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「権利制限の見直し」に対する意見について

委員名 山本 隆司

1.特許審査手続に係る権利制限について
要望事項 マル/バツ/サンカク コメント
1−A 非特許文献を出願人に送付するための審査官による複製について まる、重要性・緊急性などにかんがみ、優先して法改正を行うべきであると考える。 ベルヌ条約9条2項の「通常の利用を妨げない」利用としては、1優越的価値のための利用行為、2著作権者に被害を生じさせない利用行為、3許諾市場について市場の失敗を生じさせる利用行為が考えられる。要望にかかる利用行為は、著作物に含まれるアイデアの自由利用のために必要な行為であるから、1優越的価値のための利用行為として「通常の利用を妨げない」と考える。
1−B 非特許文献を出願・審査情報の一環として電子的に保存するための特許庁による複製について まる、重要性・緊急性などにかんがみ、優先して法改正を行うべきであると考える。 同上
1−C 審査官からの書類提出の求めに応じるための非特許文献の出願人による複製について まる、重要性・緊急性などにかんがみ、優先して法改正を行うべきであると考える。 同上
1−D 特許庁への先行技術文献の提出のための利害関係人による複製について まる、重要性・緊急性などにかんがみ、優先して法改正を行うべきであると考える。 同上


2.薬事行政に係る権利制限について
要望事項 マル/バツ/サンカク コメント
2−A 承認・再審査・再評価制度において、申請書に研究論文等を添付する必要があるため、研究論文等の複写を作成し、国等に頒布することについて まる、重要性・緊急性などにかんがみ、優先して法改正を行うべきであると考える。 同上
2−B 副作用感染症報告制度・治験副作用報告制度において、期間内に副作用等の発現に係る研究論文等の複写を作成、調査し、国等に頒布することについて まる、重要性・緊急性などにかんがみ、優先して法改正を行うべきであると考える。 同上
2−C 製薬企業は医薬品等の適正使用に必要な情報を提供するために、関連する研究論文等を複写し、調査し、医療関係者へ頒布することについて まる、重要性・緊急性などにかんがみ、優先して法改正を行うべきであると考える。 同上


3.図書館関係の権利制限について
要望事項 マル/バツ/サンカク コメント
3−A 著作権法第31条の「図書館資料」に、他の図書館から借り受けた図書館資料を含めることについて まる、重要性・緊急性などにかんがみ、優先して法改正を行うべきであると考える。 著作物の貸し借りは、借り手において新たな複製物が作成されない限り、著作権者に損害を生じないと考えるので、上記の2著作権者に被害を生じさせない利用行為として「通常の利用を妨げない」と考える。なお、ここでは、借り手において新たな複製物が作成されるが、31条に基づく複製である限り、やはり「通常の利用を妨げない」範囲に止まる。
3−B 図書館等において、調査研究の目的でインターネット上の情報をプリントアウトすることについて まる、重要性・緊急性などにかんがみ、優先して法改正を行うべきであると考える。 インターネット上にアップロードしている場合であっても、プリントアウトを禁止してブラウジングのみを許すことを明示していない限り、プリントアウトについて黙示の許諾があると思われる。したがって、2著作権者に被害を生じさせない利用行為として「通常の利用を妨げない」と考える。
3−C 「再生手段」の入手が困難である図書館資料を保存のため例外的に許諾を得ずに複製することについて まる、重要性・緊急性などにかんがみ、優先して法改正を行うべきであると考える。 31条2号が資料保存のための複製を許しているのは、文化の保存という優越的価値のために必要な利用行為だからだと考える。このことは、再生手段が入手困難になる場合についても全く同じである。したがって、1優越的価値のための利用行為として「通常の利用を妨げない」と考える。
3−D 図書館における、官公庁作成広報資料及び報告書等の全部分の複写による提供について まる、重要性・緊急性などにかんがみ、優先して法改正を行うべきであると考える。 官公庁であっても民間団体と同じ事業を行うものを除けば、その作成する資料等は公益目的で作成されたものであるから、国民の公有に属すべきものである。したがって、2著作権者に被害を生じさせない利用行為として「通常の利用を妨げない」と考える。
3−E 著作権法第37条第3項について、複製の方法を録音に限定しないこと、利用者を視覚障害者に限定しないこと、対象施設を視覚障害者福祉施設に限定しないこと、視覚障害者を含む読書に障害をもつ人の利用に供するため公表された著作物の公衆送信等を認めることについて ばつ、今後更に慎重な検討を行う必要があり、法改正は時期尚早であると考える。 要望の趣旨は理解できるが、要望の範囲が広範に過ぎるので、さらに検討を要すると考える。
3−F ファクシミリ、インターネット等を使用して、著作物の複製物を送付することについて ばつ、今後更に慎重な検討を行う必要があり、法改正は時期尚早であると考える。 同上


