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「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会審議の経過」に対する意見募集に寄せられた御意見

※いただいた御意見は項目ごとに整理させていただいておりますが、原文のまま掲載しております。
項目 意見
2.私的録音録画補償金の見直しについて
(5)その他(私的録音録画補償金制度の課題について) なお、日本の著作権法においては、聴取や鑑賞については、権利の及ぶところではなく、複製や上演などについて権利が及ぶという構成になっている。聴取にかかる享受をもって、埋め合わせが必要であるという考え方は、著作権法全体の構成を崩すことになるのではないか。
著作権審議会第10小委員会(私的録音・録画関係)報告書[1996(平成3)年12月 文化庁]の「結論:1.私的録音・録画問題について何らかの対応策を取ることについて」によれば、
「現在では、私的録音・録画は著作物等の有力な利用形態として、広範に、かつ、大量に行われており、さらに、今後のデジタル技術の発達普及によって質的にも市販のCDやビデオと同等の高品質の複製物が作成されうる状況となりつつある。これらの実態を踏まえれば、私的録音・録画は、総体として、その量的な側面からも、質的な側面からも、立法当時予定していたような実態を超えて著作者等の利益を害している状態に至っているということができ、さらに今後のデジタル化の進展によっては、著作物等の「通常の利用」にも影響を与えうるような状況も予想されうるところである」との観点から、
「現行法立法当時には予測できなかった不利益から著作者等の利益を保護する必要が生じていると考える」とし、さらに
「また、国際的動向に照らしてみても、ドイツにおける制度的対応以降、最近のアメリカにおける立法化の動きまで含めて、先進諸国の大勢としては、私的録音・録画について何らかの補償措置を講ずることが大きな流れとなってきており、ベルヌ条約などの関係規定に示された国際的基準との関係においても何らかの対応策が必要であることを示している」という結論が導かれる。

「現在では、私的録音・録画は著作物等の有力な利用形態として、広範に、かつ、大量に行われており、さらに、今後のデジタル技術の発達普及によって質的にも市販のCDやビデオと同等の高品質の複製物が作成されうる状況となりつつある」との状況は、認められるとおりである。しかし、手書きで歌詞を複製することが複写機で複製することになろうが、アナログでの録音がデジタルでの録音になって音質が向上しようが、得られる複製の用途は限られており、同一の著作物の複製からの複製行為の回数が大きく変わることはない。
大量に複製したとしても、広く頒布したり販売したりした場合は目的外の使用として権利の制限が及ばないため、これは私的録音録画の問題からは外れている。複製が容易になったことによって、多種の著作物の複製からの複製が可能になったとは言えるが、個々の著作物については上記の通り限定的な複製にとどまるため、複製の総数が増えたとしても、個々の著作物の複製についてはデジタル化によって大きな変化が生じるとは言えない。デジタル化の進展によって、たとえば音楽ファイルの送信が可能になり、ファイル共有ソフトが登場し、通常の使用に影響を及ぼすことになるが、こうした事例については、個別に対処可能であり、特に私的録音録画との関連から不利益が増加しているとは考えられない。

複製の容易さと精度の高さは、海賊版の作成には影響するであろうが、これも私的複製の範囲外の行為であり、海賊版の作成が容易になったからといって私的複製がけんりしゃの不利益を生み出すわけではない。
したがって、報告は、デジタル技術の特性を言い表してはいるものの、デジタル技術の利用がどのように私的な範囲で用いられるかについての検討に欠けていると言える。
続く「国際的基準との関係」についても、
「私的録音著作権Q&A:FAQ :1.私的録音補償金の制度ができたのはどうしてですか?」
http://www.jasrac.or.jp/shiteki-rokuon/05/09_6.html
をみると、
<著作物を複製することができる権利は著作権者だけがもっており、ほかの人が無断で複製することはできないというのが、世界共通の原則です。この原則に対する例外として、「特別の場合」であって(条件[1])、著作物を扱うビジネスと競合せず(条件[2])、かつ著作権者に不利益を与えない(条件[3])のであれば、著作権を制限し、ほかの人が自由に複製できるようにする法律を作ってもよいということが、国際条約(ベルヌ条約など)で認められています。

わが国では1970年の著作権法全面改正の際に、「特別の場合」(から条件[1])の一つとして、私的使用を目的とする場合について、複製を自由とする規定が設けられました。当時は個人レベルの複製手段が限られていたため、条件[1]だけで複製を自由としても、著作物を扱うビジネスと競合したり(から条件[2])、著作権者に不利益を与えたり(から条件[3])することはないと考えられていたのです。
しかし、その後カセットテープレコーダーやビデオテープレコーダーが一般家庭に広く普及し、状況は大きく変わりました。そして、家庭用デジタル録音機器・録画機器の商品化に向けた動きが本格化すると、条件[2]や条件[3]との関係で私的録音・録画の問題がクローズアップされるようになりました。>
とある。いわゆるスリーステップテストを満たさないということが、根拠とされているが、著作権者に不利益を与えたり(から条件[3])」する、その不利益というのが「本来であれば、複製物が一つ作られるたびに著作権者は権利を行使して使用料を得られるはずのところ、その権利を制限して使用料を得ることができないようにしていること」にあるのであれば、150以上のベルヌ条約加盟国の中で補償金制度を導入している22カ国以外、複製への権利制限やフェアユース規定をもうけている国は、すべて条約違反になる。また、あらゆる権利制限は、いっさい認められないということになりかねない。

複製権の権利制限を認めることに対しての補償であるとするならば、音楽と放送番組のみに補償がなされることに合理的な説明が必要である。このような解釈が法の趣旨に一致するとは思えない。
加茂川政府参考人の国会での発言をみても、
「ベルヌ条約上は、各国の制度について一様に義務を求めてはおりません。複製権を認める権能は各国の立法に留保されている、各国の制度は各国の判断で採用することができるわけでございます。
我が国は、現在のいわゆる私的録音録画補償金制度を一つの判断として採用しているということでございまして、ベルヌ条約から必然的にこの補償制度は出るものではないというのは御指摘のとおりでございます」
とある通り、権利制限が可能かどうかは、「通常の利用」を妨げず、「正当な利益を不当に妨げない」「特別な場合」の三つの要件をクリアするかどうかにかかっているのであって、補償制度は必ず必要とされているわけではない。
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なお、「第5小委員会(録音・録画関係)報告書:昭和56年6月文化庁」では、
<2.法第30条の許容範囲内の録音・録画問題(1)録音・録画機器の普及と経済的不利益の発生1)実態についての評価まず、録音・録画機器の普及に伴い、家庭内録音・録画が頻繁かつ大量に行われることにより、著作権者及び著作隣接権者の経済的不利益の発生があると認めるべきかどうか、また、仮に認めるとするとどのような事実に基づくのかという問題がある>

また、「著作権審議会第10小委員会(私的録音・録画関係)報告書:平成3年12月 文化庁」の結論でも、
<2)録音・録画機器・機材に係る具体的報酬額なお、報酬額に関して、レコードレンタルと私的録音との密接な関係から、レコードレンタルの著作物使用料等は、私的録音を勘案しながら定められているのではないかとの意見や、私的録画の目的の中では、タイムシフティングが多く、タイムシフティングは権利者に実質的な不利益を生じさせていないではないかとの意見もあることから、関係者の協議において具体的な額を定めるに当たっては、これらの意見についても検討する必要がある>
とあり、ここでは経済的不利益が問題となっている。
また、「本来」に立ち返るならば、30条制定時において、昭和41年法案において、「公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、個人的に又は学校の学級内その他閉鎖的な範囲内において使用する場合には、小部数に限り、複製し、録音し、又は録画することができる。ただし、著作権者の経済的利益を不当に害する場合にはこの限りではない」との文言があり、43年法案にはこぼれおちたという経緯がある。ここでも「経済的不利益」が問題となる。
したがって、補償金の対象は、著作権者の経済的不利益であって、個別に使用料を支払うことが困難なものと考えるのが自然だと思われる。

●デジタル複製技術の影響:一般化、文化発展への寄与
デジタル複製技術は既に一般的なものとなっている。デジタル複製を行うことは、音楽に限らず、あらゆる場面で行われる。
複製技術が発達していない段階では、廉価な民生用の複製機器が存在せず、複製技術機器は高価・大型であり、所有できる人や企業は限られていた。また、限定的な範囲での利用のみに用いるために高価・大型な複製機器を所有することは、割に合わないはずであるとの考えから、利益侵害に繋がるような大量複製に使われる可能性を危惧すると考えられる。
旧法においては「発行スルノ意志ナク且器械的又ハ化学的方法ニ依ラスシテ複製スルコト」は「偽作ト看做サス」とあった。ここで「器械的又は化学的方法」を字義通りに現状に当てはめるべきではなく、活版印刷が登場したとき同様、時代に応じて特別な技術であり、その技術の保持が海賊版の販売に結びつく可能性を考慮したものと考えるべきである。
もちろん、ユーザにとっても、容易で高精度な機器を使用して複製を作り、それを享受することが可能になった。レンタル店の登場は商業用レコードからの複製の機会を増やし、携帯型プレーヤ、カーオーディオの登場は、聴く場所を広げ、プレースシフトのための複製の必要度を増した。

しかし、音楽制作や、営利的な公衆への譲渡を目的とした複製についても、この技術の発展の恩恵は及んでいる。
サンプラーを用いてフレーズをループさせて音楽制作を行うことは、ヒップホップやテクノと呼ばれる音楽ジャンルそのものを生み出したし、現在のシンセサイザーの音色はサンプリング音源を用いることが多く、あらゆる音楽に用いられている。DATやハードディスク、コンピュータを用いてレコーディングやマスタリング、ミキシングの作業は、個人が行えるほどに施設面でもコスト面でも軽減され、たとえば音質や音響を重視して作品を作り込むケースも増えてきている。複製技術は、音楽文化そのものを生みだすものであり、大いに文化発展に寄与してきた。
営利目的であれ私的であれ、複製にかかるコストは大幅に削減され、著作隣接権を付与する根拠の一つともなっている原盤制作にかかる費用も大幅に縮小されている。これは、アナログレコードのプレスとCDのプレス、レコード会社所属の楽団がいて大規模なスタジオを使って録音・編集して原盤を作ることと、シンセサイザーやサンプラーとスタジオ作業と同等の機能を持つ波形編集ソフトで原盤を作ることを比較すれば、コストは2桁以上違ってくる。
また、複製技術の発展は、複製行為の管理のための技術も導いた。DRM技術は、既に複製を完全に不可能にするものから、複製や移動の回数を任意に制限したり、なんらかの承諾を必要としたり、あるいは直接課金を可能にするものまでが登場し、実際の商品に導入されつつある。

今日、民生用の複製機器・複製技術の発展は、複製を簡便かつ高精度にしたが、同時に専門用機器・技術も発展しており、今なお専用の機器を使った複製と民生機で行われた複製の違いは存在している。
区別がつかないほどの精度で複製を作ろうとする場合、個人が行う複製はコストが高くかかり、また、デジタル複製とはいえ、ある程度の劣化や変質はまぬがれない。複製によって作られたCDRやMDは、外観上明らかに元のCDとは異なるため、私的利用の目的を越えて中古盤として流通させることは不可能であり、また、自分が複製した時の記憶を根拠とするしか、作成した複製物が元のCDと同じ内容なのかどうかは保証されない。
民生機においてもデジタル複製は可能になり、一般に普及したが、依然としてオリジナルとの明確な差異が残る。このような状況において、デジタル複製を禁止することは、ユーザの利便性を損なうことに繋がり、他方通常ユーザが行う複製がオリジナルの複製と同等のものとして市場に流出するなど違法行為を取り締ることはこれまでどおり可能である。
したがって、デジタル複製技術の発展は特にユーザのみに恩恵を与えるものではなく、著作者やレコード会社などにも恩恵を与え、広く社会全体に役立つ技術として広がっていると言える。

われわれは、個人がある程度のクオリティで複製を行うことが可能な時代に生きている。かつてアナログでの複製を補償金制度に組み込むことは社会的影響が大きいとして対象外となったが、今日のデジタル複製はそれと同等あるいはそれ以上に社会に浸透しており、他方補償金制度についての認知度も、<これらのことを考慮すれば、私的録音・録画について、現行第30条による権利制限の状態を見直し、「著作者等の権利の保護」を図るため、制度的な措置を講ずることが必要となっている。ただし、第2章の実態調査結果に照らし、ユーザーの中には、報酬請求権制度に関して消極的な意見が多いことから、制度導入について慎重な対応を行うべきであるとの意見もあり、今後、この制度の導入に当たっては、ユーザーの理解に十分留意し、ユーザーが受け入れやすいものとする配慮が必要である>(○著作権審議会第10小委員会(私的録音・録画関係)報告書:平成3年12月 文化庁)とされながらも、制度導入時から10年以上を経て、制度の認知度は9.8パーセント(社団法人私的録音補償金管理協会の平成14年の調査)、8割以上が内容を知らない(ビジネスソフトウェアアライアンス、2005年)という状況にある。したがって、私的複製に対する補償金制度は一般に受け入れられているとはとうてい言えないことを強調しておく。すなわち、デジタルでの複製について、補償金制度が存在していたと言うことが一般に広く認知されることは、社会的影響が大きい、というような状況にあるのである。

また、上で挙げた例は、かつてFMからのエアチェックやレンタルレコード店からの録音が問題となった頃から存在していたデジタル複製に関する議論でも扱われていた。しかし、今日パーソナルコンピュータなどで行われる複製は、音楽のみではなく多くの文書や動画、プログラム等にも及ぶ。音楽・放送番組のみを特に切り分けて制度化するのであれば、他の著作物との差異を明確にしなければならないだろう。ハードディスク上で行われる複製がどのような特性を持つかについても、十分検討しなければならない。
★複製可能性の保持
少数の複製物(一個限りの物も含む。美術、映画など)の著作物の場合と、相当数の複製によって頒布される著作物は、その性質が異なる。
前者の場合、一個一回の複製が著作権者の権利に及ぼす影響は大きいが、オリジナルな著作物の入手、同一の著作物の複製は困難であり、必然的に権利者の許諾なしに複製は不可能と言っていい。この場合、公衆に対しては、展示・上演などの形態で公開されるが、場所的な制約により著作物は管理される。私的な複製は、撮影・録音・録画などによって可能だが、得られる複製物は、もとの著作物からは明らかに形態が異なり(たとえばライヴとその録音テープは明確に異なる)、また場所の制約により複製作業の制御が可能である(コンサートホールなどでの演奏の録音は私的目的であれば著作権法上は可能だが、消防法などによって会場が機材の持ち込みや録音を禁止している)。音楽とは本来、音の響きであり、その最初の固定物(以下マスターテープ)は少数の複製物の著作物と言えるだろう。マスターテープから複製物を作る場合、まずは権利者から複製の元となる著作物を得なければいけないため、必然的に権利者の許諾を得ることになる。このようにして得られた相当数の複製物は、多くはパッケージソフトの形を取って公衆に頒布され、市場に流通する。マスターテープの複製は、当然権利者の許諾を得るべきであり、また営利目的のマスターテープからの複製は、一つであっても権利者の許諾を得、対価を支払うべきである。

後者すなわち商業用レコードなど一般に大量の複製物がでまわっているものであっても、営利を目的とする場合は、権利者の許諾を得て対価を支払うべきである。しかし、複製が私的領域の範囲内にとどまる場合、すでに同等の複製物が流通しており、作られること自体に前者の場合ほどの問題が生じるとはいえない。また市場に流通することで権利者との距離が生じ、また多くのユーザーに対する権利者のプライバシーの観点から権利者の所在が一般に知られてはおらず、また知られないほうが好ましいという理由も認められるため、個々のユーザーが権利者に許諾を得ることは通常困難である。
複製に許諾が必要とするならば、特に許諾を可能とする制度を創設しなければ事実上複製は禁止されることになり、これは文化の発展に重篤な影響を及ぼす。
たとえば、音楽の著作者となるためには、多くの音楽を何度も聞くという行為は重要な経験となる。また、ある販売されているCDからある短いフレーズを録音し、これを反復させることで基本的なリズム・トラックとみなす手法は、ヒップホップやR&B、テクノといった分野で一般的に用いられている。ある若者が、市販の音楽CDからフレーズを録音し、反復することで曲作りの練習をしたとする。
このような作業の繰り返しが、次世代の作曲家を生み出す。テレビなどの番組で、どのような報道が為されたかの検証を行うことは、録画して繰り返し再生しなければ困難である。学術的な研究にも複製技術を用いた解析が有用であり、ダウンロードでの音楽配信に必要な技術もそういった研究の中から生まれてきている。

また、前述の通りユーザによる複製で作られたコピーは、商業用レコードと明確に異なる。
国会(125‐衆‐文教委員会‐1号平成04年11月26日)において、斉藤氏は「今や素人であります一般のユーザーも性能のすぐれた複製機器をみずから保有いたしまして、玄人の製品に匹敵する複製物をつくり出すようになったのでございます。その限りにおきまして、今や玄人と素人が混在する時代と申すことができるように思います」として著作権法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を説明しているが、玄人と素人の違いは、それを商売として、成り立つかどうかと言う点にある。素人が玄人に匹敵する複製物を作ったとしても、それを商売にしなければ、なんら問題はないはずである。また、現実として玄人の複製物と素人の複製物には、厳然とした違いが存在している。
プレスされたcdと、cdrでは外観が明確に異なるほか、デジタルとはいえ音質の劣化は存在し、圧縮技術によってはその度合いは強まる。外観の違いは、コピーの市場への流出を事実上不可能としている。さらに、コピーは、コピーした本人の記憶を頼りにする以外にオリジナルと同一かどうかを保証する手だてがなく、不自然なエンディングや不協和音、あるいは音質や定位についてはコピーのミスや設定の不備によってオリジナルと異なっているのか、オリジナル自体がそのような音なのかを判断することが不可能である。
ユーザにとってもコピーに対するオリジナルの優位は明確に存在し、また外観上の差異はコピーの違法流出の識別を可能にする。

著作者に経済的不利益を与えるような複製までが認められる必要はないし、公表する際には許諾を得なければいけないケースもあるだろう。しかし、有償無償についてはさておき、また個人的な使用に不都合がない範囲での複製数の制限はなされるとしても、複製を完全に不可能とすることは文化発展のために好ましくないことは明らかだ。
★経済的損失の実態
以下では、著作権者に許諾を得て複製し、公衆に譲渡・販売するCDなどを「商業用レコード」、商業用レコードを元にCDRなどに複製すること、それによって得られるCDRなど複製物を「コピー」と書くことにする。前述の通り、この二者は外観によって明確に区別可能であり、コピーはオリジナルとなる商業用レコードとの同一性を、劣化や改変の可能性から保証できないかたちでしか存在しない。
コピーが通常の利用を妨げる場合とは、コピーがなされなければ、商業用レコードを購入/利用したにもかかわらず、コピーを利用するということだと考えられる。
商業用レコードまたは配信音源からのコピー
1)自分が所有している著作物を自分の目的のためにコピーする

