4 まとめ

 音楽の分野では、映画への録音、ビデオグラム等への録音、出版利用については、諸外国では元々自己管理とする慣習があることに配慮し、我が国では、外国曲に限って非一任型管理を採用している。しかし、国内曲については、一任型管理としており、このような形態は世界的にみても珍しい。
 また、ゲームソフトへの録音やコマーシャル送信用録音については、著作者の感情への配慮などの理由により、国内曲・外国曲にかかわらず非一任型管理が採用されている。
 音楽の分野では、このような慣行等が古くから存在するため、大きな混乱は起こっていない。

 翻訳出版、美術の分野では、元々、一任型管理による取引慣行がなく、古くからこのような利用秩序が形成されているため、大きな混乱は起こっていない。

 文芸の分野では、教科書に準拠した学習参考書や大学入試問題集などの教材への利用の場合、また、文献複写の分野では、自然科学系・医学系の学術論文の複写利用の場合、あらかじめ利用する著作物が特定されることから、利用される著作物は代替性を有しないため、利用者からこれらの著作物の使用料が高額になると大きな負担になるとの意見があった。

 実演の分野では、ビジネスに直接影響する一次利用については、実演家又は実演家の所属事務所が直接使用料を決定している例が多く、収録された番組の二次利用に関する許諾手続については、それぞれの管理団体に委託を行っている場合が多い。
 特に、芸能プロダクションから委託を受けて許諾業務を実施している事業者からは、実演家のイメージ戦略やマネジメント戦略に直接影響するという理由で一任型管理には馴染まないという意見があったが、利用者からは、円滑な利用の観点から一任型管理を望む意見があった。

 今回調査した分野だけでも、非一任型管理や許諾手続の代行、関係者の取引ルールに基づいた利用許諾などが行われていたが、著作者の名誉声望の観点やビジネスへの影響などの観点から、一任型管理には馴染まない利用形態が存在することが明らかとなった。

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