1 調査の目的

 著作権等の管理業務については、古くから音楽の分野を中心として権利の集中管理が発達してきた。
 昭和14年以来長い間著作権の集中管理について規制してきた「著作権に関する仲介業務に関する法律」(以下「仲介業務法」という)では、規制対象を小説、脚本、音楽(楽曲、歌詞)に限定し、政府の強い指導により著作物の利用秩序を形成してきたが、平成13年に仲介業務法が廃止され、著作権等管理事業法(以下「管理事業法」という)の施行により緩やかな規制へと移行した。
 また、権利委託の態様として、著作物等の利用許諾に際して委託者が使用料の額を決定する委託形態(以下「非一任型」という)については、仲介業務法の時代から多くの分野で実施されており、特に大きな問題とはされていなかったことから、管理事業法では規制対象外とし、使用料の額を受託者が決定する委託形態(以下「一任型」という)のみ規制を及ぼすこととした。
 管理事業法施行後、上記3分野以外の分野についても新しく管理事業者が参入し、同一分野でも複数の管理事業者が存在するようになり、委託者の選択の余地が広がる一方、管理事業者間の競争が行われることとなった。
 管理事業法附則第7条では、法律の施行後3年経過後の見直し条項を規定しており、この規定に基づき、平成16年から平成17年にかけて文化審議会著作権分科会において、同法の見直しについて検討が行われた結果、制度改正の必要はないものの、新規参入事業者の増加に伴う同一分野での一任型管理と非一任型管理の混在によって著作物等の円滑な流通を阻害するおそれがある等の指摘もあったことから、同法の規制対象外である非一任型管理事業の業務の実態をよく調査することなどを内容とする提言「文化審議会著作権分科会報告書(平成18年1月)」が行われた。
 文化庁では、本提言に基づき、著作権等管理事業法の見直しに関する今後の参考資料とするため、非一任型管理事業を含む著作権等の管理業務に係る実態を調査することとした。

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