1)自分が所有しているCDをCDRにコピーする。(同一著作物・同一とみなしうるメディアへのコピー)
a:たとえば、自室と車と居間にそれぞれ再生装置があり、それぞれの場所にCDまたはCDRを置く場合が、これに相当する。適当な複製機器が存在せず、このコピーを得られなかった場合には、コピーを行わず、既に所有しているCDを持ち歩くことができ、新たに同一のCDを追加購入する可能性は低いため、権利者の利益を妨げるとは言えない。また、行為者が所有しているCDであれば、何種類商業用レコードからコピーをしたとしても、それぞれについて同じことがいえるため、権利者の利益を妨げることには繋がらず、また一つのCDから作られるコピーの数は、所有している再生機器の数を上回ることはなく、たとえ大量にコピーしたとしても権利者の利益を妨げることはない。また、CDRからさらにコピーが可能であるとしても、自分が所有する商業用レコードがあるため、敢えてコピーのコピーを作ることは考えにくい。なお、大量にコピーした後に、このコピーが閉鎖的かつ限定的な範囲を超えて頒布された場合は、目的外使用となり、許諾を必要とする複製となり、私的録音録画補償金制度とは別の議論となる。
b:また、所有するCDが破損したり再生不能になったときのことを想定してバックアップをとるためにコピーを作ることも考えられる。この場合は、バックアップをとる時点では、商業用レコードまたはコピーは、棚に眠っているだけであり、通常の利用を妨げることはない。破損や再生不能となった場合に、商業用レコードが入手可能であったにもかかわらずコピーが存在するために買い直しをしない

場合には、通常の利用を妨げると言えるが、買い直しをするかしないかは決定できず(もう聴かないから買い直さないという場合も想定できる)、商業用レコードが将来必要なときに入手可能であるかどうかも不明であり、コピーを行った時点では、通常の利用を妨げているとは言えない。いずれにしても、このような事例はごく少数しか起こりえないと思われる。なお、熱心なファンやコレクターなど、必ず商業用レコードを買い直すつもりの場合、コピーが可能であっても、当初から複数の商業用レコードを購入することが多いと思われる。
2)自分が所有しているCDをMDにコピーする。
(同一著作物・異なる再生装置を必要とするメディアへのコピー)
自宅ではCDを聴き、通勤通学時においてはMDウォークマンなどで聴くという場合がこれに相当する。
a)この著作物がMDでも販売されている場合
(コピーの代替となる商業用レコードが存在する場合)
適当な複製機器が存在せずコピーを得られなかった場合には、代替となる商業用レコードを購入する可能性はある。ただし、既に所有している商業用レコードで当該著作物を聴くことは可能であり、歌詞カードなど所有しているものと重複するものが別メディアの商業用レコードの価格に含まれており、どちらかでの利用をあきらめる、CDウォークマンを用いることでCDのみで利用するなどの可能性もあり、一概に権利者の利益を妨げるとは言えない。いずれにしても、コピーは自分で聞くために用いるのであって、所有している再生機器の数を超えてコピーが行われることはないため、零細な使用にとどまるといえる。なお、MDでの商業用レコードの生産はごく限定的にしか行われていない。

なお、今現在においては、CDと配信音源の両方を購入することはあり得るが、音楽配信事業の普及がCDからの取り込んで音楽ファイルとして使用することが普及するよりも遅れたために、CDからのメディアシフトが一般的になっている。この状況は、メディアシフトを可能にし、機器のコストダウンに取り組んできた各メーカー・研究者の努力と、その動きに同調して音声ファイルでの聴取を試み、異なるメディアで音源を入手した上でメディアシフトの手間を惜しまず音楽を広く享受する文化を創造してきたユーザの力によるものであって、結果として音楽配信が普及したからといって本来音楽ファイルとCDの両方を買うべきだとの主張は受け入れがたい。
b)この著作物がMDでは販売されていない場合
(コピー代替となる商業用レコードが存在しない場合)
代替となるMDを購入することができないために、権利者の利益を損なうことはない。他方、ユーザの利便を損なっている。
2)自分が所有していない商業用レコードを自分のためにコピーする
自分が所有していない著作物をコピーするためには、この著作物を入手しなければコピーできない。入手先として考えられるのは、1)家族や友人、2)レンタルである。
1)家族や友人の所有する商業用レコードからのコピー
a)容易に貸し借りが出来る距離・関係にあれば、Iの1のaと同様、コピーがなければ商業用レコードを借りることができるため、再購入の可能性は低い。
b)容易に貸し借りが出来る距離・関係でない家族・友人から借りてコピーをしている場合、コピーが得られなければ、代替となる商業用レコードを購入する可能性はある。同時に商業用レコードの利用をあきらめるなどの可能性もあり、一概に権利者の利益を妨げるとは言えない。

これらの場合は、「家庭内その他これに準ずる限られた範囲」が、どのような範囲であるかという解釈の問題がある。b)は、「家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」だろうか?
2)レンタルCDからのコピー
レンタルで借りてきたCDをコピーする場合がこれにあてはまる。この場合、コピーができなければ商業用レコードを購入する可能性があり、商業用レコードの通常の利用に影響を与えうるが、CDVJの調査結果は全体としてプラスに働くという結論を導いており、必ずしも経済的不利益を与えるとはいえない。決定的に不利益が生じると権利者が判断した場合は、貸与を許諾しないことができる。
貸与権については、貸与の使用料は貸与のみにかかり、録音については私的録音補償金がかかるという説明が小委員会でもあったが、
当事者である日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合(CDV-JAPAN)のホームページでは、「ユーザーがコピーを行なうことを踏まえて、当時の録音使用料をベースとして決められました」とあります。となると、レンタルで借りたCDを複製する際には、コピーするとみなされた上で決められた使用料と私的録音補償金の二重取りであり、CDV-Jも「私的録音補償金制度が導入された現在、各権利者はユーザー及びレンタル店双方からコピーに関する代償を二重に受け取っていることになるため、CDレンタル使用料の早急な見直しが必要です」と意見が書かれ、国会においても以下のような発言がある。

「(前略)借り出したユーザーが家庭等で録音をして返してくる、これがこういう御商売の、例外もございましょうが、一つの前提であったと思います。当時の音盤でございますと、やはり音楽の愛好者ですから、一晩借りたら何度でも聞こう。何度でも針を通しますと、返された物を再び他のユーザーに貸し出すことができないわけでございます。ところが、幸いなことに非常に性能のすぐれた複製機器が家庭等に普及してございますので、一回だけ針を通して返してくれる。したがいまして、同じ音盤を何回も貸し出すことができる。したがいまして、こういう複製機器が普及した国であるからこそこういう貸しレコード業が出現し、御商売になるのではないかと思います。/ こういうときに法的な対応ということになりますと、建前としましては、貸与に対する使用料ということでございますが、どうも当時の状況を考えますと、私的な複製とセットになった行為、何らかの形でこれに対しまして権利者を保護する、保護の道を考える、こういうことであったかと思います。貸しレコードへの対応というのは、実際的なことを申し上げますと、私的録音・録画問題の一部を解決したのではないか、このように個人的には思っております」(参考人斉藤博[筑波大学教授、著作権審議会委員]125‐衆‐文教委員会‐1号平成04年11月26日)
さらに、半田正夫は私的録音録画補償金制度成立時に「前者(CDレンタル)については、貸与権が認められたことによってレンタル業者は報酬を権利者に支払っており、業者はこれをレンタル料に上乗せしてユーザーに転嫁しているはずである。ところが今回の立法では、これとは別に機器・記録媒体メーカーの支払った分がユーザーに転嫁されるのであって、結局ユーザーは二重払いさせられることになってしまう」(私的録音と補償金請求権)と指摘している。

なお、実際の使用料は、アルバム一枚をレンタルしてコピーするとして、CDを購入すればその後CDが破損したり劣化して聞けなくなるまで繰り返し何回でも聞けるのに対し2泊3日程度という比較しようがないほど短い期間の貸与の使用料は170円、対してコピーの補償金は数円ということになっている。
このことから、レンタルCDのコピーについて、補償金が必要かどうかは貸与権の成立過程と当事者の協議などを含めて再検討する必要がある。
3)商業用レコードまたはコピーの拡散
1)または2)の方法でコピーした後に、もととなる商業用レコードまたはコピーが、目的を越えて広がる可能性について検討する。
1)商業用レコードの譲渡
商業用レコードの譲渡については問題が生じない。
残されたコピーの扱いがどうなるかについては以下で考察する。
なお、しばしば新古書店などで購入と買取を繰り返し、手元にコピーを蓄積することが問題視されるが、購入価格と買い取り価格の差額は、通常レンタル料よりも高額であり、また中古店一般の業態上新譜の品揃えを充実させるのは困難である。発売後相当期間が経過したものについては廃盤又は発売元在庫なしであることも多い。
2)コピーの拡散
コピーは、1)または2)のコピーによって得られる。ただし、この場合の拡散する先は、中古店では通常買い取りがなされないため(許諾が必要となる)、他者への譲渡しか考えられない。2)の1)の逆側の立場として考えられる。

4)私的複製の目的外の複製
許諾が必要である。
商業用レコード以外をソースとする録音
5)音楽の著作権が存在しない
会議の録音や自然音の録音、保護期間が切れている曲などの録音はこれにあたる。この場合、音楽の著作者の権利はまったく侵害していない。
6)放送からの録音
放送からの録音については、制度導入時にはFMのエアチェックなどが多かったと思われるが、現在の状況については適切な調査が必要。
7)実演からの録音録画
施設によって規制可能ですから、実演家や興行元に事実上の許諾権があり、実際の現場では許諾権が行使され録音録画できない状態となっている。
8)許諾を得た複製
自分のバンドのライヴ(自作曲に限る)を録音して観客や友人に配っているようなケースも考えられます。
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さて、厳密な自己目的の複製と狭義の「家庭内またはそれに類する範囲」の複製については、デジタル複製によって利便性が上がったとしても大量複製する理由がなく、限定的且つ零細である。
経済的不利益をもたらす可能性があるのは、手元に同一メディアのオリジナルが存在せずコピーのみが存在する場合に限られる(遠い友人、レンタル、商業用レコードの譲渡、放送からの録音)。
まず、理屈では経済的不利益をもたらすという予測がなりたつとしても、実際に不利益が成立するかどうかはわからない。

コピーと商業用レコードには価格上の差異と、製品としての差異(たとえばブックレットの美しさ)がある。コピーは商業用レコードよりも廉価であり、いずれにしても必ず買うのだが廉価なコピーに流れるのではなく、廉価だから買うのであって商業用レコードの価格であれば購入に至らないケースも少なからずある。前述の通り、製品としての差異をなくそうとしても、現在の技術では個人が試みるにはコストがかかりすぎるため、価格が逆転する。また、コピーは収められた音楽がオリジナルと同一であるかどうかの判断が不可能である。ユーザは、同じものであれば価格以外に新譜を買わない理由はない(同一タイトルの異版などを除く)。ユーザはこれらの不備と価格差とを比較・勘案して消費活動を行うのである。
平成14年のRIAJによる「音楽コンテンツ個人録音及びそれに関わるCDR等の利用実態調査」では、欲しいCDが同じ店で新品と中古であった場合の購入意向は、全体で新品のCDを買うと思うと答えたのが35パーセント、中古を買うと答えたのが15パーセントであるのに対し、価格によっては中古CDを買うと思うと答えた層が41パーセントある。中古CD購入層では、新品を買うが12パーセント、中古を買うが26パーセント、価格によっては…が56パーセントとなっている(選択肢は、新品を買う、中古を買う、価格によっては中古CDを買うと思う、どちらともいえない/よくわからないの四つ。
資料では、価格によっては…の選択肢と中古を買うを合わせて56パーセントが中古を買うとしているが、価格によっては新品を買うという選択肢がないため、価格によって中古CDを買うと思うという選択肢は、価格によって中古を買うか新品を買うかを決定するということを意味する)。同じ店で新品と中古があるという状況では、通常新品よりも中古のほうが安く売られているにもかかわらず、価格差によっては、新品を買うということは、消費者が安さを第一に選択しているわけではないことを意味し、新譜を購入しようとする傾向があることがわかる。それでも、特に、もっとも熱心に音楽を聞く若年層にとって価格は重要なポイントとなるのだ。昨年の輸入規制の時にも、アジアのみならず欧米と比較しても新譜の価格が高いということが背景にあった。

廉価であることによって、またはコピーを介して流通が促進されることは、音楽に接する機会を増やし、購入意欲を促進する効果がある。一般にレンタル店を利用することで新譜の購買は減少するという意識調査がでており、短期的にはそれは実態と合っていると思われるが、CDVJの調査では回答者の3割がCDレンタル利用によって購入が減ったと回答しているのに対し、レンタル店をよく使用する層ほど購入枚数が増えているという結果が出ている。平成14年のRIAJによる「音楽コンテンツ個人録音及びそれに関わるCDR等の利用実態調査」では、半年間に入手した音楽コンテンツが、全体の平均では7本・枚であるのに対し、CDR音楽録音経験者の平均は倍の14本・枚、レンタルCD利用者は12本・枚となり、半年間の新品CDアルバムの平均購入数も全体が1.89枚であるのに対し、CDR音楽録音経験者は2.66枚、レンタルCD利用者は2.28枚となっている(本資料では、コンテンツの種類の割合の円グラフとして掲載されており、CDR音楽録音経験者、レンタルCD利用者が得たコンテンツのうち新品CDアルバムの割合が低いことを強調している)。
放送における二次使用が宣伝効果も大きいとして解釈されているのと同様に、コピーを介して著作物が広まることにも宣伝効果がある。友人からコピーを得て知った音楽家・楽曲を、商業用レコードで買い直すケースも少なくない。特に、ユーザによって編集・選曲がなされたコピーであれば、収められた1曲が収録されているアルバムを買うことになる。

CDを他のメディアにコピーして利用する場合、そのメディアでの商業用レコードが存在していなければ、必要な商業用レコードを購入することはできない。また、新品で購入することが出来ない商業用レコードを中古店やレンタル店で入手してコピーする場合も、必要な商業用レコードを購入することは出来ない。これらの業態がユーザが望むコンテンツを部分的にでも在庫していることは、出版における図書館のようなアーカイヴの機能を持つ機関が存在しない音楽にとっては、音楽文化の発展とコンテンツ保持に極めて重要な役割を果たしている。したがって、経済的不利益が生じるのは、コピーの代替となる「商業用レコード」が購入出来る場合に限られる。
放送からのコピーの場合、かつてFMラジオなどで行われていたような、アルバム丸ごとを流すような場合は音楽の著作権者の不利益に繋がるが、現在は殆ど行われていない。放送番組の録画や録音については、タイムシフトはもちろん、ライブラリ化が行われたとしても、それに変わるDVDが存在するか、オンデマンドで再放送されることがなければ権利者の利益が損なわれることはない。
また、コピー技術の存在は、権利者および流通業者のコストとリスクを削減させていることも忘れてはいけない。
たとえば、レンタル料とブランクメディアと歌詞カードのコピーとユーザの手間によって得られるコピーは、廉価とはいえ600円程度の支出となる。このうち170円+数円が権利者に支払われているため、流通コストも含めた、コピーを得るために必要なコストは420〜430円ほど。商業用レコードの購入に当たって権利者に支払われるのは、定価を3000円として、著作権使用料として180円、原盤印税としては15パーセントほどとして450円を合わせて630円程度と考えられる(実際には原盤印税は契約によるが、公開されていないため業界案内本の記述に従う)。これにコピーのコストを加えると1050円となる。ある程度の数を作れば、個人が民生機で1枚コピーするよりもさらにコストダウンが見込めるとすれば、アルバム1枚1000円以下で、権利者の利益をまったく損なうことなくレンタルのコピーと競合可能な価格で販売することができる。使用料規定の変更が必要であり、レコード会社の純利は計算していないが、権利者が得る分はレンタルとコピーから得られる額よりもはるかに多いことから、適当な額を設定することは不可能ではないと思われる。また、貸与使用料や補償金のような包括的な分配ではなく、個別に徴収分配が可能となるにもかかわらず、なぜこのような商品が登場しないのだろうか。

個々のコピーを許諾が必要とすることにした場合、膨大な手間と暇をかけて許諾を得ることよりも、当該音楽の入手をあきらめる可能性は高く、これは音楽文化全体の衰退に繋がる。逆に許諾が容易に出来る環境を作るとすれば、権利者はその連絡先を公開し、いちいち応対しなければならない。
著作権者が市場からの引き上げを意図しているのではなく、その音楽を欲するユーザが存在するにもかかわらず、商品を購入し、それによって使用料が権利者に支払われることが行われず、中古店での購入やレンタルや友人から借りてコピーするという形になるのは、レコード会社が引き続きプレスしてカタログに載せること、あるいは権利管理団体が個別の許諾を可能にすることを、採算性などの理由で行っていないからにほかならない。入手が極端に困難になれば、適法に入手をするためにとんでもない値段を支払うこともあり、あるいは違法コピー販売を促進することもある。
アルバム中欲しいのは数曲だけであるにもかかわらず、十数曲分の支払いをしたり、あるいは購入をあきらめることで権利者が得られた利益が損なわれるようなことも少なくない(音楽配信は、これを打開する可能性があるが)。
これらは、ビジネス上の判断による結果であって、ビジネス上の判断が生み出す状況が、コピーによって不利益が発生させたり、購入に至らないことで権利者の利益の減少を招いているともいえる。
以上のことを勘案して、なお経済的不利益が存在するかどうかについては、きめ細かい意識調査によって定量的に判断が可能と思われる。まずは、適正な実態調査によって、経済的不利益の存在が存在するかどうか、存在するとしたら、どのようなコピーにおいて発生しているか、などを明らかにし、かつ、その経済的不利益の額を納得がいくように算出しなければならない。

調査の結果はひとまず待つとしても、総合的に勘案すると、権利者に不利益が生じるとすれば、ひとたび入手した音源をグループ内で組織的にコピーする場合に限られるのではないかと思われる。この場合、レンタルや中古店(特に新古書店)が批判されがちではあるが、新譜CDであっても同様に組織的コピーが行われたら、権利者の経済的利益を損なうため、コピーの元となる商業的レコードの入手先が問題なのではなく、行為そのものが経済的不利益の原因である。無理のある制度を導入するよりも、そもそもグレーゾーンにあるこれらの行為を私的使用の範囲外に規定することのほうが適当かもしれない。
■DRMの存在
さて、ここまでは音声ファイルについて、またデジタル音楽プレイヤーや、パソコンによるコピーは十分に考えてこなかった(ある程度は、上記の論理が成立すると思う)。その理由としては、どの程度のDRMをどのような形で導入するかによって、シュミレートするべき選択肢があまりにも多く拡散するからである。なお、すでに述べた通り、まったくコピーを不可能にするほどの技術は導入するべきではない。また、P2Pなどについては、また別の議論と思われる。
他方、DRMの存在によって生じる大きな問題が少なくとも一つある。
現在市場には複製が完全に不可能な技術、回数や複製の数を制限する技術、複製が不可能であると謳いながら可能である技術、複製を制限しない技術が混在し、さらに新たに技術が生まれている。こうした著作権保護技術を配信ファイルやメディアに対して積極的に導入するか、導入しないか、という判断は、レコード会社やミュージシャンがそれぞれに判断している。個々の著作物の配分の詳細や配分方法の根拠は明示されていないが、放送や貸出の頻度や売り上げを元に、その数が多いほど配分が多くなるというのが基本となると思われる。

