦略本部から制度の廃止も含めて抜本的な改革をせよという、そういうミッションを受けているわけでして、それはこれからも続くと、こういう理解であります。

【松田委員】

 それは全員同じ理解だと思います。

【中山主査】

 ですから、今の話は両省のないようですが、この小委員会の役割はまだ終わっていないということだろうと思います。両省合意はあくまでも現行法上の政令指定に過ぎない。ダビング10のためにそういうことをやったんだろうということだけだと思います。
 ほかに何か。どうぞ、室長。

【川瀬室長】

 その点につきましては主査のご発言どおりでございまして、渡海大臣の方からブルーレイの指定について発表させていただいたときも、大臣の方から補償金制度の問題とは別のことなんだということは、記者会見で言及されておりますので、まさしく主査のご発言どおりだと思っております。

【中山主査】

 ほかに何かございましたら。どうぞ、椎名委員。

【椎名委員】

 著作権保護技術と私的複製の関係についてなんですが、まず、30条1項で言われている私的な複製というものに合致するかどうかについては、まず複製の質ということがありますよね。自分のためにするのか、誰のためにするのかという、行われる複製の質ということがあるし、それから複製の量ということがあると思います。その2つだけじゃないかもしれませんが、そういうような要素から私的複製と判断できるのかできないのかということがあるんだと思うんですが、少なくとも回数を制限する著作権保護技術というのは、量という面から、ある程度私的複製の範囲を明示するという形になっているのではないかと僕らは考えています。
 例えば30条1項を読みますと、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」とされていまして、例えば50枚、60枚コピーを作ることは、家庭内またはこれに準ずる限られた範囲内で使用することに必要な量ではないという観点から、それを超える回数を制限する技術であると思うし、それが補償するべき適法な私的複製の領域をスポイルするものでもないと思うし、よって、補償の必要性が消えるものでもないというふうに考えています。
 亀井委員に質問なんですけれども、音楽CDというのはSCMSという著作権保護技術がかけられていながら、補償の対象に長いことなってきたんですが、ここはどういうふうに説明されるんでしょうか。

【中山主査】

 では、亀井委員、どうぞ。

【亀井委員】

 ありがとうございます。
 先ほどご紹介しました資料2−1の5ページの5に書かれているとおりでございます。音楽CDにつきましては、ご指摘のようにSCMSという一世代コピーの管理という技術がございます。この保護技術との関係について考察する限りでは、補償の要否を検討する余地があるというのは、昨年来申し上げているところでございます。では、実際に補償の要否を決するためにはどこがポイントかというと、重大な経済的不利益が生ずるかどうかという吟味が要るということになるわけですから、技術的保護手段との関係で補償が必要かどうかを検討するというところはおっしゃるとおりといいましょうか、また、恐らく同じご意見なんだろうと思います。

【椎名委員】

 今のでは答えになっていないんですが、従来、SCMSというのがかかっていて、その中で補償金制度というのは運用されてきたわけですよ。それについて、ここでは「著作権保護技術との関係について考察する限り」としか書いていないんですけれども、著作権保護技術があるわけですよね。だけれども、補償の対象になってきた。この理由を説明してください。

【亀井委員】

 平成19年5月、去年の第4回でございますけれども、JEITAから資料3ということで、補償の必要性についての考え方というパワーポイントの資料がございます。右側のページでございますが、音楽につきましてはコンテンツをリリース後にコントロールができない、音楽CDにつきましてはもともとMD等でコントロールするような、MDのようにコピーをコントロールできる装置で使用されることを目的とした技術仕様でございましたけれども、後に登場しましたパソコンという世界、後に登場というほどの時間差はないかと思いますが、パソコンという世界では残念ながらSCMSによってコントロールすることはできないという現実がございます。
 したがって、そういう場合には、これはコピーに伴う重大な経済的損失があるかないかの判断によって、補償の要否を決するというふうな考え方であるというふうに申し上げたということでございます。現状は払っているということについては、MDでコピーをするということについて、技術的保護はやはり1対N個、多分、コピーができるということで、支払うという判断を過去においてされたんだろうという想像をしています。

【椎名委員】

 ということは、技術的保護手段が無効化されちゃったのはパソコンということですよね、汎用機ということですよね。ということは、今回、汎用機が対象になっていないことがすごく不思議に思うんですが、そこは余り深掘りしないで次の質問をしたいんですが、著作権保護技術と私的複製の関係についてということで、著作権保護技術がかけられていれば補償する必要はない、著作権保護技術の範囲内のコピーであれば了解しているので、補償の必要はないというふうに言われているんですけれども、一方でダビング10を決めたときに総務省で考えたのは、ダビング10の緩和について対価の還元が必要であるということであって、そう言っています。対価の還元が補償金を意味するものではないという見解をJEITAがお持ちであることは分かっていますけれども、補償金云々ではなくて、今は著作権保護技術の範囲内であれば、経済的不利益はないんだから対価の還元が必要でないとおっしゃっているのと同じですよね。いっぽうそのことを決めた第四次中間答申が決まっていく過程において、なぜ対価の還元が必要ない、著作権保護技術との関係において対価の還元は必要ないんだという主張をされなかったのか、その理由をお聞かせください。

【亀井委員】

 JEITAとして総務省の委員会に対して、その場で何を言わなかったかということについて、私自身承知していないというのか、分からないところはございますけれども、技術的保護手段という関係で見ますと、もともとこれは総務省の場での主張でございますが、例えばEPNというのが検討されておりましたけれども、そういう場合であっても補償といいましょうかね、既に権利行使をしていると同等であるから、補償の必要がないということを申し上げてきたということはございます。総務省のそういう中間答申の案が出たときに、なぜその場で反対しなかったということについては、ちょっと私自身の責任の範囲を超えていると言うしか申し上げられませんので、ちょっと申しわけございません、答えにはならないと思いますけれども。

【椎名委員】

 JEITAという日本の極めて大きな産業を代表する組織が、総務省の方はメーカーが出ていて、文化審議会はJEITAだから分からないというふうな言い逃れをおっしゃっている様に聞こえるんですが、それは通らないと思いますよ。中間答申に対価の還元が必要であると書かれていたところで、あの場で関係者は全部自分の思いを言ったんですよ、消費者の方々はEPNの方がよかったと言い、権利者は3回まであるいは1回までの方がよかったと言い、全部思いのたけを言って、あのダビング10というのは決まったんですよ。そのときに田胡委員は一言も何もおっしゃっていないんですよ。それはフェアじゃないじゃないですか。何もおっしゃらないでいてダビング10が決まって、それで一方、文化審議会の方では対価の還元は必要ないとおっしゃっているのと一緒なんですよ。

