ファイル交換ソフトを利用した音楽ファイルや映像ファイルの私的録音録画の現状については、関係団体が行っている実態調査結果をもとに紹介する。
ファイル交換ソフト利用実態調査は、関係団体が平成14年(2002年)から毎年実施しているもので、最新の平成18年(2006年)調査は、10団体・事業者(注3)が、6月13日から6月18日に、インターネット利用者を対象として、インターネット上のWebアンケートサイトを利用して行ったものである(有効回答者数:18,596人)。
2006年調査におけるファイル交換ソフトの利用率は、インターネット利用者のうち、約3.5パーセントがファイル交換ソフトを「現在利用」しており、「過去に利用」していた約8.6パーセントを合わせると、インターネット利用者の約12パーセントがファイル交換ソフトの利用経験を有している。
(出所:2006年ファイル交換ソフト利用実態調査)
(出所:2006年ファイル交換ソフト利用実態調査)
本調査では、ファイル交換ソフトの利用者数を約608.17万人と推定しているが、本調査は、インターネット上のWebアンケートサイトによって行われているため、比較的利用頻度が高い利用者が回答していると考えられ、約5,060.21万人(インターネット利用者数)という数値をそのまま使って算定すると過大な推定値が算出されると本委員会にて指摘があった。
このため、「2006年通信利用動向調査報告書−世帯編−平成19年3月(総務省情報通信政策局)」の利用頻度調査結果におけるインターネット利用者のうち、「パソコンを用いて毎日少なくとも1回はインターネットを利用する者」の割合は、2006年調査で全体の約41.1パーセントであるところから、この数値をもとに算出した場合、2006年における利用頻度の高いインターネット利用者数は約2,079.75万人となり、ファイル交換ソフト利用経験者数は約251.65万人と推定される。
この推定値は、2006年ファイル交換ソフト利用実態調査におけるファイル交換利用経験者数の約608.17万人と比べると、かなり低い推定値になるが、上記のような指摘があったことから、より厳正な推定値として本中間整理ではこの推定値を使用することとする。
なお、年ごとのインターネット利用者数及びファイル交換ソフト利用経験者数は次のとおりであるが、年ごとに人数が確実に増加していることが分かる。
(単位:万人) | ||||||||||||||||||||||||
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2006年調査では、ファイル交換ソフトの利用者が過去1年間でダウンロードしたファイル数の平均は、現在利用者が194ファイル、過去利用者が115ファイルである。
過去4回の調査を比較すると、「51ファイル以上」の利用者が増加傾向にあり、一人で多くのファイルをダウンロードする傾向が強くなっているものと推測できる。
(出所:2006年ファイル交換ソフト利用実態調査)
2006年調査では、ファイル交換ソフトを用いてダウンロードしたファイルのうち、最も多いのは音楽関連ファイルであり、次いで映像関連ファイルであった。数は少ないが写真・画像関連ファイル、ソフトウェア、文書関連ファイルもダウンロードされている。
過去4年間の調査と比較すると、音楽関連ファイルについては、いずれの年も多くのファイルがダウンロードされていることが分かる。また、映像関連ファイルについては、2005年から急速に増加していることが分かる。
(出所:2006年ファイル交換ソフト利用実態調査)
2006年調査では、ファイル交換ソフトを現在利用している人の約3分の2が、過去1年間に音楽ファイルのダウンロード経験があり、現在利用者全体に対する過去一年間の平均ダウンロードファイル数は87ファイルで、2005年調査をやや下回っている。
(出所:2006年ファイル交換ソフト利用実態調査)
2006年調査におけるファイル交換ソフトによる音楽ファイルのダウンロード数(約6,300万ファイル)と2006年有料音楽配信売上実績におけるインターネットダウンロード数(約3,400万曲)を比較すると、ファイル交換ソフトによる音楽ファイルのダウンロード数の方が約2倍多い(次頁参照)。
さらに、過去利用者によるダウンロード数も考慮すると、ファイル交換ソフトを利用したダウンロード数は、有料音楽配信によるダウンロード数を大きく上回るものと推測される。
72.79(万人)87(ファイル)6,332.73(ファイル)
(単位)数量:千回、金額:百万円
(出所:社団法人日本レコード協会)
2006年調査では、ファイル交換ソフトを現在利用している人のほぼ3分の2の約65.6パーセントが映像関連ファイルのダウンロード経験があり、平均79ファイルを過去1年間にダウンロードしている。
2003年から2006年の推移では、一人の利用者が多くの映像ファイルをダウンロードする傾向が強くなっている。
(出所:2006年ファイル交換ソフト利用実態調査)
なお、2006年調査では、ダウンロードされた映像ファイルは、アダルト、映画(洋画)、アニメ、映画(邦画)の順に多い。
(出所:2006年ファイル交換ソフト利用実態調査)
72.79(万人)79(ファイル)5,750.41(ファイル)
ファイル交換ソフトを利用したことがない人のうち、「機能まで知っている」人は約25.2パーセント、「名前は知っているが詳しくは知らない」人は約54.5パーセント、合わせると約8割の人がファイル交換ソフトの存在を知っている。また、ファイル交換ソフトの認知度は年々増加傾向にある。
(出所:2006年ファイル交換ソフト利用実態調査)
過去利用者がファイル交換ソフトの利用を止めた理由としては、セキュリティ・ウィルスなどの心配を理由にする人が最も多く(約46.2パーセント)、次いで著作権侵害などの問題があることが理由になっている(約26.4パーセント)。
(出所:2006年ファイル交換ソフト利用実態調査)