ところが、著作権保護技術の導入は、コピーがCDやファイルの購入を阻害するという発想の下にあり、複製が困難なかたちで販売などがなされるものは、私的複製の機会は少なく、売上が増えるという逆転現象がおこると想定される。同時に、複製管理技術の軽重によって消費者の購買・複製の頻度も変化する。
コピープロテクションがかかったCDと、かかっていないCDの違いをどのように考慮すれば適正に著作権者に分配できるのか、まったく複製が不可能であれば、分配対象から除外するなどの措置ができるとはいえ(既に導入されているコピーコントロールCDについてどうなっていたのか?)、何回までは複製できるといったかたちのDRMでは、どのように分配すべきなのかという点は、示されていない(算出不可能と思われるのですが)。
繰り返しになるが、これは、包括的な課金・分配という制度による補償金システムの構築を不可能にすると思われる。
★短期的な要望
まず、「百四条の二以下」の例外規定は、撤廃の方向で検討すべきであり、一定期間の経過措置を取る場合は、DRM技術との関係を鑑みつつ権利者・ユーザ双方の不利益が生じないような選択をするべきである。
制度を維持するか撤廃するかについて、まず行われるべきは、実際に経済的不利益が存在するかどうかの検証であり、そのための実態調査を行う際には、適切な設問と適切な分析がなされなければならない。既にいくつか指摘している通り、しばしば実態を明らかにしない調査や作為的な誘導が行われているため、設問については中立的な専門家の指導と公開での検討が望まれる。また、調査結果についても、個人情報に十分な配慮をした上で原データを公開する必要がある。

また、この不利益が存在するならば、そこに何らかの市場がある可能性があり、新たな商機として対応が可能であるかどうか、また現在のビジネス上のシステムが不可避的に不利益を講じていないかどうかについても十分な考察がなされるべきである。
経済的不利益をもたらすことが適切な調査によって示された場合、何らかの対処が必要となる。
コピーを前提とした音楽の利用形態は、既に一般に定着しており、権利者の許諾を得なければ複製出来ないとする場合は、容易に許諾が可能な制度の創設がなければ、理解が得られないと思われる。したがって、複製は強制許諾とした上で、経済的不利益を補償する制度を考えなければならない。
また、DRMの存在によって、包括的な徴収・分配が困難になっていることは既に述べた通りである。DRM技術への対処を含めた検討が必要であり、その結果によって方向性が決まる。
ユーザとしては、課金がなされる場合、個別課金、個別分配が望ましく、また権利者にとってもこれが理想だと思われる。DRM技術を導入する場合は、これを可能にする方向が好ましいが、同時に技術の発展によって膨大なデータを処理することが容易になっていることから、貸与についてはPOSシステムなどとの連携によって、放送における二次使用についてもデータベースの効果的な活用によって、困難ではあると思うが、可能ならば実演についても、個別分配システムを構築することを望みたい。
追記:第8回の小委員会で、これまでの議事録では曖昧に過ぎた部分が整理され、またJASRAC(ジャスラック)から試算が提出されたようですが、これらは意見募集以前にまとめられるべき事柄であり、提出すべき意見の前提が変わってしまう。意図的であれば、国民の意見を愚弄する行為であり、意図せざるものであれば、会議進行の不手際があまりにひどいと言わざるを得ない。

いたずらに私的録音録画補償金の課金ばかりを急ぐのではなく、保証金制度の根本に立ち返り、かつ現状を踏まえて十分な議論を行って改善していくべきと考える。具体的には、以下の3点について「一般人にも理解・納得ができる」内容を明確化できるだけの議論が必須である。
・保証金制度が必要である理由
・保証金を受け取る権利者とはいかなる人間、団体か、およびその理由
・保証金がどのように分配されるのかの詳細、およびその理由
【理由】
権利団体側から聞こえてくる意見は、我々一般の音楽を楽しむ側の感覚とはあまりに次元のかけ離れた意見であると言わざるを得ない。
「権利団体側の利益ありきで、取れるところからは取りたいという焦り」しか感じられない内容ばかりで、消費者やアーティストは完全に置き去りになっているように見える。
権利者団体側の事情は一旦置いておいて「そもそも現代の保証金制度とはどうあるべきか」を誰もが理解できるようなクリアな状態にする必要があるので、上記3点を明確にする為の議論が必須と考える。

最も問題なのは、殆どの人がデジタル録音補償金の存在すら知らない、ということだと思います。
知らず知らずのうちに、金を払わされているのは何ともけしからんことです。
しかも、消費税などと違い、一体いくら支払っているのかもわからない。
そして、その使用目的が殆どわからない。
著作権使用料は、使用する著作物を公の場で披露したり、それによって利益が生じる場合に支払うものです。
支払う本人には、金を伴うか否かに関わらず、必ず見返りがあります。
しかし、この補償金は支払う人に対する見返りが何もありません。
録音して、それを再生して、編集して、楽しむという、オープンリールやアナログカセットでも当然出来ていたことは、見返りではありません。
メディアと録音機器を買った人間の、当然の権利であるはずです。
録音は、オリジナルと物理的な形状を異にして行うことが殆どです。
むしろ、録音の目的はそこにあると言っても過言ではありません。
外で音楽を聴くのにアナログディスクは大きすぎました。
だから、アナログカセットに録音し直して音楽を楽しんできたのです。
MDだって同じはず。
CDはアナログディスクに比べれば小さいけれど、MDのほうが持ち運びも便利で編集も出来るから、という理由でわざわざ録音し直している人が殆どです。
しかもそれが、元々自分で買ったCDなら、個人でそれを楽しむ手段をとやかく言われる筋合いはないはずです。
もし、それを使ってお金儲けをするのであれば、著作権使用料を払えばいいのです。
それじゃ、デジタル録音の補償金って何なの?という話になります。

このような制度は廃止すべきだと思います。
保証金の分配に当たって、大手レーベルや楽曲を多く販売した物だけに保証金が分配され、少数の販売実績しかない物に何も分配が行かないようでは、著しく不公平です。
もしクラシックの海外の演奏家や作曲家に、これらの保証金が分配されているならば公表していただきたいです。
たとえ1枚しか売れなかったアーティストにでも、楽曲を購入した物が払ったお金がきちんと行く。
そのような個別課金のみの方が、楽曲を購入する側に取っても納得がいきます。

特に共通目的事業については、速やかにこれを廃止すべきである。
もともと共通目的事業は、補償金の具体的な分配が不可能であることから、大雑把に二割と定めてそれを著作権の保護等の事業に支出するよう定めたものであるが、このように本来は個々の権利者に帰属するはずの補償金が、単に誰にいくら渡してよいか分からないといういい加減な制度のために、個人の利益とは無関係な事業に利用されることには、憲法の定める財産権を侵害するものである。
まして、そのような補償金を受け取る個々の権利者には、日本人のみならず、たまたま楽曲が日本において複製されただけの外国人も含まれる。
そのような外国人に帰属すべき財産までも日本国内の事業に利用することを、「誰にいくら渡してもよいか分からない」という点だけで合理化することは不可能であろう。
そして審議において指摘されている通り、個別課金が技術的に可能であるというのである。まったくもって補償金の二割を共通目的事業に充てる理由がない。
従って速やかな廃止が望まれる。

私は、私的録音録画補償金制度は廃止されることが望ましいと考えます。
録音録画機器やパソコンは、著作物を制作する道具としての側面と、著作物を視聴するメディアとしての側面、この二つの面を併せ持つという特性があります。
特に民生デジタル機器の集大成たるパソコンは、その高い汎用性、飛躍的に向上した編集の自由度から、著作物等を制作する道具として、既にあらゆる創作活動への利用が浸透しています。
特に音楽の制作においては、プロ・アマチュアを問わずパソコンの利用が普及しており、音楽以上に労力を必要とする映像作品においても、パソコンを使い殆ど一人で商業アニメーション映画を制作する作家が出現しました。また、アマチュアのCGアニメーション・コンテストの優秀作品によく似た映像が、プロの手によって制作され好評を博する程に、近年のアマチュア作品は質・量ともに向上しています。
しかしながら、アマチュアである著作者の著作物の多くは非商用である為、制度の性質上、補償金分配の対象にはならないのは仕方ないとして、返還制度が機能していないことには大きな不公平感があり、また補償金制度全体が非常に大雑把な運用しかできない理由を考えれば、返還制度が多くの国民の納得のいく様な形で運用できるかどうかは、甚だ疑問です。
むしろデジタル機器の利用を促進し、より多くの新たな創造の機会を万人に与える為に、補償金制度は廃止された方がよいのではないでしょうか。
制度に頼り、本道を見失いつつある既存の著作権産業の在り方を変えるには、新たな創造のサイクルが芽生えようとしている今を好機と捉え、少数の権利者が独占する産業を過剰に保護するよりは、潜在する無数の著作者による創作活動の興隆に目を向け、次の時代に備えるべきです。
さもなければ近い将来、日本の著作権産業は古い制度と共に心中することにもなりかねません。
或は、昨今の「著作権ブーム」が終わってみたら、後に残ったのは過剰な権利保護制度と、利用者の居ない著作物の山だった、などということにならない様、慎重に議論が為されることを期待します。

私は、指定管理団体に対して「補償金の徴収システム実現の責任を負う」義務を課すことを提案します。
現行制度で納得いかない点は、指定管理団体だけがいい目をみているからです。
平たく言えば、「法律を盾に”金くれ”というだけで実働はせず、メーカーにお金を集めてもらった上に他人(著作権者)のお金の2割をピンハネする」指定管理団体がけしからんのです。
そこで、指定管理団体にも実働してもらうと、上記のけしからん点が改善されると思います。
実働にもっともふさわしいことは、やはり私的コピーを実施した消費者からの集金作業でしょう。
もっとも苦労するところですから、儲ける人がやるのが筋だと思います。
ただし、非営利団体にただ徴収システムの実現責任を負わせるだけだと、間違いなく自分たちだけに都合のいいシステムを導入することは火を見るより明らかです。
よって、競争原理を働かせるか、ユーザにとっての利益保護を法律で明記するか、などの対策が必要です。
結論としては以下の提案を行います。
・現行の機器や媒体に対する補償金制度は3年を目処に段階的に廃止するよう法律で定める。
・私的コピーに対する補償金は、”コピー行為”に対してコピーした主体に課金するよう法律で定める。
・”コピー行為”への課金を徴収するシステムの実現責任は指定管理団体にある旨、法律で定める。
・指定管理団体による徴収システムの独占の弊害を避けるため、徴収システムに対してユーザへの負担を制限することを法律で定める。具体的な制限は「課金しないコピー行為と比べて1段階までの操作回数増加は認めるが、2段階以上の操作回数増加は認めない」「徴収システムの運用にかかる費用は、共通目的事業費の半額を越えてはならない」等。
ただし、独占の弊害を避ける他の方法としては、指定管理団体を分割し、徴収システムの出来栄えを競わせるという考え方もある。
そこでは、著作権者自身が登録する指定管理団体間を自由に選べ、移動も簡潔に行えることが担保される必要がある。
上記の提案が実現すれば、3年で無くなる補償金を補うために、指定管理団体が本気で補償金の徴収システムを開発することが期待できます。その努力があってこそ、消費者も補償金を払うことに納得することと考えます。

・上の項目について
(1).現行の「録音可能メディアへの課金」は速やかに廃止し、補償金はデータ側に上乗せすべきである。
(2).また、補償金が上乗せされているものについては、その明示を義務づけ、その収支について公開する義務を負うべきであると考える。
(3).さらに、DRM技術の進歩とともに、補償金そのものも、縮小・廃止の方向に向かうべきである。
・その理由
(1)について
録音可能メディアへの課金では、著作者への分配時の基準が明確にならない。また、録音可能メディアは通常複数回の録音ができるため、私的複製の範囲を超えた複製が過去及び未来において無かったことの証明は不能であり、補償金の返還請求を行ったとしても、通常、返還額よりも手続きにかかる費用の方が大きくなることから、現実問題として補償金は返還できないものと考えた方が妥当である。私的複製の範囲をこえた複製、つまり著作者の権利を侵害する複製を行う者よりも行わない者の方が多いのではないかと個人的には考えるが、そもそも「補償金」は「それを行った者が払う」ものではなく「それを行う者による損失を見越して予め多めに回収しておく」ものであると考えられる。よって補償金を上乗せするのであれば「通常に販売されているCD」「レンタルCD」「中古で販売されているCD」に課金するのが妥当であると思われる。このうち「通常に販売されているCD」については、補償金という形ではなく、そのまま著作者達への分配を増やせば良いだけであるので対象外とし、レンタルおよび中古販売においてのみ課金すれば良い。この場合、売り上げの詳細もわかるため、補償金の分配についても不透明さがなくなるので、現行制度より優れている。
(2)について
私的録音録画補償金について知らない消費者も多く、この制度を周知するためにも明示は必ず行うべきである。また著作権などの啓蒙活動にもつながる。現状の「多くの者が知らないうちに徴収され、不透明なまま分配される」という制度は、消費者の不信感を煽るものであり、むしろこの制度自体が著作権を軽視しているように思われる。補償金の明示と収支の公開は何よりも第一になされるべきであると考える。これは、とりあえず現行の制度が続くとした場合においても、必ず実行されるべき。

(3)について
DRM技術の進歩により、一般のユーザーにおいて「私的複製をこえる複製」を行うことが困難になれば、そもそも補償金は不要である。その場合、違法な複製を行うのは、海賊盤を販売する組織などということになり、これらについては、最初から犯罪として取り締まるべきものであり、一般のユーザーが補償する問題ではない。(1)のように、個別に補償金を上乗せするという方法とした場合は、既にダウンロード販売などで流通しているものや、コピーコントロールを施されたCD等については、補償金の対象外とすべきである。このように個別対応が可能という点をもって(1)の方法を推す次第である。

意見 私的録音録画補償金制度を全廃することは難しいと思われるが、少なくとも縮小の方向で検討を始めるべきである。また、「当面の運用」における「改善」は速やかに行なわねばならい。
理由
●返還制度の簡略化:返還制度の簡略化は絶対に行なうべきである。私的録音録画補償金を一部でも存続させるのであれば、返還制度を実効性あるものに改善しなければならない。制度の周知徹底はもちろん、管理協会側の迅速な対応が可能となるように文化庁が監督していくことが求められよう(返還制度に目立った改善が見られないときは、補償金制度を廃止すべきである)。なお、既に対価を支払い済みの著作物(自ら買い求めたCD・レンタルCD・ネット配信楽曲など)の私的複製に使った指定機器・記録媒体についても補償金返還への道を開くべきである。
多くの産業が国際間のコスト競争に知恵を絞る中で自助努力を伴わないビジネスを正当化するかのような意見には反対である。作詞・作曲者、歌手、演奏者、編曲者に「雀の涙」ほどの利益しかもたらせない原因が外部にあるとするのは顧客であるはずの消費者への二重の侮辱に他ならない。

私的録音録画補償金制度を全廃することは難しいと思われるが、少なくとも縮小の方向で検討を始めるべきだと考える。また、「当面の運用」における「改善」は速やかに行なってほしい。
理由
一度対価が支払われた著作物については、私的利用の範囲において、自由かつ無償で利用できるとすべきではないか。CDを購入してそれをiPodに入れて持ち歩くことや、PCで再生することは、再生手段を変えたに過ぎない、という現代の生活事情をきちんと加味してほしい。個人毎にオーディオを設置することができないオフィスなどで、PCで音楽を再生したり、iPodで音楽を再生したり、というのは現在では非常に一般的に見られる姿だし、これが著作権者(および著作隣接権者)の権利を侵害しているとは思えない。きちんと対価を支払って購入した音楽が、CDプレイヤーがある場所でしか聞けない、というのは非常に納得がいかない。
現状の様な補償金制度ではなく、補償金を課すべき私的複製につき個別に課金(コピーされた著作物の権利者を特定することも含む)する制度を確立することが理想ではないでしょうか。
その理想的な個別徴収が実現する見通しが立つまで、補償金制度自体を存続するのはやむを得ないかもしれませんが、現行制度の問題点を放置するのではなく、問題点を改善してもらいたい。補償金制度についても、「不利益」などというあいまいな言葉による観念論ではなく、具体的・論理的・実証的に検討し、かつ消費者の理解をえられるよう、各権利者団体の配分方法などをきちんと説明し、それがどのように著作権者に渡っているか明確に情報公開して欲しい。

最後に9月30日に、Web上の複数メディアで「法制問題小委員会が開催され、パブリックコメントの締め切りも迫る中間報告書についての議論が行われた。」という記事が掲載されていましたが、何故パブリックコメント募集最中に、中間集計として具体的な意見の数を発表したのか、疑問を感じました。
https://www.mext.go.jp/b_menu/public/2005/05090803.htmには、「個別の項目に係る意見提出数の集計・公表は特段いたしません。」としてパブリックコメントを募集しているにも関わらず、なぜ、このような中間報告を発表したのか、この点に付いて文化庁長官官房著作権課から正式な回答をして頂きたいと思いました。

私的録音録画補償金は廃止するべきである。
著作権の権利制限はこれを拡大するべきである。
(5)その他(私的録音録画補償金制度の課題について)
私的録音録画補償金制度は既に破綻しており、廃止するべきである。
また、補償金の返還規定が有名無実となっているのも早急に改善するべきである。

私たちは膨大な時間をかけ作品を作り上げている。
その作品を膨大な設備使用料、人件費その他をかけて、舞台上演を実行している。
更に録音録画をして、更に多くの聴衆の方々に知って頂く努力をしている。
録音録画にはまた当然の事ながら、膨大な設備使用料、人件費その他がかかる。
そうして雛を育てるように丁寧に作り上げられた作品に、何の対価も得られずに複製が作られて行く。
それは当然のように行われる。
投資した諸経費は誰が負担するのか。
収益が投資金額を上回るものは残って行く。
しかし私たちが日夜苦労して作り上げている、現代の先端芸術分野は、
投資金額に対する収益金額の少なさの極端なアンバランスが実態である。
生活関連機器の発達とともにもはや複製を止める事は不可脳であろう。
だから複製に対し課金するシステムが必要なのであって、これは更に進展させるべきものある。
コンテンツを製品化する、例えばレコ−ド会社も随分苦労し対抗策を講じて来たが、複製技術の発展には追いつけないようだ。
複製には課金すべきだ。
それを作品を作り出している、熱意ある人々に還元すべきだ。
法整備は、課金を進展させる方向に沿ってあるべきだ。