【中山主査】

 他の審議会で何を言ったか、言わないかったかということを、この場で議論されても、ちょっと答えにくいんですけれども、長谷川委員から。

【長谷川委員】

 一言だけでございますけれども、情報通信審議会の委員は実はJEITAのメーカーからの委員でございますけれども、JEITAとして出ているわけではないということは一つありますが、それはおいておいたとしても、あの場で私どもが理解をしておりますのは、JEITAメンバーの委員たちが思いましたのは、対価の還元は確かに必要であるということには賛同しているわけでございまして、対価の還元が補償金であるということだけではないだろうということを考えておりました。現に今回の第五次中間答申におきましても、補償金以外の側面について考えましょうということになっているわけでございますので、そういった意味で補償金以外のことについて議論をするんだろうなということの、そういう判断があったんだろうというふうに推測しております。

【椎名委員】

 それはおかしいですよ。経済的な不利益が発生しないのに、何で対価の還元をしなければいけないんですか。経済的な不利益があるから対価の還元が必要だったんでしょう。もし対価の還元を前提としない、今JEITAさんがおっしゃっているような考え方に基づく前提でダビング10を考えたとしたら、僕らはゼロ回と言いますよ。そうじゃなくて、対価の還元が前提だったから10回に落ちたんじゃないですか。それは後出しじゃないですか。

【中山主査】

 どうぞ、河村委員。

【河村委員】

 椎名委員のおっしゃっていることは、私の認識と本質的な部分でずれているというふうに感じます。ダビング10が決まるときに、1から10になるのだから、何らかの見返りがあるべきだという意味で意見をおっしゃったということでしょうか。そのことについて私はそれに賛成だと言った覚えはございませんし、補償金とセットにした議論は一切しないという立場で総務省の場に出ていました。
 「対価の還元」とデジタル・コンテンツの委員会で言われているのは、番組制作会社の方なども委員会の場にいらして意見を表明しているように、きちんとクリエーター、つまりコンテンツを作っている方たちに対価が払われていないことが問題だという話だと思います。消費者がする私的な複製がどうのという話ではなくて、きちんとした対価がクリエーターに払われていない状態がありますよねと。その状態を、新しいルールも視野に入れて何とかできないかということがデジコン委員会の一つのテーマであり、もうひとつは、もっとビジネスを拡大していく方法を探って、コンテンツを作っている方たちがもっと潤っていく方向を見つけましょうという話だと思います。「デジタルコンテンツの流通促進に関する検討委員会」という名称にも、そのテーマが表れています。それを今になって、消費者が私的にする複製の損失を何とかしろという意味だったというふうに言われても、あの時点で、私にはそういうつもりは全くありませんでした。

【中山主査】

 どうぞ、椎名委員。

【椎名委員】

 河村さんの記憶は多分、ちょっと間違っていて、それを訂正したいんですが、第四次中間答申の以前に取引市場の話をしたことはないですよね。取引市場についてワーキンググループが設置されて、番組制作者に対して対価が行っていないという話は、第四次中間答申の後に出た話なんです。第四次中間答申のときには、ダビング10について、1回から10回に緩和されるから云々という話は出ていませんけれども、10回分の複製の対価について権利者に適正に還元する必要がある、なおかつ消費者の利便性にも配慮する必要があるというふうに言われたわけです。今、河村さんがおっしゃったように、番組制作者の話は、あの時点では出ていなかったと思います。
 以上です。

【中山主査】

 私も含めてほとんどの委員は総務省の審議会に出ていないので、そこでああいうつもりだったとか、言わなかったとか言ったとか、この場で議論されても困りますので、この委員会としては、もうちょっとこの委員会らしい議論をしていただければと思います。

【椎名委員】

 保護技術と補償の必要性については関係がありますよ。

【中山主査】

 それは結構なのですが、他の委員会でそれを言わなかったのはなぜかとか、そういう話は少し困るということです。
 どうぞ、華頂委員。

【華頂委員】

 ちょうどダビング10の話になっていますし、先ほどJEITAの見解によると、ダビング10については、私的録音録画補償金は支払う必要がないということだったので、映画製作者としてJEITAの方に素朴な質問をしてみたいと思います。補償金制度を廃止した状況を仮に想像してみていただきたいんです。ダビング10が解禁となった今となっては、あくまでも想像の世界ということでお聞きください。
 無料デジタル放送のダビング10は、一体どうなるのかいうことなんですけれども、映画製作者としては10個もの複製の対価がもらえないのであれば、ダビング10は白紙に戻してコピーネバーを選択せざるを得なくなる。こうなった場合、無料デジタル放送からの録画ができないわけですから、テレビからの録画に関連する録画機器、記録媒体を買う消費者の方はいないですね。そもそも製造する意味もないんです。よって関連機器からもたらされるであろうメーカーの利益はゼロ、それから映画製作者としても、コピーネバーを選択しているわけですから補償金をもらういわれはない、よって対価はゼロ。ゼロとゼロでフェアな構図が成り立ちます。
 しかし、ここからが肝心なんですけれども、現実はそのようにはなっていないわけですね。無料デジタル放送の番組編成は保存視聴されては困る著作物と、そうではない放送番組が混在している。しかも公共性が高いためにコピーネバーを選択することはできない。コピーワンスも消費者から大ブーイングを受けている。ゆえにダビング10という映画製作者にとっては想定外だった甘い基準に統一されて、それを感受せざるを得なかった事実がある。コピーが10回できるとなれば、無料デジタル放送を録画する機器、記録媒体は売れる。実際に規格が統一されてダビング10も解禁となって、ボーナス商戦を前にブルーレイは順風満帆に売り上げを上げている現実があります。
 許されるのであれば、放送番組を録画したいという消費者の声あるいは欲求を利用して、メーカーは機器・記録媒体を製造販売して利益を獲得している。言い方を変えれば権利者の著作物を利用しながら消費者心理を操って、ビジネスを行っているとも言えるわけです。そして、この状況によってメーカーは利益を確保している。であれば、録画の主体となる著作物を創作している権利者にも、対価を還元してもよいのではないかと思うわけです。
 繰り返しますけれども、今や想像の世界であるコピーネバーであれば、機器や記録媒体は売れないからメーカーの利益はゼロ、映画製作者もコピーが行われないので対価はゼロ、しかし、現実のダビング10では10個のコピーが可能になるから、機械や記録媒体が今現在も実際に売れている、そしてメーカーは利益を獲得している。自分たちの利益は確保するけれども、権利者にはびた一文支払わないというような偏った主張はいかがなものかと思うわけです。
 これまで何度も申し上げましたが、映画がコピーネバーであるという大原則を再度ご認識いただいた上で、ダビング10は補償金の必要性がないというJEITAに対して、映画製作者からの質問です。先ほどもご説明したとおり、コピーネバーの世界では対価ゼロと利益ゼロでフェアなのに、ダビング10では録画が行われているにもかかわらず、一転してメーカーの利益のみが確保されるアンフェアな構図になるのはなぜなのか。映画製作者としては非常に納得できないところがあるわけですね。権利者が認めていない著作権保護技術の能書きは置いておいて、権利者の対価とメーカーの利益のバランスについてどのようにお考えなのか、現実を見詰めてシンプルに分かりやすく説明していただきたいんですけれども、いかがですか、亀井委員。

