実務家、有識者に対するヒアリング調査から抽出された著作権法を取り巻く環境変化と著作権法上の課題を以下に示す。
<著作物の創作・利用形態の変化とそれがもたらす課題>
- インターネットの普及に伴う著作権法を取り巻く環境変化について
- インターネットに特有の法的論点
- (1)権利制限規定の追加
- (2)違法コンテンツのダウンロードの違法化
- (3)ストレージサービス(注1)等に関する諸問題について
- (4)ファイルシェアリングの法的評価について
- (5)113条(みなし侵害規定)のインターネットへの対応
- (6)ストリーミングデータの固定化ソフトの開発・流通の違法化
- (7)その他
- 著作権法全般に関連する従来から指摘されてきた法的論点で、インターネットの普及に伴う著作物の創作・利用形態の変化により、特にクローズアップされてきている法的論点
- (1)著作権者確認の困難性への対応、登録制度の活用
- (2)著作者不明著作物の利用の困難性への対応(裁定制度のユーザビリティ向上)
- (3)著作者が特定されている場合の許諾の円滑化:強制許諾制度、許諾料決定ルール、裁定制度の利用要件の緩和
- (4)複数者のマッシュアップ(注2)によって制作された著作物の利用の困難性への対応
- (5)権利制限規定の追加・明確化
- (6)権利制限規定の包括条項等の導入について
- その他の論点
- (1)著作物データベースの構築・充実化
- (2)著作権等管理団体との交渉の円滑化、利用申請・支払い手続の簡便化
- (3)その他:インターネットでの配信地域の限定について
- (注1)サービス事業者がインターネット上でハードディスク等のストレージ(Storage:記憶装置)を提供するサービス。
- (注2)ここでは、時間をかけて、複数人がインターネット上で1つの作品をつくりあげることを指している。そのような作品には完成形がなく、無限に発展するという特徴を持つことが多い。