私的録音録画補償金制度については、その制度の意義を含め、見直しを行うべきだと思います。
その理由について以下に示します。
音楽配信により新たな市場が創出されていることを考慮すべきだと思います。
財団法人デジタルコンテンツ協会(DCAj)の試算によると、2006年度のインターネットの音楽配信の市場規模は85億円と予想されており、また、それ以降はその規模が拡大するとの見方を示しています。例えば、2010年の市場規模として、シード・プランニング社の推測では、561億円と推測しています。
そこで、2006年度の数値から、著作権者・著作隣接権者への収支を試算してみることにします。
(1)著作権者に対する収支
8.1円(注釈1) かける 85億円/200円(注釈2)=3.4億円
(2)著作隣接権者に対する収支
邦版
22.68円(注釈3) かける 85億円/200円 かける 0.73(注釈4)=7.0億円
洋盤
31.73円(注釈5) かける 85億円/200円 かける 0.27(注釈4)=3.6億円
注釈1:JASRAC(ジャスラック)使用料規定による演奏時間5分まで1曲の録音使用料
注釈2:1曲当たりに換算するため、1曲200円と想定している。
注釈3、注釈5:一般的な原盤印税率16.8パーセントと著作権使用料率6パーセントの比率を求め、
それに8.1円を乗算したもの
注釈4:邦盤/洋盤比率が73:27となっているため
上記は文化審議会著作権分科会法制小委員会の第8回の会合にて、日本音楽著作権協会、日本芸能実演家団体協議会、日本レコード協会3団体の連名で出された「ハードディスク内蔵型録音機器等による指摘録音から著作権者・著作隣接権者が受ける経済的な影響(速報版)」を参考にしています。
2006年度における著作権者・著作隣接権者への収支は14.0億円となります。また、2010年の市場規模561億円を仮定した場合、92.4億円となります。

2006年度における著作権者・著作隣接権者への収支は14.0億円となります。また、2010年の市場規模561億円を仮定した場合、92.4億円となります.
この数値は、「ハードディスク内蔵型録音機器等による指摘録音から著作権者・著作隣接権者が受ける経済的な影響(速報版)」で試算されている経済的影響額486億円(2002〜2005年の総額)と比較し、単年当たりで考えるとほぼ同額に近い収支を得られるということを示していることになります。
この市場はiPod等を含むハードディスク内蔵型録音機器が存在するからこそ生まれる市場であると考えることも出来るため、上記試算の結果から、トータルな収支で考えると、経済的影響はほとんどないと結論付けることが出来ます。
また、補償金制度の見直しを図ることで、新たな競争原理が働き、その市場規模を拡大できる可能性もあり、その場合、より大きな収支を得られることになります。
また、法およびそれに伴う制度は、ユーザおよびサービス提供者間でのバランスを取ることが求められるものであり。上記の試算でも分かるように、補償金制度がなくとも、従来の著作権の枠組みの中で、著作権者および著作隣接権者に十分な対価は支払われていると考えることが出来ます。現状、補償金制度はその返還の手続きの煩雑さを含め、市場バランスを維持するために有効に機能しているとは思えません。
以上の理由により、私的録音録画補償金制度の在り方そのものを含め、再度の見直しが必要であると考えます。

意見:
私的録音録画補償金制度を縮小、もしくは全廃の方向で再検討を始めるべきと考えます。

そもそも「私的録音録画補償金制度」について、その内容までは知らないという回答が8割を超え、消費者不在の制度であることが挙げられます(http://www.bsa.or.jp/press/2005/050629.htmより)。消費者への認知は最近になり電車内広告等で始まっていますが、そもそも消費者全体に認知させ、誰もが納得のいく制度を確立することが急務であり、消費者認知が足りないままに制度の改訂を急ぐべきではありません。
 さらに、「私的録音録画」そのものに、権利者への補償金を払わねばならないような「経済的不利益」は、iPod等には当てはまらないものと考えます。iPod等にに録音された音楽は、それ自体が消去されるかHDD内に保持されるかしか選択肢がなく、よって個人の複製それ自体が不利益を生じるのでなければ、複製後生じる権利者への不利益は考えられないからです。
 そもそも、前述した通り破綻傾向にある制度に対し、技術の進歩に伴った法律・制度の改正等を行わずに制度を一方的に推し進める考えに、疑問を抱かざるを得ません。文化審議会著作権分科会法制小委員会第8回審議の際のJASRAC(ジャスラック)関係者の発言である「極端な話だが、PCを通じた音楽のコピーをできないようにすれば(iPod課金に関する問題は)解決する」(http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000047674,20088050,00.htmより)という考えは、iPod等デジタルオーディオプレイヤーが機器の主役になった(そういったことを踏まえての私的録音録画補償金制度の改正である、と認識しています)現在にあって、その時代性も消費者嗜好も全て無視していると言っても過言ではありません。極論であることを前置きした発言と言えども、このような時代性・消費者嗜好の欠如が関係者から見受けられる以上、消費者の認知度上昇は望めないどころか、消費者不信を招きかねないものと思われます。この発言は旧態依然の制度を推し進めようとする私的録音録画補償金制度の今回の動きに酷似しており、歓迎すべきものではありまぁん。まずは時代性に合わせた制度改正が認知度上昇と合わせて急務であり、制度の根本的見直しを求めます。
以上の理由により、私的録音録画補償金制度を縮小、もしくは全廃の方向で再検討を始めるべきと考えます。

私的録音録画補償金制度における私的録音録画補償金の徴収・分配は、指定管理団体を通じて行われていますが、その指定管理団体の一つ、社団法人私的録音補償金管理協会(通称サーラ、以下サーラ)の実際の徴収・分配業務は、補償金支払いの対象となるデジタルオーディオ製品の購買する、いわゆる利用者からすると、その運営には多大な疑問があります。
まず、その理事の構成ですが、18名中12名が日本レコード協会や日本音楽著作権協会といった、著作権における権利者の利害を代表する団体の理事を兼任しています。それに対し、実際の利用者から料金の徴収を販売価格を通じて行う家電メーカーやMDや音楽用CD−R等の媒体の生産に関わる団体は、社団法人電子情報技術産業協会及び社団法人日本記録メディア工業会の2社に留まっています。しかも、デジタルオーディオ製品の販売を行う小売店や、実際に補償金を支払う消費者の利害を代表する消費者団体の理事などを兼任する者は誰もいない状態です。このように権利者側:利用者側の比率が6:1というのは、権利者側と利用者側のバランスがサーラの実務に配慮されにくいという、憂慮すべき事態を招いていないでしょうか。
そのような事態の一つに、サーラが行っている共通目的事業があります。この共通目的事業については、サーラのホームページに「補償金は指定管理団体から権利者に分配されるものですが、補償金の二割に相当する額については、権利者全体の利益を図るため、著作権等の保護に関する事業等(いわゆる共通目的事業)のために用いなければならないとされています。」とあります。ここには「権利者全体の利益を図るため」とありますが、この行為の根拠となる著作権法第104条8には、「権利者全体の利益を図るため」といった、権利者のみの便益を考慮に入れた制度であるという表記はどこにもありません。このような表記は、著作権法第1条にある「これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、」の「文化的所産の公正な利用」に対する配慮がないがしろにされている可能性を示唆させるものです。このような利用者側からの制度に対する懸念を招くような状況を改善するためにも、サーラの理事構成における権利者側及び利用者側のバランスについて、もしくは指定管理団体の変更について、文化審議会著作権分科会としてのなんらかの提言が行われるべきと考えられます。

また、普及啓発事業が補償金制度によって行われる必然性についても疑問があります。利用者側としては、徴収された補償金は、その文字のごとく「補償金」として、返還及ぶ分配の実務、分配額算出の調査費用をのぞき、全て権利者に配分されるべきと考えます。著作権法第104条8については廃止とし、返還手数料を除いた全額を権利者側にあまねく配分されるようにすべきと考えます。
さらに、サーラのホームページには、「個々の権利者への分配は、その会員である権利者団体(日本音楽著作権協会、日本芸能実演家団体協議会、日本レコード協会)を通じて、精度の高い分配データにもとづき、アーティストたちに分配されます。」との記述があります。これは私的録音補償金分配規程に基づく著作権者:36パーセント、実演家:32パーセント、レコード製作者:32パーセントの配分を指していますが、この数字の根拠も発見することができませんでした。「精度の高い分配データにもとづき」とありますが、この制度のステークスホルダーの一つである利用者側に対して、この分配の根拠となるデータが公開されていないのは、情報公開のあり方として問題があるのではないでしょうか。
著作権法第104条9には、文化庁長官は指定管理団体に対し、補償金関係業務に関して報告をさせ、若しくは帳簿、書類その他の資料の提出を求めることができるとされています。文化審議会著作権分科会は、さらなる制度の透明性を図る上で、この条項に基づく権限の定期的な行使を、文化庁長官に求めるべきであると考えられます。

意見:そもそも補償金制度自体を廃止すべきである。

理由:そもそもの制定が権利者の過剰な利益保護のために作られたとしか思えず、消費者の不利益を顧みていない。基本的には消費者は私的に利用する範囲において所有権を施行できるはずであり、複製をするにあたり課金されるという状況はむしろ消費者に不当な不利益を与えているのではないかと考える。財産権との関連もあると思われるので、コピーを所有するということが、著作権・財産権の両面からいかにとらえられるべきかを十分に議論すべきである。

「同制度自体の根本的な見直しについて、期限を設定した上で検討すべきとの意見」に賛成する。
下記の意見を加える
+補償金の管理団体は外部監査を行い四半期毎に結果を公開する義務を負うようにし透明性を高める。
+補償金の管理団体の運営および組織には、著作権者と課金者の意見が反映する仕組みを構築する。
+特定の管理団体のみが市場を独占し腐敗の原因とならないよう、占有市場規模が70パーセントを超えた組織は分割し、市場競争原理を適用する。分割は当該事実が確認された時点より1年以内に実施する。

私的録音録画補償金制度を縮小あるいは撤廃する方向で検討を始めるべきである。
■理由:
私的複製に関連して遵守されるべきは次の2点のみである。
1.消費者は自分が入手した曲の対価を支払う
2.権利者は自分の曲が売れた分だけの対価を正しく得る
補償金制度はその実効性の低さ、消費者の認知度の低さ、徴収・分配の公平性や共通目的基金の妥当性、許容される私的複製の範囲が明確でないことなど、多くの基本的問題を内包している。
したがって上記1.2.を過不足なく遵守できているとは言えない。
消費者が直接購入、レンタル、音楽配信によって入手した音楽データは入手の時点で対価を支払い済みであり、権利者の利益を害していないのだから補償金制度の範囲外である。
これらに対してまで補償金制度を適用しているのは明らかに消費者に根拠のない不当な負担を強いていることになる。
消費者が入手した音楽の対価が正しくその権利者へ還元される仕組みをDRM技術の発展等によって確立することが先決であり、それに伴って多くの基本的問題を内包している補償金制度は縮小あるいは撤廃する方向で考えるべきものである。

結論:私的録音録画補償金制度は廃止ないしは縮小の方向で早急に見直しを行う必要がある。
理由:
現行の補償金制度については、「存在理由」「運用方法」の2つについて、すでに現状とそぐわない状況になっていると考えられる。
●存在理由について:
補償の根拠:
権利者が正規商品を売ることで得る利益が保護されるべきとの考えには、国民の理解が広く得られているものと考えられる。これは、海外と比べてもいわゆる海賊盤(不正に製造された複製CDやDVD)がほとんど存在しないことからも伺える。
しかし私的録音録画補償金制度については、この制度によって「補償」される「利益」と権利者の本来の「利益」との因果関係が極めて不明確である。そのため権利者側の主張では、あらゆる私的複製がすべて権利者の利益を不当に害しているような計算に基づく、極めて偏向した内容が提示されている。
(日本音楽著作権協会と日本芸能実演家団体協議会、日本レコード協会の3団体が提出した「ハードディスク内蔵型録音機器等による私的録音から著作権者・著作隣接権者が受ける経済的な影響」と題された資料)
この資料では、私的複製を行った場合すべてにおいて、複製されなければ新たな購入がなされたはずという前提で計算しているとしか考えられないが、これがまったく正当性を欠いた仮定であることは否定しようがないだろう。レンタル・音楽配信の「二重課金問題」をすべて無視し、消費者に対して、レコードでも、テープでも、MDでも、 CD-R でも、パソコンでも、 Mora でも、 iTMS でも、使い方が異なればその度に再購入せよと主張しているものであり、到底受け入れがたい。
権利者側が、執拗にこうした非現実的な仮定に基づき権利拡大を主張している間は、到底消費者の理解を得ることが出来ず、「社会における他の価値や制度との調和」に至ることはあり得ないと結論する他ない。
これまでの補償金制度が消費者への認知自体がなされてこなかった点を反省し、そもそもの主旨に立ち戻って再検討されるべき時期が来ていると言えるだろう。
権利者の経済的不利益の具体的検討なくして消費者の理解を得ることはできない。
このまま私的録音録画補償金制度が続けば、著作権制度自体への不信感を強めることにもなりかねない。既に対価が支払われている著作物(正規に購入されたもの・レンタルされたもの・配信楽曲など)の私的複製や、一時的な録音・録画(主にハードディスク・フラッシュメモリ等に記録するようなもの)、アーカイブとして保存されている私的複製物との明確な区別が必要である。

●運用について
補償金制度は、「権利者が不当に被った不利益を補償」するためのものであるが、下記の点において大きな瑕疵がある。
・不利益の算出が正確なものではなく、どんぶり勘定である
・補償金の分配方法、実態が不明確である
不利益の算出については、「存在理由について」において述べたように、現実的に正当な算出が行われているとは思えない。
次に補償金の分配についても、おそらくは売り上げに比例した概算での分配が行われていると予想されるが、これが複製の実態を反映している保障がまったくないことは明らかであろう。つまり、少ない補償金しか半分されなかった権利者の著作物については、少ない数の複製しか作られなかったと結論する根拠は何もないのである。
また指定管理団体は、補償金の20パーセントを共通目的に使用してよいことになっているが、この資金が果たして権利者の利益となるよう使用されているのかどうかはやはり不明である。
SARAHは9月に私的録音補償金に関する広報を打ち、電車内広告等を行っているが、実際の車内広告では見出しタイトル以外はごく小さな文字で印刷され、現実に読み取って理解できるようなものではなかった。つまり制度の理解を促すものではなく、制度の存在をアピールする程度のものであった。こうしたキャンペーンにどれくらいの資金が投入されたのかは分からないが、権利者への直接分配以上の効果が得られなかったのであれば、団体による資金活用が失敗しているということである。
JASRAC(ジャスラック)のTVコマーシャルについても同様である。制度に関する正しい理解を促すものではなく、どちらかといえば多くの消費者の反感を買う結果に終わっている。
管理団体による言動が消費者を怒らせ、結果的に著作権者の不利益を生み出しているとするなら、これらの団体は、団体として著作権者に補償金を支払うべきであろう。著作権者は、「著作権管理団体の行動によって、著作権者の利益が不当に害された場合」にも補償金を受け取ることが出来るべきではないのだろうか。
実際の制度運用や運用団体にも多くの問題が見られることから、やはり根源的な制度見直しが必要な時期が来ていると考えられるのである。

すでに破綻しています。廃止をすべきです。

技術の進歩や社会の変化に対応せずに当該補償金制度の拡大させることは、同制度の抱える問題の肥大化・深刻化を招くことを意味します。したがって、現行制度は現状のまま維持(凍結)し、廃止を含めた抜本的見直しを図るべきであると考えます。

このたびの「審議経過」ではP40の「(5)その他(私的録音録画補償金制度の課題について)」早急に対応すべき課題として録音録画補償金制度の縮小、廃止の是非を含めた本制度の根本的見直しが必要であるとの記述がされている通り、審議の核心はこの部分に存在しており、根本的な見直し無しに、今更、現在の社会情勢との矛盾が明白になってきた現行制度の拡大は厳に慎むべきものと考えます。
加えて、現行の制度の中では、協力義務の範囲が不明確で、事前の立替払いという方法には限界があると考えます。
当工業会の基本的な考え方
1)矛盾が広がっている現行の私的録音録画補償金制度は、制度のあり方そのものから抜本的に見直すべきと考えます。
2)抜本的な見直しなくして、現行制度の枠組みのまま、運用面を変えて制度の拡大につながるような部分的な修正を行うことには反対です。
3)将来的には、本制度を廃止し、時代に即した新たなシステムの構築を目指すべきと考えます。
4)本制度の認知が極端に進んでいない中でのいかなる改定も消費者に理解を得られ難いと考えます。また、消費者の意向、意見を充分反映させる努力をすべきと考えます。

C)音楽データの違法配信などの著作権侵害は確かに権利者側の皆さんにとり深刻な問題であり、私も教育現場で著作権の尊重に留意するよう学生を指導しております。
かつて権利者側はかつてこうした不法な配信に対して、それを認知、摘発するための方法を十分に持ち合わせていませんでした。しかし近年の技術の進歩に伴ってジャスラックを中心にこうした違法配信を認知する技術を既にお持ちであるかまたは構築中であり、実際に裁判に訴え賠償金を得るなどの成果を既にあげておられます。こうした中で、すべての音楽ユーザを「著作権侵害者予備軍」とみなすようなこうした「補償金制度」はその意義を失っていると考えます。
D)また、合法的な音楽配信サービスにおいては、DRM【デジタル著作権管理】技術により零細な「私的利用」を越えたコピーに関してはそれを抑止または監視する技術もととのいつつあります。またDRM【デジタル著作権管理】技術の施された音楽データを購入する、またはCDから音楽データを移動させるときにDRM【デジタル著作権管理】技術により権利表示を施すことでコピーの防止または違法配信時の行為者特定も可能になると思われます。こうした技術が整えば、CDまたは音楽データ購入時に、一定の「補償金」を上乗せして私的録音を認めることもできるわけですから現在の「どんぶり勘定」にも等しい私的録音録画補償金は必要ないと私は考えます。
つまり、「ハードディスク内蔵型機器」のような汎用機器に課金するというのではなく、音楽がCDあるいはコンピューターのデータの形でユーザに販売される際に、必要ならば「保障金」を価格に上乗せして徴収するのが筋であると考えます。もちろんその際にユーザに対して著作権に関する現状と、補償金の著作権者への配分システムについて納得のいく説明がなされることが前提でありましょう。

CDに「補償金」を上乗せするに当たっては、、「ハードディスク内蔵型機器」にデータ移動をしないユーザにも課金する事になる」という反論が予想されます。しかし、説明として可能性があるのは、例えば、かなり先のことになると思われますが、CDが音楽媒体としての役目を終えるような事態が起こったとき、ユーザとしてはそれをパソコンデータその他の媒体の形に保存し直して、音楽を所有し続けたいと考えることが予想されます。そうした場合に、新しい媒体により著作権者に本来入るべき権利に関する費用を、前倒しする形で「保障金」という形で徴収するのだ、という説明も可能と存じます。
したがって現在のような「私的録音録画補償金」制度は廃止し、個別のデータの売買の中でしかるべき補償金に該当する措置をすべきであると思います。