【亀井委員】

 ご指名ですからお答えしますが、コピーネバーでゼロ・ゼロならイーブンで、コピーがあるとメーカーだけが儲かって、それも一文も還元しないのはいかがなものだというようなご主張でございましたけれども、メーカーが果たすべき役割というのは、先ほどの意見書でも最後にも書きましたように、視聴環境といいましょうか、コンテンツをいかに使いやすく、見やすく、聞きやすくしていくか。それによって広く社会と言ってしまいますが、それに対する貢献というものがあると考えておりますし、そういう様々な環境を作ることでビジネスによって利益を、収益を上げられるということも当然にあるというふうに、コンテンツの皆さんが上げられることもあるというふうに考えて、日々を暮らしているということでございまして、今の何かご質問をいただいたのか何かよく分からないんですが、メーカーとしての立場は先ほど申し上げたとおりのところでございます。

【華頂委員】

 今のお話ではちょっと納得できないんですけれどもね、だから単純です、シンプルなんです。要するにコピーネバーだったら対価も利益もないんですよ。それは分かりますよね、売れないんだから、機器が、そもそも録画ができないんだから。でも、ダビング10になったらコピーができるから機器が売れるんですよ。なぜ、権利者に適正な対価の還元がないアンフェアな構図になるんですか。映画製作者は1枚も嫌だと言っているんですよ。でも、妥協しているんです、10枚に。10枚ということは保存することを意味しています。そうでしょう。

【中山主査】

 では、長谷川委員、どうぞ。

【長谷川委員】

 今、お話をお聞きしていましてちょっと少しおかしいなと思いますのは、メーカーと権利者との間でフェアだとかフェアでないとかというのは、ちょっと違うんじゃないかと。と申しますのも、ご存じのとおり要するにメーカーが補償金を払っているわけではないわけでございまして、ユーザーの方がいてユーザーの方が映画を見られる、それによってコンテンツ側の方も映画を作られるわけでしょうし、見られる方が私的録音録画をされることによって、補償金というのが発生するということでございますので、それをメーカーは協力者として集めているということでございまして、メーカーの利益ということとどういうご関係のお話をされているのか、ちょっと私はよく分からないのでございますが。

【華頂委員】

 あえて消費者の立場を入れて言いませんでしたけれども、消費者の立場を入れると、三者になるとやっぱりコピーネバーは全てがゼロなんですね、我々の対価もない、利益もない、消費者の利便性もゼロなんですよ。そういうフェアな構図なんですね。ところがダビング10になるとどうなるか。消費者の利便性も上がるんですよ。権利者だけが置いていかれる。これはどうしてなんだということなんです。

【中山主査】

 では、どうぞ、河村委員。

【河村委員】

 とても納得できない部分がございます。まず、なぜ1回複製するという消費者の行為が何らかの対価を生むべきものであると言われなければいけないのかというのが1つと、仮にコピーネバーにすると、テレビに映画を流したことによる対価がゼロになって利益がないというような意味にもなるわけで、ちょっと理解できない論理です。
 申し上げたいのは、今、権利者サイドの委員がおっしゃっていることは、とりもなおさず私的録音録画補償金はメーカーの利益、つまり複製できる機器を売ったことによる利益から持ってこいとおっしゃっていることと同じことでして、そうだとすると、そもそも私的録音録画補償金は何のためにあるのかというところに戻らなければいけないと、何度もこの委員会で繰り返し、私も含めて言われたところにやはりいきつくわけです。
 私は「私的複製による損失があるからだ」という説明をこれまで聞いてきたわけですけれども、もしそうではなく、メーカーに複製機器による利益があるから補償金が必要なのであるということならば、消費者には関係のないお話ですので、例えば一応仮にですよ、もう想像の世界でしかないですけれども、消費者が支払う価格に転嫁することは一切許さないというような強い厳しいルールのもとで、利益を還元する方法を直にバトルしていただくほうがいいように思います。消費者による私的複製が損失を与えているのかいないのかという議論をずっとやってきたはずなのに、そもそもそこで儲けているから対価の還元が必要なのだとおっしゃるのであれば、これまでの、私的録音録画補償金の理念を捨てていただきたいと思います。

【華頂委員】

 今、ダビング10の話をしているんですよ、JEITAがダビング10は補償の必要性がないというから、今、言っているわけです。映画製作者は申しわけないんですけれども、放送番組からの録画についてのみ私的録画補償金が発生しているので、ダビング10のことについて補償金の必要性がないというふうにおっしゃるので、素朴な疑問をぶつけているんです。
 それから、河村委員もちょっと勘違いしていると思うんですけれども、劇場用映画だけじゃないんですよ。我々はテレビ映画というのも作っていまして、これも最近はオンエアした後に人気のある番組はDVDがすぐ出て売れて、我々の収益になっている。だから、劇場用映画とテレビ映画は少しポジションが違いますけれども、テレビ映画の方もマルチユースを始めているので、そちらの方も大量にコピーされたのでは困るわけです。
 以上です。