4.障害者福祉関係の権利制限について
要望事項 マル/バツ/サンカク コメント
4−A 視覚障害者情報提供施設等において、専ら視覚障害者向けの貸出しの用に供するため、公表された録音図書の公衆送信をできるようにすることについて ばつ、今後更に慎重な検討を行う必要があり、法改正は時期尚早であると考える。 同上
4−B 聴覚障害者情報提供施設において、専ら聴覚障害者向けの貸出しの用に供するため、公表された著作物(映像によるもの)に手話や字幕による複製について
また、手話や字幕により複製した著作物(映像によるもの)の公衆送信について
まる、重要性・緊急性などにかんがみ、優先して法改正を行うべきであると考える。ばつ、今後更に慎重な検討を行う必要があり、法改正は時期尚早であると考える。 前段の要望については、障害者の福祉という優越的価値のために必要な利用行為として「通常の利用を妨げない」と考える。しかし、後段の利用行為は、要件を厳格に定めなければ、「著作権者の正当な利益を不当に害する」おそれがあるので、慎重に検討する必要があると考える。
4−C 聴覚障害者向けの字幕に関する翻案権の制限について、知的障害者や発達障害者等にもわかるように、翻案(要約等)することについて まる、重要性・緊急性などにかんがみ、優先して法改正を行うべきであると考える。 障害者の福祉という優越的価値のために必要な利用行為として「通常の利用を妨げない」と考える。
4−D 私的使用のための著作物の複製は、当該使用する者が複製できることとされているが、視覚障害者等の者は自ら複製することが不可能であるから、一定の条件を満たす第三者が点字、録音等による形式で複製することについて まる、重要性・緊急性などにかんがみ、優先して法改正を行うべきであると考える。 同上


5.学校教育関係の権利制限について
要望事項 マル/バツ/サンカク コメント
5−A eラーニングが推進できるように、学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く)の授業の過程で使用する目的の場合には、必要と認められる限度で、授業を受ける者に対して著作物を自動公衆送信(送信可能化を含む)することについて ばつ、今後更に慎重な検討を行う必要があり、法改正は時期尚早であると考える。 要件を厳格に定めなければ、「著作権者の正当な利益を不当に害する」おそれがあるので、慎重に検討する必要があると考える。
5−B 第35条第1項の規定により複製された著作物については、「当該教育機関の教育の過程」においても使用できるようにする(目的外使用ではないこととする)とともに、教育機関内のサーバに蓄積することについて ばつ、今後更に慎重な検討を行う必要があり、法改正は時期尚早であると考える。 要件を厳格に定めなければ、「著作権者の正当な利益を不当に害する」おそれがあるので、慎重に検討する必要があると考える。
5−C 同一構内における無線LANについても、有線LAN同様、原則として公衆送信にはあたらないこととすることについて まる、重要性・緊急性などにかんがみ、優先して法改正を行うべきであると考える。  


6.政令等への委任




7.自由記載
権利制限規定へのアプローチ方法は、別紙「権利制限の法理について」のとおりと考える。

(以上)

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