補償金制度は以下のような多くの問題点を抱えている。従って、「制度自体の根本的な見直しを検討すべき」とする審議経過の多数意見に賛同する。これら制度の問題点を放置したまま、対象を拡大することは、その制度の歪をさらに増大させることになるため反対である。
1)制度の不知
消費者の殆どが制度の存在を知らない。製造業者等は著作権法104条の5に定められた協力義務に則り、カタログ等に補償金の対象である旨を記載しているが、機器等の販売時に販売価格に明示的に補償金が上乗せされて表示されているわけでもないことから、購入者が補償金額とその支払いを認識することは困難である。
2)徴収の不公平
補償金は、機器等の購入時に、私的録音録画を行わない利用者からも徴収される。
これを補うものとして返還制度は存在するものの、返還請求にあたり購入者は当該機器等を私的録音録画には将来的にも全く用いないことを証明する必要があり、また、返還請求の諸費用は、返還されるべき金額よりも通常上回ることなどから、制度は事実上、機能していないのが現状である。このように、実効性も実績もない制度と引き換えに、私的録音録画を行わない利用者からも補償金を徴収するのは、当該利用者に対する財産権侵害にも値する不適切な扱いである。
また、私的録音録画を多量に行う利用者も殆ど行わない利用者も、一律の補償金を支払っており、利用者間に不公平が生じている。
3)二重負担の可能性
インターネットでの著作物配信ビジネスの進展に伴い、携帯プレーヤーへの転送までを含めて利用者に複製が許諾されていることが音楽配信サービス提供者と利用者のライセンス契約の文言上から明らかである音楽配信サービスが普及し、利用者は個々の利用の対価に加えて補償金を二重に負担する機会が増えている。
4)分配の不透明性
補償金は指定管理団体から権利者(クリエーター)自身に分配されるが、当該団体の分配方法は、自らが利用者の個々の録音・録画行為を捕捉していないことから、これらの行為の実態を着実に反映したものとなりえないと考えられる。のみならず、団体の算定の仕方や団体が控除する手数料、団体から個々の権利者にどのように分配されているかが開示されていないこと等から、個々の権利者(クリエーター)への配分に関して、情報開示、透明性の点で問題がある。

5)技術的保護手段の開発・普及
私的録音録画を取り巻く状況は、制度導入時と比べ、技術的保護手段の開発・普及が進展するとともに、それら技術を法的に保護する環境も整えられている。近年では、暗号化等で予めアクセスをコントロールすることによりその後の消費者による利用行為を権利者が相当程度コントロールすることが可能となっており、その結果、権利者が意図しない形で消費者が自由に録音録画できる範囲は減少傾向にある。それに加え、音楽配信サービスのような「都度+個別+直接」に課金できる環境も急速に整いつつある。このように、技術の活用によって、補償金制度の対象となる過剰な複製や権利者の意図しない複製を抑制し制度の縮小を図るとともに、技術的保護手段や課金システムを利用したビジネスモデルを確立していくべきである。
このようなビジネスモデルに必要となる技術的保護手段による対処は消費者にコスト負担を課し利便性を損ねるとの主張があるが、技術的保護手段は権利者の意思に従った権利保護・管理を一層容易にするためのものであり、権利者の選択によりすべて課金することも、まったく自由に利用させることも可能にするものである。技術的保護手段を用いた特定のビジネスが受容されるかどうかは、利用者の意思を反映した市場が決定するものであり、利便性のないビジネスモデルは市場において淘汰されていくであろう。著作物利用に応じた受益者負担が実現されることによって、補償金のように利用の有無・頻度に関係なく一律に費用負担するという不公平もなくなる。
権利者にとっても、補償金よりも利用毎に個別に徴収する機会があった方が適正な利益が得られることは間違いなく、また技術的保護手段がファイル交換等の違法行為を抑止する効果も果たす。
従って、本制度は現状で凍結し対象を増やすことはせず、廃止を含めた抜本的見直しを行うべきである。
また、このように制度疲労を起こしている補償金制度の見直しは、まず30条1項2号と30条2項によりこれらの条項によって補償するべきものが何かを考え、これらの条項の整理・見直しも併せて検討が必要であると考える。
なお、本項は「その他」事項として記載されているが、今後のデジタル著作物の利用に関わる問題であることから、最重要課題として取扱うべき問題であり、表現を改めるべきである。

補償金制度については、徴収方法の不公平性と、分配方法の問題とを、改める形で、廃止または見直しが必要である。技術的な困難さがあっても、まず、基本的な考え方として、著作権者と利用者の間に、ダイレクトで公平な対価の支払い方法があり得るのならば、その方法を示すべきである。
次に、そのために、どういう技術的な問題があり、それを克服するために、著作権のとりまとめ団体と機器販売会社も含め、どう協力し合うべきなのかを、相互に提起し、実行していくべきである。
複製技術の進歩により生じた「逸失利益」というものを、更なる技術の進歩と整備によって、克服する道もある。その方法を探ると同時に、現状(それぞれの立場の利益と損失と、社会全体、著作権全体への効果について)の実態調査を行う必要があ

私的録音録画補償金制度は廃止するべきだろうと考えます。なぜならばほとんどの場合において私的録音録画により補償されるべき損失は生じていないと考えられるからです。一度正規に購入したものに関しては自由かつ無償で利用されても何ら問題ないはずですし、またそうあるべきだと考えます。もしどうしても補償金を取るというのであれば、明確にどれだけの損失が出ているのかの具体的なデータを公表するべきです。

意見:私的録音録画補償金制度を全廃の方向で検討を始めるべきである。
理由:権利者の経済的不利益の具体的検討もなく、利用者への保証金を強いるだけ、というのはあってならない事態であろう。
最後に、
『「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会審議の経過」に対する意見募集についてだが、「なお、本意見募集の趣旨は、本小委員会における検討を行う際に有益な意見を求めることにあり、個別の論点に係る賛否の数を問うものではありません。したがって、いただいた御意見については、原則としてそのまま本小委員会に付し、個別の項目に係る意見提出数の集計・公表は特段いたしません。』と書いてあるが、
「9月30日の法制問題小委員会第8回の中間報告で167件、iPodなどのマルチメディアプレイヤーを私的録音録画補償制度へ含むことに賛成の意見が17件、反対が80件と、反対意見が賛成意見の4倍超となっている。
そのほかの意見としては現行の私的録音録画補償金制度への反対意見が16件、制度を遵守すべきという意見が2件、政令での指定に賛成が2件、反対が2件、そもそも制度自体がおかしいという意見が6件、現行制度を廃止すべきとの意見が27件あった。」
という記事がWeb上で掲載されている。
何故中間集計を公表したのか、又、文化庁著作権課は「個別の項目に係る意見提出数の集計・公表は特段いたしません。」と書いたにも係わらず、現に公表している。
この点に付いて納得出来る回答をして頂きたい。
そしてまた、意見募集というのなら、分かりやすい形式で、読み易く、平易に報告書を示すべきではないのか。非常に読み辛い。国民の理解を得たいのなら態度で示せ。

【結論】
私的録音録画補償金制度は全廃、もしくは段階的に縮小後全廃する方向で検討するべきである。
透明度の高い制度の確立を!
【理由】
●本来補償金を課すべき私的複製につき個別に課金(コピーされた著作物の権利者を特定することも含む)する制度を確立することが理想である。もっとも、一度対価が支払われた著作物については(私的利用の範囲において)自由かつ無償で利用できるとすべきである。
●ただし、そうした理想的な個別徴収が実現する見通しが立つまで、補償金制度自体を存続するのはやむを得ない。とは言え、現行制度の問題点は放置できず、改善していくべきなのは言うまでもない。
●補償金配分の比率の見直しに関連し、各権利者団体は配分の方法等情報公開をより詳細に進めていくべきである。
●返還制度の簡略化は絶対に行なうべきである。私的録音録画補償金を一部でも存続させるのであれば、返還制度を実効性あるものに改善しなければならない。
●権利者の経済的不利益の具体的検討なくして消費者の理解を得ることはできない。
このまま私的録音録画補償金制度が続けば、著作権制度自体への不信感を強めることにもなりかねない。
●特に、既に対価が支払われている著作物(正規に購入されたもの・レンタルされたもの・配信楽曲など)の私的複製や、一時的な録音・録画(主にハードディスク・フラッシュメモリ等に記録するようなもの)、アーカイブとして保存されている私的複製物との明確な区別が必要である。
●なぜ著作権者(および著作隣接権者)の権利を保護しなければならないのかきちんと説明すべきである。権利者が正規商品を売ることで得る利益が保護されるべきとの考えには、国民の理解が広く得られているものと考えられる。

技術革新に対応できない、補償金の正確な分配ができないなどの課題は既に見えているので、速やかに廃止すべきと考える。

新たなネットワーク音楽配信市場が成長する中で、私的録音録画補償金制度は日本のみならず世界中においてICT産業、コンテンツ産業にとっても市場の成長を抑制する制度になっており、早急に廃止すべきであると考えます。世界の中で日本がICT、コンテンツ市場の育成のリーダーシップをとる役割は極めて重要です。制度廃止の第一歩を踏み出して良き模範を示していただきたいと考えます。

(英文)
As the online music download market is rapidly growing, the current private recoding levy has become a constraint for the IT as well as the contents industries in Japan and elsewhere. It should be abolished without delay. We hope Japan would play a key leadership role in creating the new IT/contents industries by making a concrete step toward its abolishment.

■意見:
私的録音録画補償金制度を縮小あるいは撤廃する方向で検討を始めるべきである。
■理由:
私的複製に関連して遵守されるべきは次の2点のみである。
1.消費者は自分が入手した曲の対価を支払う
2.権利者は自分の曲が売れた分だけの対価を正しく得る
補償金制度はその実効性の低さ、消費者の認知度の低さ、徴収・分配の公平性や共通目的基金の妥当性、許容される私的複製の範囲が明確でないことなど、多くの基本的問題を内包している。
したがって上記1.2.を過不足なく遵守できているとは言えない。
消費者が直接購入、レンタル、音楽配信によって入手した音楽データは入手の時点で対価を支払い済みであり、権利者の利益を害していないのだから補償金制度の範囲外である。
これらに対してまで補償金制度を適用しているのは明らかに消費者に根拠のない不当な負担を強いていることになる。
消費者が入手した音楽の対価が正しくその権利者へ還元される仕組みをDRM技術の発展等によって確立することが先決であり、それに伴って多くの基本的問題を内包している補償金制度は縮小あるいは撤廃する方向で考えるべきものである。

1.私的録音・録画補償金制度廃止の意見について
「審議の経過」40頁では、私的録音・録画補償金制度について、「既に破綻を来しており、速やかに廃止すべきとの意見があった。」とされています。
「既に破綻を来して」いるかどうかはともかく、映像パッケージソフトからの複製については、DRMによることとし著作権者は私的録画補償金を受け取っていません。すでに、映像パッケージソフトについては、30条2項は適用しない慣行ができあがっています。
したがって、「審議の経過」37頁のハードディスク内蔵型録音機器等の追加指定を不適当とする意見の(1)が説くように、映像パッケージソフトからの複製については、DRMによるのですから、権利制限規定もそれを前提とする補償金制度も正当化されるべきではありません。
録音や放送からの私的複製については、30条2項廃止のコンセンサスが得られなくても、映像パッケージソフトからの複製については30条2項不適用のコンセンサスが得られているのですから、映像パッケージソフトからの複製については、30条以下の複製権制限規定が適用されないとする法改正を、速やかに行うべきであると考えます。
2.補償金制度の立法事実について
「審議の経過」40頁には、「補償金制度の立法を基礎付けた事実、すなわち私的なデジタル録音・録画がどのような実態で行われ、権利者の利益にどのような影響を与えているのか、また利用者が本来自由に利用できる行為に対してどのような影響を与えているかについて、継続して調査を行い、状況の変化を把握していくことが必要である。」との記述があります。
しかしながら、「補償金制度の立法を基礎付けた事実」は「私的なデジタル録音・録画がどのような実態で行われ、権利者の利益にどのような影響を与えているのか、また利用者が本来自由に利用できる行為に対してどのような影響を与えているか」ではありません。「著作権審議会第10小委員会報告書」や第125回国会での衆参両院の文教委員会議事録に記されているように、「私的録音・録画の実態」が問題とされたのであって、それがデジタルか否かについて実態調査が行われた事実はありません。
そもそも、30条2項創設が国会で審議された当時、DATは存在しましたが、DCCやMDは数ヶ月前に発売されたばかりでしたし、民生用デジタル録画機器は存在していませんでした。

平成4年12月7日の参議院文教委員会において、橋本敦委員の「デジタル方式に限定しないで広範な権利を保障するという方向をもう一度踏まえた議論が必要ではないか」との質問(注釈1)に対して、佐藤禎一文化庁次長(当時)は、
「その権利者の権利を制限する実態が進行してきているということが基礎になっているわけでありますので、それがデジタル以外の方式によって起こるということであれば、理論としてはそれはまた検討し、また国会に御提案申し上げるということは当然あり得ることでございます。」(注釈2)
とご答弁されているのですから、立法事実の調査を行うのであるならば、記録方式を限定せずにあらゆる私的録音録画を調査の対象とすべきです。
また、デジタル方式に限定していることの当否を判断する上で、デジタル方式の録音録画がアナログ方式の録音録画に比べて、著作権法上異なった取扱いをすべき程度に質的相違があるかどうかも調査すべきです。
さらに、報酬請求権制度否定説の論拠であるDRMが有効に機能しているかどうかについても調査する必要があります。
3.「本来自由に利用できる行為」について
「審議の経過」40頁第3段落では、「利用者が本来自由に利用できる行為に対してどのような影響を与えているか」について調査が必要としていますが、DRMが有効に機能すれば、補償金制度のみならず著作権制限規定の正当性もないのですから、「本来自由に利用できる」場合があるとは思えません。
著作権審議会第10小委員会において、ハードメーカー出身の委員の方は、いわゆる「タイムシフト」や「プレイスシフト」について、私的録音録画補償金の対象外とすべき旨のご主張をされました。「本来自由に利用できる場合」というのがこれらを指すのであれば、そのような考え方には反対です。
米国におけるベータマックス訴訟において、米国連邦最高裁判所は、テレビ番組を録画して時間をずらして視聴し視聴後消去する利用形態(以下「タイムシフト」といいます。)をフェア・ユースに該当すると判示しました。
しかし、我が国の著作権法は大陸法系に属するのであり、米国の判例がそのまま当てはまるものではありません。むしろ、私的録音録画に関する裁判例をいうのであるならば、ドイツ連邦通常裁判所の「録音テープ事件」判決(1955年5月18日)(注釈3)を参考にすべきです。

しかも、ベータマックス訴訟において、タイムシフトがフェア・ユースに該当するとされたのは、放送番組の著作権者の中には録画されてもかまわないと考える方々が相当いたことも論拠とされています(注釈4)が、わが国でも同様かどうかも、また、プレイスシフトにそのような事情があるかも確認されていません。
そして、わが国では、著作権審議会第10小委員会において、タイムシフトもプレイスシフトは報酬の「具体的な額を定めるに当たって」は検討する必要があるとしたにすぎず、対象外とはしていません(注釈5)から、いずれも「本来自由に利用できる場合」とみるべきではありせん。
また、沿革からみても、旧著作権法は、「発行ノ意思ナク且器械的又ハ化学的方法ニ依ラスシテ複製スルコト」(30条1項第一)を著作権侵害にならない旨を定めていましたから、タイムシフトやプレイスシフトが「本来」自由に利用できる場合とはいえません。
4.補償金制度の当面の運用について
当面の運用についての意見には概ね賛成です。補償金の額の表示は法律で義務づけることも検討するほうがよいのではないでしょうか。また、補償金返還制度の簡素化も具体的にどのように簡素化するのかご提言いただいたほうがいいように思います。
(4)の共通目的事業の縮小廃止も賛成です。本来、私的録音録画補償金は、私権である複製権制限の代償なのですから、分配に要する費用を除き、すべて著作権者に分配されるべきものと考えます。
注釈1)第125回国会参議院文教委員会会議録第一号25頁第2段
注釈2)第125回国会参議院文教委員会会議録第一号25頁第3段
注釈3)半田正夫「著作権法の研究」(一粒社)321頁から326頁
注釈4)黒川徳太郎 訳「「ベータマックス」事件に関する合衆国最高裁判所の判決」(社団法人著作権資料協会(現・社団法人著作権情報センター))24頁から25頁
注釈5)「著作権審議会第10小委員会(私的録音・録画関係)報告書」(平成3年12月)77頁78頁

私的録音録画補償金制度を縮小あるいは撤廃する方向で検討を始めるべきである。
■理由:
私的複製に関連して遵守されるべきは次の2点のみである。
1.消費者は自分が入手した曲の対価を支払う
2.権利者は自分の曲が売れた分だけの対価を正しく得る
補償金制度はその実効性の低さ、消費者の認知度の低さ、徴収・分配の公平性や共通目的基金の妥当性、許容される私的複製の範囲が明確でないことなど、多くの基本的問題を内包している。
したがって上記1.2.を過不足なく遵守できているとは言えない。
消費者が直接購入、レンタル、音楽配信によって入手した音楽データは入手の時点で対価を支払い済みであり、権利者の利益を害していないのだから補償金制度の範囲外である。
これらに対してまで補償金制度を適用しているのは明らかに消費者に根拠のない不当な負担を強いていることになる。
消費者が入手した音楽の対価が正しくその権利者へ還元される仕組みをDRM技術の発展等によって確立することが先決であり、それに伴って多くの基本的問題を内包している補償金制度は縮小あるいは撤廃する方向で考えるべきものである。

意見 まず、「当面の運用」における「改善」は速やかに行なわねばならない。
次に、受益者負担を実現する方向で、現状の見なし課金制度自体の見直しを進めるべきである。
理由
私的録音録画補償金制度については、これで「補償」される「利益」と権利者の本来の「利益」との因果関係が曖昧なまま議論されていると言わざるを得ない。
私的録音や録画を行うと、直ちにその分だけ、ソフトウェアの新規市場が縮小するのか、課金を要求する側が、立証する必要があると考える。
そこで、制度自体を改めて再検討し、消費者の理解を得られるような明解な根拠を示す必要がある。
例えば、音楽ソフト等においては、一方でセキュアCDといった、私的録音行為自体を既存CDより制限する商品が東芝EMI等により市場に根強く投入され続けている。
にもかかわらず、同時に私的録音録画補償金制度の課金対象拡大が必要との主張が、同一利益団体(レコード会社等)からなされている。
同様に、最も普及しているディスク録画媒体であるDVD-R(VIDEO規格・録画用)には、デジタル放送は一度も録画できないから、ここでも、受益者負担とは反対の方向に事態が進みつつある。(CPRM対応DVD-RへのVR録画は、互換性があまりに低く、代替足り得ない。)
こうした制度を揺らがせるような歪みに対し、単に技術的理由・移行期間と説明して、事実上、著作物流通インフラコストを視聴者側に集中して押し付ける事なく、
音楽配信において、金額に応じて楽曲の扱いの自由度を変えるといった、お金を払った対価を視聴者も実感でき、維持しようとの意思が生まれる状況へと、制度自体を含めて見直す段階に来ていると思う。

DRM技術の普及が進むと、音楽などの購入時に払う著作料と同一個人が私的利用だけにも関わらず著作物を利用する機械購入時にも補償金を支払う結果になる。つまり補償金の支払いについては結果として消費者は、二度著作料の支払いを強要されている。よってこの行為は二重課金になり著作権利者に対する不当利得に貢献することになるので、DRM普及後については、
補償金制度は速やかに廃止するべきである。