【中山主査】

 津田委員。

【津田委員】

 今、何か椎名委員とか華頂委員、権利者の方々のお話を伺っていて素朴に僕が思ったのは、権利者の方々が多分主張しているのというのは、要するにどういう形で消費者がそのコンテンツを楽しむのかというのを非常にコントロールというか、指定したいんだなということですね、要するに「映画は映画館で楽しめ」と、「テレビは録画しないでオンタイムで見ろ」と、「音楽はステレオセットの前で聞くものだ」というようなことを、時代錯誤的に主張しているように感じました。
 僕は何度か委員会の中でも申し上げたんですけれども、JEITAとか総務省なんかの議論なんかでもある種共通理解だと思うんですけれども、消費者的にはコンテンツを楽しむ恐らくこの補償金の話で言うと、DRM、技術的保護手段がついている場合であれば補償金は不要だろうと。そうでなければ、例えば補償金をかけるのであれば、そのかわり家庭内で認められた範囲で自由なコピーというのは認めてくれよと。多分、この二択であるというお話はずっと言っていたと。要するにDRMをかけて補償金もありというのはおかしい。ただし、補償金もなしで自由なコピーというような極論的に求めている消費者も多分いないだろうなという、その二択であるというのが僕の理解ではあります。
 それを踏まえた上で、この2年間の私的録音録画小委員会の議論に参加していて非常に思うのは、ただ、中間整理なんかの以降のこの流れなんかも含めて、結果的にどのような形になるのかなという、委員会の流れがどういう形になるのかなという話になったときに、やっぱり結果的には私的録音録画を担保してきた30条という範囲は狭くなりそうだし、iPodを含めましょうかといったところも、iPodを含めましょうかどうかみたいな話にもなって、何かいろんな意味で消費者的に求めているものというのが一個もある種認められずに、非常にコンテンツを消費するために不便な環境になっています。かつダビング10みたいなものがどうなったのかというと、私的録音録画小委員会では全く関係ないところで、ある種消費者が非常に蚊帳の外で省庁間の協議なんかで強引に決まってしまっていて、何のために議論しているだろうというのが、非常に僕なんかも感じてはいるんです。先ほどから華頂委員とか椎名委員がそこで補償の必要性というところで非常にコピーネバーだと、ゼロ回にすればいいんじゃないかというお話が出ていたと思うんですけれども、非常に一消費者から見たときに、そんなに便利になったわけでもないダビング10を出されたところで、非常に渋々妥協してそれを認めてやったというような言い方をされると非常に不快な部分もあって、それでしたら「どうぞゼロ回にしてくださいと。コピーネバーで本当に構わないので、それで困るのは本当はあなた方権利者ですよ」ということは、僕は非常に強く言いたいです。
 本当にコピーネバーにしたいのだったら、映画業界はデジタル放送に映画を売らなければいいんだと思います。ゼロ回にしたいのだったら、コピーができない音楽メディアに移行すればいいんだと思います。でも、そうじゃないじゃないですか。既存のビジネスモデルの中でできないわけですから、そこで妥協点を探ろうというところで、こういう話合いもやっているわけでしょうし、そこの部分では僕は補償金制度というのもある程度の意義というのは感じています。
 それで、最初の話に戻れば、DRMをかけたって補償金が要らないのか、もしくは補償金をかけるかわりにコピーは自由にするのかという、消費者から認められるように委託というところがあったときに、僕自身は補償金というのがあるかわりに、自由なコピーを認めるという方が、僕は現実的には自分がコンテンツにアテンションを感じている消費者の意見としては、そっちの方が多いだろうなという感覚を持っていますし、僕自身が消費者だけじゃなく、デジタルコンテンツビジネスというのは、ここ10年ぐらい現場を取材して見てきたジャーナリストとしての意見としても、恐らく補償金制度というのがあったときに、ある程度自由なコピーというのを認めていく方がいいのではないのかなということは、個人的なところも含めて思います。
 ただし、やはり現状、制度的な問題というのもいっぱいあることも事実ですし、それに対してどうしていくんでしょうか。返還制度はどうしていくんでしょうとかも含めて、共通目的事業ってどうしましょうみたいなところも含めて、僕は本当はそういったところの議論がしたいのです。何か非常にダビング10でどうしたこうしたみたいなところで、非常に何か議論が矮小化されているところに、何か2年間やって、しかもこれから先の結論も全く見えないような状況に非常に不安を覚えています。
 以上です。

【中山主査】

 今日は、残り時間をなるべく大勢の方にご意見を頂戴したいと思いますので、ごく手短にお願いいたします。

【華頂委員】

 津田委員の今のご意見、よく分かりましたけれども、ちょっと誤解が1つあるのでそれだけ。映画製作者は視聴を制限するつもりはないんです、保存されては困るというだけで。映画業界の中にはタイムシフトも駄目だという、一部、そういう団体もありますけれども、映画製作者としては後に一度見て消すという定義のタイムシフトであれば、視聴を制限するつもりは全然ないので、そこだけお願いします。

【中山主査】

 ほかに。では、ごく手短に。

【椎名委員】

 津田さんは誤解しているんですけれども、コピーネバーだというときに、補償の必要性を否定されちゃったから、コピーネバーを選択するしかないという意味で言ったわけであって、津田さんも十分に補償金制度の有用性というのは、認めていらっしゃるわけですよね。補償の必要性がないということならば、それを選択せざるを得ないという意味で言っただけです。
 それと、津田さんの言っているDRMの技術的保護手段って、僕は2種類あると思っていて、有料配信等で個別の複製をコントロールして、あるいは課金をするというようなものと、大きく全体の範囲をはみ出さないようにする技術的保護手段と2種類あると思っていて、ダビング10は、個々の複製をコントロールするような技術的保護手段じゃないわけですよね。そこは分けて考える必要があると思うし、十分補償金制度と両立するんだと思います。
 以上です。

【津田委員】

 さっきの補償の必要性ということというよりか、むしろある種言葉じりみたいな話になっちゃうんですけれども、コピーネバーでいいんだと、ゼロ回にすればよかったじゃないかという言い方自体が非常に消費者から見たときに、コンテンツを人質にとって、それに対して言っているように聞こえるんですよね。それはだから誤解だというのだったら、やっぱり誤解されるような表現は避けていただいた方が僕はいいんじゃないかと思います。

