1.調査の目的
本調査研究においては、デジタル化・ネットワーク化の進展に伴う著作物の創作・利用形態の変化について把握し、そのような社会の変化に対応して、権利を適切に保護しつつ、著作物の円滑な流通を促進する著作権制度を検討することを目的とした。
2.調査の方法
(1)著作物の創作・利用形態の変化がもたらす課題の抽出
インターネットの普及に伴う著作物の創作・利用形態の変化とそれがもたらす著作権法上の課題を抽出するため、新しい著作物の創作・利用形態と関連した事業に携わる企業10社の実務家に対してヒアリングを行い、具体的な事業において実際に著作権法が問題となり得る点、従来問題とならなかったがインターネットを介することで初めて問題となる点等を聴取した。
また、当該問題に関心を持つ研究者、弁護士等の有識者4名に対してもヒアリングを通じて問題意識を聴取した。
(2)著作権法上の課題の整理
上記(1)を通じて抽出した著作権法を取り巻く環境変化と著作権法上の課題について整理した(「
.ヒアリング調査から抽出された著作権法を取り巻く環境変化と著作権法上の課題」参照)。
(3)著作権法上の課題についての分析と解決方策の検討
当該問題に関心を持つ研究者、新しい著作物の創作・利用形態と関連した事業に携わる実務家等により、ワーキンググループを組成し、上記(2)で整理した「著作物の創作・利用形態の変化がもたらす課題」を概観することにより、インターネットの発展・普及に伴って生じた全体的な問題点や背景の分析を行った。併せて、その中でも、課題としての重要性が高いものの、文化審議会著作権分科会等で課題解決に向けた本格的な議論があまりなされていない課題に焦点を当て、課題の発生している状況について明確化・共有化するとともに、課題への対応に関する考え方及び課題解決のための方策等について、検討を行った(検討内容は「
.ワーキンググループ検討内容」参照)。
本調査研究のワーキンググループの委員構成、開催概要を以下に示す。
<ワーキンググループ委員>
○座長 |
上野 達弘 |
立教大学 准教授 |
○委員 |
奥邨 弘司 |
神奈川大学 准教授 |
平嶋 竜太 |
筑波大学 准教授 |
深野 愼一 |
株式会社コナミデジタルエンタテインメント 法務部マネージャー |
別所 直哉 |
ヤフー株式会社 CCO・法務部長 |
(以上氏名にて五十音順、敬称略、肩書きは平成20年3月現在) |
○オブザーバー
(文化庁) |
黒沼 一郎 |
長官官房著作権課 著作権調査官 |
秋山 卓也 |
長官官房著作権課 法規係長 |
大橋 美帆子 |
長官官房著作権課 企画審議係 |
小倉 基靖 |
長官官房著作権課 法規係 |
○事務局
(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社) |
澤 伸恭 |
公共経営・公共政策部 客員研究員 |
福井 健太郎 |
公共経営・公共政策部 主任研究員 |
渡辺 真砂世 |
公共経営・公共政策部 研究員 |
井筒 憲司 |
公共経営・公共政策部 研究員 |
<ワーキンググループの開催概要>
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開催日と主な議題 |
第1回 |
開催日:平成20年3月21日(金曜日)
- 調査研究の主旨、目的について
- 調査研究の概要、進め方について
- 論点(1)ストレージサービス等に関する諸問題について
- 論点(2)「公衆用自動複製機器」の定義について
- 論点(3)ファイルシェアリングの法的評価について
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第2回 |
開催日:平成20年3月21日(金曜日)
- 論点(4)複数者のマッシュアップによって制作された著作物の利用の困難性への対応について
- 論点(5)権利制限規定の追加・明確化について
- 論点(6)権利制限規定の包括条項等の導入について
- 論点(7)全体または共通する問題点について
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3.調査の実施時期
本調査研究は、平成19年9月〜平成20年3月に実施した。