私的録音録画補償金制度を全廃することは難しいと思われるが、少なくとも縮小の方向で検討を始めるべきである。また、「当面の運用」における「改善」は速やかに行なわねばならないと考えている。
理由
なぜ著作権者(および著作隣接権者)の権利を保護しなければならないのかきちんと説明すべきである。権利者が正規商品を売ることで得る利益が保護されるべきとの考えには、国民の理解が広く得られているものと考えられる。しかし私的録音録画補償金制度については、これで「補償」される「利益」と権利者の本来の「利益」との因果関係が曖昧なまま議論されていると言わざるを得ない。
ここで改めて再検討し、消費者の理解を得られるような明解な根拠を示す必要があると思われる。

この制度そのものに対する購入者(消費者)の認知度が低いように見受けられますので適当な機会をとらえて新たなパブリシティをお願いします。

現在の補償金制度は、全ての録音録画媒体を購入者から徴収するような仕組みになっている。
これは、一見平等に見えるが、記録するコンテンツを入手する手段によっては不平等である。
補償金の返還制度もあるにはあるが、返還手続きにかかる金額が返還される金額を上回るようではおかしいと思わざるを得ない。
さらにコンテンツの新品購入者は、購入代金の他に保証金を払わされているのも二重払いの感がある。
また、我が国においては、コンテンツ料金が高い上、このような補償金制度まで存在する。
この状態こそが由々しき問題なのであって、コンテンツ市場を拡大しようとする努力こそが必要である。
音楽DVDにいたっては、米国のDVDに日本語のパンフレットがついただけで、米国の3倍の価格というものも珍しくない。
コンテンツの価格を安くすることによって市場が拡大すれば、権利者も消費者も国も幸福になれると思う。
現在の補償金制度というのは、権利者が自分の首を絞めているようなものである。
よって、制度は廃止されるべきであると結論づける。

【意見の概要】
1.法制問題小委員会においては、民法などの既存の法体系を前提とした法律的議論を望む。著作権者(およびその委託をうけた者)のみが、民法の規定を超える特別な利益を得られるとするのは、法的安定性を欠くと思われる。
2.著作権者の正当な利益とは、著作権の行使により新たに産まれた経済的価値であり、遺失利益は含まれないというべきである。
3.私的録音録画補償金制度は廃止すべきである
【意見】
法制問題小委員会においては、民法などの既存の法体系を前提とした法律的議論を望む。著作権者(およびその委託をうけた者)のみが、民法の規定を超える特別な利益を得られるとするのは、法的安定性を欠くと思われる。
民法では、動産について所有権者にその自由な使用を認めている。一方、特別法である著作権法における著作権は準物権的性質を有し、所有権に制限を加える形となっている(貸与権・譲渡権、上映権、展示権)。その根拠は、制限されている行為が新たな経済的価値を産むためである。著作権法は、発生した経済的価値の一部を著作権者に帰すべきものとしている。
しかるに、私的使用はそれが適法な範囲におさまっている限りにおいて、新たな経済価値を産み出すことはないはずであり、所有権の正当な行使である。したがって、「私的使用」そのものは著作権の及ぶところではなく、「私的使用」の通常の行使において発生する「私的使用のための複製」について、著作権者の複製権を制限するものである。
著作権法は、著作権者が正当に受け取るべき利益を担保するものであって、著作権者の「遺失利益・機会利益」を保証するものでない。私人間の「遺失利益」は契約において発生するものであって、「遺失利益を受け取ること」を著作権者の権利とすることは、不当な所得の移転ではないか。最高裁においても中古ゲーム販売における著作権者の遺失利益は否定されている。よって、私的録音録画補償金制度は根拠がないので廃止すべきである。

●下記条件が揃うまで私的録音補償金対象機器の拡大は行うべきではない。
その理由として、著作権法30条1項の根源からの見直しが必要なこと、私的録音補償金に対する国民の理解と合意が得られてない。
仮に上記が得られた場合、その徴収方法の再考が明確でないように思います。
その理由として、
■理由
「私的録音補償金」とは一体何なのでしょうか、そして、どういった行為が私的録音にあたるか。
果たしてその行為には「補償」すなわち権利者に対し補い償う義務が生じるのか、と言った根源的な哲学が論じられないまま、新たな音楽再生機器が出現するたびに手当たり次第課金対象機種を拡大するのでは、私的録音補償金の「理屈」にさらなる無理が発生することになり、私的録音補償金の増額を考える諸団体に毎度「理屈になっていない理屈」を編み出労力を強い、国民の抵抗を煽ってるだけです。また、iPodなどへの課金理由はすでに破綻しており、今後想像もつかないような様々な機器が市場に投入されることは容易に予測できるため、今のような課金理由ですと、国民へのコンセンサスは得られないと思います。
法のみがその運用で暴走することはやはり、法治国家として、民主主義国家として正しい形ではないと考えます。今後どのような「転送された音楽を聴く方法」が現れても国民が広く納得できる哲学をまずしっかりと築くべきであり、現状の玉虫色よろしく、どうとでも解釈ができる、というものでは問題あります。
また、徴収方法と金額算出方法を根源から洗い直すべきでしょう。例えば、私的な音楽利用がなされる可能性のある音楽ファイルそのもののみに課金する、ハードディスクやシリコンメディア、MD、CD-R、DVD-Rなどのメディアのみに課金する、音楽ファイルを移動させることができるソフトウェア(単目的機器に内蔵されているものを含む)のみに課金する。これによって「行為」に課金が行われる、単体で音楽ファイルを移動させることができる機器のみに課金する。これによって「道具」に課金が行われる(ただしiPodなどは単体ではファイルの移動が行えないので対象とはならない)。など、考えられる全ての方法に関して検証し、「二重取り」や「利用しない人間からの徴収」が最小限の方法を選択するべきなのでは。

MDのように「機器からもメディアからも」といった徴収にはなんの整合性もなく、国民の理解を得られていません。
メディアとソフトウェアとメカニックのいずれかが搭載された音楽ファイルを移動できる機器の概念はアナログテープレコーダーの頃とは異なる、ということさえ理解されずに「音楽が聴けるから課金」といったような方法では限界でしょう。
また現在の不明点の多い(不明点しかない)金額の算出方法に関しても国民の理解と合意が得られるようなものに変えなくてはならないです。

sarahの車内広告を見たが、あたかも「私的録音」が著作権者に不利益を与えていると宣伝しているようである。しかし、実際には「不正録音」こそが問題であり違法であることは明白であり、これこそを取り締まる必要がある。「私的録音」は音楽データを正当に購入したものが行う行為であり、法律で保護されているはずである。取り締まる相手を間違えないでほしい。

お忙しいところ失礼いたします。
当方マイナーなジャンルの音楽(ハワイアン)のバンドを趣味で楽しんでおります。
また、自分でも作曲をおこないますので、消費者、作家の立場から申し上げたいと存じます。
私的複製で作家の権利が圧迫されると、まずメジャーではなくそういったマイナーな分野の作家から切り捨てられ、市場からレコードが消えていく恐れがあります。
現在既に発生していることではありますが、それが拡大するのではと心配です。
100パーセント納得できる管理方法というものではありませんが、現状のテクノロジーの範囲では、録音補償金制度に変わるものが考え付かないので、とりあえずこれで進んでみてはいかがでしょうか。
付け加えますと、著作権制度それ自体が、昔の「一人のパトロンが大金で作家を雇う」という方式から、「薄く広く大衆に課金して作家を支える」ものであることから、よく言われる「私的複製を広く認め、著作権者の権利を制限して、もっと薄く広く課金すればよい」という意見には、違和感を覚えます。

補償金は廃止すべきと思います。その理由2つを以下に述べます。
第一に補償金は意味を成しているとは思えません。それは、アーティストに正しく還元されている保証がないためです。
第二に消費者が、販売されたパッケージメディアのまま、音楽を楽しむ機会はかなり減ってきています。音楽をコピーして楽しむことがひとつの生活スタイルといえるからです。補償金とは、このごく普通の楽しみ方に税金を掛けるようなものに感じます。
もちろん、ここでいうコピーは自分で購入した音楽に対して行なうべきものであり、他人の購入した音楽を無料で手に入れることは罰せられてしかるべきことです。
これからは、アーティストに正しく還元される仕組みを積極的に作る必要があります。昨今の有料音楽配信では、ユーザーのダウンロード数に応じた金額がアーティストに支払われることとなり、アーティストに正しく還元される適切な仕組みのひとつといえます。
しかも、有料音楽配信ではパッケージメディアを製造する工場も不要であることから、コストを削減でき、消費者へ安く音楽を提供することができます。安く音楽を提供することができれば不正なコピーを減られると思います。だれだってアーティストを不幸にしたいとは思っていないはずです。安い価格で、しかもアーティストに正しく還元できるのであれば喜んでお金を支払うと思います。
コピープロテクトが施された、しかも適切な価格の有料音楽配信が普及していけば、他人へコピーを渡すという違法行為は減り、アーティストに正しく還元され、このため補償金という仕組みは不要となります。

例えば特許権の場合、発明は公開され審査され、そして、その発明は何人も(「業として」でなければ)自由に実施することができます。それが特許法の目的たる「産業の発達」という公的利益につながり、その見返りとして私的利益たる排他的権利が付与されております。
翻って、著作権は公開も審査も要しません。そして、その上に更に私的録音録画といった私的使用の範囲にまで経済的負担を義務付けるならば、そのような(特許権等と比べても)強大な私的利益の付与が「文化の発展」という公的利益へどのように繋がっているのかを明示する必要があると考えます。
私的利益たる排他的権利を付与する前提、その公的利益を明確に示せないならば、著作権等は独占禁止法の適用除外規定から排除され、著作権法制が根本的に否定されることになりかねないと危惧しております。著作権者の保護は著作権法の目的である「文化の発展」への手段であり、その手段が目的を侵蝕するのであれば看過することはできません。

今日の社会事情の大きな変化に対応して、私的録音録画補償金制度の根本的な見直しについての議論が必要であるという基本的な考え方に異論はない。また、ハードディスク内蔵型録音機器等の急速な普及によって著作者や実演家ら権利者の利益が大きく損なわれているという深刻な問題をどのように解決すべきかという喫緊の課題に関しても、貴小委員会において、より前向きな検討を行い、具体的な対応策を提言されることを強く期待する。当センターは、ハードディスク内蔵型録音機器等の追加指定については、賛成の立場をとる者であるが、私的録音録画補償金制度自体の見直しを議論するに当たっては、著作権法及び著作権制度全体を大局的、体系的な視座から捉え、以下の点を再確認することが重要であると考える。
1)私的録音録画補償金制度の存在意義
著作物や実演を複製または録音・録画する場合、著作者や実演家などの権利者から、複製権又は録音権・録画権について許諾を得なければならないというのが、国際条約や著作権法が保障する著作者らの基本的な権利である。一方、私的使用のために行われる複製については、ベルヌ条約第9条第2項に定める「特別の場合」であって、「そのような複製が当該著作物の通常の利用を妨げず、かつ、その権利者の正当な利益を不当に害しないことを条件とする」もの(いわゆる「スリー・ステップ・テスト」が認める範囲内)であれば、権利者の許諾がなくても自由に行うことができるという制限規定を著作権法に設けることが条約上、認められている。このため、現行著作権法では、当初から私的使用の複製に関する著作権法第30条1項(以下「法30条1項」という。)が定められたのであるが、その後のデジタル録音・録画技術の飛躍的向上と普及によって、著作者や実演家などの権利者の正当な利益を不当に害する事態が生じてきたため、これを解決する方策として、金銭による調整の形で、現在の私的録音録画補償金制度が創設されたものである。

この制度導入の主旨は、私的録音録画補償金制度の導入に向けた審議会の報告においても、次のように述べられている。すなわち、「私的録音・録画は、従来どおり権利者の許諾を得ることなく、自由(すなわち現行第30条の規定は維持)しつつも、一定の補償(報酬)を権利者に得さしめることによって、ユーザーと権利者の利益の調整を図ろうとするものであり、私的録音・録画を自由とする代償として、つまり権利者の有する複製権を制限する代わりに一種の補償措置を講じるものであると位置付けることが適当である」としている(『著作権制度審議会第10小委員会(私的録音・録画関係)報告書』(平成3年12月)61頁。傍点は、当センターによる)。

このように私的録音録画補償金制度は、私的使用のための複製の自由及び権利者から一々許諾を得る必要がないという利便性を維持しつつ、権利者の経済的利益も確保するというものであり、著作権法1条に定める「文化的所産の公正な利用」と「著作者等の権利の保護」とのバランスの上に成り立った制度である。また、私的使用私的録音録画補償金は、著作物等の使用に伴う対価というより、権利を制限された権利者に対する「補償金」という名目の下に設けられた利益調整の結果であると考えるべきである。
したがって、私的録音録画補償金制度は、デジタル録音・録画に対して、著作者や実演家などの権利者の正当な利益が確保されるものでなければならないのであって、この点について全く無力な制度となれば、もはやその存在意義はなく、上記のスリー・ステップ・テストに照らし、権利制限を認めた法30条1項の規定自体を抜本的に見直さなければならないというべきである。
2)音楽配信技術の発展と法30条1項の見直し
私的録音録画補償金制度に代わるものとして、法30条1項の見直しを実施するについては、私的領域における録音・録画行為を把握することが前提となる。
音楽配信については、著作物等の利用に係る技術的保護手段や権利管理情報を活用することによって、いつ、どこで、誰が、何を、私的領域において録音・録画していることを把握することができるようになるかもしれない。しかしながら、現時点では、私的に録音・録画される音源には、音楽配信されるものばかりでなく、パッケージCD(レンタルCD、中古CDも含め)も多くを占めている。
確かに、近年の音楽配信の発達、普及には目を見張るものがある。しかし、全ての音楽が音楽配信によって消費者のもとに届けられるかどうかは、市場に委ねられるべき問題である。音楽配信とパッケージCDとが並存する現時点での状況において、私的領域におけるあらゆる利用行為を把握することは、極めて困難であり、これを実行するには、社会全体に対して大きな負担を強いることになる。また、仮に、私的領域における録音・録画行為を把握することが技術的に可能になったとしても、私的領域にまで権利行使を認めることは単に著作権法の枠に止まらず、個人情報やプライバシーの保護という重大な問題を内包しており、容易に結論を出せるものではない。

私的録音録画補償金制度が権利者の保護のために機能せず、これに代わるものとして、私的領域における録音・録画行為の把握を前提とした法30条1項の見直しが実施されることになれば、そのための基盤整備として多大な費用負担が発生するだけでなく、個人情報やプライバシー等の大きな問題が生ずることも明らかである。
このように、私的録音録画補償金制度に代わる新たな制度についても、多くの問題を含んであり、音楽配信技術等の発展により、法30条1項の見直しに関する問題が容易に解決されると考えることは大いなる幻想というべきである。
私的録音録画補償金制度の見直しを議論するに当たっては、これらの多くの問題点があることを認識されるよう要望する。

現行制度はきわめて問題が多く、制度そのものの再検討が必要と考えられる。
また、そもそも補償金の対象となる私的複製行為がベルヌ条約9条2項の定める条件に本当に反するものなのかに関する詳細な検討が必要と考える。
なお、追加指定の問題以上に喫緊の課題として、現行の私的録音録画補償金制度に関しては、40頁(1)から(4)にある改善を行わなければならないと考える。

デジタル録音機器によって権利者の利益を侵害している行為を具体的に言うと
(ア)レンタルショップで借りてMD等に録音すること
(イ)買ってきたCDを家庭内でMD等に録音すること
この2種類に分けられると思いますが、この両者は完全に別のものとして扱うべきだと考えています。
CDを買う場合、録音媒体がアナログでもデジタルでも購入行動に変化はありません。家庭内で同じCDを2枚以上購入することは元々あり得ないからです。
(例:アナログ時代の購入枚数1枚からデジタル時代の購入枚数1枚)
レンタルの場合は、アナログだと音質が良くないのでCDを買っていたのが、デジタルだとCDを買わなくなるという行動の変化が考えられます。(例:アナログ時代の購入枚数1枚からデジタル時代の購入枚数0枚)
これらを区別して、補償金を徴収する源泉も、レンタル料金からとするべきだと思います。媒体から徴収すると、買ってきたCDを録音する場合にも課金されて不公平です。

意見:私的録音録画補償金制度を全廃することは難しいと思われるが、少なくとも縮小の方向で検討を始めるべきである。また、「当面の運用」における「改善」は速やかに行なわねばならない。
理由:
●対価支払い済の私的複製の権利制限が大き過ぎる。
一度対価が支払われた著作物については(私的利用の範囲において)自由かつ無償で利用できるとすべきである。
●消費者への不利益が大きい。
正規に購入した音楽や映画等に対して、二重取り、三重取りの私的録音録画補償金が発生している。圧倒的多数を占める正規購入者や、録音録画に使用するつもりのない者もが補償金を負担しているのは、正しく機能した制度とは言えない。
補償金の「返還制度」も現状では大変煩雑であり、返還してもらうのに消費者が赤字になる。これでは消費者の理解を得る事は不可能である。
●情報公開の圧倒的不足。
補償金の各権利者団体の配分方法は「不透明」である。現行では「税金のように徴収している」と言える私的録音録画補償金制度では、その補償金がどのように使われているか、詳細に公表・周知させる義務があるのは明白である。
どの製品にどれだけの補償金が価格に含まれているのか、では補償金を支払うと何が可能になるのか、いずれも消費者には全く伝わってこない。
以上、現状では消費者の理解を得るのは難しいと考えるべきです。
まずは補償金制度の整理・透明化に注力すべきでしょう。現行のまま、iPodや様々な記録媒体に制度を拡大していく事を考えるのは、もってのほかと言えます

権利者の利益を損なわないよう、補償金制度の対象媒体を追加することは必要であると思う。
少数の権利者に対し、多数の利用者が存在する訳で、多数の反対意見も出ることが予見されるが、国内での知財に対する意識を高めるためにも、その利用者側多数勢力にも理解を求めなければならない。
知財立国を目指すわが国には、どうしても必要な制度であることは明かであると思う。

現在の制度だと、私的な部分であればOKという範囲において、機械の値段をBASEに、実際の利用と別の売上で計上されており、枠組みとして中途半端と思われる。
よって、「私的」な部分の「補償」という意味を外して欲しい。
具体的には、著作権のありかたとして、「私的利用」という概念ではなく、強制許諾と報酬請求の考えを峻別する形で解決して欲しい。
以下解説です。
読み飛ばしていただいて結構です。
アメリカの識者が、この混乱を水の利用に譬え、人間は公園で水を飲む、エビアンを買うというのに混乱してはいないという話をしていた。店や公衆トイレの水は誰かが水道代を払っているが、それは店や行政などがサービス提供者として利用者を肩代わりしている。水道の水じゃ満足せず、利用者が金を出して水を買うことは、利用者の自由だ。
ここに補償という考えは無い。
そもそも、私的利用の頻度は機械の売上とは無関係であり、機械・メディアの売上をBASEにした時点でソフトウエア産業の発展と、技術開発・消費者利益がトレードオフの関係に陥っていることが混乱の原因と思われる。
この制度の考えを推し進めていけば、ソフトウエア産業は絶対にハードウエア産業の一部の規模しか拡大しないこととなる。
方法として、
1強制的に許諾される範囲を設定する 1の範囲に含まれる中に2‐1支払いが生じるものと2‐2生じないものに分け、1の中で2‐2の支払いの生じるものだけに強制的な許諾で広く薄い税金的な徴収や、利用者でないサービス提供者が権利者に還元する。