【椎名委員】

 津田さんの誤解かもしれないですね。

【津田委員】

 そうかもしれないですね。

【中山主査】

 ほかに。どうぞ。

【野方オブザーバー】

 日本音楽作家団体協議会の野方と申します。
 津田委員のさきほどの発言の中で、妥協点を探ろうとしてというお言葉は、まさにそのとおりだと思っています。これまでJEITAの頑なな態度で、議論が長く続いていて、話合いにならないからこそ、こういうやりとりになってしまうという面があるのではないかと思います。
 私どもはやはり1月17日の事務局提案がまとまるまで、大変我慢に我慢を重ねて、JEITAの理解もいただけるように、この場でも発言してまいりましたし、私どもの内部の説得にも努力を重ねてきております。報道を見ますと、JEITAの中にも、一部の加盟者の方にはご理解をいただけているようなところもあったかのようなこともありましたので、わずかな希望をそこに抱いたわけですけれども、昨日、送られてきました本日の配付資料を拝見しましたところ、これはもう駄目かなと。私ども作家としては我慢の限界にきたのかな、というのが正直なところです。
 5月8日の「ちゃぶ台返し」以降、それまでは何とか私どもは内部でコンセンサスを形成してきたわけですが、JEITAがこのような硬直した態度をとり続けるのに対して出た意見は、なぜ権利者側がこれまで一方的に我慢し続けなければならないのか、ヨーロッパへ日本の機器が輸出され、輸入した国での補償金制度のもとでは補償金が支払われているのに、なぜ日本では補償金を支払わないということをおっしゃるのか。日本の我々クリエーターを軽視しているのではないか。これ以上、社会的責任から逃れて創造のサイクルにフリーライドしようとするメーカー側の自分勝手な考えを許すわけにはいかない、原点に立ち返って、本来の私どもの主張を改めてすべきだ、というような意見が次々に出てきてしまっているんですね。そのようなところにきて、今回、このような見解を駄目押しでいただいてしまったなというところです。
 私どもも本日の会議を踏まえまして、今後の態度を決める必要性を強く感じているところです。このことは本来、これまで、ここで我慢を重ねながら発言をしてこられました小六委員の方から、直接お伝えしたかったところではありますけれども、本日、やむを得ない事情で欠席されておりますので、私の方から伝えさせていただきました。まず、これが私どもの団体としての考えでございます。
 それと1つ、先ほど冒頭で椎名委員の方からSCMSのことが出ておりましたので、そちらについてJEITAの方に1つ質問をさせていただきたいと思います。補償金の問題が大きくなったのは、やはりSCMSという技術的保護手段がかけられていたCDが、パソコンで無制限にコピーができるようになってしまったということが、非常に大きな影響を及ぼしていると思っています。今も、補償が要るか要らないかというところでの見解の相違はありますけれども、技術的保護手段が非常に重要なファクターであるということは、語られているとおりだと思います。
 そこで、JEITAが「複製回数を制約する環境に著作物が提供される事実をもって、補償の必要性はない」と主張するのであれば、主張の前提として、SCMSのような問題が今後二度と起こらないということを保証していただく必要があるのではないかと考えます。複製回数を制約する環境ができたら、それは未来永劫保証されるのであるということを保証していただけるのかどうかについて、お聞きしたいと思います。

【中山主査】

 保証というのはどういう意味ですか。

【野方オブザーバー】

 著作権保護技術を前提とした主張をされるのであれば、一度完成した著作権保護技術の枠組みが、SCMSのように破られない、ということを保証していただく必要がある、ということです。

【中山主査】

 もちろんそうですけれども、その保証をJEITAの代表者にここで行えと言われても、それは少し困る。ご意見として伺っておきたいと思いますけれども、では、松田委員、どうぞ。

【松田委員】

 今日の議論、両方のお話を聞いていますと、議論自体は活性化しておりますが従前のそれの域を出ていません。繰り返しです。活性化している議論の中で、何とかまとめてもらいたいと思います。少し考えてもらいたいと私は思うのです。どんな技術でも発展していきますと、コンテンツ市場は広がっていきます。そもそもラジオができたときに、音楽家やコンサートを主催する人たちは市場がなくなるといって、ラジオと戦わなければと思ったのです。アメリカでは大変な戦いがあったわけです、それで話合いをしていって技術が発展して、伝達能力技術が発展すれば、両方とも利益が得られるということでラジオ技術と権利を調整して行ったのです。バランスをどうとるかということを長年の歴史の中でいつも調整をして来たのです。
 実はこの問題も同じでありまして、一定のところまで話が進んだところで、政治的な決断として両方の調整を図ることが日本の産業と文化の発展のためにちょうどいいのではないかなということが示されました。そして両省の合意ができた。言ってみればダビング10とブルーレイという技術をして、産業と文化のバランスを取るために政治的に考えなければならなかった。これを尊重した方がいいのではないかと思います。決してこの線と私どもの今までの議論とが、一致していなかったわけじゃないと思います。見事に一致していたのだと思います。
 ところが今日の審議をみてみますと、実を言いますと何年か前の最初の議論に戻ているのです。両方のご議論が最初の議論に戻っているのです。これは単に時間的にもったいないというだけでなくて、我々の議論のほかにもある大きな価値判断として流れも無にしてしまうように思うのです。もうダビング10を全部ネバーにするなんていうことはあり得ないはずです。であるならば、JEITAの方ももう少し柔軟になっていただけないでしょうか。
 今日のJEITAの資料(資料2−1)をもらっていますけれども、この資料はほとんど最初のときに議論したそのままの主張をしているというふうに私は思います。一々反論するのは過去に実はしたわけですけれども、JEITAのご議論のよって立つところは、いささかでも技術的プロテクションを加えれば、私的録音録画補償金の請求権はなくて、どちらか選択なんだという議論にまず立っているのです。
 これはどういう立場に立とうと、個人的にはやむを得ないかもしれませんが、JEITAの議論としていかがなものでしょうか。こういうことを発表している研究者はいらっしゃるでしょうか。私はいささかでも両制度の議論に関わっていましたけれども、そのときの議論でJEITAのような見解は全くありませんでした。その後の解釈でも発表されているものは全くないと思います。それから、このことについてはこの場でもご質問しましたけれども、回答はありませんでした。ですから、最初に戻るのではなくてもう少し一般的な法律議論を前提とした上で、議論を組み立ててきた個々の議論を尊重していただいて、ここのところは先ほどの政治的決断も含めて、何とかこの委員会の中でまとまるようにしていただけないでしょうか。私が望むのはそういうところです。

