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2 現地関係者とのパートナーシップ

1. 現地拠点の整備

(1) 問題意識
1 現地情報収集機能の強化
 コンテンツの国際展開を推進していくためには、消費者・事業者の動向から政策動向など幅広い領域に関して綿密に情報を収集することが不可欠である。特にアジア地域では市場環境や規制方針などが急速に変化する傾向があるため、現地情報収集が全ての鍵を握っているといっても過言ではない。
 国際的にもこうした拠点を設置する例は多く、米国ではMPAAに代表される映画関連機関が世界各地に拠点を設置している。また、韓国でも2000年以降、アジア各地にコンテンツ関連の拠点を設置することにより、情報収集やマーケティング活動を積極的に展開している。
図
 個別事業者による現地拠点で行われる情報収集では、対象領域が限られるうえ、広く日本のコンテンツ産業の国際展開に資する形での情報提供を望むことは困難である。したがって、日本コンテンツ産業の国際展開を促進するため、業界横断的な情報共有を可能とする現地拠点を設置することが緊急の課題である。

2現地拠点の海賊版対策への活用
 アジアにおけるコンテンツの海賊版問題は現地の政府や事業者による対策の効果もみられつつある。
 台湾では2002年に「光ディスク管理条例」が施行され、経済部各局を横断的に組織して「光ディスク連合捜査プロジェクトチーム」を発足させ積極的な活動が展開されている。タイでは諸外国からの要請に応え早急に海賊版取締りの効果をあげるべく関係諸機関の統括に着手し、2002年には13組織による著作権侵害行為に対する取締りに関する覚書が調印されている。
 また、近年では現地事業者による海賊版対策も組織化された活動が増えており実効性が高まっている。例えば、香港では大手マンガ出版事業者が「香港漫画協会」を設立して海賊版対策を協議している。また、音楽の海賊版では各地の事業者が国際組織であるIFPI(国際レコード協会)等と連携を取り、海賊版の実態が随時レポートされる仕組みとなっている。
 しかしながら、コンテンツの海賊版は根絶されるには至っておらず、現地の政府や事業者による対応に頼るばかりでなく、我が国もより主体的に関与することが強く求められている状況にある。
 現地拠点は、事業展開を推進するための情報収集のみならず、現地の政府や事業者と緊密な連携を図りながら海賊版対策を講じていくうえでも効果的・効率的な役割を果たすことが期待できる。この他、現在導入を検討している団体商標権を活用したエンフォースメントに関しても、現地拠点との連携を図ることによって効果を最大化することが期待できる。

(2)提言
−提言4 現地拠点の整備−
JETRO(ジェトロ)現地事務所を活用し、アジア現地にコンテンツ現地情報収集の拠点を整備、現地政府・事業者と緊密な連携を図るとともに、民間事業者間の情報共有を図ることが必要である。
海賊版エンフォースメントとして、日本統一マークを制定するとともに同マークについて各国の団体商標権を獲得し、日本コンテンツの不正流通(団体商標権侵害)に対して、迅速に対応することが必要である。
政府は、海賊版問題について、民間事業者と緊密な連携の下、FTA、EPAなどの二国間協議や貿易協議などのあらゆる場で、現地政府に対して、適正な国内法の整備、執行等エンフォースメントへの圧力を強化する必要がある。


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