1以外の正当に許諾された著作物の利用に関しては、きちんと純粋利用に対する利用者からの徴収を行う形にする。
1つの考えを例にすると、ハードディスクの場合、ハードメーカーでなく情報提供者が提供するデータの著作権の許諾範囲を明確にするから利用者が私的利用で許される範囲が含まれていれば、明示されていればOK。私的利用の範囲が入っていないのであれば、利用者は利用できないか別の方法で支払いをする。但し、2‐2の範囲は利用者は何の手続きも支払いも生じない。
「私的だから良い」けれどもそれでは権利者が浮かばれないので「補償」する、というのはまるで公害訴訟のようだ。人生を豊かにする為のものを、忌避するもののように扱う意味が分からない。
著作権は、権利者に還元されたものが次世代の文化に貢献するよう再投資できる為にあるはずである。
利用者・開発者・権利者がそれぞれ立場を守らなくてはいけない座組みではなく、通常の産業と同様、消費者と企業がギブアンドテイクする関係を見つけないと、将来のP2Pでの音楽利用だけでなく、多様化する利用方法の拡大に対応が追いつかなくなる。
是非、法制度に立ち戻り、ソフトウエア産業(技術開発者を含む)と消費者の利便を両立させるフレームワークにしていただきたい。

表記の件ですが、記憶媒体に対して課金するのは無理があると思います。
というのも、「音楽/映像のデジタル記録」という観点において記憶媒体が「音楽専用」と言えない状況にある以上、記憶媒体単位で課金するのはもはや不自然としか言えない状況だからです。
課金するなら「音楽の複製」という行為自体に対して行うべきです。
そのうえ「徴収したお金を分配するための組織を維持するためにお金がかかり、当の著作権者にはほとんどお金が入らない」というのでは、本末転倒です。
極端な方法では「音楽をデジタルデータ化し、それを2次元コードで印刷してばら撒いたらどうなるか」を考えてください。
コピー用紙に保証金を課金しますか?
「媒体に対して課金する」という考え自体が現実と乖離しています。
また欧米に比べて日本で検討している著作権保護は明らかに過剰です。
もう少し現実を見て検討してください。
#コピーが蔓延するということは、オリジナルにそれを買わせるだけの魅力が無いということです。

私的録音録画補償金についての意見を募集していると聞きましたので、メールさせていただきました。
私的録音録画補償金は、廃止するべきだと思います。
メディアが多様化し、HDDの様に一つのメディアでも使用目的が多岐に亘っている現在においては現実的な制度とは思えないからです。
これからも技術的な状況は変わると思います。
これは文化的な問題と思えますので、学校教育などで著作権などの意識を高めていくのが根本的解決法だと思います。
権利を守るのに当面必要なのは、刑事罰などによる抑止ではないかと思います。

私的録音録画補償金制度については将来的な廃止を念頭に置いて段階的にその機能を縮小していくべきである。
理由
機器の発展度合いからは、DRMによる個別課金の可能性が高まっていくことが想定され、私的利用の範囲内にとどまる裁量の範囲内で個人が著作物を楽しむ環境を作ることが知財管理の本質である。
しかるに、現在課金を強く主張しているのは著作物の作者本人ではなく、管理団体であることに強い不信を抱かざるを得ない。
著作物の私的利用を超えた利用の交渉についても、国民から信頼できる制度・団体の確立をはかり、"みなし課金"であった私的録音録画補償金制度の廃止を念頭に置いたスケジューリングが必要と思われる。

ついてであるが、直ちに廃止しDRM方式を取るべき。
また、現行の私的録音補償金制度自体周知知れ渡っていなく、また、具体的に返金制度自体も知られていない、返金制度を利用しても返金手続き労力が凄まじく全く機能していないと言わざる得ない。
しかるに、私的録音録画補償金し、新たな著作権者への著作権収入の枠組みが必要である。

私的録音録画補償金という制度自体について私は反対しています。
まず、私的な範囲でコピーを使用する事自体、法的にも問題のない行為です。そうした行為について「補償金」をユーザーが支払う理由は、本来ないと考えます。
次に、この制度は、ユーザーがコピーを行うことで権利者が「被害を受ける可能性がある」ので「補償されるべきである」という思想に基づいて作られています。「可能性」という曖昧な物を根拠に、ユーザーが一定の支払いをする仕組みです。
このような思想は、権利者がユーザーを無視して独善的で一方的な権利の主張を行うことに、正当性を与えています。
権利者団体の行動の根底に、「可能性を根拠にしてもいい」という思想があるであろうことは、音楽著作権に関する問題の多くで見受けられます。そのような権利者団体の行動原理は、今後の日本の文化に暗い影を落としていると感じています。最近の、JASRAC(ジャスラック)をはじめとした音楽著作権の権利者団体の発言、行動は、非常に非常識的、暴力的に感じられます。権利者の主張であれば、「曖昧な根拠」であっても正当な課金の理由として認められるべきであり、権利者だから「曖昧な根拠」をもとに使用料の取り立て等で「どのような主張をしてもどのような行動をとっても正当である」、と考えているように見えるのです。
そのような権利者の主張を盲目的に認めていくようであれば、文化の発展を推進することが本来の目的である著作権行政が、一部の権利者の利益のみを一方的に保護するための行政に成り下がってしまいます。そして、私的録音録画補償金という制度は、そうなることに思想的な根拠を与えてしまっています。
このような理由で、今後、私的録音録画補償金制度は縮小、廃止されるべきであると考えます。

当面の私的録音録画補償金制度の運用に関しては、保証金の配分、運用について情報公開を行っていく必要があると考えます。

私的録音録画補償金の見直しについて
私は、補償金制度が有ることを知りませんでした。この制度でアーチストに配分が入るのなら機種によって補償金の支払が無いのはおかしと思います。
私は、対象機器拡大に賛成です。

私的録音録画補償金制度は既に破綻しており、廃止するべきである。
また、補償金の返還規定が有名無実となっているのも早急に改善するべきである。

私的録音録画補償金の金額が減少することを問題視する向きもあるが失当である。
真の著作権者に対し、正当な著作権料が支払われるならば、私的録音録画補償金を集めるための団体は一切不要である。

反対
3.1CDを購入しているのに二重課金となるから。購入した音楽を何処ででも聞けることは当然だから
3.2音楽を聴くことを目的としない場合も課金される返還制度は費用を利用者に負担させるもので、実質的には利用できない
3.2音楽の発展にはつながらない
主流になりつつある圧縮音楽は、気軽に、大量の音楽を楽しむことができるので音楽業界にとっては大きなチャンスとなる。
しかし、著作権者の権利ばかりを強化されると、利用者は利権団体の作った法律に嫌気してしまって、音楽の発展にはつながらない。
大量の音楽を楽しめる時代が到来したのだから、価格を下げて、より多くの音楽を普及させることが両者(利用者、著作権者)の利益になる。
主流となりつつある圧縮音楽はCDやLPに比べて音質が悪い、価格を思い切って下げるべきだ。一曲50円くらいが妥当。
10月6日のNNAのニュースによるとダウンロード価格が安い国ほど違法ダウンロード率が低い。

私的複製に対する補償金は、租税と同様に製品の購入価格に転嫁される課徴金です。本件では私的録音録画補償金は消費者向け電子情報技術製品に対して課されることになります。最初に課徴金制度が導入されたのは1960年代に欧州においてアナログ機器に対してでした。これは私的録音録画補償金制度が、著作権法において認められた「私的」複製の例外について権利者を補償する唯一の現実的な方法であると考えられたことによるものです。補償金制度は、これまで正確さに欠け、「粗雑な正義」であるとみなされています。この制度は、複製を行わない消費者、個人又は企業に対し、複製する者と同じ価格を技術に対して支払うことを強制するものです。デジタル技術、デジタル権利管理(DRM)及び技術的保護手段(TPM)の進展に伴い、補償金制度は不必要かつコストの高いものとなっています。
また、補償金制度の範囲と対象製品は、当初の目的をはるかに超えて拡大しています。世界の産業が今日支払っている補償金の総額は、多くの国の管理団体の記録が公開されていないため明らかではありませんが、ある研究によれば年額8800億円の問題となり得るとされています。注釈1
注釈1 80億米ドル。推計はNathan Associates(www.nathaninc.com)による。高弾力性の市場で5製品についての最悪のシナリオに基づく。
以下の理由により既存の私的録音録画補償金制度を撤廃する法改正を提案します。
私的録音録画補償金はデジタル時代にふさわしくない。補償金制度は、元来アナログ時代に著作権に対する認められた例外について、創作を保護することができない場合に(又は複製物が作られているという前提の下に)これを補償する目的で創設されたものです。しかし、今日のデジタル時代には、創作者に対し、認められた複製について補償する多様な手法があります。技術的保護手段(TPM)及びデジタル権利管理(DRM)は、創作を保護する(複製されているという前提を置かない)とともに、著作者に対しその創作の使用について補償する上でより優れた手段です。補償金制度は、技術的保護手段がより広く利用可能になるにつれて撤廃されるべきものです。DRM及びTPM技術の詳細についてはwww.eicta.orgを参照下さい。特に、最近の目を見張るほどのDRMの進展の例には次のようなものがあります。
iTuneiPodを用いたネットワークへの音楽配信サービス)の成功に見られる、インターネット上の配信サービスの拡大(日本では開設以来4日間で100万ダウンロードを達成)。
・2005年2月のグラミー賞、ジャズ部門で「1枚もCDを店頭販売していない」マリア・シュナイダーの受賞。
消費者は技術に対するアクセスを否定される。

・私的録音録画補償金制度はデジタル機器、すなわちコンピュータに対する課税: この制度は日本国民に対して技術のコストを増加させることになります。また、この税は多くの市場が技術の浸透率を向上させようとしている時に導入されることになります。放置しておく場合には、私的録音録画補償金はデジタル機器の価格を上昇させ、テクノロジー製品に対する需要を減少させ、また日本国民を不利に陥れることになります。
・私的録音録画補償金制度は中小企業に不利: 消費者に対して損失をもたらすほかに、私的録音録画補償金制度は企業にもマイナスの影響を及ぼします。補償金制度は「私的」使用のための複製を補償する目的であるにもかかわらず、企業の技術及び媒体の調達についても適用されます。つまり、私的録音録画補償金は大きな問題に対する粗雑な正義としての解決策にすぎないものです。そして個人も企業もともにこの問題を認識しています。ドイツの消費者と中小企業経営者に対する調査によれば、回答者の75パーセントがドイツのパソコンに対する補償金案に反対しているという結果でした。世界市場で競争する日本企業は同様の意見です。
私的録音録画補償金制度は不公平。著作者の創作は国民の遺産の欠くことのできない一部です。また、創作は活力あるデジタル経済の重要な一要素でもあります。このためコンテンツの成長を促進する技術は重要です。ところが私的録音録画補償金制度は新技術に対する投資を低下させ、(定義上「私的使用」を行うことのない)企業に対し重い負担を負わせる結果、コンテンツの成長・充実を阻害することになります。更に具体的には次のとおりです。
・私的録音録画補償金制度は著作者及び権利者を害する: 補償金は通常管理団体等により創作者及び権利者に対して分配され、その創作の複製について補償します。しかしながら、徴収された私的録音録画補償金の一部は管理団体等の運営費のために用いられ、また一般的な文化活動の資金としても用いられます。その残余が権利者に分配されるに過ぎません。そもそもより良い補償の方法は、複製を制限し又は防止する技術によって創作を保護することです。
・私的録音録画補償金制度は二重課税: 新規のデジタル技術に対して補償金制度が拡大することは、コンテンツ権利者、テクノロジー企業及び消費者がDRM開発費と私的録音録画補償金の双方を負担することになるので、「二重課税」状態をもたらすことになります。二重課税は法令を遵守する消費者のコンテンツの利用を低下させ、最終的には販売とコンテンツ開発を低下させることになります。事実、補償金制度が違法コピーを奨励し、販売を低下させている兆候が見られるのです(下記参照)。

・日本での二重課税: しかもレンタルCDサービスにより料金を支払っている消費者は私的録音録画補償金によって更に課金されているのが実態です。
私的録音録画補償金制度は違法コピーについて補償するものではなく、違法コピーを防止しない。補償金制度は著作物の無権限の複製について補償するものではありません。そもそも欧州で「私的複製」について補償金制度が創設されたのは、私的複製についての著作権の認められた例外について権利者を補償するためです。権利者に対して違法コピーから補償を受けさせるために補償金制度を用いようとするのは制度に対する根本的な誤解に基づいています。
・補償金制度は実際に違法コピーを奨励: 消費者は補償金を支払うことにより、製品を複製する権利を購入したと考える傾向があります。たとえば、最近のAppleLinksの論説によれば、カナダの消費者がMP3プレーヤーに補償金が適用された結果、「カナダで音楽を複製することは合法になる」と主張しています。現在の違法デジタルコピーとの戦いの中で消費者に対しこのようなメッセージを送るべきではありません。
テクノロジー・消費者向け電子製品セクター: 私的録音録画補償金制度は日本企業と外国企業の双方にとって費用が高く、テクノロジー・消費者向け電子製品セクターのただでさえ低いマージンを更に低下させることになります。フランス及びドイツの場合について見ると、多国籍企業は、補償金負担の増加により2005年には1企業当たり85百万米ドルの収入低下を予想しています。より市場規模の大きい日本の場合には、私的録音録画補償金制度の負担が大きくなる場合には更に大きな影響があると予想されます。
・私的録音録画補償金制度は製造業立地の魅力を低下させる: 更に、私的録音録画補償金はテクノロジーセクターの製造又はサービスの基地としての魅力を低下させます。私的録音録画補償金制度は産業の発展にとって国内的な障壁をもたらします。世界的規模のアウトソーシング環境においてシェアを確保し、国内製造業を振興し、そして国内のテクノロジーセクターを発展させる上で私的録音録画補償金制度は成長の阻害要因となります。私的録音録画補償金制度は日本企業と多国籍企業の双方にとって投資判断上「税」として認識されます。
・私的録音録画補償金制度はオフショア購入を促進する: たとえば最近のドイツ(世界でもっとも補償金負担が重い国の一つ)での独立の研究によれば、消費者の70パーセントは追加的な補償金負担を回避するために外国から機器を購入することを考慮する、としています。注釈2
注釈2 SWR- Worldwide

・違法ファイル交換に対する権利執行の前進: インターネット上の違法な音楽ファイル(交換サイトなど)2003年6月から2004年6月までで30パーセントも減少(11億ドル相当から8億ドル相当へ)、最も人気のあるファイル交換サービス(FastTrack、KaZaAを含む。)は2004年6月(米国と世界での訴訟の前と比べると)からユーザーが40パーセントも減少(420万から240万)、FastTrack/KaZaAの利用者はより小さくより複雑なニッチへ移行(eDonkey/eMule、 Gnutella (Bearshare)、 WinMx、 OpenNap、[BitTorrent]、 DirectConnect)
国民経済的考慮: 多くの研究が経済成長と情報テクノロジーの進展との間に直接の関係があるとしています。私的録音録画補償金は、テクノロジーの更新と投資を減少させることによってコンピュータテクノロジーがもつ国民経済的な利益を減少させることになります。
特にInstitute for International Economics (IIE)は、輸出市場のために生産している企業が平均よりも高い生産性を達成しているという強いエビデンスを見つけています。IIEの計算によれば世界的な事業活動がなければ、1995年から2002年までの米国の生産性成長は2.8パーセントでなく2.5パーセントにとどまった(GDPに対し少なくとも2300億ドルの損失)とされています。注釈3また、世界的な事業活動は1990年代におけるハードウェア価格の10パーセントから30パーセントの下落を支えています。
注釈3 CSPP、 p.11
Nathan Associates/Sallstrom Consultingによる世界IT投資の研究注釈4によればIT投資はGDPをどの国でも成長させており、IT資本に対する10パーセントの成長がGDPをどの国でも(先進国、開発途上国を問わず)2パーセントから4パーセント成長させるとされています。
注釈4“The Critical Role of the Software Industry in Latin America: A Summary of Studies Conducted in 8 Latin American Markets”; developed for CompTIA; authors Laura Sallstrom and Robert Damuth; p.1. Updated in 2005 for India and new WWide Analysis.

また、この研究はIT投資の拡大はGDP成長、生産性向上、雇用効果、IT資本成長、インフラ効果のどれをとってもより大きなプラスの効果をもたらすとしています。ところが私的録音録画補償金はIT投資を減少させ、このようなポジティブな効果を減殺します。価格が上昇すれば消費者(この場合は政府、企業及び個人)は投資をするインセンティブを奪われます。このため、私的録音録画補償金は社会経済に対するこのようなポジティブな効果すべてに悪影響を及ぼす可能性があるのです。
補償金は日本の国内問題とは言えない: 政府がどのような方針を出すかは、単に我が国のみならず世界のIT政策に大きな影響を及ぼすでしょう。

Private copying levies are fees, similar to a tax, added to the purchase price of a product. In this case, levies are applied against consumer electronic and information technology products. The first levy systems were introduced in Europe in the 1960s, on analog devices, because levies were deemed to be the only practical method for ensuring rights holders were compensated for “private” or personal copying permitted under the law of some countries. Levies have always been recognized as an imprecise and ‘rough justice' compensation system. They force consumers, individuals, and businesses who do not copy, to pay as much for technology as those who do. With the advent of digital technology, digital rights management (DRM) and technical protection measures (TPM) that limit copying, levies schemes are redundant and costly.
Further, levies schemes have grown in scope and product coverage far beyond their original purpose. The exact cost of levies paid by industry worldwide today is unknown due to the absence of public records from collecting societies in many countries. However, according to one study, this loss could grow to be a Yen 880 billion per year problem .note1

note1 US$8 billion. Preliminary assessment provided by Nathan Associates www.nathaninc.com . Worst case scenario, covering 5 products in a high elasticity market.
For the following reasons, we propose to amend the Copyright Law to repeal the levy provision:

LEVIES ARE INAPPROPRIATE IN THE DIGITAL AGE. Copyright levies were conceived in an analog world, intended to compensate for authorized exceptions to copyright law when original works could not be protected (or a presumption that copies were being made). In today's digital world, we have many other opportunities to ensure compensation to artists for authorized copies of works. Technical protection measures (TPM) and digital rights management systems (DRM) provide superior means to both protect works (can not assume copies are being made) and compensate artists for use of their work. Copyright levies should be phased out as technical protection measures become more widely available. More detailed information on available DRM and TPM technology can be found at www.eicta.org. Following are a few examples of remarkable DRM development:
・The success of Internet music distribution such as iTunes Music Store (more than 1 million downloads in Japan in 1 week from the launch);
・2005 Jazz Grammy Award to Maria Schneider who never sold a single CD copy in stores.
CONSUMERS ARE DENIED ACCESS TO TECHNOLOGY.