【中山主査】

 どうぞ。

【生野委員】

 5月8日の文化庁の提案に関しては、合意するのであれば、この内容しかないというようなところで考えていたんですが、大変残念に思います。
 JEITAの方から出していただいた見解に関して、意見と質問をさせていただきたいと思います。まず縮小の方向性が見えないというところに関して、これは2ページから3ページ目に書いてあるんですが、文化庁提案についてどうしたらこういう読み方ができるのか理解できません。3ページ目の(2)のところで、PC等の汎用機に関しては、「現状では・・・対象とすべきない」となっているから云々ということですが、これについては録音録画を主たる用途と限定した上で、現状では汎用機に関しては対象とすべきでないとされており、未来永劫、PC等の汎用機に関しては対象とすべきでないと書かれていないから、拡大の方向性だというのはどう読んだら読めるのか、完全な論理の飛躍としか私としては考えられない。
 次に、移行か拡大なのかというところに関しましても、確かに一体型を追加すれば品目が増えるという点では拡大なのかもしれませんが、単に今までの分離型から一体型にどんどん機器がシフトしているというだけで、実質的な面を見れば決して拡大ではなくて移行だと思うんですが、何をもって移行ではなく拡大というのか、それを教えていただきたいのが1点。
 それから、音楽CDに関するレンタルからのコピーについて、これは中間整理で、現在、レンタル事業者が技術的保護手段をもって管理できないため、契約では対応できないと整理をされていたと思うんですが、ここで対価を徴収できるはずと、これは日本記録メディア工業会がレンタルCDに関しては複製の対価が入っているという意見を中間整理のときに寄せられて、JEITAと考え方が違うのかなと思ったんですが、契約である以上、契約が守られているかどうか検証できる必要があるわけで、それができないときに、どのように考えてこういう理屈が出てくるのか全く分からない。
 その後の文章でも、レンタルCD利用者の61パーセントがレンタル利用料の中に、リッピングの対価が含まれていると思っているとの結果云々という、だから何なのか、これもよく分からなくて、仮に利用者がそういう誤解をしているとすれば、そうすべきだということなのか、この趣旨を2つ目の質問としてお伺いしたいと思います。
 以上です。

【中山主査】

 ちょっと時間の都合もありますので、手短にお願いします。
 では、亀井委員、お願いします。

【亀井委員】

 1点目、汎用機器への拡大の点でございますが、まず1つは文理的に「現状では」とついているのはなぜかというところが単純な問題でございます。
 それから、主たる用途の限定とおっしゃいますが、現行法はまず機能の限定をした上で、誤解が生じないように主たる用途という限定がかかっているという理解をしておりますが、機能的な限定を付さずして主たる用途とすると、専用機であれ汎用機であれ、いずれも入るということになってくるのではないかというふうに理解しているというところでございます。
 それから、2点目、レンタルCDにおいて幾つかおっしゃったと思いますが、日本記録メディア工業会との意見と違うのかということについては、小委員会でのご発言、それから出された意見書を拝見する限りでは、JEITAは同じ意見であるというふうに考えております。どの時点で違うとおっしゃるのかと。
 それから、利用者が誤解しているということかということでございますが、利用者がレンタル資料を借りるときの契約、対価を払っているわけですが、契約をされている意思というものの中に、複製の対価を含んでいるという意思を持っているという事実ではないかということを申し上げているということでございます。

【中山主査】

 それでは、苗村委員、どうぞ。

【苗村委員】

 まず、基本的には先ほど松田委員がおっしゃったことの延長で、この問題はもともと権利者、利用者、その他関係者の皆さんの考え方は、もともと違っていた問題であり、それぞれ不満がある。その中で妥協的なものとして出てきているのが、あくまでも補償金制度だと思いますので、原点に立ち返って議論することは、もうそろそろやめた方がいいと思います。やはり文化庁の案はあくまでも妥協であって、その中にいろいろと不都合なこともあると思いますが、もうこれは決定をすべき時期だと思います。
 一方、ダビング10に限ってみますと、やはりいろんな裏はあるにせよ、総務省の方でもいろいろ検討された結果、こういう判断をされたわけですし、また、それに伴ってブルーレイ・ディスクについて、現在の法制度のもとで指定をするということを関係の方々が合意され、また、先ほどの私の聞き違いがなければ、長谷川委員もむしろそれを歓迎されたということで、そういう形でそれを前提にして、では、一体型をどうするかということを議論するんだろうと思います。
 それで、ちょっと私が理解できなかったのは、例えば亀井委員のご発言の中では多分、ダビング10に関係する機器は、全て補償金の対象とすべきでないという発言があったように聞こえましたし、一方、華頂委員のご発言を聞いていると、ブルーレイ・ディスクに補償金が乗るのであれば、コピーワンスからダビング10に移行する、つまり差分の9枚分はとれるのではないかという両方のご意見が何となく逆にように聞こえてしまったりする。
 つまり、権利者側からすれば従来コピーワンスで満足していた、つまり、ハードディスクでは補償金がかからないけれども、1枚しか、つまり、そこから先コピーをとれば消えてしまうわけですからよかったと。ところが今度は9枚増えたから、その分はちゃんと媒体なり、機器に補償金がかかれば計算が合うのではないかという疑問もある。一方、亀井委員の方からすれば、あくまでもブルーレイ・ディスクに補償金をかけるのは、反対すべきだということになってしまって、また原点に戻ってしまう。そういうことで、これはしょせん双方に不満があるのは分かり切った話で、この辺りで妥協するしかないんだと思います。
 一方、将来のことを考えるともっと新しい技術をぜひ開発していただきたい。例えばこの補償金制度を前提とした上で、権利者から見ればもっとよい方法で対価を回収する方法もあるはずだし、また、先ほど津田委員もおっしゃったのは大変分かりやすい話で、ユーザーから見て自由にコピーができるというふうに感じられるような範囲であれば補償金で済ませる、それ以外はちゃんとお金を払う、そういうふうにすればいいので、これは、これからむしろ技術開発をどんどんやっていただきたいと思うんです。ですから、今回の制度はまずここで手を打って、その上でもうちょっと次のことを議論したらいいのではないかと思います。
 以上です。

