3.図書館関係の権利制限について |
要望事項 |
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コメント |
3−A |
著作権法第31条の「図書館資料」に、他の図書館から借り受けた図書館資料を含めることについて |
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権利制限を認めるべきである。図書を貸し出した図書館に戻し、そこで改めて複製の申請をさせ、複製することは、利用者に極めて多大な手間を取らせるだけであり、結果的には複製できるので、権利者の利益には全く影響がない。強いて言えば、国民に面倒で無駄な手間暇を強制することにより、複製意欲を減退させるという点において権利者に有利となるかも知れないが、文化の発展という意味からは極めて好ましくない。 |
3−B |
図書館等において、調査研究の目的でインターネット上の情報をプリントアウトすることについて |
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これも権利制限を認めるべきである。自宅に戻れば、私的使用目的の範囲であれば自由に複製できるのであり、図書館利用者に余計な手間を取らせるだけである。例えば論文作成中にインターネットの情報が必要となるたびに図書館を抜け出し、自宅に戻り、複製の後また図書館に行くという馬鹿げた事態が生じる |
3−C |
「再生手段」の入手が困難である図書館資料を保存のため例外的に許諾を得ずに複製することについて |
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これも権利制限を認めるべきである。これを認めないと、この技術革新の時代においては、再生手段の技術革新が進めば進むほど、図書館で利用できる資料が減ってしまうことになる。図書館の使命から考えて当然のことである。現行法31条2号も同様の精神の規定であり、この規定で読み込むことが可能なら改正は不用であるが、疑わしいなら、この場合も規定に盛り込むべきである。 |
3−D |
図書館における、官公庁作成広報資料及び報告書等の全部分の複写による提供について |
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官公庁の広報資料は、多く読まれることに意味があり、全文複写を認めることに問題はない。特に図書館における全文複写は、むしろ歓迎すべきことである。 |
3−E |
著作権法第37条第3項について、複製の方法を録音に限定しないこと、利用者を視覚障害者に限定しないこと、対象施設を視覚障害者福祉施設に限定しないこと、視覚障害者を含む読書に障害をもつ人の利用に供するため公表された著作物の公衆送信等を認めることについて |
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これも権利制限を認めるべきである。新しい技術が出現したことにより、録音に限定する必然性がなくなっており、障害者が健常者に近いレベルでの文化の享受を認めるのは当然のことである。対象施設の範囲も拡張すべきであるが、どこまで拡張すべきか、という点については関係者の意見も十分に聴取して決めるべきである。公衆送信についても利用者の範囲については同様の配慮が必要であろう。 |
3−F |
ファクシミリ、インターネット等を使用して、著作物の複製物を送付することについて |
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これも権利制限を認めるべきである。図書館関係者の説明によれば、図書館利用者の求めに応じてファックスやインターネットでの送付までは要求してはいなかったようであるが、こちらも認めるべきである。図書館側で当該複製物を保存できないという規定を設ければ、郵送とファックスとは実質的に異なるものではない。利用者にいたずらに不用な時間と手間を取らせるという嫌がらせ的効果しかない。特に外国からの複製要求に対し、郵便で送付することは認めるが、ファックス等は認めないということは極めて不合理であり、特に時間という点を考えると研究活動等の著しい制限になり、日本は文化の発信に消極的ではないかとの非難も受けかねない。 |
4.障害者福祉関係の権利制限について |
要望事項 |
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コメント |
4−A |
視覚障害者情報提供施設等において、専ら視覚障害者向けの貸出しの用に供するため、公表された録音図書の公衆送信をできるようにすることについて |
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健常者が利用できるのと同等に近い利用ができるような手段を講じるべきである。視覚障害者がインターネットを通じた利用ができないという理由は全くないし、世論の理解も得られない。視覚障害者のような弱者こそインターネットの利用価値は高く、著作権法がその阻害要因になることは許されない。 |
4−B |
聴覚障害者情報提供施設において、専ら聴覚障害者向けの貸出しの用に供するため、公表された著作物(映像によるもの)に手話や字幕による複製について
また、手話や字幕により複製した著作物(映像によるもの)の公衆送信について |
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これも権利制限を認めるべきである。手話や字幕は、必ずしも原文通りの全文を現すことは不可能かも知れないが、これを認めないことによる弊害を勘案すべきである。著作権法が視覚障害者のための手話や字幕を阻害しているとすれば、著作権法の存在理由を問われかねない。 |
4−C |
聴覚障害者向けの字幕に関する翻案権の制限について、知的障害者や発達障害者等にもわかるように、翻案(要約等)することについて |
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4−Bで述べた通り、ある程度の要約を認めないと言うことは、手話や字幕を認めないといことに等しいことであり、権利者といえどもこの程度は我慢すべきである。 |
4−D |
私的使用のための著作物の複製は、当該使用する者が複製できることとされているが、視覚障害者等の者は自ら複製することが不可能であるから、一定の条件を満たす第三者が点字、録音等による形式で複製することについて |
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これも権利制限を認めるべきである。自ら複製することもできない者が他人の助けをかりることは当然である。もしこれを認めないとすると、複製すらできない最も弱い者は、30条の恩恵に浴することができず、文化の享受という点で、健常者との落差が著しいことになる。 |