・Levies are a tax on digital devices, or computers. This raises the cost of technology overall to Japan's citizens. This tax comes at a time when many markets are striving for greater technology penetration rates. Left unchecked, levies will continue to raise prices on digital devices thereby decreasing demand for technology products and putting Japan's citizens at a disadvantage.
・Levies negatively impact small and medium businesses. In addition to injuring individual consumers, levies negatively impact businesses. Levies, intended to compensate for “personal” copying, are also applied to business purchases of technology and media. In effect, levies are a rough justice solution to a bigger problem. Both individuals and consumers recognize the problem. According to one survey among German consumers and executives of small and medium businesses,75 percent of respondents were opposed to German proposals to levy PCs. Japanese companies, competing in the global market place, likely would respond with similar opinions.

LEVIES ARE UNFAIR. The creative works of artists are a critical component of individual national heritages. Further, creative works provide an important component of a vibrant digital economy. Technologies to foster content growth are important. Levies hinder this growth by decreasing investment in new technologies and placing a heavy burden on businesses that, by definition, do not engage in personal copying. More specifically,
・Levies hurt artists and rights holders. A levy typically is distributed by collecting societies to artists and rights holders, to compensate them for copies made of their works. However, a portion of the funds collected are used to pay for the collecting societies' administrative expenses and sometimes to fund general cultural activities. Only what remains is distributed to rights holders. A better way to compensate artists is to protect their work with technologies that can limit or prevent copying in the first place.

・Levies amount to double taxation. The proliferation of levies across new digital technologies creates an environment of “double taxation”, with content holders, technology companies, and consumers paying for DRM development, as well as for levies. Indeed, there are indications that levies may actually encourage piracy (see below), leading to lower sales.
・Double taxation in Japan. Japanese consumers are charged further a levy as they pay a fee for CD rentals.
LEVIES DO NOT COMPENSATE FOR PIRACY. LEVIES DO NOT DETER PIRACY. Levies were never intended to compensate for widespread reproduction of copyrighted works. Recall that, schemes for “private copying” were developed in Europe in an effort to compensate rights holders for certain acts of private copying authorized through exceptions provided in the copyright law. A fundamental misunderstanding of the levies scheme is that levies should somehow be used to compensate rights holders for piracy.

・Levies may actually encourage piracy. Consumers tend to believe that by paying a levy, they have purchased the absolute right to copy works protected by copyright. For example, a recent article in AppleLinks, a Canadian consumer noted of the recent levy applied to MP3 players, levies “makes copying music in Canada legal.” This is a terrible message to send to consumers given the current battle to fight digital piracy.
TECHNOLOGY & CONSUMER ELECTRONICS SECTOR. Levies are costly to Japanese and international companies, eating into already slim technology and consumer electronic sector margins. In the case of France and Germany, per company, multinationals individually are estimating an 85 dollar million drop in revenue in 2005 due to increasing levies burdens. Given the comparatively larger market in Japan, we can estimate that more burdensome levies schemes would have an even greater impact.

・Levies make countries unappealing for manufacturing. Further, levies reduce the appeal of a country as a manufacturing or services base for the technology sector. Levies create a domestic barrier to development of a sector. In the scramble to capture a share of the global outsourcing phenomenon, increase local manufacturing, and develop a national technology sector levies act as a deterrent to local growth. The levy will be viewed by domestic and multinational companies as a “tax” in any local investment considerations.
・Levies encourage offshore purchases. For example, in a recent independent survey conducted in Germany (one of the highest incidents of levies in the world),70 percent of consumers would consider buying their equipment from abroad to avoid paying the additional cost of the levies.note2
note2 SWR- Worldwide

・Progress in enforcement against illegal file exchange/sharing. Illegal music file sharing on the Internet (e.g. file sharing sites) declined 30 percent from June 2003 to June 2004(from 1.1 billion dollars to 800 million dollars). Users of the most popular file sharing service (including FastTrack, KaZaA) declined by 40 percent (from 4.2 million to 2.4 million) from June 2004, prior to the lawsuits filed in US and the world. Users of FastTrack/KaZaA are shifting to smaller, more complex niches (e.g., eDondkey/eMule Gnutella (Bearshare), WinMx, OpenNap).
ECONOMY OVERALL. A number of studies have demonstrated the direct link between economic growth and information technology uptake. Levies, by diminishing update and investment in technology, diminish the overall economic benefits computer technology could provide.
“The Institute for International Economics (IIE), among other research groups, has found strong

evidence that companies that produce for export markets achieve higher productivity. Indeed, IIE's calculations suggest that without global business operations, our nation's productivity growth from 1995 to 2002 would have been 2.5 percent instead of 2.8 percent - a loss of at least 230 dollar billion to America's GDP. Moreover, global business operations accounted for a 10 percent to 30 percent decline in hardware prices in the 1990s.”note3
note3 CSPP, p.11
A similar study by Nathan Associates/Sallstrom Consultingnote4, analyzing the impact of IT investments in a worldwide subject group, found that IT investment boosts GDP in all economies. In fact, IT investments boosts GDP in all economies (developed or less developed) by between 2 percent and 4 percent for every 10 percent increase in IT capital.
note4“The Critical Role of the Software Industry in Latin America: A Summary of Studies Conducted in 8 Latin American Markets”; developed for CompTIA; authors Laura Sallstrom and Robert Damuth; p.1. Updated in 2005 for India and new WWide Analysis.

Further, the study found that greater IT capital investments yield greater economic benefits to economies in terms of greater contributions to GDP, greater productivity gains, positive employment impacts, greater rates of IT capital accumulation, and greater infrastructure benefits. Levies stunt these benefits by diminishing overall IT capital investment. When prices go up, consumers (in this case, government, businesses, and individuals) are discouraged from investing. Therefore, levies potentially threaten all of these gains to society and the economy as a whole.
LEVIES ARE NOT A DOMESTIC ISSUE FOR JAPAN. The government's decision in this matter will affect not only the IT policy of Japan but also the entire world.

法制問題小委員会意見募集について
JAPANデジタル流通推進協議会は、私的録音録画補償金についてIT産業の立場から主張し行動する、世界的な企業の団体です(注釈1)。以下本件について意見を述べます。

私的複製に対する補償金は、租税と同様に製品の購入価格に転嫁される課徴金です。本件では私的録音録画補償金は消費者向け電子情報技術製品に対して課されることになります。最初に課徴金制度が導入されたのは1960年代に欧州においてアナログ機器に対してでした。これは私的録音録画補償金制度が、著作権法において認められた「私的」複製の例外について権利者を補償する唯一の現実的な方法であると考えられたことによるものです。補償金制度は、これまで正確さに欠け、「粗雑な正義」であるとみなされています。この制度は、複製を行わない消費者、個人又は企業に対し、複製する者と同じ価格を技術に対して支払うことを強制するものです。デジタル技術、デジタル権利管理(DRM)及び技術的保護手段(TPM)の進展に伴い、補償金制度は不必要かつコストの高いものとなっています。また、補償金制度の範囲と対象製品は、当初の目的をはるかに超えて拡大しています。世界の産業が今日支払っている補償金の総額は、多くの国の管理団体の記録が公開されていないため明らかではありませんが、ある研究によれば年額8800億円の問題となり得るとされています。(注釈2)以下の理由により既存の私的録音録画補償金制度を撤廃する法改正を提案します。
私的録音録画補償金はデジタル時代にふさわしくない。補償金制度は、元来アナログ時代に著作権に対する認められた例外について、創作を保護することができない場合に(又は複製物が作られているという前提の下に)これを補償する目的で創設されたものです。しかし、今日のデジタル時代には、創作者に対し、認められた複製について補償する多様な手法があります。技術的保護手段(TPM)及びデジタル権利管理(DRM)は、創作を保護する(複製されているという前提を置かない)とともに、著作者に対しその創作の使用について補償する上でより優れた手段です。補償金制度は、技術的保護手段がより広く利用可能になるにつれて撤廃されるべきものです。DRM及びTPM技術の詳細についてはwww.eicta.orgを参照ください。特に、最近の目を見張るほどのDRMの進展の例には次のようなものがあります。

iTuneiPodを用いたネットワークへの音楽配信サービス)の成功に見られる、インターネット上の配信サービスの拡大(日本では開設以来4日間で100万ダウンロードを達成)。
・2005年2月のグラミー賞、ジャズ部門で「1枚もCDを店頭販売していない」マリア・シュナイダーの受賞。
消費者は技術に対するアクセスを否定される。
・私的録音録画補償金制度はデジタル機器、すなわちコンピュータに対する課税:この制度は日本国民に対して技術のコストを増加させることになります。また、この税は多くの市場が技術の浸透率を向上させようとしている時に導入されることになります。放置しておく場合には、私的録音録画補償金はデジタル機器の価値を上昇させ、テクノロジー製品に対する需要を減少させ、また日本国民を不利に陥れることになります。
・私的録音録画補償金制度は中小企業に不利:消費者に対して損失をもたらすほかに、私的録音録画補償金制度は企業にもマイナスの影響を及ぼします。補償金制度は「私的」使用のための複製を補償する目的であるにもかかわらず、企業の技術及び媒体の調達についても適用されます。つまり、私的録音録画補償金は大きな問題に対する粗雑な正義としての解決策にすぎないものです。そして個人も企業もともにこの問題を認識しています。ドイツの消費者と中小企業経営者に対する調査によれば、回答者の75パーセントがドイツのパソコンに対する補償金案に反対しているという結果でした。世界市場で競争する日本企業は同様の意見です。
私的録音録画補償金制度は不公平。
著作者の創作は国民の遺産の欠くことのできない一部です。また、創作は活力あるデジタル経済の重要な一要素でもあります。このためコンテンツの成長を促進する技術は重要です。ところが私的録音録画補償金制度は新技術に対する投資を低下させ、(定義上「私的使用」を行うことのない)企業に対し重い負担を負わせる結果、コンテンツの成長・充実を阻害することになります。更に具体的には次のとおりです。

・私的録音録画補償金制度は著作者及び権利者を害する:補償金は通常管理団体等により創作者及び権利者に対して分配され、その創作の複製について補償します。しかしながら、徴収された私的録音録画補償金の一部は管理団体等の運営費のために用いられ、また一般的な文化活動の資金としても用いられます。その残余が権利者に分配されるに過ぎません。そもそもより良い補償の方法は複製を制限し又は防止する技術によって創作を保護することです。
・私的録音録画補償金制度は二重課税:新規のデジタル技術に対して補償金制度が拡大することは、コンテンツ権利者、テクノロジー企業及び消費者がDRM開発費と私的録音録画補償金の双方を負担することになるので、「二重課税」状態をもたらすことになります。二重課税は法令を遵守する消費者のコンテンツの利用を低下させ、最終的には販売とコンテンツ開発を低下させることになります。事実、補償金制度が違法コピーを奨励し、販売を低下させている兆候が見られるのです(下記参照)。
・日本での二重課税:しかもレンタルCDサービスにより料金を支払っている消費者は私的録音録画補償金によって更に課金されているのが実態です。
私的録音録画補償金制度は違法コピーについて補償するものではなく、違法コピーを防止しない。
補償金制度は著作物の無権限の複製について補償するものではありません。そもそも欧州で「私的複製」について補償金制度が創設されたのは、私的複製についての著作権の認められた例外について権利者を補償するためです。権利者に対して違法コピーから補償を受けさせるために補償金制度を用いようとするのは制度に対する根本的な誤解に基づいています。
・補償金制度は実際に違法コピーを奨励:消費者は補償金を支払うことにより、製品を複製する権利を購入したと考える傾向があります。たとえば、最近のAppleLinksの論説によれば、カナダの消費者がMP3プレーヤーに補償金が適用された結果、「カナダで音楽を複製することは合法になる」と主張しています。現在の違法デジタルコピーとの戦いの中で消費者に対しこのようなメッセージを送るべきではありません。

テクノロジー・消費者向け電子製品セクター:私的録音録画補償金制度は日本企業と外国企業の双方にとって費用が高く、テクノロジー・消費者向け電子製品セクターのただでさえ低いマージンを更に低下させることになります。フランス及びドイツの場合について見ると、多国籍企業は、補償金負担の増加により2005年には1企業当たり85百万米ドルの収入低下を予想しています。より市場規模の大きい日本の場合には、私的録音録画補償金制度の負担が大きくなる場合には更に大きな影響があると予想されます。
・私的録音録画補償金制度は製造業立地の魅力を低下させる:更に、私的録音録画補償金はテクノロジーセクターの製造又はサービスの基地としての魅力を低下させます。私的録音録画補償金制度は産業の発展にとって国内的な障壁をもたらします。世界的規模のアウトソーシング環境においてシェアを確保し、国内製造業を振興し、そして国内のテクノロジーセクターを発展させる上で私的録音録画補償金制度は成長の阻害要因となります。私的録音録画補償金制度は日本企業と多国籍企業の双方にとって投資判断上「税」として認識されます。
・私的録音録画補償金制度はオフショア購入を促進する:例えば最近のドイツ(世界でもっとも補償金負担が重い国の一つ)での独立の研究によれば、消費者の70パーセントは追加的な補償金負担を回避するために外国から機器を購入することを考慮する、としています。(注釈3)

・違法ファイル交換に対する権利執行の前進:
インターネット上の違法な音楽ファイル(交換サイトなど)2003年6月から2004年6月までで30パーセントも減少(11億ドル相当から8億ドル相当へ)、最も人気のあるファイル交換サービス(FastTrack、KaZaAを含む。)は2004年6月(米国と世界での訴訟の前と比べると)からユーザーが40パーセントも減少(420万から240万)、FastTrack/KaZaAの利用者はより小さくより複雑なニッチへ移行(eDonkey/eMule、Gnutella(Bearshare)、WinMx、OpenNap、〔BitTorrent〕、DirectConnect)
国民経済的考慮:多くの研究が経済成長と情報テクノロジーの進展との間に直接の関係があるとしています。私的録音録画補償金は、テクノロジーの更新と投資を減少させることによってコンピュータテクノロジーがもつ国民経済的な利益を減少させることになります。特にInstitute for International Economics(IIE)は、輸出市場のために生産している企業が平均よりも高い生産性を達成しているという強いエビデンスを見つけています。IEEの計算によれば世界的な事業活動がなければ、1995年から2002年までの米国の生産性成長は2.8パーセントでなく2.5パーセントにとどまった(GDPに対し少なくとも2300億ドルの損失)とされています。(注釈4)また、世界的な事業活動は1990年代におけるハードウェア価格の10パーセントから30パーセントの下落を支えています。

Nathan Associates/Sallstrom Consultingによる世界IT投資の研究(注釈5)によればIT投資はGDPをどの国でも成長させており、IT資本に対する10パーセントの成長がGDPをどの国でも(先進国、開発途上国を問わず)2パーセントから4パーセント成長させるとされています。また、この研究はIT投資の拡大はGDP成長、生産性向上、雇用効果、IT資本成長、インフラ効果のどれをとってもより大きなプラスの効果をもたらすとしています。ところが私的録音録画補償金はIT投資を減少させ、このようなポジティブな効果を減殺します。価格が上昇すれば消費者(この場合は政府、企業及び個人)は投資をするインセンティブを奪われます。このため、私的録音録画補償金は社会経済に対するこのようなポジティブな効果すべてに悪影響を及ぼす効果性があるのです。
補償金は日本の国内問題とは言えない:政府がどのような方針を出すかは、単に我が国のみならず世界のIT政策に大きな影響を及ぼすでしょう。

注釈1)メンバーには、Apple Computer、 DELL、 Intel Corporation、等の企業が含まれています。
注釈2)80億米ドル。推計はNathan Associates(www.nathaninc.com)による。高弾力性の市場で5製品についての最悪のシナリオに基づく。
注釈3)SWR-Worldwide
注釈4)CSPP、 p.11
注釈5)”The Critical Role of the Software Industry in Latin America: A Summary of Studies Conducted in 8 Latin American Markets”; developed for CompTIA ; authors Laura Sallstrom and Robert Damuth; p.1.Updated in 2005 for India and new WWide Analysis.

「法制問題小委員会意見募集について」
アーティストのやる気につながるなら補償金制度に賛成。

「法制問題小委員会意見募集について」
購入時のみの補償金制度になら賛成。

「法制問題小委員会意見募集について」
基本的に補償金制度に賛成。

「文化審議会著作権分科会法制問題小委員 審議の経過」(以下、「審議の経過」)のうち、「2.私的録音録画補償金の見直しについて」(35頁)の部分について意見を申し述べます。
1.補償金制度については、多くの消費者に知られていない中で運用されてきました。著作権が守られなければならないのは、当然のことと理解しています。しかし、私的複製を行わない場合も、知らないまま補償金を負担させられていることは問題があります。
2.私的複製を行わない場合は補償金の返還を請求できることになっていますが、返還額よりも返還を請求するための費用が高く、実際には活用されない制度となっており、問題です。
3.補償金の著作権者への分配、指定管理団体の共通目的事業など、補償金の流れが消費者には見えていないこともこの制度をわかりにくくしていると思います。
4.IT技術が急速に発展し続けており、音楽や映像などの購入方法も変化しており、録音や録画のやり方も大きく変化し続けています。そうした変化の中で、上記のような補償金の集め方がよいのかどうか、見直しがなされるべきではないかと考えます。新しい技術開発の中で、もっとスマートで納得性のある方法を検討していただきたいと考えます。
5.問題のある現行制度を前提にして、「ハードディスク内蔵型録音機器」や「汎用機器・記録媒体」を補償金の課金対象として拡大するのではなく、制度の見直しを優先して行うべきで、課金対象の拡大について結論を急ぐべきではありません。

「私的録音補償金の見直しに係る意見募集」について
私的録音録画補償金制度があることを知りませんでしたが、これがアーティストに支払われるのであれば当然のことと思います。アーティストに還元されることによってまた、素晴らしい音楽が生まれる。このような環境が整ってこそ、文化・芸術への発展にもつながることになると思います。

表記の件ですが、記憶媒体に対して課金するのは無理があると思います。
というのも、「音楽/映像のデジタル記録」という観点において記憶媒体が「音楽専用」と言えない状況にある以上、記憶媒体単位で課金するのはもはや不自然としか言えない状況だからです。
課金するなら「音楽の複製」という行為自体に対して行うべきです。
そのうえ「徴収したお金を分配するための組織を維持するためにお金がかかり、当の著作権者にはほとんどお金が入らない」というのでは、本末転倒です。
極端な方法では「音楽をデジタルデータ化し、それを2次元コードで印刷してばら撒いたらどうなるか」を考えてください。
コピー用紙に保証金を課金しますか?
「媒体に対して課金する」という考え自体が現実と乖離しています。

また欧米に比べて日本で検討している著作権保護は明らかに過剰です。
もう少し現実を見て検討してください。
#コピーが蔓延するということは、オリジナルにそれを買わせるだけの魅力が無いということです。



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