【中山主査】

 ありがとうございます。
 どうぞ、井田委員。

【井田委員】

 どうもありがとうございます。
 今回は非常にまとまったQ&Aを作っていただきまして、ありがとうございました。
 先ほど生野委員の方から、日本記録メディア工業会について若干言及がありましたので一言申し上げます。確かに私どもは意見書の中で、既にレンタル料の中に複製権料が入っているのではないかということを申し上げていまして、若干違うというふうにとられたかもしれませんけれども、その後の議論の中で、契約によって回収できるという方法があるのではないかという議論をずっとさせていただいてきておりまして、レンタルについてもその中で考えるべきであるということで、JEITAとは同じ考え方を持っているというふうに考えています。
 それともう1点、先ほどからずっと総務省さんのダビング10との関係で、話が若干激論になっておりますけれども、そもそも私はメディアですので、ダビング10の決定に直接関わってはおりませんけれども、利益の還元という考え方で言っておられる方がいるようです。だけれども、私の今までずっとこの場で議論させていただいた感覚で言いますと、補償金というのは利益の還元ではなくて、やはり何らかの経済的不利益が発生していて、それが看過できないという場合にそれに対して何らかの補償措置を行うというのが、この私的録音録画補償金だというふうに私は認識しておりまして、やっぱりずっと申し上げておりますけれども、技術的保護手段とか、そういうものも含めて補償の要否という点で、もう一度、一つ一つのことについてきっちり論議していきたいという考え方をずっと持っております。
 以上でございます。

【中山主査】

 ありがとうございます。
 時間も押しております。では、津田委員、どうぞ。

【津田委員】

 先ほど苗村委員の方から、この委員会もそろそろ結論を出すべきだろう、お互いが妥協してというお話があったと思うんですけれども、僕個人の感覚で言うと消費者的にはお互いが妥協するということは、恐らくお互いに譲る部分があってこそ妥協というのは成立すると思うんですけれども、この委員会でまとめられている結論というのは、何か消費者的にはどこも譲られた部分がないなというのが正直な感覚です。そこに関しては、やはり河村委員とどれだけ同じなのかは分からないですけれども、やっぱり三方一両損みたいな話でいくときに、今回のこの結論で消費者は何が得しているんだろうというのは物すごく感じています。
 以上です。

【中山主査】

 では、どうぞ、椎名委員。

【椎名委員】

 話を先に進めるという、松田委員、津田委員のご意見に乗っかって申し上げると、我々権利者は少なくとも文化庁案が出たときから、がみがみ言うことは一切控えて、今日までサイレンスを守ってきたつもりで、それは先に進めようと考えてきたからです。その中には、文化庁案というものの中で我々が妥協した部分、有料配信に関しては契約と技術でやっていきましょう、それから汎用機という非常に先ほども野方オブザーバーからありましたけれども、音楽CDをどんどんコピーできる状況を作ってしまった汎用機というものを対象から外すということ、この2つの点で極めて大きな妥協をしたつもりです。
 にもかかわらず、今日のJEITAの資料というのは、もう2年前の話と全く同じであって、全く妥協するつもりはないということをまた改めて開陳されたということで、そのことをもうどうこうとかということはないんですが、1つ文化庁案の中に支払義務者を誰にするかというところで、両論が併記されていたと思うんですが、僕の考えではもう支払義務者は、明確にメーカーとする方向で今後検討した方がいいのではないかというふうに思っています。
 以上です。

【中山主査】

 ほかにご意見がございましたら。土肥委員。

【土肥委員】

 前回のこの小委員会でも発言をいたしましたけれども、本小委員会は既に3年くらい経過しておるということでございまして、その間、いろんな議論がなされたわけであります。私もここで次のステージに行くべきであるというふうに思っています。それはなぜかというと、1つは今の構図というのは延ばせば延ばすほど、一方にだけ利益になるという仕組みになっているんですね。
 ドイツなんかでこういう議論します場合には、積立金を積み立てさせておいて、遡及してその間の補償金を補填をするということをやるわけですけれども、ドイツの場合は先ほど意見があった支払義務者がメーカーですから、それは可能なんですけれども、日本の場合にはそういう仕組みはとりにくいんだろうと思うんですね。したがって、一方的に延ばせば延ばすという、仮にそういうことはないと思いますけれども、作戦があるとすればこれは非常にうまくいっている形になります。
 それから、先ほど来から出ている汎用機の問題なんですが、主たる用途がさまざま出てきて、JEITAのデータでも7割から8割はそうじゃないんだとおっしゃるわけですが、逆に言うと2割から3割は録音目的でなされているわけですけれども、これを法改正でどうするかという議論なわけですから、主たる用途がどうとかいう議論は関係ないはずなんですね。つまり、大量のコピーが行われている家庭内の複製をどうするか、ということだと思います。
 そうすると、その中の2割から3割は補償金の対象になるものだということをJEITAもお認めになるわけでしょうから、今のペーパーからすれば、したがって、事務局案というのは異論もあるのかもしれませんが、その前提を踏まえて例えばJEITAがおっしゃるような、そういう2割から3割がもし正しいとすればですけれども、そこをどうするのかという、そういう議論に入っていくときが来ているのではないか。私はそういうふうに考えます。

【中山主査】

 では、野原委員、どうぞ。

【野原委員】

 皆さんのおっしゃること、それぞれの立場も分かりますが、その一方でもうそろそろ当面の施策に関する結論を出した上で、もっと根本的な議論や検討をしていかないとと思います。
 1つはどこで妥協するかという点では、この間の案というのは結局、ブルーレイもそしてiPod等の携帯オーディオプレーヤーも、どちらも対象にするというふうになっていますけれども、消費者から見ると両方が対象になるんですかという気がしまして、どういうところで妥協点を早急に見出すかという点では、どちらか一方なのではないかという気が個人的にはしています。
 ダビング10については、ダビング可能な回数が1から10に変更になり、10倍に増加すると権利者の方は感じられるかもしれませんが、実際には、ダビング10になったからといって、利用者は10回ダビングする人はほとんどないと思うんですね。1回きりでハードディスクから削除されてしまうと、もしエラーが出た時に元のデータもなくなってしまうから困るということで、その問題を解決するためにとりあえず10回まで可能にしましょうということですから。それがいつの間にか大勢が10枚コピーして配り歩くような議論になっているところが、事実を歪曲して議論しているように思います。
 その点で個人的にはブルーレイは対象にしなくてもよいのではないかと感じているというのが1点です。
 それと、もう一つはJEITAの見解の資料の最後の方で、今後の方向性ということで契約と技術による解決の方法をということをおっしゃっていますけれども、以前から私は言っているように、そちらの方向をもっと積極的に模索すべきであって、私的録音録画補償金制度を縮小していくということは、もう少し文化庁の方からは具体的にどれぐらい、どういうふうにといったことも示唆されるべきではないかというふうに思っておりまして、それとともに、どうやって新しい契約スタイルあるいはビジネスのスタイルというのを作っていくかということを法的な場だけではなくて、しっかりと関係者の方々で模索していただきたいというふうに思っています。
 以上です。

【中山主査】

 では、最後に大寺委員、どうぞ。

【大寺委員】

 民放連の立場は従来からずっと一貫しているんですけれども、まず、今回の5月8日の文化庁の提案に対しては、例えばその前には私どもは、有料放送についてはきちんとした契約関係がないから、これは補償金の対象にしてほしいというような話をしておりましたし、あるいはコピーワンスということについて、従来は補償金の対象になっていたのが、今回、その対象から外れたということで、そうした幾つかの私どもとしてもはっきり言って妥協といいますかということで、5月8日の文化庁の案に乗ったというふうに理解しております。
 補償金制度というのは、前から申しますように非常に暫定的なんですが、しかしながら、利用者と権利者の間の権利関係をある意味で、現実的に解決するための一つの制度であるということで考えておりまして、当面はこの制度がやはり重要であろうというふうに思っています。今、野原さんがおっしゃいましたように、契約についてどういうふうに在り方をやっていくかということについて、文化庁の方のQ&Aにも載っておりますけれども、ただ、他方、申し上げたいのはこの契約関係をどういうふうに決めていくかというのも、やはり長い議論がやっぱり必要だろうというふうに思っています。ただ、そうした議論をするということは、非常に重要ではないかなと思っています。
 最後にですが、さっきいわゆる技術的保護手段を絶対的に保証できるかということがありましたが、やはり技術というのは守る者とそれを破る物のイタチごっこでありますから、絶対的なものというのはあり得ないだろうと思います。そうした技術的な保護手段と、それから契約だとかそれから公的な制度であります補償金の制度だとか、そういうものが合わさって、利用者と権利者の間の調整を図っていくものだろうと、私はそういうふうに理解しております。

【中山主査】

 では、最後に河村委員、どうぞ。

【河村委員】

 消費者の代表の委員として、態度を明確にしておくべきだと思いますので申し上げたいと思います。とりまとめの案に対して一定の評価をすると申し上げたのは、どういう理解をしたかといえば、まず将来、縮小・廃止であるという一点において賛成できるということです。
 また、とりまとめには、補償金の対象となるのは音楽CDと地上波のテレビのみであると書かれていて、私はその言葉通りに解釈させていただくと先回申し上げたわけです。津田さんの意見に全面的に賛成なのですが、私自身の言葉でも何度も申し上げましたが、複製が自由である限りにおいて、つまり、プライベートな世界において個人がすることに何か手かせ足かせをはめない、どこかに売り歩くわけじゃないんですから、その人が何回録画のボタンを押すかとか、録音録画において何回、何かをするかというようなことに関して自由を奪わない、という限りにおいて、補償金制度の対象であってもいいのではないかと考えています。その条件をあてはめれば、ダビング10には補償金は要らないだろうという結論にはっきり結び付くと思います。
 実際には、複製が自由だとしても、権利者さんに対して補償しなければならないほどの損失が発生しないだろうと私は考えていますし、そういう意見を表明してきましたが、とりまとめ案を見て、百歩譲って、複製が自由だったら補償金の対象だということも考えれるとという意見に変えたつもりです。そしてその時点で、コーナーまで追い詰めるような細かい損失云々という言い方はやめようと思っていました。
 しかし仮に権利者さんのペーパーにあったように、全体に網をかけて、その中が私的に許された範囲で、それが補償金の対象になるのだというような考え方で、従ってダビング10でも補償金だとおっしゃるのであれば、やっぱりそもそも損失はあるのかといところに立ち戻って議論をすべきだと思います。はっきりと損失が認められるのは、恐らく友達から借りたCDを複製する場合など、限られた場面になっていくと思いますから、そういう考え方を全部当てはめて料率を計算しなおすと、料率は全体として大幅に下がるはずですから、その上で、将来的には縮小・廃止の方向にいくというやり方しかないと思っております。そのような損失の考え方を当てはめて料率を大幅に低くした上であれば、対象機器に関しても、現状に合わせていくというのは、間違った方向ではないというふうに思っています。

【中山主査】

 今日はパンドラの箱を開けてしまったようなもので、時間も大分過ぎていますけれども、このままいくとエンドレスになりそうでございますので、一応、今日のところはこのくらいにしたいと思います。
 本日はいろいろと貴重なご意見をありがとうございました。時間となりましたので、これで終わりにしたいと思いますけれども、最後に事務局から連絡事項がございましたらお願いいたします。

【川瀬室長】

 本日は長時間ありがとうございました。いただきましたご意見につきましては、事務局の方で論点の整理・集約に務めたいと思っております。また、次回の日程等につきましては事務局で調整の上、後日、改めてご連絡をしたいと思っております。
 以上でございます。

【中山主査】

 本日は長時間ありがとうございました。頂戴いたしましたご意見につきましては、事務局で論点の整理・集約に務めたいと思います。また、次回の日程等につきましては事務局で調整後、後日、ご連絡を申し上げるということになります。
 それでは、本日の著作権分科会の第3回私的録音録画小委員会を終了させていただきます。
 本日はありがとうございました。

(文化庁長官官房著作権課著作物流通推進室)